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画像ファイル関連のプログラミング

無料で使える手書き答案採点補助プログラム

Answer Column Reader

横書き答案の採点実行時の画面です。


スキャナーで読み取った手書き答案のJpeg画像から、大問1の設問(1)なら(1)のみを抽出、一覧表示してイッキに採点。採点記号( 〇・△・× )& 得点付きで元の答案画像に書き戻し、最後に得点合計を自動計算、指定位置に描画して、返却用答案画像(A4サイズに統一/縦・横の指定は可能)を印刷できる無料の手書き答案採点補助プログラムです。

一般的な横書き答案に加え、国語で使用される縦書き答案の採点も可能です。

縦書き答案の採点実行時の画面です。


新教育課程の観点別評価にも対応。もちろん、表計算ソフトを使わずに成績一覧表の作成・印刷・CSVファイルへの出力が可能です(ただし、成績一覧表の出来栄えは、メモ程度)。

画像処理に使用しているPython用OpenCV関連のファイルサイズが巨大ですが、このファイルサイズを許容していただければ、採点現場で十分使えると(複数の高校で使用中)評価していただけました!

もちろん、完全無料。ただし、動作保証は一切ありません。作成者(僕)は開発環境のDelphi(Object Pascal)の大ファンで、この他にも自作のマークシートリーダーなどを開発・このblogの過去記事で公開していますが、学問領域で評価の対象となるようなプログラミングに関しては全くの素人です。ですから、このプログラムのご使用に際しては、あくまでも素人が趣味で作ったものであるということを十分にご理解いただき、ダウンロードから展開・実行までALL自己責任でお願いします(有償販売禁止の他は、それが唯一の使用条件です)。発見できた不具合はすべて改良改善しましたが、取り切れていない未発見の不具合もまだきっとあると思います。それでも、もし、よろしければお使いください。僕の夢のカタチ、Answer Column Reader。

手書き答案採点補助プログラム、名付けて AC_Reader です。

【もくじ】

1.使い方
(1)zipファイルを展開
(2)プログラムを起動
(3)スキャンした答案の画像を準備
(4)採点用画像の準備
(5)解答欄の座標を取得
 ・【座標データを追加したい場合は?】
 ・【字数制限のある解答欄座標の簡単な取得方法は?】
 ・【機械が認識しやすい解答欄】
 ・【生徒の番号・氏名も解答横に表示して採点したい】
(6)採点
 ・【全員正解を入力】
 ・【全員不正解を入力】
 ・【個別に採点】
 ・【次の設問を採点】
 ・【定型文を入力】
 ・【入力した定型文の削除・消去方法】
(7)採点状況の確認
(8)返却用答案の印刷
(9)成績一覧表の作成・印刷
2.まとめ
3.お願いとお断り

1.使い方

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(1)zipファイルを展開

ダウンロードしたzipファイルをデスクトップ上に展開します(任意の場所に置いても動作すると思いますが)。PCによっては展開(解凍)に20分程度かかることがあるようです。

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(2)プログラムを起動

展開されたフォルダ内に「AC_Reader.exe」があります。これをダブルクリックしてプログラムを起動します。

このアイコンをダブルクリックしてプログラムを起動します


初回起動時には、次のメッセージが表示されると思います。その場合は「詳細情報」(画像中、赤い枠で囲んで示した部分)をクリックします(プログラムの発行元が不明である場合に、Windows のDefender機能である SmartScreen がこの表示を出すそうです。自分の責任で実行すれば、次回からこのメッセージは表示されなくなります)。

「詳細情報」をクリックします。


すると、次の画面が表示されます。「実行」(画像中、赤い枠で囲んで示した部分)をクリックしてプログラムを起動してください。

「実行」をクリックします。


プログラムの起動時に、次のメッセージが表示されます。「はい」・「いいえ」のいずれかを選択してください。

差し支えなければ「はい」を選択してください。


Excelの採点シートを使って処理する場合は、拙作マークシートリーダーとこの手書き答案採点補助プログラムを併用することも可能です(その方法についての説明は、今回は行いません)。

マークシート方式と併用することも可能ですが、今回は「はい」をクリックしてください。


国語の試験では縦書きの解答用紙が使われますので、この手書き答案採点補助プログラムも縦書き答案の採点が出来るよう設計しました。デフォルト設定の答案書式は「横書き」です。国語の縦書き答案を採点したい場合はここで設定画面を開き、縦書きを指定してください。

今回は「いいえ」で先に進みます。


ちなみに「はい」を選んだ場合は・・・

答案の書式を指定できます。


答案の書式の設定変更を起動時に問われなくするよう設定できます。

採点する答案の書式が決まっている場合は「はい」を選択してください。


試験は毎日行われているわけではなく、定期考査として2~3か月に1回実施されるのが普通です。これくらい間が空くと、△の付け方などをどうしても忘れてしまいます。「忘れた!」と毎回のように質問がありましたので、プログラムの起動時にメッセージとして、採点方法を表示することにしました。

特に「△」の入力方法を問われることが多かったです!


この入力方法の案内は、画面右下の「終了」ボタンのとなりにある「入力方法のご案内」ボタンをクリックすれば、いつでも再表示できます。

入力方法はいつでも確認できます。

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(3)スキャンした答案の画像を準備

答案の画像は必ず「解像度200dpi程度」でスキャンし、「Jpeg画像として保存」してください。

重要 白黒の二値化画像としてスキャンしないでください。

なお、答案をスキャンする際は、次のことにご注意ください。

・答案が出席番号順に並んでいることを必ず確認してください。
・答案の向きは問いませんが、上下が揃っていることを必ず確認してください。
・試験を欠席した生徒がいる場合は、そこに未使用の解答用紙を挿入しておきます。
・消しゴムの屑等はよく払い落としておきます。
・一度に採点できる枚数は100枚を想定しています。
・答案に折り目がある場合は、なるべく平らになるよう折り戻しておきます。

スキャンした答案の画像は、科目名とクラス・講座名がわかるよう適切な名前をつけたフォルダ内に保存し、このフォルダをAC_Reader.exeがあるフォルダの「ScanData」フォルダにコピーしてください。

重要 スキャンした画像は、必ず「ScanData」フォルダ内にフォルダを作成し、保存してください。

重要 ScanDataフォルダ内のフォルダに階層構造を作らないでください。

よい例:

ScanData¥数学Ⅰ_1A

わるい例:

ScanData¥1年¥数学Ⅰ_1A

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(4)採点用画像の準備

上記の手順で、スキャンした答案のJpeg画像を所定の場所に準備したものとして説明します。

プログラムの画面右上にある「画像変換」ボタンをクリックします。

重要 採点用画像には、必ずこの画像変換プログラムが生成したJpeg画像を使ってください。それ以外の方法で作成した画像は使用できません!


次のWindowが開きます。「選択」をクリックしてください。

ScanDataフォルダ内に用意した「答案画像を入れたフォルダ」をクリックして選択します。
練習では予め用意されているSampleフォルダを選択してください。

重要 選択するのは「フォルダ」で、「ファイル」ではありません。

採点したい答案画像のあるフォルダをクリックすればOKです。
(ダブルクリックして開ける必要はありません)

サムネイル表示を見て、画像の回転の有無・回転方向を指定します。Sampleの画像で練習する場合は「なし」を指定してください。

次に画像のリサイズの有無を指定します。複合機のスキャナーを使用し、解像度200dpiでスキャンした画像の場合、80%程度に縮小すると採点しやすいと思います。答案画像をプレビューして縮小率を確認しながら作業することができます。

画像のリサイズ設定を行ったら、次に採点用画像の保存先を指定します。「参照」ボタンをクリックしてください。画像の保存先を選択するWindowが表示されます。

採点用画像の保存先は、ScanDataフォルダ内ではなく、「ProcData」フォルダです。

Procはprocessed(処理済み)の略です。

重要 ProcDataフォルダ以外の場所は、作業フォルダに出来ません!

画像の変換元として選んだScanDataフォルダ内のフォルダと同じ名前のフォルダを、プログラムはProcDataフォルダ内に自動的に作成します。ここでは、この自動的に作成されたSampleフォルダをクリックして選択し、OKをクリックしてください。

フォルダは自動的に作成されたものを選びます。

「変換実行」ボタンをクリックすると採点用にリサイズされた画像が上で指定したフォルダ内に作成されます。この処理はGDI+で書きましたので、それなりに高速だと思いますが、答案の枚数が多く、回転を伴う場合は少し時間がかかります。処理が完了するまでしばらくお待ちください。

この処理では用途の異なる2種類の画像を作成します。一つは採点マークのない各解答欄画像の読み取り元として利用する画像、もう一つは採点マークその他必要事項を上書きした返却用答案画像として利用する画像です。このようにすることで、何度でも採点のやり直しができる仕組みを実現しています。

注意していただきたいのは(めったにないことですが)、採点結果を答案画像に書き戻している最中に何らかの原因でプログラムが落ちた(クラッシュ/フリーズ)場合です。プログラムは採点結果を数値データとしてCSVファイルに書き込むと同時に、採点マークを付けて返却用答案画像にも書き込みます。CSVファイルへのデータの書き込みは一瞬ですが、返却用答案画像への書き込みには少し時間がかかります。したがって、この書き込み処理の最中にプログラムが落ちると、確かに採点した(採点データを保存したCSVファイルが存在する)のに、採点結果が正しく書き込まれていない答案画像が出来てしまうといった現象が起こります(過去1回だけ、この現象を確認しました)。このような場合には、それを発見した時点で採点済みのデータを読み込んで、再度(画像への)「書き込み」処理を実行すれば不具合を解消できます。

変換が終了すると、そのことを知らせるメッセージが表示されます。メッセージのOKをクリックすると注意のメッセージが表示されます。この注意のメッセージを確認した後、「終了」ボタンをクリックして、画像変換処理を終了してください。

終了をクリックして、この窓を閉じます。

メッセージの「OK」をクリックすると表示されるメッセージです。

画像のリサイズを行った場合は、その際設定した縮小率を試験で使用した解答用紙の残部などに必ずメモしてください。複数クラスで様式の異なる解答用紙を使って試験を行い、それぞれに74%、87%など細かな値を指定した場合は2日も経てばかなりの確率でその値を忘れます。この値を忘れた場合には、採点設定作業をすべてやり直すことになります。十分注意してください。

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(5)解答欄の座標を取得

次に解答欄の座標を取得します。その際、重大な注意事項があります。

重要 実際に試験で使用した解答用紙の画像を使用する

わるい例:
・輪転機で大量に印刷した解答用紙でなく、PCからプリンターに出力した解答用紙を使用

上のわるい例のように、実際に試験で使用した解答用紙とは異なる印刷環境で作成した解答用紙は、解答欄座標の取得には使用しないでください。見た目はほとんど同じでも、ほんのわずかな印刷位置のずれが採点作業のすべてに悪影響を及ぼします。この点には、どうか十分にご注意願います。

最初に開発したバージョンでは、拙作マークシートリーダーと同じように解答用紙に座標原点とするマーカー画像を設け、OpenCVのテンプレートマッチングの機能を利用して、マーカー画像からの距離で解答欄の座標を記録し、解答欄矩形の選択に利用していましたが、解答欄矩形を自動的に認識する方法を学んでからは、マーカー画像を利用し、手動で一つ一つ解答欄矩形を指定するよりも、解答欄矩形を自動認識して採点対象とする矩形の座標データのみを取捨選択して保存した方が、実際の採点に入るまでの準備作業時間を大幅に短縮できることがわかりました。また、輪転機を使用して印刷した解答用紙自体に解答欄の印刷位置のずれはほとんど生じないことも、マーカー画像を利用した解答欄座標の取得から、解答欄矩形を自動認識する方向へ設計を変更する大きな要因となりました。

以上の理由からご理解いただけると思うのですが、この手書き答案採点補助プログラムで使用する解答用紙は「解答欄の印刷位置がすべて揃っているもの」でなければなりません。

前置きが長くなりましたが、その具体的な方法は次の通りです。

最初に画面右上の「採点作業」ボタンをクリックしてください。


以前に使用した採点設定ファイルが見当たらない場合は、次のメッセージが表示されます。

よく読んで、OKをクリックしてください。


以前に使用した採点設定ファイルがある場合は、次のメッセージが表示されます。


使用する採点作業の入力欄に下の例のように入力します。

例:R06_考査①_物理基礎

前の方が見えませんが・・・

重要 採点作業の名称にはクラス名を入れないでください。

同じ採点作業の設定を複数クラスに適用する際、採点作業名に特定のクラスの名称が入っていると、なんとなく違和感を感じませんか?(僕は違和感を感じました)

このプログラムでは、(同一問題で実施した)試験の答案をクラス・講座毎のフォルダに準備して、同じ(一つの)採点設定をそれぞれのクラス・講座に適用して採点します。したがって、採点作業の名称には「クラス名を入れない」ことが望ましいわけです。※ クラス名が入っていても採点作業に使えないわけではありません。

採点作業名を付けたら、入力欄の右側にある「Auto」ボタンをクリックしてください。

ほんとうは「解答欄矩形の自動選択」のような名称にしたかったのですが、スペースが・・・


次のメッセージが表示されます。よく読んでOKをクリックしてください。

AC_Readerとは別に、解答欄矩形を見分けて自動選択するプログラムが起動します。このプログラムもObject Pascal に埋め込んだ Python Script で Python 用の OpenCV の機能を利用して動作します。

重要 RectangleDetector.exeを直接起動しないでください

重要 矩形検出機能はAC_Readerから呼び出して使ってください

解答欄矩形を認識するプログラムの名称は「Rectangle Detector(長方形検出器)」です。最初に画面左下にある「画像選択」ボタンをクリックしてください。


ここではフォルダではなく、「ファイルを選択」するダイアログボックスが表示されます。どれでもよいのですが、欠席者がいる場合は、解答欄に何も書き込まれていない欠席者分の解答用紙の画像を選択した方が、誤検出は明らかに減ると思います。ファイルを選択したら「開く」ボタンをクリックしてください。

重要 ここではフォルダではなく、ファイルを選択します。

重要 実際の試験で使用した解答用紙の画像で作業します。

練習では、添付したSampleフォルダ内のファイルを選択してください

解答用紙の画像が表示されます。上下のスクロールバーを操作して、図のように解答用紙の解答欄の直線部分とRectangleDetectorの画面枠の二つを見比べやすい位置に画像を上下に動かして、解答用紙が大きく傾いていないことを確認します。

スキャナーによっては、その機材特有の「クセ」のようなものがあり、どれほどきちんと解答用紙をセットしても必ず0.3~0.4°くらい読み取った画像が傾いてしまう場合があります。サービスマンの方に相談したところ、「答案に付着した消しゴムの屑がローラー等に詰まって、読み取り結果に悪影響を及ぼしているのではないか?」との意見をいただき、実際、スキャナーの可動部をきれいに清掃して試したところ、読み取り結果が改善された経験があります。しかし、その後、またすぐにその機材で読み取った画像は同じ方向に傾くようになりましたので、毎回クリーニングする必要があるのかもしれません。ただ、可動部をクリーニングしなくても、ほとんど傾かずに読み取ることもあり、結局、「これは運だ!」と割り切って、プログラム側で傾きがあった場合は修正できるよう、傾き補正の機能を追加しました。

傾き補正の機能を追加する際に気づいたのですが、回転させた画像をさらに回転させると、画像の質が著しく劣化し、これを繰り返すほどに全体がぼやけて、解答の読み取りに支障をきたす恐れがあるように感じました。そこで、画像の初期状態を保存しておき、回転は必ず初期状態のものに対して行うようプログラミングしました。「なぜ、少しずつ連続して回転させることができないのだろう?」と疑問に思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、これがその疑問への回答です。

赤線部分を見比べて、画像の回転の要/不要を判断します。


上の画像のような状態であれば、傾きの補正は必要ありません。オプションボタンは「実行」をクリックして選択してください。また、あまりにも小さな矩形は「解答欄ではない」と判断できるよう、矩形の面積閾値を設定してあります。こちらはデフォルト設定700のままでお試しください。

傾きの修正が必要な場合は「試行」を選択し、修正量を確認してください。
修正量を確認後、その値で傾きの補正を「実行」してください。
(「試行」を選択した場合は、最終的なデータの保存ができません)


続けて答案の「横書き・縦書き」を指定します。Sampleは横書き答案ですので、オプションボタンは「横書き」をクリックして選択してください。


ブロックというのは(表現に苦しんだのですが)、「解答欄の集合をブロックとして見分けられるか・どうか」という意味です。下の図のような解答用紙の場合、1ブロックと表現しています。


ちなみに、次のような場合が2ブロックです。ご理解いただけましたでしょうか?


傾きの修正が必要な場合は、次のGUIで操作してください。「傾き修正」に✅を入れて、▲は修正値を増やす(回転方向は時計回り)、▼は修正値を減らす(回転方向は反時計回り)、「適用」は回転の実行、「やり直し」は画像を初期状態に戻します。


解答欄を取得する準備が整ったら、「解答欄取得」ボタンをクリックしてください。


誠に心苦しいのですが、PCによっては初回実行時、Python Engineの初期化に異常に時間がかかることがあります(職場のPCでは4分程度)。自分のPC(Panasonic製 Let’s note CF-QV)では数秒で終了する処理がなんでPCによってはとんでもない時間を要する処理になるのか? その理由は未だにわかりません。

とにかく、マウスカーソルが砂時計?表示になっていればプログラムは正常に機能していると思われますので、5分程度お待ちください。いったんPython Engineの初期化に成功すれば、プログラムを終了しない限り、2回目以降の実行は何の問題もなく、ほんの数秒で解答欄座標の取得が完了するはずです。

参考 横書き答案の場合、解答欄矩形の座標はx軸方向については左から右へ、Y軸方向については上から下へという順番で読み取ります。

参考 縦書き答案の場合、解答欄矩形の座標はx軸方向については右から左へ、Y軸方向については上から下へという順番で読み取ります。

ただし、解答用紙の画像が右肩上がりに傾いていた場合、Y軸(上下)方向の座標の上下関係から、より値の小さな(座標原点0,0は解答用紙画像の左上であるため)上の方をプログラムは先に読み取ってしまいます。そのため、横書き答案であっても解答欄矩形の読み取り順が右から左になる現象が発生します。こうなると解答欄矩形の座標の選択作業が著しく煩雑になってしまいます(解答欄矩形の座標自体は読み取れていますから作業ができないわけではありません)。これを防止するために、最初に答案画像の全てに対し、傾きの修正を行う必要があります。

解答欄座標の取得が完了すると、次の図にあるように解答用紙上に赤い矩形が描画されます。小さくてわかりづらいかもしれませんが、画面右上の解答欄座標の値が表示されている部分で、カーソルがある(カーソルが点滅している位置の)解答欄座標が赤の矩形で示されています。ここから必要な座標と、いらない座標を取捨選択する作業を行ってください。


上の図で示されている矩形(座標)は採点には不要です。このまま無視して次へ進んでも構いませんし、面倒でなければ不要な座標は削除することもできます。


「編集」ボタンをクリックすると、キャプションが「編集中」に変わり、カーソル位置の座標が選択された状態になります。DELキーを押し下げして、不要な座標を削除します。

次の図は(削除作業を行わずに)上の図の状態から↓矢印キーを1回押し下げして、カーソルを2行目に移動させた状態を表しています。不要な解答欄座標の削除作業を行った場合は、自動的にこの状態になります(1行目にあった不要な座標は当然消えています)。

カーソルを下の行へ移動させて、解答欄矩形のみを選択(移動)して行きます。


2行目の座標が示す矩形はまさに解答欄ですから、これは必要な座標ということになります。このような座標は「移動」ボタンをクリックして、必要な座標ばかり集めたメモの方へ移動させます。次の図は2行目の座標を移動させた直後の状態です。

必要な解答欄座標のみを選択します。

下向きの矢印キーを押す。必要な座標であれば「移動」ボタンで下のメモに移動する。この作業を繰り返して採点する順番になるよう、解答欄の座標をすべて取得します。次の図は一通り、解答欄の座標を取得した状態です。


続いて正しく解答欄座標が取得できていることを確認します。上の図の移動済み解答欄座標が表示されているメモ(赤枠内)の先頭の座標データをクリックしてください。メモは必要であれば上にスクロールしてください。メモの先頭の座標データをクリックしたら、答案の画像も上にスクロールしてください。画面は、次の図のようになります。

メモ内のフォーカスがある座標データに該当する矩形が赤枠で示されています。


このまま、下向きの矢印キーを次々に押し下げして、赤枠で示される解答欄矩形が必要数あるか・どうか、及び、採点順に並んでいるか・どうかを確認して行きます。

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【座標データを追加したい場合は?】

様々な事情から、座標データを後から追加・変更したい場合もあるかと思います。例えば、次の図のように青枠で囲った解答欄AとBを抱き合わせて採点(両方正解で〇等)したい場合です。

青枠部分を抱き合わせて採点したい場合も当然あるかと思います。


このような場合は、該当の座標データの「末尾」にフォーカスした状態で(=座標データの末尾にカーソルを置いて)、「移動」ボタンの隣にある「追加」ボタンをクリックし、さらにEnterキーを1回押し下げして改行します。次の図は、その状態を示します。

「追加」ボタンのキャプションは「追加中」に変わります。


次に、画面の真ん中よりやや右にある追加ボタンをクリックします。


答案画像の上に赤枠の矩形が表示されます。この矩形を新しく解答欄座標を取得したい解答欄に重なるように移動・変形してください。矩形を移動させたい時は、矩形の上の横線中央よりやや右の位置をポイント(マウスのカーソルを載せる)すると、マウスカーソルが上下左右の白い矢印に変わり、ドラッグアンドドロップできる状態になります。

任意の座標を取得可能です。


抱き合わせて採点したい解答欄を矩形で囲んだら(下の図のような状態)、キャプションが「取得」に変わったボタンをクリックします。すると、ボタンの右側に、現在表示されている矩形の座標が表示されます。同時に、この矩形データはクリップボードにも送信されています。


続けて、右側のメモ内の先ほど改行して空行になっている箇所をクリックしてCtrlキーを押しながらVキーを押す(右クリックして表示されるサブメニューから「貼り付け」を選択)等して、取得した座標データを付け加えます。正しくメモに追加できたら、メモの上の「追加中」ボタンをクリックして、キャプションを「追加」に戻します。

上下の矢印キーを押して、解答欄Aの座標を探し、「追加」ボタンをクリックして、メモを編集可能な状態に変更、データを削除します。削除後、編集が終了したことをPCに伝えるため、「追加中」ボタンをクリックして「追加」に切り替えます。

解答欄Bの座標も、解答欄Aと同様に作業してメモから消去します。

注意 「追加中」状態で作業しないとエラーが発生します!

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【字数制限のある解答欄座標の簡単な取得方法は?】

例えば、次のような多数の細かい枠で構成された字数制限のある解答欄がある場合、このまま矩形座標の自動取得処理を実行すると一つ一つのマス目の座標をもれなく取得・表示してしまいます。

解答欄を構成する枠がすべて実線の場合、解答欄座標の取得が煩雑になります。


このような場合は、解答欄を作成する段階で、外枠のみ実線で描き、内部の枠はすべて「点線」で描くようにします。点線は、色が薄く、間隔の狭い、細い点線でなく、次の図に示すように、色が濃く、間隔が広い、太い点線を使用してください。

解答欄内部の枠を「点線」で描くとプログラムは外側の枠のみを解答欄座標として認識します。


実は、最初の段階からこの「字数制限のある解答欄の認識処理をどうするか?」という問題は大変気になっていたのですが、親しい国語の教員が作成した解答用紙をスキャンして、解答欄の座標を自動取得する作業のお手伝いを行った際、解答用紙の点線部分をプログラムが認識しないことを偶然発見し、大喜びしたというのが本当です。最初から、僕に、そのような知識があったわけではありません。

偶然とは言え、僕の不出来なプログラムの動作を信じて、それでも使いたいと言ってくれた彼女に、心から、ほんとうに、こころから、「ありがとう」です。巡り合ってから、もう、30年になりますが、Sさん、ほんとうに、ありがとう! あなたがいてくれて、ほんとうに、よかった!!

ただし、これは「諸刃の剣」で、何らかの原因で解答欄の枠線の一部が途切れていると、プログラムは正直にその部分は「矩形ではない」と判断して、座標データの取得対象から除外します。ですので、解答用紙を印刷する際は、解答欄が完全に実線で囲まれているか・どうかを、よく確認してから印刷する必要があります。

解答欄の枠線の一部が途切れていると座標を取得できません!

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【機械が認識しやすい解答欄】

解答欄を構成する矩形は必要最小限度に留めるのが、解答欄座標を自動認識・取得する作業を効率よく進めるための何よりのポイントです。

解答欄を構成する矩形は必要最小限にしてください。

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【生徒の番号・氏名も解答横に表示して採点したい】

重要 横書き答案の採点時のみに利用できる機能です。

こちらは同僚からの要望があって付け加えた機能です。解答用紙の氏名欄の画像を取得して、採点時に該当生徒の解答欄の横(位置の指定も可能)に、試験を受けた生徒の出席番号や氏名を表示できます。「追加」ボタンをクリックして赤枠の矩形を描画・適切な位置へ移動後、解答欄矩形としての「取得」の代わりに、「氏名欄取得」のボタンをクリックして、次の図に示すようなかたちで解答用紙の氏名欄の座標を取得してください。ただし、指定する矩形の高さは、解答用紙の解答欄の高さの最小値を超えないよう、十分注意してください。

重要 「解答欄の高さの最小値を超えない高さ」で範囲指定してください。

座標が空欄でなければ、氏名情報ありとして保存されます。


最後に、取得した解答欄の座標を保存して作業は終了です。画面右にある「保存」ボタンをクリックしてください。


次の確認メッセージが表示されます。

「はい」をクリックして、解答欄座標を保存します。


採点作業名として設定した名称で、イニシャライズファイルが作成されています。この採点作業名をクリックするとダイアログの下のファイル名が採点作業の名称に変化します。この状態で「保存」ボタンをクリックしてください。

採点作業名を設定した際にiniファイルも作成されています。
解答用紙の種類に合致するファイルをクリックして選択・上書き保存します。


次のメッセージが表示されます。「はい」をクリックしてください。

既存のiniファイルに上書きします。


解答欄の数によっては、少し(数秒程度)時間が必要です。保存作業が完了すると次のメッセージが表示されます。このメッセージが表示されるまで、何もしないでそのままお待ちください。


画面右下隅にある「閉じる」ボタンをクリックしてプログラムを終了します。解答欄矩形の座標の候補を表示する上のメモにデータがある場合は、「閉じる」をクリックすると、次の確認メッセージが表示されます。「はい」をクリックしてプログラムを終了させてください。


以上で、解答欄の座標の取得作業は完了です。

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(6)採点

解答欄座標取得後、すぐに採点を実施する場合は、タスクバーにAC_Readerが眠っていますので、クリックして起こしてください。そうでない場合は、AC_Readerを起動してください。

解答欄矩形取得直後、AC_Readerはタスクバーに眠っています。
タスクバーにある上のアイコンをクリックしてください。
AC_Readerが目覚めます!


画面の右上にある「採点作業」ボタンをクリックしてください。


次のメッセージが表示されます。既存の採点設定を利用して採点しますので「はい」をクリックしてください。


バルーン型のヒントが表示されます。V マークをクリックして表示される選択肢から採点設定ファイルを選んでください。


採点設定ファイルを選んだ直後の状態です。


画面中央には、次のメッセージが表示されます。OKをクリックするとフォルダの選択ダイアログが表示されます。


採点したいクラスのフォルダを選択してOKをクリックしてください。

採点したいクラスのフォルダを選択して、OKをクリックします。


採点結果を記録したCSVファイル(場所はユーザーに提示しません)がない場合には、次のメッセージが表示されます。


画面は次のようになります。

個人識別情報が保存されているので、番号や氏名も表示されています。


画面上方、中央よりやや右に、どこにもドッキングしないフローティング状態の必要最小限の採点機能をまとめたパネルがあります。このパネルのタイトルバーの部分を左クリックしてドラッグ&ドロップすると任意の位置へ移動できます。採点しやすい位置へ移動してお使いください。

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【全員正解を入力】

解答をざっと見て、過半数が正解であるような場合は、全員に正解を入力し、後から不正解の解答のみチェックして、採点を × に変更します。

この設問の得点は2点として、全員に2点を入力します。


ComboBoxの選択肢に「2」を指定して、「入力」ボタンを

採点記号の位置や大きさは「設定」から変更できます。


設定画面から、採点記号の表示位置や大きさなど、各種設定を変更・保存できます。

何も変更せず、デフォルト設定のまま、みなさんお使いのようです。

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【全員不正解を入力】

フローティングパネルの得点欄に0を設定して、入力をクリックすれば、全員不正解となります。

0(ゼロ)は〇(まる)と見間違える可能性があるため、
デフォルト設定では、不正解の場合、得点0を表示しません。

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【個別に採点】

重要 左手で入力作業、右手は選択作業(クリックに専念)

・正解 〇 を入力

まず、個別に採点する際の正解入力は、次のように行います。

解答欄の中心付近をクリックして、得点に相当する数字キーを押します。


解答欄に採点記号〇と得点が描画されます。

・不正解 × を入力

不正解を入力する場合は、次のように操作してください。

× は「Batsu」だから「B」キーに割り当てました。


もちろん、数字キーの0(ゼロ)でも × を入力できます。ただ、0はちょっと位置が遠い・・・

・部分点あり △ を入力

部分点ありの場合は、採点記号△と部分点を入力します。方法は、次の通りです。

「部分点あり」のフラグは「-」記号の有無です。
プログラムは負の数の入力を部分点ありと判定しています。
(合計点は絶対値で計算するので、問題ありません)
部分点ありの場合、採点記号△と得点を表示

重要 最後に「書込」を忘れずにクリックします。

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【次の設問を採点】

右向きの三角マークをクリックすると、次の設問の解答欄が表示されます。

上で解説した手順で、採点を行います。

右側の操作パネルからも同じ操作を実行することができます。

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【定型文を入力】

記述式の設問等で「ここまで何点」のような定型文を記録しておいて適宜入力できます。

「設定」をクリックして、「入力定型文の編集」にチェックを入れます。


画面左上に次の表示が出ますので、内容を編集します。「記録」ボタンをクリックすると編集内容が保存されます。保存後、「入力定型文の編集」のチェックを外し、編集欄を非表示にします。


定型文を入力したい設問の解答欄を採点します。採点後、定型文を入力したい箇所の左上隅あたりにマウスのカーソルを持ってきて右クリックします。表示されるサブメニューから「定型文入力」を選択(クリック)してください。

重要 採点しないと定型文入力はできません!

「定型文入力」をクリックします。


編集済みの定型文が指定位置に入力されます。

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【入力した定型文の削除・消去方法】

入力済みの定型文を削除・消去するには、まず、定型文を削除・消去したい解答欄の真ん中付近をクリックします。次に、右側のGridコントロールの青く反転表示された数値を消去して、Enterキーを押してください。

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(7)採点状況の確認

現在の採点状況を、解答用紙全体の画像を表示して確認することができます。次のように操作してください。

画面右側の中ほどにある「返却答案を表示」をクリックします。画面は現在選択されている生徒の解答用紙が表示されます。画面をスクロールして、採点状況を確認してください。


移動のボタンで、別の生徒の答案も確認することができます。

左のボタンで「一枚前へ」、右のボタンで「次へ」移動します。

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(8)返却用答案の印刷

採点が終了したら、返却用の答案を印刷します。まず、画面右下のプリンタの選択肢から、出力先のプリンタを選択します。次に「合計の印刷」の有無を指定します。「有」を選択した場合は、次の案内が表示されます。


印刷は採点終了後、最後に実行するので、採点と印刷の処理をお互いに行ったり来たりすることは「ない」と判断し、印刷実行後はプログラムの終了のみ可能となっています。

「いいえ」をクリックした場合は、採点処理が継続されます。「はい」をクリックした場合は、次の案内が表示されます。

出力するプリンタの確認です。


「はい」を選択すると、次に合計点の印刷処理の案内が表示されます。


フォントサイズは、40~50程度が適切な場合が多いように思います。半角の数字で入力してOKをクリックしてください。


OKをクリックすると、次の案内が表示されます。


OKをクリックして、合計点印刷位置を指定します。


クリックした瞬間に自動計算された合計点が指定位置に表示され、次のメッセージが表示されます。


よろしければ「はい」を、位置の指定をやり直す場合は「いいえ」をクリックします。「いいえ」をクリックした場合は、再度、合計点を印刷する位置の指定をやり直してください。その際、前回に指定した位置にゴーストというか、残像のようなものが残りますが、実際の印刷時にはゴースト・残像は印刷されません。

「はい」をクリックした場合は、次のメッセージが表示されます。


画面右下の「印刷」ボタンをクリックしてください。

バルーンヒントが案内します。


「印刷」をクリックすると、次のメッセージが表示されます。


OKをクリックすると、プリンタの設定画面が表示されます。この画面はお使いのプリンタにより異なりますが、重要なチェックポイントは次の3点です。

重要 印刷する用紙がA4版であることを確認する

重要 印刷用紙の縦・横指定を答案に合わせて指定する

重要 両面印刷は必ずOFFに設定する

設定画面を閉じると、次のメッセージが表示されます。


「はい」をクリックした場合は、全員分の返却用答案がプリンタへ出力され、次のメッセージが表示されます。


「いいえ」をクリックした場合は、次のインプットボックスが表示されます。

答案の通し番号を入力してOKをクリックしてください。
採点対象がクラスであれば、出席番号となります。


OKをクリックするとプリンタへ印刷データを送信後、次のメッセージが表示されます。


「はい」をクリックすると、再びインプットボックスが表示され、引き続き単票の印刷処理が継続して行われます。「いいえ」をクリックした場合は印刷処理を終了します。画面右下の「終了」ボタンをクリックして、プログラムを終了してください。その際、次の案内が表示されます。

「はい」をクリックすると、プログラムが終了します。

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(9)成績一覧表の作成・印刷

画面右にある「成績一覧表を作成」の「Excelを使わずに作成します!」をクリックします。


画面は成績一覧表作成モードになります。クラス単位の採点である場合は、学年・クラスを指定(選択)します。

重要 予めsNameフォルダに生徒氏名データを用意しておきます。

重要 講座単位の処理の場合も、講座名等で氏名データを準備しておきます。

重要 氏名データの並び順は、答案の並び順と一致させてください。

クラスを指定する場合は、直接入力してください。


講座を指定する場合は、学年・組は「空欄」のまま、「観点区分入力」に進んでください。

設問毎に「知識・技能」は1、「思考・判断・表現」は2を入力します。


観点別評価の区分を入力後、「保存」をクリックしてください。

保存後、「採点結果表示」をクリックして、採点結果の一覧を表示します。

氏名データは架空のもので、得点はダミーデータです。


学年・組を「空欄」で処理していた場合は、ここで「講座等」の名票を選択します。

氏名データは架空のもので、得点はダミーデータです。


次に、合計点が0の生徒について、欠席者であるか(平均点の計算から除きます)・真に0点であるのかを指定する処理を行います。「欠席者を除外」をチェックしてください。


合計点が0の生徒がいる場合は、次のメッセージが表示されます。

試験を欠席していた場合は「はい」を、0点であった場合は「いいえ」をクリックします。
(ここでは「はい」で処理します)


「再計算」ボタンをクリックして、平均点他の再計算を実行します。


プレビューをチェックして、印刷プレビューを表示します。


プレビューをチェックすると、印刷プレビューとともに、次のメッセージが表示されます。

印刷プレビュー画面(氏名データは架空のもので、得点はダミーデータです)


表示されるメッセージ。


プレビューのチェックを外すと、次のバルーンヒントが印刷ボタンを案内します。


「印刷」ボタンをクリックすると、印刷設定のダイアログが表示されます(ダイアログはプリンタにより異なります)。成績一覧表はデフォルトで「A4・縦置き」印刷に設定されます(この設定を変更することはできません)。


OKをクリックすると、印刷データがプリンタへ送信されます。送信が完了すると、次のメッセージが表示されます。


なお、これとは別に、このプログラム用に作成したExcel Book(添付したマクロ有効テンプレートのコピー)へ採点結果を出力し、成績一覧表及び個人成績票を作成する機能もこのプログラムにはありますが、これに関する説明はまた後日、このblogに掲載できたら・・・とも、考えています。が、ほとんど!!どなたにもお読みいただけないであろうMy blogですので、もしかしたらそれは、はるか未来の話になるかもしれません。

ただ、PCの操作及びExcel Bookの扱いに慣れた方なら、このプログラムに添付したマニュアル(以前のバージョンのものなので画面や内容が現行バージョンと若干異なります)と、マクロ有効のExcel Bookの式とマクロをご覧いただければ、操作方法並びに機能の概要はおわかりいただけるのではないかと考えます。

このExcel Bookに対する出力機能は、(ここに掲載した)成績一覧表を独自に作成する機能をこのプログラムに追加する以前に作成し、実際の試験の採点で何回も活用済みのものですが、こちらも動作保証等は一切ありません。もし、お使いになる場合は自己責任でお願いいたします。

以上で、成績一覧表の印刷は終了です。

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2.まとめ

今回、掲載した手書き答案採点補助プログラム(新教育課程観点別評価「知識・技能」及び「思考・判断・表現」の評価に対応)の概要は以下の通りです。

【出来ること】

(1)スキャナーで読み取った答案画像から設問ごとに解答欄を抽出して一括採点。
   ※ 答案画像からの解答欄座標の取得は矩形認識プログラムで(半)自動実行。
(2)解答欄画像の隣に受験者氏名等を表示(予め氏名欄等の読み取り設定が必要です)。
(3)記述式の解答に対する定型文コメントの入力。
(4)採点結果を出力した返却用答案画像の作成と印刷(A4版限定・縦横指定は可能)。
   ※ 得点合計を自動計算、返却用答案の指定位置に印刷可。
   ※ B4やA3の答案画像は、A4サイズに縮小して印刷します。
(5)表計算ソフトを使わずに、成績一覧表(教科担任用)を作成。
(6)成績一覧表データをCSVファイルに出力(観点別評価のうち、2観点の評価に対応)。
(7)拙作マークシートリーダーを利用した試験との併用も可。
   ※ マークシートの読み取りプログラム一式も同梱しています。
(8)PDF化した答案画像をJpeg画像化して採点(添付のPdf2Jpg.exeを使用)。

【出来ないこと】

機械学習による手書き文字の認識にも過去にチャレンジ(〇・× 及びカタカナのアイウエオを判定)したことがあるのですが、どう頑張っても認識率が100%にならない(控えめな表現で9割程度は正しく認識するのですが、解答欄からはみ出した文字や、それは「ア」でなく「つ」と「ノ」でしょ!みたいな文字を構成する部品が極端に離れている字?や、大きく傾いた文字は正しく認識できない)ので、残念ですが、この機能は搭載を見送りました。

〇×記号やカタカナ一文字の認識結果を目視でイチイチ確認するのはどう考えても二度手間です。現時点では、ヒトが行った採点結果を機械にチェックさせる方向で活用した方がいいかもしれません。学習モデルの作成については、Pythonを利用した事例がWeb上に読み切れないほど存在しますが、(僕が実験した範囲では)それらよりMicrosoftのLobeで作成した学習モデルの方が高い認識率を示しました。このことについては当blogの過去記事でその例を幾つか紹介しています。ここで紹介した採点補助プログラムには搭載を見送った自動採点機能ですが、僕の実験結果が何かの参考になれば幸いです。

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3.お願いとお断り

このサイトの内容を利用される場合は、自己責任でお願いします。記載した内容及びダウンロードしたプログラムを利用した結果、利用者および第三者に損害が発生したとしても、このサイトの管理者は一切責任を負えません。予め、ご了承ください。

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範囲チェックエラーが出た時は?

{$R-}で範囲チェックさせない!

Delphiで、画像をグレースケール変換するプログラムを作成。実行すると、

表示されたエラーメッセージ

プログラムのコードは、次の通り。
Image1に表示した画像をグレースケールに変換してImage2に表示するというモノ。

unit Unit1;

interface

uses
  Winapi.Windows, Winapi.Messages, System.SysUtils, System.Variants, System.Classes, Vcl.Graphics,
  Vcl.Controls, Vcl.Forms, Vcl.Dialogs, Vcl.StdCtrls, Vcl.ExtCtrls, Jpeg,
  Vcl.ComCtrls;

type
  TForm1 = class(TForm)
    Image1: TImage;
    Image2: TImage;
    Button1: TButton;
    StatusBar1: TStatusBar;
    procedure FormCreate(Sender: TObject);
    procedure Button1Click(Sender: TObject);
  private
    { Private 宣言 }
  public
    { Public 宣言 }
  end;

var
  Form1: TForm1;

implementation

{$R *.dfm}

function CreateGrayScalePalette(Tone:Byte): HPALETTE;
var
  Palette: ^TLogPalette;
  i: Integer;
begin
  GetMem(Palette, SizeOf(TLogPalette) + SizeOf(TPaletteEntry) * Tone );
  Palette^.palNumEntries:=Tone+1;
  Palette^.palVersion:=$0300;
  for i := 0 to Tone - 1 do begin
    Palette^.palPalEntry[i].peRed:= Tone - i;
    Palette^.palPalEntry[i].peGreen:= Tone - i;
    Palette^.palPalEntry[i].peBlue:= Tone - i;
    Palette^.palPalEntry[i].peFlags:= 0;
  end;
  Result:=CreatePalette(Palette^);
  FreeMem(Palette);
end;

procedure TForm1.Button1Click(Sender: TObject);
var
  X, Y: Integer;
  Bmp: TBitmap;
  P: PByte;
begin
  Bmp := TBitmap.Create;
  try
   Bmp.Assign(Image1.Picture.Bitmap);
   Bmp.PixelFormat := pf8bit;
   Bmp.Palette := CreateGrayScalePalette(255);
   Image2.Picture.Bitmap := Bmp;
  finally
   Bmp.Free;
  end;
  Image2.Width:=Image2.Picture.Bitmap.Width;
  Image2.Height:=Image2.Picture.Bitmap.Height;
  Image2.Visible:=True;
end;

procedure TForm1.FormCreate(Sender: TObject);
var
  jpg: TJPEGImage;
begin
  StatusBar1.SimplePanel:=true;
  // TJPEGImageオブジェクトをインスタンス化
  jpg := TJPEGImage.Create;
  try
    // Jpegファイル読み込み
    jpg.LoadFromFile('Image.jpg');
    // Image1に割り当てる
    Image1.Picture.Bitmap.Assign(jpg);
    Image1.Width:=Image1.Picture.Bitmap.Width;
    Image1.Height:=Image1.Picture.Bitmap.Height;
    //StatusBar1.SimpleText:=IntToStr(Image1.Width)+'/'+IntToStr(Image1.Height);
  finally
    // TJPEGImageオブジェクトを破棄
    jpg.Free;
  end;
end;

end.

グレースケール変換実行のボタン(Button1)をクリックすると・・・
このButton1Click手続き内で呼び出しているCreateGrayScalePalette関数でエラーが発生。

ブレークして確認すると、エラーになるのはココ。

でも、なんでエラーになるのか、わからない・・・

Google先生に訊くと、次のような情報を発見。

[Delphi?][ネタ]透明に見えるパターンを描く

https://qiita.com/pik/items/25276e49fb131425db07

早速、範囲チェックさせないコンパイラ指令 {$R-} を追加。

ナニがどうして、そうなるのか?
原因も、理由も、皆目わからないけれど・・・

範囲チェックエラーは出なくなりました!

範囲チェックを実行しないというコンパイラ指令 {$R-} は知りませんでした。
同じ理由で困ってる方もいるかもしれないと思い、記録だけUpしました。

なお、画像のグレースケール化にあたっては、次のWebサイト様にあった情報を使わせていただきました。24bitのフルカラー画像を256階調のモノクロ画像に変換(グレースケール変換)する処理を行う際に役立つ情報が、そのアルゴリズムも含めて、多数紹介されています。

カラー画像をモノクロ画像に変換

http://rakasaka.fc2web.com/delphi/grayscale.html

また、上のWebサイト様で紹介されている配列要素を動的に確保する必要のない、Delphiが独自に定義しているTMaxLogPalette構造体を使用したCreateGrayScalePalette関数を利用した場合は、範囲チェックエラーは発生しませんでした。

お願いとお断り

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Rectangle Detector

矩形検出器

手書き答案をスキャナーで画像化して採点するソフトを書いた。概ね、思った通りにカタチになったが、解答欄の位置座標を取得するのに、解答欄の数だけ、その左上隅から右下隅へマウスでドラッグする作業を繰り返さなくてはならない。(もし、これが自動化できたら・・・) そう思って書いたのが、このプログラム。

1.矩形の検出方法
2.字数制限のある解答欄の作り方
3.GUIはDelphiで作成
4.矩形検出器の使い方
5.まとめ
6.お願いとお断り

1.矩形の検出方法

キーワードを『矩形 検出』にしてGoogle先生にお伺いをたてると、思った通りOpenCVを活用する方法がいくつもヒットする。しかも、そのほとんどすべてがPythonでの活用方法だ。Delphi用のOpenCVもあるようだけれど、次の理由から矩形の検出はPython用のOpenCVで行うことにした。

Pythonを使う利点は、まず、何と言っても、情報が豊富なことだ。マイ・プログラミング環境では、わからないことはすべてGoogle先生に教えてもらうしかないので、情報が入手しやすいことは、他のすべてに優先する。

(メインの開発環境がDelphiなのは、上記の内容と大いに矛盾しますが・・・)

さらに、手書き答案の採点ソフトより前に、マークシートリーダーを作った時、マーク欄の座標を得るために、やはりPythonとOpenCVのお世話になった。マークシートリーダーも、手書き答案の採点ソフトも、embeddable pythonに入れたOpenCVと一緒のフォルダに詰め込んでユーザーに配布しているから、Pythonを内包して使う環境は既に完成済み。PythonのスクリプトをDelphiのコードに埋め込んで、PythonForDelphiを使って実行する方法は勉強済みだから安心。Delphi用のOpenCVは、情報も少ないし、何よりその使い方がわからない・・・。

他人様に使っていただくプログラムはDelphiで書くけれど、自分専用のToolはPython環境を利用して作ることが多い。ちょっと特別なことをしたい時、Pythonはとても便利だ。いろいろ紆余曲折はあったけれど、現在はSDカードにWinPythonとAtomエディタを入れて持ち運べるPython環境を作っている。

そのSDカードに入れたPython環境で、いつものようにAtomを起動し、Web上にあったいくつものScriptをコピペして試してみる。

まず、OpenCVで「ハフ変換」なるものを利用する例だが、ハフ変換はノイズの除去で苦労しそうだ。ノイズの発生源が多数存在する解答用紙の矩形検出でパラメータを適切に設定することが果たしてできるだろうか? 経験がない自分にはちょっと厳しそうだ。

次に、LSD(Line Segment Detectorの略とのこと)という直線検出器を試した。試した瞬間、(もう、これしかない!)と思うほど、これは凄かった。使い方も超カンタンで、LSDをこれでもか!とばかりに並べるだけ。

from pylsd.lsd import lsd
Mylines = lsd(picture)

【検出結果】

LSDで検出できた矩形の例

さらに驚くべきことに、こういう作業には付き物の引数も一切ない。つまり、パラメータを調整する必要など『ない』ということなのだろう・・・。ただ、LSDはそのライセンス形態がAGPLであると知り、使用を断念。MITやBSDでないと自分的にはやはり困る・・・。

最後に試したのが、OpenCVのfindContours関数。これを使うには前処理として、まず、画像をグレースケールに変換し、さらに白黒反転させて二値化しなければならない。

import cv2
import numpy as np
from PIL import Image

# Pillowで画像ファイルを開く(全角文字対応の確認用にファイル名は「ひらがな」)
pil_img = Image.open("./img/さんぷる.jpg")
# PillowからNumPyへ変換
img = np.array(pil_img)

# グレースケールに変換する
gray = cv2.cvtColor(img, cv2.COLOR_BGR2GRAY)

# 白黒を反転
gray = 255 - gray
# 2値化する
ret, bin_img = cv2.threshold(gray, 20, 255, cv2.THRESH_BINARY)

Pillowで画像ファイルを開いているのは、OpenCVのimread関数が日本語(全角文字)に対して拒絶反応を示すので、これを回避するため。もし、ファイル名とそこまでのPathに全角文字が含まれないという確実な保証があるなら、次のようにしてもいいようだ。これなら1行で済む。

# 8ビット1チャンネルのグレースケールとして画像を読み込む
img = cv2.imread("全角文字のないPathと画像ファイル名", cv2.IMREAD_GRAYSCALE) 

で、準備が出来たらfindContours関数を使って輪郭を検出する。

# すべての輪郭を同じ階層として取得する
contours, hierarchy = cv2.findContours(bin_img, cv2.RETR_LIST, cv2.CHAIN_APPROX_SIMPLE)

解答欄には、その性格上、小さな矩形が多く使われることが多いので、閾値以下の面積の矩形は削除する。※ 閾値は整数型の数値で指定する。

# 閾値以下の面積の矩形(小さい輪郭)は削除
contours = list(filter(lambda x: cv2.contourArea(x) > 閾値, contours))

よりスムーズに作業するためには、予め、小さな矩形を消去した機械読み取り用の解答欄(解答用紙)をヒト用の解答用紙のコピーから作成し、これを用いて解答欄座標を取得した方がよい(国語の縦書き解答用紙は、ワープロソフトではなく、表計算ソフトで作成する方法が業界では一般的らしいので、機械読み取り用の解答用紙はそれほど手間をかけなくても、カンタンに作成できる・・・はず)。

解答欄矩形をちゃんと認識できているか・どうかを確認するため、検出した輪郭を描画する。このPythonのスクリプトをDelphiのObject Pascalに埋め込んで実行する際は、ここが最大の「見せ場」になる。検出した矩形をグラブハンドル付きのラバーバンドで表示する方法は後述。

# 検出した輪郭を描画する
cv2.drawContours(img, contours, -1, color=(0, 0, 255), thickness=2)

最後に解答欄矩形の座標を取得する(これが最終的な目標)。取得した座標は、採点順になるよう、並べ替えて表示する(並べ替え方法は後述)。

# 矩形の座標を表示(左上の座標, 右下の座標)
for i in range(len(contours)):
    x, y, w, h = cv2.boundingRect(contours[i])
    print(str(x)+','+str(y)+','+str(x+w)+','+str(y+h))

数値より、画像(絵)で見た方がわかりやすいのは言うまでもない。

# 保存
cv2.imwrite('./img/lined.jpg', img)
# 画像を表示
cv2.imshow("Image", img)
# キー入力で終了
cv2.waitKey()
画像を表示して、解答欄矩形の取得状況を確認

ここまでの Python Script をまとめて示せば、次の通り。

import cv2
import numpy as np
from PIL import Image

# Pillowで画像ファイルを開く
pil_img = Image.open("./img/さんぷる.jpg")
# PillowからNumPyへ変換
img = np.array(pil_img)

# グレースケールに変換する
gray = cv2.cvtColor(img, cv2.COLOR_BGR2GRAY)
# 白黒を反転
gray = 255 - gray
# 2値化する
ret, bin_img = cv2.threshold(gray, 20, 255, cv2.THRESH_BINARY)

# すべての輪郭を同じ階層として取得する
contours, hierarchy = cv2.findContours(bin_img, cv2.RETR_LIST, cv2.CHAIN_APPROX_SIMPLE)

# 閾値以下の面積の矩形(小さい輪郭)は削除
contours = list(filter(lambda x: cv2.contourArea(x) > 数値, contours))

# 検出した輪郭を描画する
cv2.drawContours(img, contours, -1, color=(0, 0, 255), thickness=2)

# 矩形の座標を表示(左上の座標, 右下の座標)
for i in range(len(contours)):
    x, y, w, h = cv2.boundingRect(contours[i])
    print(str(x)+','+str(y)+','+str(x+w)+','+str(y+h))

# 保存
cv2.imwrite('./img/lined.jpg', img)
# 画像を表示
cv2.imshow("Image", img)
# キー入力で終了
cv2.waitKey()

OpenCVのfindContours関数を使って検出した輪郭(=解答欄の矩形)の例。
(解答用紙画像はLSDを試した時と同じものを使用)

矩形を検出しやすいように作った解答用紙なら、この結果はまさに『ブラボー!』

解答用紙中の ■ や □ を検出しないよう、検出下限の閾値を設定したこともあり、期待した通りの満足できる結果が得られた。OpenCVのハフ変換や、LSDでは日本語に対する反応が見られたが、findContours関数は(適切な閾値を設定してあげれば)日本語に反応しないようだ。

答案の「答」には「口」、問にも「口」、漢字にはたくさんの矩形が使われている。適切な閾値を設定することで、誤認識を減らせることも理想的。

【実験してみた!】

閾値を「700」として、□ に対する反応を実験して確認した。結果は次の通り。

26×26=676、28×28=784 だから・・・機械は正確に反応している

28ポイントの「□」から反応するが、40ポイントの「問」には無反応。通常使用される解答用紙であれば、フォントの大きさに制限を設ける必要性はなさそう。

もう少し細かい矩形を使った解答用紙で、閾値700で実験すると・・・

解答欄の矩形をさらに細かく分割したサンプルを作成してテスト
解答欄の番号の矩形に反応してしまう・・・

閾値1400までは・・・

解答欄の番号の矩形に反応するが

閾値を1500にすると・・・

解答欄の番号の矩形には反応しなくなる☆

少し、細かい矩形を用いた解答用紙であれば、閾値1500くらいから試せば狙った通りに解答欄の座標だけを取得することができそうだ。

閾値に上限を設定すれば、さらに良い結果を得られるかも・・・と思ったが、数学の解答用紙には他の教科ではあり得ない巨大な矩形が普通に使用される。矩形を取得できなければ、検出器とは言えない。さらに、解答欄全体を一つの大きな矩形として認識してしまうのはプログラムの性格上、絶対に回避できないから、閾値の上限は設けずに、むしろ、不要な矩形の座標を削除しやすいプログラム(GUIを作成)を書けばいいと気づく。

さらに、ユーザーが矩形座標の編集(修正)を自由にできるようにプログラムを工夫すれば、理想的な矩形検出器ができるはず。

これでDelphiでGUIを作成する際の方向性も見えてきた。

2.字数制限のある解答欄の作り方

解答欄の矩形を検出する上で、大きなハードルになるだろうと予想していたのが『字数制限が設定された解答欄』。

機械読み取り用に作成した解答用紙であっても・・・

上の解答用紙は、ヒト用の解答用紙の問題番号部分にあった小さな矩形を消去して、機械読み取り処理用に作成した解答用紙。この状態で矩形を検出(閾値1500)すると・・・

それでも削除しなければならない矩形座標が多すぎ・・・

閾値を「3100」に設定して、ようやく・・・

閾値をどんどん大きくすれば、何とかなることはわかった!

閾値を大きく設定すれば、何とかなることは上の例でわかったが、閾値を大きくすれば当然必要な解答欄の座標を取得できなくなる可能性も生じてくるわけで・・・。

ところが別の国語用解答用紙を処理している際に、閾値を気にせずに字数制限のある解答欄を作成する良い方法があることを偶然発見。それは・・・

罫線に「点線」を利用した解答用紙

字数制限を設定したり、完全解答で正解としたい解答欄は内側の罫線を点線にする!

閾値「700」で実験した結果

これなら問題2の(1)・(2)が作る大きな矩形の座標のみ削除すればOK!
点線を活用することで、一番大きな問題を難なくクリアできることが判明。
やったー☆

【embeddable Pythonのバージョンとインストールしたライブラリの一覧】

Python 3.9.9

Package Version
numpy 1.21.5
opencv-python 4.5.4.60
Pillow 9.3.0
pip 22.3.1
setuptools 60.1.0
wheel 0.37.1

3.GUIはDelphiで作成

取得した解答欄の座標を編集するGUIはDelphiで作成。最終的にはこうなった。

検出した矩形の確認と編集を行うGUIはDelphiで作成

画面下の「操作」グループ内のVCLを左から右へ順にクリックして行けば、解答用紙画像から解答欄の矩形が取得・表示できる仕組み。

左から右へ順に操作して解答欄矩形の座標を取得する。

取得した解答欄矩形の座標は、画面右上に一覧形式で採点順に表示されるようにプログラミングした。

取得した座標の一覧を表示

横書き答案が指定された場合は、y座標の値が昇順になるよう並べ替え(y座標が同じなら、x座標でさらに昇順に並べ替え)。

縦書き答案が指定された場合は、x座標の値が降順になるよう並べ替え(x座標が同じなら、y座標でさらに昇順に並べ替え)。

こうすれば、座標の並び方が「ほぼ採点する順番になる」はず。なお、並べ替えはカンマで区切った解答欄矩形の座標を入れたStringListを対象として実行(解答欄数は多くても100未満のはず・・・だから、並べ替えの速度はまったく考えていない)。そのアルゴリズムは次の通り。まず、グローバルに使う変数、ソート用のプロパティと関数を準備。

  private
    { Private 宣言 }
    x1,x2:integer;
    y1,y2:integer;
    //Pythonから送られたデータを保存する
    strAnsList:TStringList;

var
  Form1: TForm1;

type TSStyle = (ssText,ssInteger);
var
  //ソート用のプロパティ
  fAscending : Boolean;
  fIndex : Integer; //項目番号
  fStyle : TSStyle; //テキストか整数か

implementation

uses
  System.UITypes;
function GetCommaText(aStr:String; aIndex:Integer):string;
  var
    subList:TStringList;
begin
  subList := TStringList.Create;
  subList.Delimiter := ',';
  subList.DelimitedText := aStr;
  Result := subList.Strings[aIndex];
  subList.Free;
end;
function MyCustomSort(List: TStringList; Index1, Index2: Integer): Integer;
begin
  case fStyle of
    ssText:begin
      Result:=CompareText(GetCommaText(List.Strings[Index1],
      fIndex),
      GetCommaText(List.Strings[Index2],fIndex));
    end;
    ssInteger:begin
      //一重ソート
      //Result:=StrToInt(GetCommaText(List.Strings[Index1],fIndex))
      //          -StrToInt(GetCommaText(List.Strings[Index2],fIndex));
      //二重ソート
      Result:=StrToInt(GetCommaText(List.Strings[Index1],fIndex))
                -StrToInt(GetCommaText(List.Strings[Index2],fIndex));
      if Result=0 then
        //-1することで1番目の項目がソートキーになる
        Result:=StrToInt(GetCommaText(List.Strings[Index1],fIndex-1))  
                  -StrToInt(GetCommaText(List.Strings[Index2],fIndex-1));
      if fAscending then
      begin
        Result:=Result*-1;
      end else begin
        Result:=Result*1;
      end;
    end;
  else
    //これを入れておかないとコンパイラが警告を表示する
    Result:=0;
  end;
end;

で、「解答欄座標を取得」ボタンがクリックされたら、PythonForDelphiを通じてPythonのScriptを内部的に実行して座標を取得し、上記関数を呼び出して並べ替えを実行、結果をMemo2に表示する。

procedure TForm1.btnGetSquareClick(Sender: TObject);
var
  //PythonのScriptを入れる
  strScrList:TStringList;
  //Pythonから送られたデータを保存する -> グローバル変数化
  //strAnsList:TStringList;
  //Sort
  i:integer;
  strFileName:string;
  strList:TStringList;
begin
  //初期化
  Memo1.Clear;
  //Scriptを入れるStringList
  strScrList:=TStringList.Create;
  //結果を保存するStringList
  strAnsList:=TStringList.Create;

  try
    //Python Script
    strScrList.Add('import cv2');
    strScrList.Add('import numpy as np');
    //strScrList.Add('img = cv2.imread("./ProcData/sample2.jpg")');
    strScrList.Add('img = cv2.imread(r"./ProcData/'+ExtractFileName(StatusBar1.SimpleText)+'")');
    strScrList.Add('gray = cv2.cvtColor(img, cv2.COLOR_BGR2GRAY)');
    strScrList.Add('gray = 255 - gray');
    strScrList.Add('ret, bin_img = cv2.threshold(gray, 20, 255, cv2.THRESH_BINARY)');
    strScrList.Add('contours, hierarchy = cv2.findContours(bin_img, cv2.RETR_LIST, cv2.CHAIN_APPROX_SIMPLE)');
    strScrList.Add('contours = list(filter(lambda x: cv2.contourArea(x) > '+cmbThreshold.Text+', contours))');
    strScrList.Add('for i in range(len(contours)):');
    strScrList.Add('    im_con = img.copy()');
    strScrList.Add('    x, y, w, h = cv2.boundingRect(contours[i])');
    strScrList.Add('    var1.Value =str(x)+","+str(y)+","+str(x+w)+","+str(y+h)');
    //Scriptを表示
    Memo1.Lines.Assign(strScrList);
    //Execute
    PythonEngine1.ExecStrings(Memo1.Lines);
    //結果を表示
    Memo2.Lines.Assign(strAnsList);
  finally
    //StringListの解放
    strAnsList.Free;
    strScrList.Free;
  end;

  strFileName:=ExtractFilePath(StatusBar1.SimpleText)+'Temp.csv';
  Memo2.Lines.SaveToFile(strFileName);

  strList := TStringList.Create;
  try
    for i := 0 to Memo2.Lines.Count-1 do
    begin
      strList.Add(Memo2.Lines[i]);
    end;
    //fAscending := True; //昇順で
    fAscending := False;
    fIndex := 1; //2番目の項目を
    fStyle := ssInteger; //整数型でソート
    strList.CustomSort(MyCustomSort); //ソート
    //データ抽出
    Memo2.Clear;
    for i := 0 to strList.Count - 1 do
    begin
      //Memo2.Lines.Add(GetCommaText(strList.Strings[i],fIndex));
      Memo2.Lines.Add(strList[i]);
    end;
  finally
    strList.Free;
  end;

end;

上記のアルゴリズムは、次のWebサイトに紹介されていた情報を元に作成。
カンマ区切りのデータの並べ替えは初めて行った。採点順に座標を並べたかったので、プログラムコードをよく読んで、二重ソートになるよう工夫した。
貴重な情報を投稿してくださった方に心から感謝申し上げます。

[delphi-users:1175] カンマ区切りのデータの並べ替え

https://groups.google.com/g/delphi-users/c/Ck2mQXNFTvw

4.矩形検出器の使い方

ここまでの操作で解答欄の座標はすべて取得できたはずなので、不要な矩形のデータをいかに効率よく削除するかを主眼に、GUIの操作方法を考えた。

まず、取得できた座標データの先頭にセットフォーカスし、そのデータが示す矩形を赤いラバーバンドで囲んで表示する。ユーザーは、ラバーバンドで囲まれた矩形を見て、その要・不要を判断。

この矩形は不要

不要な矩形であった場合は、「編集」ボタンをクリック。不要なデータを自動で選択状態に設定。

Memoの一行全部を選択状態に設定

手続きは次の通り。

procedure TForm1.BitBtn1Click(Sender: TObject);
var
  i:integer;
begin

  //行番号をLines[i]で取得
  i:=StrToInt(LBRow.Caption)-1;

  EditTF:= not EditTF;
  if EditTF then
  begin
    BitBtn1.Caption:='編集中';
    BitBtn1.Font.Color:=clRed;
    Memo2.ReadOnly:=False;
    btnSave.Enabled:=False;

    //i行目の文字全てを選択状態にしたい場合
    //先頭にカーソルをセット
    Memo2.SelStart:=Memo2.Perform(EM_LINEINDEX, i, 0);
    //全ての文字を選択
    Memo2.SelLength:=Length(WideString(Memo2.Lines[i]));
    //Memo2.Perform(WM_VSCROLL,SB_TOP,0); //先頭にスクロール

  end else begin

    BitBtn1.Caption:='編 集';
    BitBtn1.Font.Color:=clBlack;
    Memo2.ReadOnly:=True;
    Memo2.SelStart:=SendMessage(Memo2.Handle,EM_LineIndex,i,0);
    btnSave.Enabled:=True;
    Memo2Click(Sender);

  end;

  //SetFocus
  Memo2.SetFocus;

end;

Delete or Backspaceキーで不要なデータを削除すると同時に、Memoの行も削除する。で、ボタンを「編集」(=意味的には「編集したい場合はクリックせよ」)に戻す。次のデータをラバーバンドで囲む。この一連の動作がすべて自動的に流れ作業で行われるように手続きを作成。

コードは次の通り。

procedure TForm1.Memo2KeyUp(Sender: TObject; var Key: Word; Shift: TShiftState);
var
  LineNo:integer;
begin
  //現在、カーソルがある行を取得
  LineNo:=Memo2.Perform(EM_LINEFROMCHAR, UINT(-1), 0);
  //空欄なら行を削除
  if Memo2.Lines[LineNo]='' then
  begin
    Memo2.Lines.Delete(LineNo);
  end;
  //表示
  GetLinePos;
  if not EditTF then
  begin
    Memo2Click(Sender);
  end else begin
    BitBtn1Click(Sender);
  end;
end;
procedure TForm1.GetLinePos;
var
  CurPos,Line:Integer;
begin
  with Memo2 do
  begin
    CurPos:=SelStart;
    Line:=Perform(EM_LINEFROMCHAR, CurPos, 0);
    //LBRowは現在フォーカスがある行番号を表示するラベル
    LBRow.Caption:=Format('%d', [Line+1]);
    LBRow2.Left:=LBRow.Left+LBRow.Width;
    LBRow2.Caption:='行目';
  end;
end;
procedure TForm1.Memo2Click(Sender: TObject);
var
  i:integer;
  p1,p2:TPoint;

  function RemoveToken(var s:string;delimiter:string):string;
  var
    p:Integer;
  begin
    p:=Pos(delimiter,s);
    if p=0 then Result:=s
    else Result:=Copy(s,1,p-1);
    s:=Copy(s,Length(Result)+Length(delimiter)+1,Length(s));
  end;

  function GetTokenIndex(s:string;delimiter:string;index:Integer):string;
  var
    i:Integer;
  begin
    Result:='';
    for i:=0 to index do
      Result:=RemoveToken(s,delimiter);
  end;

begin

  if not EditTF then
  begin

    //座標を取得
    i:=Memo2.Perform(EM_LINEFROMCHAR, Memo2.SelStart, 0);

    //エラー対策
    if Memo2.Lines[i]='' then Exit;

    x1:=StrToInt(GetTokenIndex(Memo2.Lines[i],',',0));
    y1:=StrToInt(GetTokenIndex(Memo2.Lines[i],',',1));
    x2:=StrToInt(GetTokenIndex(Memo2.Lines[i],',',2));
    y2:=StrToInt(GetTokenIndex(Memo2.Lines[i],',',3));

    if Assigned(plImage1) then begin
      FreeAndNil(plImage1);
    end;

    //コンポーネントを生成し,イベントを定義し,位置を指定して画像を表示
    plImage1:=TplResizeImage.Create(Self);
    plImage1.Parent:=ScrollBox1;
    plImage1.TransEvent:=True;
    //クライアント座標をスクリーン座標へ変換
    //GetSystemMetrics(SM_CYCAPTION) -> タイトルバーの高さ
    //GetSystemMetrics(SM_CYFRAME) -> ウィンドウの枠幅
    p1.X:=x1-(GetSystemMetrics(SM_CYFRAME) div 2);
    p1.Y:=y1-GetSystemMetrics(SM_CYCAPTION)-(GetSystemMetrics(SM_CYFRAME) div 2);
    p2.X:=x2-(GetSystemMetrics(SM_CYFRAME) div 2);
    p2.Y:=y2-GetSystemMetrics(SM_CYCAPTION)-(GetSystemMetrics(SM_CYFRAME) div 2);
    p1:=Image1.ClientToScreen(p1);
    p2:=Image1.ClientToScreen(p2);
    plImage1.SetBounds(p1.X, p1.Y, p2.X-p1.X, p2.Y-p1.Y);

    //SelectedプロパティをTrueにするとラバーバンドとグラブハンドルが表示される
    plImage1.Selected := True;
    plImage1.BringToFront;

  end;

end;

ラバーバンドはMr.XRAYさんのWebサイトにあったplResizeImageを使わせていただいて作成。これまでにもどれだけ助けていただいたことか・・・。このような素晴らしい素材を提供し続けてくださっているMr.XRAYさんに今回も心から感謝申し上げます。

157_移動リサイズ可能な TImage   ラバーバンドとグラブハンドル

http://mrxray.on.coocan.jp/Delphi/plSamples/157_MoveResize_GrabHandle.htm

ラバーバンドで囲まれた矩形が必要な矩形であった場合は、下のMemo3へ「移動」ボタンをクリックしてデータを移す。で、次の矩形をラバーバンドで囲んで表示する。

次の矩形の要・不要を判断
必要な矩形であれば下のMemo3へ移動する

この作業を順次繰り返すと、最終的に必要な矩形の座標のみがMemo3に移動。不要な矩形の座標はすべて削除されることになる。

必要な矩形の座標のみ、採点順に取得できた!

最終的に過不足がないか・どうか、Memo3の先頭座標データをクリック、ラバーバンドで該当矩形を囲んで表示、下向きの矢印キーを次へ次へと押して、フォーカスを下の座標データへ移動、ラバーバンドを表示して確認、これを最後の座標データまで繰り返し。

採点順を含めて、必要な座標データがすべて揃っていることを先頭データから順に確認する。

必要な座標がすべて取得できていることを確認したら、「保存」ボタンをクリックして手書き答案採点ソフトが実行時に読み込む、様々な採点設定を記録するための iniファイルに解答欄の座標データを保存する。

データの保存

【任意の範囲を指定したい場合】

複数の解答欄を抱き合わせて、完全解答で正解としたい場合などに対応するため、任意の範囲を矩形選択できるようにした。

画面中央左の追加ボタンをクリックすると、画面の中央にラバーバンドが表示される。これを任意の位置へドラッグする。

追加ボタンをクリックしてラバーバンドを表示
画面の中央にラバーバンドを表示、これを任意の位置へドラッグ。

ボタンのCaptionは、自動で「取得」に変更。

ボタンのCaptionを変更

任意の範囲をラバーバンドで囲んだら(=範囲指定完了)、「取得」ボタンをクリック。取得された座標がボタンの右のEditに表示され、同時にクリップボードへ送られる。

任意の範囲を指定して座標を取得

Memo3上の「追加」ボタンをクリックすると、Memo3が編集可能になるので、採点順を確認して、適切な行に座標のデータを追加(クリップボードから貼り付けても、データを見ながら手動入力してもよい)。

適切な位置に座標のデータを入力する

ラバーバンドを使わなくても、解答欄の左上と右下を、それぞれポイントすればその座標をラベルに表示する機能も追加したので、上の図のように、Memo3を編集モードにして、座標を任意の行へ直接入力することも可能。

マウスでポイントした場所の座標をリアルタイムで表示する

クライアント座標の取得と表示を行う手続きは、次の通り。

procedure TForm1.Image1MouseMove(Sender: TObject; Shift: TShiftState; X,
  Y: Integer);
var
  PtInput:TPoint;
begin
  //スクリーン座標を取得
  GetCursorPos(PtInput);
  //で、そのコントロールのクライアント領域に対するカーソルの座標を取得
  PtInput := Image1.ScreenToClient(PtInput);

  //補正する必要はない(確認済み)
  //表示
  Label2.Caption:=
    Format(' クライアント座標  '+'X : %d, Y : %d', [PtInput.X, PtInput.Y]);
end;

【矢印キーの押し下げを拾う】

最も難しかったのが、フォーカスが「どこにあるか」で矢印キーの挙動を制御すること。以前にStringGridのセルのフォーカスの移動を制限した時に学んだ内容が今回も役に立った。

今回は、Memoにフォーカスがある場合と、ラバーバンドにフォーカスがある場合、さらにラバーバンドにフォーカスがある場合のうち、Shiftキーと同時に矢印キーが押し下げられているのか(=ラバーバンドの大きさの変更)、それとも矢印キーが単独で押し下げられているのか(=ラバーバンドの表示位置の移動)、この3パターンを見分けてそれぞれにあった動作を行わせたいと考えた。最終的には次のコードで対応。

  private
    { Private 宣言 }

    //ある(矢印他)キーが押されたことを知る
    procedure AppMessage(var Msg: TMsg; var Handled: Boolean);

上のように手続きを宣言して、Shift+Ctrl+Cで手続きを生成。

procedure TForm1.AppMessage(var Msg: TMsg; var Handled: Boolean);
var
  StrText: string;
begin
  //何かキーが押し下げられたら
  if Msg.message = WM_KEYDOWN then
  begin
    try
      if ActiveControl is TMemo then
      begin
        //キー操作を「通常動作」にするおまじない
        case Msg.Message of
          WM_USER + $0500:
          Handled := True;
        end;
      end else begin
        //上位ビットが1ならShiftキーが押されている
        if GetKeyState(VK_SHIFT) and $8000 <> 0 then
        begin
          if plImage1.Visible then
          begin
            //右矢印キー
            if Msg.wParam=VK_RIGHT then
            begin
              plImage1.Width := plImage1.Width + 1;
              Msg.wParam:=0;
            end;
            //左矢印キー
            if Msg.wParam=VK_LEFT then
            begin
              plImage1.Width := plImage1.Width - 1;
              Msg.wParam:=0;
            end;
            //上矢印キー
            if Msg.wParam=VK_UP then
            begin
              plImage1.Height := plImage1.Height - 1;
              Msg.wParam:=0;
            end;
            //下矢印キー
            if Msg.wParam=VK_DOWN then
            begin
              plImage1.Height := plImage1.Height + 1;
              Msg.wParam:=0;
            end;
          end;
        end else begin
          //Shiftキーは押されていない
          //対象を限定(どちらでも動いた)
          //if TplResizeImage(ActiveControl).Visible then
          if plImage1.Visible then
          begin
            //右矢印キー
            if Msg.wParam=VK_RIGHT then
            begin
              plImage1.Left := plImage1.Left +1;
              Msg.wParam:=0;
            end;
            //左矢印キー
            if Msg.wParam=VK_LEFT then
            begin
              plImage1.Left := plImage1.Left -1;
              Msg.wParam:=0;
            end;
            //上矢印キー
            if Msg.wParam=VK_UP then
            begin
              plImage1.Top := plImage1.Top - 1;
              Msg.wParam:=0;
            end;
            //下矢印キー
            if Msg.wParam=VK_DOWN then
            begin
              plImage1.Top := plImage1.Top + 1;
              Msg.wParam:=0;
            end;
            //Deleteキー
            if Msg.wParam=VK_DELETE then
            begin
              //plImage1を解放
              if Assigned(plImage1) then begin
                FreeAndNil(plImage1);
              end;
              Msg.wParam:=0;
            end;
          end;
        end;
      end;
    except
      on E: Exception do
      begin
        StrText := E.ClassName + sLineBreak + E.Message;
        Application.MessageBox(PChar(StrText), '情報', MB_ICONINFORMATION);
      end;
    end;
  end;
end;

plImage1が生成されないうちに上の手続きが呼ばれると、当然、一般保護違反のエラーが発生するので、FormCreate時にplImage1を生成しておく。

procedure TForm1.FormCreate(Sender: TObject);
var
  //Python39-32へのPath
  AppDataDir:string;
  i:integer;
begin

  //メモリーリークがあれば検出
  ReportMemoryLeaksOnShutdown:=True;

  //有効にする(忘れないこと!)
  Application.OnMessage := AppMessage;

  //[Enter]でコントロールを移動させるために、Form上のコンポーネント
  //より先にFormがキーボードイベントを取得する。
  KeyPreview:=True;

  //コンポーネントを生成 -> インスタンス(実体)をつくる
  // = 一般保護違反エラーの防止
  //plImage1はグローバル変数として宣言しているから未定義の識別子エラーは発生しない
  //でも、Create(生成)してからでなければ使えない!
  plImage1:=TplResizeImage.Create(Self);

  //編集フラグ(編集中ではない)
  EditTF:=False;
  PlusTF:=False;
  Memo2.ReadOnly:=True;

  //StatusBar1の設定
  StatusBar1.SimplePanel:=True;

  //Formを最大化して表示(幅も最大化される)
  Form1.WindowState:=wsMaximized;

  //Embeddable Pythonの存在の有無を調査
  AppDataDir:=ExtractFilePath(Application.ExeName)+'Python39-32';
  if DirectoryExists(AppDataDir) then
  begin
    //フォルダが存在したときの処理    
    PythonEngine1.AutoLoad:=True;
    PythonEngine1.IO:=PythonGUIInputOutput1;
    PythonEngine1.DllPath:=AppDataDir;
    PythonEngine1.SetPythonHome(PythonEngine1.DllPath);
    PythonEngine1.LoadDll;
    //PythonDelphiVar1のOnSeDataイベントを利用する
    PythonDelphiVar1.Engine:=PythonEngine1;
    PythonDelphiVar1.VarName:=AnsiString('var1');  //プロパティで直接指定済み
    //初期化
    PythonEngine1.Py_Initialize;
  end else begin    
    PythonEngine1.AutoLoad:=False;
  end;

  //面積の閾値の選択肢を設定
  for i := 1 to 200 do
  begin
    cmbThreshold.Items.Add(IntToStr(i*100));
  end;

  //画面のちらつきを防止する
  DoubleBuffered := True;

end;

で、メモリーリーク発生の原因とならないよう、アプリの終了時に忘れずに解放。

procedure TForm1.FormCloseQuery(Sender: TObject; var CanClose: Boolean);
begin
  //メモリーリークを防止する
  PythonEngine1.Py_Finalize;
  PythonDelphiVar1.Finalize;
  FreeAndNil(plImage1);
end;

5.まとめ

(1)矩形の検出は、OpenCVのfindContours関数を利用する。
(2)矩形の検出を回避するには「点線」を利用する。
(3)GUIはDelphiで作成し、必要な座標だけ保存できるように工夫。
(4)「フォーカスがどこにあるか」で矢印キーの動作を制御。
(5)コントロール生成のタイミングと確実な破棄にも注意する。

6.お願いとお断り

このサイトの内容を利用される場合は、自己責任でお願いします。記載した内容を利用した結果、利用者および第三者に損害が発生したとしても、このサイトの管理者は一切責任を負えません。予め、ご了承ください。

Fastest Image Reading and Writing

いろいろな画像ファイルを高速読み書き(GDI+を使用)」

BMP, JPEG, GIF, PNG, TIFF, WMF, EMF 形式の画像ファイルをGDI+で読み込み、
BMP, JPEG, GIF, PNG, TIFF いずれかの形式を指定して書き出す方法。
今回の内容をひとことで表現すれば「GDI+で何でも読み書き」。

0.準備
1.読み込み
2.書き出し
3.まとめ
4.お願いとお断り

0.Delphiを起動して画像の読み書き用Formを準備する

Delphiを起動して、新規にVCLアプリケーションを作成。次のVCLコンポーネントを載せたFormを準備する。準備ができたら、任意のフォルダにプロジェクトを保存する。

VCLコンポーネントをFormに配置したところ
VCLコンポーネントの親子関係

(1)FormにStatusBarを1つ置く。
(2)Formの上にPanelを1つ置き、Alignプロパティを「alBottom」、Heightプロパティを「60」に設定。
(3)Panel1をクリックして選択し、Panel1上にButtonを2つ、RadioGroupを1つ置く。名前はデフォルトのまま、CaptionプロパティをButton1は「読み込み」、Button2は「書き出し」、RadioGroup1は「画像の大きさ」に変更。Button2のAnchorsプロパティは下図のようにakTopとakRightのみTrueに変更する。こうすることで、Formを最大化した時、画面右側のButton2がFormの右側下隅(自然な位置)にくる。

Button2のAnchorsプロパティを変更

(4)Formをクリックして選択し、Form上にScrollBoxを1つ置き、Alignプロパティを「alClient」に設定。 ScrollBox1 をアクティブに(クリックして選択)して、ScrollBox1の上にImageを1つ置く。Imageのプロパティはデフォルト設定のまま。
(5)RadioGroup1のCaptionプロパティを「画像の大きさ」に変更し、Columns(表示するオプションボタンの列数)プロパティに「2」を設定。

RadioGroup1のプロパティを設定

さらに、RadioGroup1のItemIndexプロパティを「0」(第1番目のオプションボタンを選択した状態でプログラムが起動する)、Itemsプロパティには1行目に「リサイズ」、2行目に「オリジナル」を設定する。

先に、RadioGroup1のColumnsプロパティを「2」(列)に設定してあるので、1行目の「リサイズ」が1列目に、2行目の「オリジナル」が2列目に表示される。

RadioGroup1のプロパティを設定 ItemIndexを0、Itemsに「リサイズ」と「オリジナル」を準備する

(6)Formのどこでもよいので、OpenDialogとSaveDialogを1つずつ設置する。これらは非ビジュアルコンポーネントなので、下図のようにして非表示に設定することもできる(設置したことを忘れそうな場合は、非表示にしない方がよいと思う)。

非ビジュアルコンポーネントを非表示に設定

実行(F9)すると C:\ XXX \ プロジェクトファイルのあるフォルダ \Win32\ 内にDebugフォルダが作成されるので、ここに画像を保存する「Data」フォルダを作成する。Dataフォルダ内に、任意の画像データを準備する。

例:画像はJPEG形式で、名前は「Sample.jpg」の場合

Debugフォルダ内にDataフォルダを作成し、画像を準備
Sample.jpg

1.読み込み

読み込みボタン(Button1)をダブルクリックして、画像ファイルの読み込み手続きを記述する。画面は次のようになる。

procedure TForm1.Button1Click(Sender: TObject);
begin

end;

まず、必要な変数をvar宣言する。このプログラムでは、画像の読み書きにGDI+を利用する。他の方法に比べ、超高速な画像の読み書きが可能である。

GDI(Graphics Device Interface)は、Windowsで画面のグラフィック処理やプリンターへの出力を行う技術で、WindowsXPからその後継となるGDI+が登場し、GDIで不可能であったJPEGやPNGといった画像形式にも対応し、これにより高レベルの2Dグラフィック処理が可能になった。

GDI+を使用するために必要な変数、及び、処理時間計測に必要な変数を、それぞれ次のように宣言する。

procedure TForm1.Button1Click(Sender: TObject);
var
  //GDI+を利用する
  graphics:TGPGraphics;
  bmp:TGPBitmap;
  W,H:integer;
  //処理時間を計測
  timerStart:DWORD;
  timerEnd:DWORD;
  s:string;
begin

また、GDI+を利用するには、Winapi.GDIPAPI と Winapi.GDIPOBJ をusesに宣言する。また、画像データの保存時に必要なGUIDを自動取得するGetEncoderClsid関数を使用するので、Winapi.GDIPUTILも合わせて宣言する。

さらに、
処理時間計測用に Winapi.MMSystem 、
JPEG形式の画像を使うために Vcl.Imaging.jpeg 、
TPath.GetExtension関数でファイル(Path)名から拡張子を取得するために必要な System.IOUtils もここで同時に uses に追加しておく。

implementation

uses
  Vcl.Imaging.jpeg, Winapi.MMSystem,
  Winapi.GDIPAPI, Winapi.GDIPOBJ, Winapi.GDIPUTIL,
  System.IOUtils;

{$R *.dfm}

読み込みボタン(Button1)をクリックした際に実行される処理を、以下の通り記述する。アイコンの画像以外の、通常使用する画像ファイル(BMP, JPEG, GIF, PNG, TIFF, WMF, EMF 形式)を読み込み可能である。

procedure TForm1.Button1Click(Sender: TObject);
var
  //GDI+を利用する
  graphics:TGPGraphics;
  bmp:TGPBitmap;
  W,H:integer;
  //処理時間を計測
  timerStart:DWORD;
  timerEnd:DWORD;
  s:string;
begin

  //OpenDialogのプロパティはExecuteする前に設定
  With OpenDialog1 do begin
    //表示するファイルの種類を設定
    Filter:='画像ファイル|*.bmp;*.jpg;*.gif;*.png;*.tif;*.emf;*.wmf' +
    '|*.bmp|*.bmp' + '|*.jpg|*.jpg' + '|*.gif|*.gif' + '|*.png|*.png' +
    '|*.tif|*.tif' + '|*.emf|*.emf' + '|*.wmf|*.wmf';
    //データの読込先フォルダを指定
    InitialDir:=ExtractFilePath(Application.ExeName)+'Data';
  end;

  if not OpenDialog1.Execute then Exit; //キャンセルに対応

  //時間計測開始
  timerStart:=TimeGetTime;

  //オブジェクトを生成
  bmp:=TGPBitmap.Create(OpenDialog1.FileName);
  Image1.Picture.Bitmap.Width:=bmp.GetWidth;
  Image1.Picture.Bitmap.Height:=bmp.GetHeight;
  Image1.Picture.Bitmap.PixelFormat:=pf24bit;
  graphics:=TGPGraphics.Create(Image1.Picture.Bitmap.Canvas.Handle);

  try
    //イメージを表示
    graphics.DrawImage(bmp, 0, 0, bmp.GetWidth, bmp.GetHeight);

    //画像の大きさ
    case RadioGroup1.ItemIndex of
      0:begin
        //Image1にリサイズして表示
        Image1.Align:=alClient;
        W:=Image1.Width;
        H:=Image1.Height;
        Image1.Width:=W;
        Image1.Height:=H;
        //Imageに合わせて表示
        Image1.AutoSize:=False;
        //Imageのサイズに合わせて表示する
        Image1.Stretch:=True;
        //縦横の比率を変えずに Image のサイズに変更
        Image1.Proportional:=True;
      end;
      1:begin
        //オリジナルの大きさで表示
        Image1.Align:=alNone;
        Image1.AutoSize:=True;
        //Imageのサイズに合わせて表示する
        Image1.Stretch:=False;
        //縦横の比率を変えずに Image のサイズに変更
        Image1.Proportional:=False;
      end;
    end;

    //処理時間計測終了
    timerEnd:=TimeGetTime;

    //計算時間を表示
    s:='計算時間:'+(IntToStr(timerEnd-timerStart)+' ms');
    StatusBar1.SimpleText:=s;

  finally
    bmp.Free;
    graphics.Free;
  end;

end;

処理時間の計測結果をStatusBarに表示するために、FormのCreate時に、以下の設定を行っておく。

procedure TForm1.FormCreate(Sender: TObject);
begin
  //StatusBar1の設定(FalseだとStatusBarにテキストが表示されない)
  StatusBar1.SimplePanel:=True;
end;

ついでにFormが常に画面の中央に表示されるよう、次のコードをFormのOnShowイベントに記述する。

procedure TForm1.FormShow(Sender: TObject);
begin
  //Formを画面の中央に表示
  Left:=(Screen.Width-Width) div 2;
  Top:=(Screen.Height-Height) div 2;
end;

上書き保存(Ctrl+S)して、実行(F9)。Sample.jpgのファイルサイズは約5.72MBであるが、私のPC環境では最速137msで表示される。最後に旧来の画像読み込み方法も紹介するが、他の方法を使う気にならないくらいGDI+による読み込みはたいへん高速である。

2.書き出し

読み込み手続きの次は、書き出しの手続きを記述する。書き出しボタン(Button2)をダブルクリックして、書き出し手続きを新規に作成する。

procedure TForm1.Button2Click(Sender: TObject);
begin

end;

最初に手続き中で必要な変数をvar宣言する。

procedure TForm1.Button2Click(Sender: TObject);
var
  //usesにWinapi.GDIPAPI, Winapi.GDIPOBJが必要
  graphics:TGPGraphics;
  bmp:TGPBitmap;
  //GetEncoderClsid関数の利用とTGUIDを使用するには、
  //usesにWinapi.GDIPUTILが必要
  ImgGUID:TGUID;
  //処理時間を計測
  timerStart:DWORD;
  timerEnd:DWORD;
  s:string;
  dotExt, strExt:string; //拡張子を取得する
begin

書き出し処理のコードを記述する。

procedure TForm1.Button2Click(Sender: TObject);
var
  //usesにWinapi.GDIPAPI, Winapi.GDIPOBJが必要
  graphics:TGPGraphics;
  bmp:TGPBitmap;
  //GetEncoderClsid関数の利用とTGUIDを使用するには、
  //usesにWinapi.GDIPUTILが必要
  ImgGUID:TGUID;
  //処理時間を計測
  timerStart:DWORD;
  timerEnd:DWORD;
  s:string;
  dotExt, strExt:string; //拡張子を取得する
begin

  //OpenDialogのファイル名が空欄ならExit
  if OpenDialog1.FileName='' then
  begin
    ShowMessage('保存する画像がありません!');
    Exit;
  end;

  //SaveDialogのプロパティはExecuteする前に設定しておくこと
  With SaveDialog1 do begin
    //デフォルトのファイル名を設定
    FileName:='Test';
    //表示するファイルの種類を設定
    Filter:='画像ファイル|*.bmp;*.jpg;*.gif;*.png;*.tif' +
    '|*.bmp|*.bmp' + '|*.jpg|*.jpg' + '|*.gif|*.gif' + '|*.png|*.png' +
    '|*.tif|*.tif';
    //データの読込先フォルダを指定
    InitialDir:=ExtractFilePath(Application.ExeName)+'Data';
    //拡張子の指定がなかった場合に付加される拡張子を指定
    DefaultExt:='jpg';
    //上書き保存の確認の設定
    Options:=[ofOverWritePrompt];
  end;

  if not SaveDialog1.Execute then Exit; //キャンセルに対応

  //時間計測開始
  timerStart:=TimeGetTime;

  bmp:=TGPBitmap.Create(OpenDialog1.FileName);
  //どちらの指定でも保存可能
  //Graphics:=TGPGraphics.Create(Image1.Canvas.Handle);
  Graphics:=TGPGraphics.Create(Image1.Picture.Bitmap.Canvas.Handle);
  try

    //90°回転
    //bmp.RotateFlip(Rotate90FlipNone);

    //画像を取得
    Graphics.DrawImage(bmp,0,0);

    //拡張子を小文字に変換して取得(.XXX形式:Dotが付いている)
    dotExt:=LowerCase(TPath.GetExtension(SaveDialog1.FileName));
    //JPEG & TIFFに対応する
    if dotExt='.jpg' then begin
      strExt:='jpeg';
    end else begin
      if dotExt='.tif' then begin
        strExt:='tiff';
      end else begin
        strExt:=StringReplace(dotExt, '.', '', [rfReplaceAll, rfIgnoreCase]);
      end;
    end;

    //指定された拡張子を付けて保存
    if GetEncoderClsid('image/'+strExt, ImgGUID) >= 0 then
    begin
      bmp.Save(ChangeFileExt(SaveDialog1.FileName, dotExt), ImgGUID);
    end;

    //処理時間計測終了
    timerEnd:=TimeGetTime;
    //計算時間を表示
    s:='計算時間:'+(IntToStr(timerEnd-timerStart)+' ms');
    StatusBar1.SimpleText:=s;

  finally
    Graphics.Free;
    bmp.Free;
  end;

end;

上書き保存(Ctrl+S)して、実行(F9)。読み込みボタンをクリックして画像を読み込んでから、書き出しボタンをクリックして、保存形式(拡張子)を選択、画像ファイル名はデフォルトで「Test」が設定されているので、そのままでよければSaveDialogの「保存」ボタンをクリックして、画像をDataフォルダに保存する。

Sample.jpgを読み込んでから画面を最大化したところ
(画像の大きさも画面に追随して大きくなる)

GDI+による画像ファイルの読み込みと書き出し処理について、次のWebサイトにたいへん詳しく紹介されています。GDI+を学びたい方は必見です。

Delphiを使って、誰かの役に立つプログラムを作成している方なら、誰しもMr.XRAYさんのWebサイトに一度はお世話になっているのではないでしょうか? それくらい貴重な情報が数多く紹介されています。 私自身、これまでに何度助けていただいたことか・・・。Delphiに関する貴重な情報をずっと提供し続けてくださっているMr.XRAYさんに心から感謝申し上げます。

GDI+ 関係サンプル G040_各種の画像形式の表示と変換

URL:http://mrxray.on.coocan.jp/Delphi/GDIPlusSamples/G040_GDIPlus_SomeImageTypes.htm

参考:旧来の画像の呼び出し方法

最も普通に使われてきた(と思われる)JPEG画像の呼び出しの例。GDI+の利用でSample画像は150ms前後で読み込めていたが、こちらの方法では読み込みに1秒近くかかる。

さらに、読み込んだ画像に対して、何か作業を行う場合(例:矩形選択等)は、下のコード内でコメント化してある部分( Image1.Picture.Bitmap.Assign(Jpg); )をアクティブにして、BitmapにAssignしないと、画像加工実行時にエラーになることにも注意。

Image1.Picture.Assign(jpg); として読み込んで、
画像を加工しようとした場合はエラーになる。
implementation

uses
  Vcl.Imaging.jpeg, Winapi.MMSystem;

  //Vcl.Imaging.jpegはJPEGファイルを扱うために必要
  //Winapi.MMSystemは計算処理時間の表示用

{$R *.dfm}



procedure TForm1.Button1Click(Sender: TObject);
var
  Jpg:TJPEGImage;
  //処理時間を計測
  TStart: DWORD;
  TEnd: DWORD;
  s:string;
begin

  //画像を消去する
  Image1.Picture:=nil;

  //OpenDialogのプロパティはExecuteする前に設定
  With OpenDialog1 do begin
    //表示するファイルの種類を設定
    Filter:='JPEG Files (*.jpg, *.jpeg)|*.jpg;*.jpeg';
    //データの読込先フォルダを指定
    InitialDir:=ExtractFilePath(Application.ExeName)+'Data';
  end;

  if not OpenDialog1.Execute then Exit; //キャンセルに対応

  //オブジェクトを生成
  jpg := TJPEGImage.Create;

  try

    //時間計測開始
    TStart:=TimeGetTime;

    //ファイルから読み込み
    jpg.LoadFromFile(OpenDialog1.FileName);
    //Image1に(メモリから)表示
    Image1.Picture.Assign(jpg);
    //Image1.Picture.Bitmap.Assign(Jpg);

    //処理時間計測終了
    TEnd:=TimeGetTime;

    //計算時間を表示
    s:='計算時間:'+(IntToStr(TEnd-TStart)+' ms');
    StatusBar1.SimpleText:=s;

  finally
    //オブジェクトを破棄
    jpg.Free;
  end;

end;

3.まとめ

これまでいろいろな形式の画像を読み込んだり、書き込んだりする場合は、それぞれの画像形式に合わせてプログラムコードを用意していたが、GDI+を利用すればあらゆる場合に対応できることがわかった。かつ、処理速度も超高速で快適に使用できる。

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