風を切ろう

ゼファー400のレストア動画を見た。

13編全部、最高だったけど。

何より胸に残ったのは・・・

「もう一度、風を切ろう・・・」って、言葉。

この言葉のほんとうは、二輪車乗りにしか、わからないんじゃないかな・・・

( いい言葉だな )って、

つい ・・・ 瞳がうるんでしまった。

ドキドキしながら

きらめく風の中・・・

初めてアクセルを開けた日・・・

僕は、まだ16歳だった・・・。

このレストア動画の中に・・・ そんなシーンは、1秒もないのに。

なぜか、懐かしい・・・風の匂いまで、僕は思い出せた・・・。

「必死だった」って、

レストアシリーズとは別の動画で、この動画の作者は、実にさりげなく語ってたけど、

こんなに「オートバイが好き」って、その気持ちが伝わってくる映像を・・・

僕は、これまでに、ほんとうに・・・ ほんとうに見たことがない。

もちろん、これからも、ないだろう。

そう、断言できるくらい、心が動いたから、言う。

しせい、てんにつうず。

相手が人でなく、それが「機械」であっても・・・ それはきっと同じ。

真心を伝えたい 相手が、人でなく、たとえ機械であったとしても、

伝えたい「想い」が、間違いなく、「ほんとう」なら・・・

嘘も、偽りもない、その「想い」に勝るものなんか、絶対にない。

だから、敬意を込めてその総集編へのリンクを、ここに貼ります。

ふみっちょさん。心から、本気で、ほんとうの、ありがとうです。

あなたの動画を見て、

オートバイに乗りたかった気持ちの原点を、僕は、思い出しました。

16歳だった・・・ 初めて、風を切った日の・・・

アクセルを開けた、あの一瞬の・・・記憶。

そう。あの瞬間から、僕は・・・ オートバイが大好きに・・・

そんな想いを抱きしめて、眠ったから・・・ かな・・・?

8月のある朝、目が覚めていちばん最初に思い出したのは・・・

まだ、バイクで行ったことのない、家のすぐ近くにある、大好きな場所だった。

何年も前から、クルマでは、何度も訪れた場所なのに、なぜか・・・

そこへは一度も、バイクで行ったことはなかった・・・。

( 今日のために、とっておいた? )

まぁ、いい。今、考えるのはよそう。

人生には、いろんな不思議があっていい。

きみと、そこへ行こう。

そう、風を切って。

何度も、何度も、ここで、近くの空港に降りる飛行機を数えた。
初めてここへきたきみは、はしゃいでるみたいに輝いて。

でも、33歳。

いっぱい、壊れたよな・・・

フロントフォークからのオイル漏れ
キャブレターのオーバーフロー

そうだ、コンビニへ入ろうとしたら
サイドスタンドが落ちてなかったこともあった。

ウインカーのプラスチックが経年劣化して、根本から折れたことも
リアショックのオイルが全部抜けたこともあった。

セルが廻らなくなったことも
ブレーキが噛んだことも

立ちゴケしてクラッチレバーを折ったり、
エンジンを傷つけたこともあった・・・

レバーは交換すればよかったけど
エンジンは、涙目になりながら、必死で磨いて再生したんだ・・・

そうだ

カムチェーンテンショナーの押しが足りなくなって
アクセル戻す度にエンジンからすごいガラガラ音が聞こえてきた時は
心が折れそうになったな・・・

やっとの思いで、一度も外したことがないキャブレターを外して・・・
取り出せたカムチェーンテンショナーは、Webで見た写真とは全然違う旧型で・・・
どうやって調整したらいいのか、
まったく、わからなかった。

自分でもなんとかなりそうな、C3型以降用(?)のテンショナーを手に入れて・・・
ノッチの押し込みを調整しながら・・・震える手で装着。
汗まみれになってキャブレターを元に戻し、
祈るような気持ちで、スターターボタンを押したんだ。

エンジンのガラガラ音が完全に消えた時は、天にも昇る心地だった。

でも、熱にさらされる場所は、どうしても酸化が進んで・・・

何度も磨いて、耐熱塗料を塗り直したマフラー。
それほど高温にならない後ろ部分は耐熱塗料でなくてもOKなことを
経験から知ったけど。

さすがに、エンジンに、それは通用せず・・・
オリジナルの塗装は、もうほとんど残ってない・・・。

みんな、サビとの戦いで、消えてしまった・・・

でも、まだ、走れるよね。

走れる限り、ふたりで、風を切ろう。

もうすぐ、秋だね。

ふたり、黄金色の風の中、

アクセルを開けて・・・

どこまでも、

そして、いつまでも・・・

風を切って・・・

走ろう☆