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DelphiのObject Pascalで記述したコード内にPython Scriptを埋め込んで実行可能にするパッケージ

無料で使える手書き答案採点補助プログラム

Answer Column Reader

横書き答案の採点実行時の画面です。


スキャナーで読み取った手書き答案のJpeg画像から、大問1の設問(1)なら(1)のみを抽出、一覧表示してイッキに採点。採点記号( 〇・△・× )& 得点付きで元の答案画像に書き戻し、最後に得点合計を自動計算、指定位置に描画して、返却用答案画像(A4サイズに統一/縦・横の指定は可能)を印刷できる無料の手書き答案採点補助プログラムです。

一般的な横書き答案に加え、国語で使用される縦書き答案の採点も可能です。

縦書き答案の採点実行時の画面です。


新教育課程の観点別評価にも対応。もちろん、表計算ソフトを使わずに成績一覧表の作成・印刷・CSVファイルへの出力が可能です(ただし、成績一覧表の出来栄えは、メモ程度)。

画像処理に使用しているPython用OpenCV関連のファイルサイズが巨大ですが、このファイルサイズを許容していただければ、採点現場で十分使えると(複数の高校で使用中)評価していただけました!

もちろん、完全無料。ただし、動作保証は一切ありません。作成者(僕)は開発環境のDelphi(Object Pascal)の大ファンで、この他にも自作のマークシートリーダーなどを開発・このblogの過去記事で公開していますが、学問領域で評価の対象となるようなプログラミングに関しては全くの素人です。ですから、このプログラムのご使用に際しては、あくまでも素人が趣味で作ったものであるということを十分にご理解いただき、ダウンロードから展開・実行までALL自己責任でお願いします(有償販売禁止の他は、それが唯一の使用条件です)。発見できた不具合はすべて改良改善しましたが、取り切れていない未発見の不具合もまだきっとあると思います。それでも、もし、よろしければお使いください。僕の夢のカタチ、Answer Column Reader。

手書き答案採点補助プログラム、名付けて AC_Reader です。

【もくじ】

1.使い方
(1)zipファイルを展開
(2)プログラムを起動
(3)スキャンした答案の画像を準備
(4)採点用画像の準備
(5)解答欄の座標を取得
 ・【座標データを追加したい場合は?】
 ・【字数制限のある解答欄座標の簡単な取得方法は?】
 ・【機械が認識しやすい解答欄】
 ・【生徒の番号・氏名も解答横に表示して採点したい】
(6)採点
 ・【全員正解を入力】
 ・【全員不正解を入力】
 ・【個別に採点】
 ・【次の設問を採点】
 ・【定型文を入力】
 ・【入力した定型文の削除・消去方法】
(7)採点状況の確認
(8)返却用答案の印刷
(9)成績一覧表の作成・印刷
2.まとめ
3.お願いとお断り

1.使い方

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(1)zipファイルを展開

ダウンロードしたzipファイルをデスクトップ上に展開します(任意の場所に置いても動作すると思いますが)。PCによっては展開(解凍)に20分程度かかることがあるようです。

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(2)プログラムを起動

展開されたフォルダ内に「AC_Reader.exe」があります。これをダブルクリックしてプログラムを起動します。

このアイコンをダブルクリックしてプログラムを起動します


初回起動時には、次のメッセージが表示されると思います。その場合は「詳細情報」(画像中、赤い枠で囲んで示した部分)をクリックします(プログラムの発行元が不明である場合に、Windows のDefender機能である SmartScreen がこの表示を出すそうです。自分の責任で実行すれば、次回からこのメッセージは表示されなくなります)。

「詳細情報」をクリックします。


すると、次の画面が表示されます。「実行」(画像中、赤い枠で囲んで示した部分)をクリックしてプログラムを起動してください。

「実行」をクリックします。


プログラムの起動時に、次のメッセージが表示されます。「はい」・「いいえ」のいずれかを選択してください。

差し支えなければ「はい」を選択してください。


Excelの採点シートを使って処理する場合は、拙作マークシートリーダーとこの手書き答案採点補助プログラムを併用することも可能です(その方法についての説明は、今回は行いません)。

マークシート方式と併用することも可能ですが、今回は「はい」をクリックしてください。


国語の試験では縦書きの解答用紙が使われますので、この手書き答案採点補助プログラムも縦書き答案の採点が出来るよう設計しました。デフォルト設定の答案書式は「横書き」です。国語の縦書き答案を採点したい場合はここで設定画面を開き、縦書きを指定してください。

今回は「いいえ」で先に進みます。


ちなみに「はい」を選んだ場合は・・・

答案の書式を指定できます。


答案の書式の設定変更を起動時に問われなくするよう設定できます。

採点する答案の書式が決まっている場合は「はい」を選択してください。


試験は毎日行われているわけではなく、定期考査として2~3か月に1回実施されるのが普通です。これくらい間が空くと、△の付け方などをどうしても忘れてしまいます。「忘れた!」と毎回のように質問がありましたので、プログラムの起動時にメッセージとして、採点方法を表示することにしました。

特に「△」の入力方法を問われることが多かったです!


この入力方法の案内は、画面右下の「終了」ボタンのとなりにある「入力方法のご案内」ボタンをクリックすれば、いつでも再表示できます。

入力方法はいつでも確認できます。

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(3)スキャンした答案の画像を準備

答案の画像は必ず「解像度200dpi程度」でスキャンし、「Jpeg画像として保存」してください。

重要 白黒の二値化画像としてスキャンしないでください。

なお、答案をスキャンする際は、次のことにご注意ください。

・答案が出席番号順に並んでいることを必ず確認してください。
・答案の向きは問いませんが、上下が揃っていることを必ず確認してください。
・試験を欠席した生徒がいる場合は、そこに未使用の解答用紙を挿入しておきます。
・消しゴムの屑等はよく払い落としておきます。
・一度に採点できる枚数は100枚を想定しています。
・答案に折り目がある場合は、なるべく平らになるよう折り戻しておきます。

スキャンした答案の画像は、科目名とクラス・講座名がわかるよう適切な名前をつけたフォルダ内に保存し、このフォルダをAC_Reader.exeがあるフォルダの「ScanData」フォルダにコピーしてください。

重要 スキャンした画像は、必ず「ScanData」フォルダ内にフォルダを作成し、保存してください。

重要 ScanDataフォルダ内のフォルダに階層構造を作らないでください。

よい例:

ScanData¥数学Ⅰ_1A

わるい例:

ScanData¥1年¥数学Ⅰ_1A

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(4)採点用画像の準備

上記の手順で、スキャンした答案のJpeg画像を所定の場所に準備したものとして説明します。

プログラムの画面右上にある「画像変換」ボタンをクリックします。

重要 採点用画像には、必ずこの画像変換プログラムが生成したJpeg画像を使ってください。それ以外の方法で作成した画像は使用できません!


次のWindowが開きます。「選択」をクリックしてください。

ScanDataフォルダ内に用意した「答案画像を入れたフォルダ」をクリックして選択します。
練習では予め用意されているSampleフォルダを選択してください。

重要 選択するのは「フォルダ」で、「ファイル」ではありません。

採点したい答案画像のあるフォルダをクリックすればOKです。
(ダブルクリックして開ける必要はありません)

サムネイル表示を見て、画像の回転の有無・回転方向を指定します。Sampleの画像で練習する場合は「なし」を指定してください。

次に画像のリサイズの有無を指定します。複合機のスキャナーを使用し、解像度200dpiでスキャンした画像の場合、80%程度に縮小すると採点しやすいと思います。答案画像をプレビューして縮小率を確認しながら作業することができます。

画像のリサイズ設定を行ったら、次に採点用画像の保存先を指定します。「参照」ボタンをクリックしてください。画像の保存先を選択するWindowが表示されます。

採点用画像の保存先は、ScanDataフォルダ内ではなく、「ProcData」フォルダです。

Procはprocessed(処理済み)の略です。

重要 ProcDataフォルダ以外の場所は、作業フォルダに出来ません!

画像の変換元として選んだScanDataフォルダ内のフォルダと同じ名前のフォルダを、プログラムはProcDataフォルダ内に自動的に作成します。ここでは、この自動的に作成されたSampleフォルダをクリックして選択し、OKをクリックしてください。

フォルダは自動的に作成されたものを選びます。

「変換実行」ボタンをクリックすると採点用にリサイズされた画像が上で指定したフォルダ内に作成されます。この処理はGDI+で書きましたので、それなりに高速だと思いますが、答案の枚数が多く、回転を伴う場合は少し時間がかかります。処理が完了するまでしばらくお待ちください。

この処理では用途の異なる2種類の画像を作成します。一つは採点マークのない各解答欄画像の読み取り元として利用する画像、もう一つは採点マークその他必要事項を上書きした返却用答案画像として利用する画像です。このようにすることで、何度でも採点のやり直しができる仕組みを実現しています。

注意していただきたいのは(めったにないことですが)、採点結果を答案画像に書き戻している最中に何らかの原因でプログラムが落ちた(クラッシュ/フリーズ)場合です。プログラムは採点結果を数値データとしてCSVファイルに書き込むと同時に、採点マークを付けて返却用答案画像にも書き込みます。CSVファイルへのデータの書き込みは一瞬ですが、返却用答案画像への書き込みには少し時間がかかります。したがって、この書き込み処理の最中にプログラムが落ちると、確かに採点した(採点データを保存したCSVファイルが存在する)のに、採点結果が正しく書き込まれていない答案画像が出来てしまうといった現象が起こります(過去1回だけ、この現象を確認しました)。このような場合には、それを発見した時点で採点済みのデータを読み込んで、再度(画像への)「書き込み」処理を実行すれば不具合を解消できます。

変換が終了すると、そのことを知らせるメッセージが表示されます。メッセージのOKをクリックすると注意のメッセージが表示されます。この注意のメッセージを確認した後、「終了」ボタンをクリックして、画像変換処理を終了してください。

終了をクリックして、この窓を閉じます。

メッセージの「OK」をクリックすると表示されるメッセージです。

画像のリサイズを行った場合は、その際設定した縮小率を試験で使用した解答用紙の残部などに必ずメモしてください。複数クラスで様式の異なる解答用紙を使って試験を行い、それぞれに74%、87%など細かな値を指定した場合は2日も経てばかなりの確率でその値を忘れます。この値を忘れた場合には、採点設定作業をすべてやり直すことになります。十分注意してください。

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(5)解答欄の座標を取得

次に解答欄の座標を取得します。その際、重大な注意事項があります。

重要 実際に試験で使用した解答用紙の画像を使用する

わるい例:
・輪転機で大量に印刷した解答用紙でなく、PCからプリンターに出力した解答用紙を使用

上のわるい例のように、実際に試験で使用した解答用紙とは異なる印刷環境で作成した解答用紙は、解答欄座標の取得には使用しないでください。見た目はほとんど同じでも、ほんのわずかな印刷位置のずれが採点作業のすべてに悪影響を及ぼします。この点には、どうか十分にご注意願います。

最初に開発したバージョンでは、拙作マークシートリーダーと同じように解答用紙に座標原点とするマーカー画像を設け、OpenCVのテンプレートマッチングの機能を利用して、マーカー画像からの距離で解答欄の座標を記録し、解答欄矩形の選択に利用していましたが、解答欄矩形を自動的に認識する方法を学んでからは、マーカー画像を利用し、手動で一つ一つ解答欄矩形を指定するよりも、解答欄矩形を自動認識して採点対象とする矩形の座標データのみを取捨選択して保存した方が、実際の採点に入るまでの準備作業時間を大幅に短縮できることがわかりました。また、輪転機を使用して印刷した解答用紙自体に解答欄の印刷位置のずれはほとんど生じないことも、マーカー画像を利用した解答欄座標の取得から、解答欄矩形を自動認識する方向へ設計を変更する大きな要因となりました。

以上の理由からご理解いただけると思うのですが、この手書き答案採点補助プログラムで使用する解答用紙は「解答欄の印刷位置がすべて揃っているもの」でなければなりません。

前置きが長くなりましたが、その具体的な方法は次の通りです。

最初に画面右上の「採点作業」ボタンをクリックしてください。


以前に使用した採点設定ファイルが見当たらない場合は、次のメッセージが表示されます。

よく読んで、OKをクリックしてください。


以前に使用した採点設定ファイルがある場合は、次のメッセージが表示されます。


使用する採点作業の入力欄に下の例のように入力します。

例:R06_考査①_物理基礎

前の方が見えませんが・・・

重要 採点作業の名称にはクラス名を入れないでください。

同じ採点作業の設定を複数クラスに適用する際、採点作業名に特定のクラスの名称が入っていると、なんとなく違和感を感じませんか?(僕は違和感を感じました)

このプログラムでは、(同一問題で実施した)試験の答案をクラス・講座毎のフォルダに準備して、同じ(一つの)採点設定をそれぞれのクラス・講座に適用して採点します。したがって、採点作業の名称には「クラス名を入れない」ことが望ましいわけです。※ クラス名が入っていても採点作業に使えないわけではありません。

採点作業名を付けたら、入力欄の右側にある「Auto」ボタンをクリックしてください。

ほんとうは「解答欄矩形の自動選択」のような名称にしたかったのですが、スペースが・・・


次のメッセージが表示されます。よく読んでOKをクリックしてください。

AC_Readerとは別に、解答欄矩形を見分けて自動選択するプログラムが起動します。このプログラムもObject Pascal に埋め込んだ Python Script で Python 用の OpenCV の機能を利用して動作します。

重要 RectangleDetector.exeを直接起動しないでください

重要 矩形検出機能はAC_Readerから呼び出して使ってください

解答欄矩形を認識するプログラムの名称は「Rectangle Detector(長方形検出器)」です。最初に画面左下にある「画像選択」ボタンをクリックしてください。


ここではフォルダではなく、「ファイルを選択」するダイアログボックスが表示されます。どれでもよいのですが、欠席者がいる場合は、解答欄に何も書き込まれていない欠席者分の解答用紙の画像を選択した方が、誤検出は明らかに減ると思います。ファイルを選択したら「開く」ボタンをクリックしてください。

重要 ここではフォルダではなく、ファイルを選択します。

重要 実際の試験で使用した解答用紙の画像で作業します。

練習では、添付したSampleフォルダ内のファイルを選択してください

解答用紙の画像が表示されます。上下のスクロールバーを操作して、図のように解答用紙の解答欄の直線部分とRectangleDetectorの画面枠の二つを見比べやすい位置に画像を上下に動かして、解答用紙が大きく傾いていないことを確認します。

スキャナーによっては、その機材特有の「クセ」のようなものがあり、どれほどきちんと解答用紙をセットしても必ず0.3~0.4°くらい読み取った画像が傾いてしまう場合があります。サービスマンの方に相談したところ、「答案に付着した消しゴムの屑がローラー等に詰まって、読み取り結果に悪影響を及ぼしているのではないか?」との意見をいただき、実際、スキャナーの可動部をきれいに清掃して試したところ、読み取り結果が改善された経験があります。しかし、その後、またすぐにその機材で読み取った画像は同じ方向に傾くようになりましたので、毎回クリーニングする必要があるのかもしれません。ただ、可動部をクリーニングしなくても、ほとんど傾かずに読み取ることもあり、結局、「これは運だ!」と割り切って、プログラム側で傾きがあった場合は修正できるよう、傾き補正の機能を追加しました。

傾き補正の機能を追加する際に気づいたのですが、回転させた画像をさらに回転させると、画像の質が著しく劣化し、これを繰り返すほどに全体がぼやけて、解答の読み取りに支障をきたす恐れがあるように感じました。そこで、画像の初期状態を保存しておき、回転は必ず初期状態のものに対して行うようプログラミングしました。「なぜ、少しずつ連続して回転させることができないのだろう?」と疑問に思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、これがその疑問への回答です。

赤線部分を見比べて、画像の回転の要/不要を判断します。


上の画像のような状態であれば、傾きの補正は必要ありません。オプションボタンは「実行」をクリックして選択してください。また、あまりにも小さな矩形は「解答欄ではない」と判断できるよう、矩形の面積閾値を設定してあります。こちらはデフォルト設定700のままでお試しください。

傾きの修正が必要な場合は「試行」を選択し、修正量を確認してください。
修正量を確認後、その値で傾きの補正を「実行」してください。
(「試行」を選択した場合は、最終的なデータの保存ができません)


続けて答案の「横書き・縦書き」を指定します。Sampleは横書き答案ですので、オプションボタンは「横書き」をクリックして選択してください。


ブロックというのは(表現に苦しんだのですが)、「解答欄の集合をブロックとして見分けられるか・どうか」という意味です。下の図のような解答用紙の場合、1ブロックと表現しています。


ちなみに、次のような場合が2ブロックです。ご理解いただけましたでしょうか?


傾きの修正が必要な場合は、次のGUIで操作してください。「傾き修正」に✅を入れて、▲は修正値を増やす(回転方向は時計回り)、▼は修正値を減らす(回転方向は反時計回り)、「適用」は回転の実行、「やり直し」は画像を初期状態に戻します。


解答欄を取得する準備が整ったら、「解答欄取得」ボタンをクリックしてください。


誠に心苦しいのですが、PCによっては初回実行時、Python Engineの初期化に異常に時間がかかることがあります(職場のPCでは4分程度)。自分のPC(Panasonic製 Let’s note CF-QV)では数秒で終了する処理がなんでPCによってはとんでもない時間を要する処理になるのか? その理由は未だにわかりません。

とにかく、マウスカーソルが砂時計?表示になっていればプログラムは正常に機能していると思われますので、5分程度お待ちください。いったんPython Engineの初期化に成功すれば、プログラムを終了しない限り、2回目以降の実行は何の問題もなく、ほんの数秒で解答欄座標の取得が完了するはずです。

参考 横書き答案の場合、解答欄矩形の座標はx軸方向については左から右へ、Y軸方向については上から下へという順番で読み取ります。

参考 縦書き答案の場合、解答欄矩形の座標はx軸方向については右から左へ、Y軸方向については上から下へという順番で読み取ります。

ただし、解答用紙の画像が右肩上がりに傾いていた場合、Y軸(上下)方向の座標の上下関係から、より値の小さな(座標原点0,0は解答用紙画像の左上であるため)上の方をプログラムは先に読み取ってしまいます。そのため、横書き答案であっても解答欄矩形の読み取り順が右から左になる現象が発生します。こうなると解答欄矩形の座標の選択作業が著しく煩雑になってしまいます(解答欄矩形の座標自体は読み取れていますから作業ができないわけではありません)。これを防止するために、最初に答案画像の全てに対し、傾きの修正を行う必要があります。

解答欄座標の取得が完了すると、次の図にあるように解答用紙上に赤い矩形が描画されます。小さくてわかりづらいかもしれませんが、画面右上の解答欄座標の値が表示されている部分で、カーソルがある(カーソルが点滅している位置の)解答欄座標が赤の矩形で示されています。ここから必要な座標と、いらない座標を取捨選択する作業を行ってください。


上の図で示されている矩形(座標)は採点には不要です。このまま無視して次へ進んでも構いませんし、面倒でなければ不要な座標は削除することもできます。


「編集」ボタンをクリックすると、キャプションが「編集中」に変わり、カーソル位置の座標が選択された状態になります。DELキーを押し下げして、不要な座標を削除します。

次の図は(削除作業を行わずに)上の図の状態から↓矢印キーを1回押し下げして、カーソルを2行目に移動させた状態を表しています。不要な解答欄座標の削除作業を行った場合は、自動的にこの状態になります(1行目にあった不要な座標は当然消えています)。

カーソルを下の行へ移動させて、解答欄矩形のみを選択(移動)して行きます。


2行目の座標が示す矩形はまさに解答欄ですから、これは必要な座標ということになります。このような座標は「移動」ボタンをクリックして、必要な座標ばかり集めたメモの方へ移動させます。次の図は2行目の座標を移動させた直後の状態です。

必要な解答欄座標のみを選択します。

下向きの矢印キーを押す。必要な座標であれば「移動」ボタンで下のメモに移動する。この作業を繰り返して採点する順番になるよう、解答欄の座標をすべて取得します。次の図は一通り、解答欄の座標を取得した状態です。


続いて正しく解答欄座標が取得できていることを確認します。上の図の移動済み解答欄座標が表示されているメモ(赤枠内)の先頭の座標データをクリックしてください。メモは必要であれば上にスクロールしてください。メモの先頭の座標データをクリックしたら、答案の画像も上にスクロールしてください。画面は、次の図のようになります。

メモ内のフォーカスがある座標データに該当する矩形が赤枠で示されています。


このまま、下向きの矢印キーを次々に押し下げして、赤枠で示される解答欄矩形が必要数あるか・どうか、及び、採点順に並んでいるか・どうかを確認して行きます。

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【座標データを追加したい場合は?】

様々な事情から、座標データを後から追加・変更したい場合もあるかと思います。例えば、次の図のように青枠で囲った解答欄AとBを抱き合わせて採点(両方正解で〇等)したい場合です。

青枠部分を抱き合わせて採点したい場合も当然あるかと思います。


このような場合は、該当の座標データの「末尾」にフォーカスした状態で(=座標データの末尾にカーソルを置いて)、「移動」ボタンの隣にある「追加」ボタンをクリックし、さらにEnterキーを1回押し下げして改行します。次の図は、その状態を示します。

「追加」ボタンのキャプションは「追加中」に変わります。


次に、画面の真ん中よりやや右にある追加ボタンをクリックします。


答案画像の上に赤枠の矩形が表示されます。この矩形を新しく解答欄座標を取得したい解答欄に重なるように移動・変形してください。矩形を移動させたい時は、矩形の上の横線中央よりやや右の位置をポイント(マウスのカーソルを載せる)すると、マウスカーソルが上下左右の白い矢印に変わり、ドラッグアンドドロップできる状態になります。

任意の座標を取得可能です。


抱き合わせて採点したい解答欄を矩形で囲んだら(下の図のような状態)、キャプションが「取得」に変わったボタンをクリックします。すると、ボタンの右側に、現在表示されている矩形の座標が表示されます。同時に、この矩形データはクリップボードにも送信されています。


続けて、右側のメモ内の先ほど改行して空行になっている箇所をクリックしてCtrlキーを押しながらVキーを押す(右クリックして表示されるサブメニューから「貼り付け」を選択)等して、取得した座標データを付け加えます。正しくメモに追加できたら、メモの上の「追加中」ボタンをクリックして、キャプションを「追加」に戻します。

上下の矢印キーを押して、解答欄Aの座標を探し、「追加」ボタンをクリックして、メモを編集可能な状態に変更、データを削除します。削除後、編集が終了したことをPCに伝えるため、「追加中」ボタンをクリックして「追加」に切り替えます。

解答欄Bの座標も、解答欄Aと同様に作業してメモから消去します。

注意 「追加中」状態で作業しないとエラーが発生します!

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【字数制限のある解答欄座標の簡単な取得方法は?】

例えば、次のような多数の細かい枠で構成された字数制限のある解答欄がある場合、このまま矩形座標の自動取得処理を実行すると一つ一つのマス目の座標をもれなく取得・表示してしまいます。

解答欄を構成する枠がすべて実線の場合、解答欄座標の取得が煩雑になります。


このような場合は、解答欄を作成する段階で、外枠のみ実線で描き、内部の枠はすべて「点線」で描くようにします。点線は、色が薄く、間隔の狭い、細い点線でなく、次の図に示すように、色が濃く、間隔が広い、太い点線を使用してください。

解答欄内部の枠を「点線」で描くとプログラムは外側の枠のみを解答欄座標として認識します。


実は、最初の段階からこの「字数制限のある解答欄の認識処理をどうするか?」という問題は大変気になっていたのですが、親しい国語の教員が作成した解答用紙をスキャンして、解答欄の座標を自動取得する作業のお手伝いを行った際、解答用紙の点線部分をプログラムが認識しないことを偶然発見し、大喜びしたというのが本当です。最初から、僕に、そのような知識があったわけではありません。

偶然とは言え、僕の不出来なプログラムの動作を信じて、それでも使いたいと言ってくれた彼女に、心から、ほんとうに、こころから、「ありがとう」です。巡り合ってから、もう、30年になりますが、Sさん、ほんとうに、ありがとう! あなたがいてくれて、ほんとうに、よかった!!

ただし、これは「諸刃の剣」で、何らかの原因で解答欄の枠線の一部が途切れていると、プログラムは正直にその部分は「矩形ではない」と判断して、座標データの取得対象から除外します。ですので、解答用紙を印刷する際は、解答欄が完全に実線で囲まれているか・どうかを、よく確認してから印刷する必要があります。

解答欄の枠線の一部が途切れていると座標を取得できません!

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【機械が認識しやすい解答欄】

解答欄を構成する矩形は必要最小限度に留めるのが、解答欄座標を自動認識・取得する作業を効率よく進めるための何よりのポイントです。

解答欄を構成する矩形は必要最小限にしてください。

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【生徒の番号・氏名も解答横に表示して採点したい】

重要 横書き答案の採点時のみに利用できる機能です。

こちらは同僚からの要望があって付け加えた機能です。解答用紙の氏名欄の画像を取得して、採点時に該当生徒の解答欄の横(位置の指定も可能)に、試験を受けた生徒の出席番号や氏名を表示できます。「追加」ボタンをクリックして赤枠の矩形を描画・適切な位置へ移動後、解答欄矩形としての「取得」の代わりに、「氏名欄取得」のボタンをクリックして、次の図に示すようなかたちで解答用紙の氏名欄の座標を取得してください。ただし、指定する矩形の高さは、解答用紙の解答欄の高さの最小値を超えないよう、十分注意してください。

重要 「解答欄の高さの最小値を超えない高さ」で範囲指定してください。

座標が空欄でなければ、氏名情報ありとして保存されます。


最後に、取得した解答欄の座標を保存して作業は終了です。画面右にある「保存」ボタンをクリックしてください。


次の確認メッセージが表示されます。

「はい」をクリックして、解答欄座標を保存します。


採点作業名として設定した名称で、イニシャライズファイルが作成されています。この採点作業名をクリックするとダイアログの下のファイル名が採点作業の名称に変化します。この状態で「保存」ボタンをクリックしてください。

採点作業名を設定した際にiniファイルも作成されています。
解答用紙の種類に合致するファイルをクリックして選択・上書き保存します。


次のメッセージが表示されます。「はい」をクリックしてください。

既存のiniファイルに上書きします。


解答欄の数によっては、少し(数秒程度)時間が必要です。保存作業が完了すると次のメッセージが表示されます。このメッセージが表示されるまで、何もしないでそのままお待ちください。


画面右下隅にある「閉じる」ボタンをクリックしてプログラムを終了します。解答欄矩形の座標の候補を表示する上のメモにデータがある場合は、「閉じる」をクリックすると、次の確認メッセージが表示されます。「はい」をクリックしてプログラムを終了させてください。


以上で、解答欄の座標の取得作業は完了です。

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(6)採点

解答欄座標取得後、すぐに採点を実施する場合は、タスクバーにAC_Readerが眠っていますので、クリックして起こしてください。そうでない場合は、AC_Readerを起動してください。

解答欄矩形取得直後、AC_Readerはタスクバーに眠っています。
タスクバーにある上のアイコンをクリックしてください。
AC_Readerが目覚めます!


画面の右上にある「採点作業」ボタンをクリックしてください。


次のメッセージが表示されます。既存の採点設定を利用して採点しますので「はい」をクリックしてください。


バルーン型のヒントが表示されます。V マークをクリックして表示される選択肢から採点設定ファイルを選んでください。


採点設定ファイルを選んだ直後の状態です。


画面中央には、次のメッセージが表示されます。OKをクリックするとフォルダの選択ダイアログが表示されます。


採点したいクラスのフォルダを選択してOKをクリックしてください。

採点したいクラスのフォルダを選択して、OKをクリックします。


採点結果を記録したCSVファイル(場所はユーザーに提示しません)がない場合には、次のメッセージが表示されます。


画面は次のようになります。

個人識別情報が保存されているので、番号や氏名も表示されています。


画面上方、中央よりやや右に、どこにもドッキングしないフローティング状態の必要最小限の採点機能をまとめたパネルがあります。このパネルのタイトルバーの部分を左クリックしてドラッグ&ドロップすると任意の位置へ移動できます。採点しやすい位置へ移動してお使いください。

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【全員正解を入力】

解答をざっと見て、過半数が正解であるような場合は、全員に正解を入力し、後から不正解の解答のみチェックして、採点を × に変更します。

この設問の得点は2点として、全員に2点を入力します。


ComboBoxの選択肢に「2」を指定して、「入力」ボタンを

採点記号の位置や大きさは「設定」から変更できます。


設定画面から、採点記号の表示位置や大きさなど、各種設定を変更・保存できます。

何も変更せず、デフォルト設定のまま、みなさんお使いのようです。

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【全員不正解を入力】

フローティングパネルの得点欄に0を設定して、入力をクリックすれば、全員不正解となります。

0(ゼロ)は〇(まる)と見間違える可能性があるため、
デフォルト設定では、不正解の場合、得点0を表示しません。

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【個別に採点】

重要 左手で入力作業、右手は選択作業(クリックに専念)

・正解 〇 を入力

まず、個別に採点する際の正解入力は、次のように行います。

解答欄の中心付近をクリックして、得点に相当する数字キーを押します。


解答欄に採点記号〇と得点が描画されます。

・不正解 × を入力

不正解を入力する場合は、次のように操作してください。

× は「Batsu」だから「B」キーに割り当てました。


もちろん、数字キーの0(ゼロ)でも × を入力できます。ただ、0はちょっと位置が遠い・・・

・部分点あり △ を入力

部分点ありの場合は、採点記号△と部分点を入力します。方法は、次の通りです。

「部分点あり」のフラグは「-」記号の有無です。
プログラムは負の数の入力を部分点ありと判定しています。
(合計点は絶対値で計算するので、問題ありません)
部分点ありの場合、採点記号△と得点を表示

重要 最後に「書込」を忘れずにクリックします。

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【次の設問を採点】

右向きの三角マークをクリックすると、次の設問の解答欄が表示されます。

上で解説した手順で、採点を行います。

右側の操作パネルからも同じ操作を実行することができます。

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【定型文を入力】

記述式の設問等で「ここまで何点」のような定型文を記録しておいて適宜入力できます。

「設定」をクリックして、「入力定型文の編集」にチェックを入れます。


画面左上に次の表示が出ますので、内容を編集します。「記録」ボタンをクリックすると編集内容が保存されます。保存後、「入力定型文の編集」のチェックを外し、編集欄を非表示にします。


定型文を入力したい設問の解答欄を採点します。採点後、定型文を入力したい箇所の左上隅あたりにマウスのカーソルを持ってきて右クリックします。表示されるサブメニューから「定型文入力」を選択(クリック)してください。

重要 採点しないと定型文入力はできません!

「定型文入力」をクリックします。


編集済みの定型文が指定位置に入力されます。

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【入力した定型文の削除・消去方法】

入力済みの定型文を削除・消去するには、まず、定型文を削除・消去したい解答欄の真ん中付近をクリックします。次に、右側のGridコントロールの青く反転表示された数値を消去して、Enterキーを押してください。

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(7)採点状況の確認

現在の採点状況を、解答用紙全体の画像を表示して確認することができます。次のように操作してください。

画面右側の中ほどにある「返却答案を表示」をクリックします。画面は現在選択されている生徒の解答用紙が表示されます。画面をスクロールして、採点状況を確認してください。


移動のボタンで、別の生徒の答案も確認することができます。

左のボタンで「一枚前へ」、右のボタンで「次へ」移動します。

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(8)返却用答案の印刷

採点が終了したら、返却用の答案を印刷します。まず、画面右下のプリンタの選択肢から、出力先のプリンタを選択します。次に「合計の印刷」の有無を指定します。「有」を選択した場合は、次の案内が表示されます。


印刷は採点終了後、最後に実行するので、採点と印刷の処理をお互いに行ったり来たりすることは「ない」と判断し、印刷実行後はプログラムの終了のみ可能となっています。

「いいえ」をクリックした場合は、採点処理が継続されます。「はい」をクリックした場合は、次の案内が表示されます。

出力するプリンタの確認です。


「はい」を選択すると、次に合計点の印刷処理の案内が表示されます。


フォントサイズは、40~50程度が適切な場合が多いように思います。半角の数字で入力してOKをクリックしてください。


OKをクリックすると、次の案内が表示されます。


OKをクリックして、合計点印刷位置を指定します。


クリックした瞬間に自動計算された合計点が指定位置に表示され、次のメッセージが表示されます。


よろしければ「はい」を、位置の指定をやり直す場合は「いいえ」をクリックします。「いいえ」をクリックした場合は、再度、合計点を印刷する位置の指定をやり直してください。その際、前回に指定した位置にゴーストというか、残像のようなものが残りますが、実際の印刷時にはゴースト・残像は印刷されません。

「はい」をクリックした場合は、次のメッセージが表示されます。


画面右下の「印刷」ボタンをクリックしてください。

バルーンヒントが案内します。


「印刷」をクリックすると、次のメッセージが表示されます。


OKをクリックすると、プリンタの設定画面が表示されます。この画面はお使いのプリンタにより異なりますが、重要なチェックポイントは次の3点です。

重要 印刷する用紙がA4版であることを確認する

重要 印刷用紙の縦・横指定を答案に合わせて指定する

重要 両面印刷は必ずOFFに設定する

設定画面を閉じると、次のメッセージが表示されます。


「はい」をクリックした場合は、全員分の返却用答案がプリンタへ出力され、次のメッセージが表示されます。


「いいえ」をクリックした場合は、次のインプットボックスが表示されます。

答案の通し番号を入力してOKをクリックしてください。
採点対象がクラスであれば、出席番号となります。


OKをクリックするとプリンタへ印刷データを送信後、次のメッセージが表示されます。


「はい」をクリックすると、再びインプットボックスが表示され、引き続き単票の印刷処理が継続して行われます。「いいえ」をクリックした場合は印刷処理を終了します。画面右下の「終了」ボタンをクリックして、プログラムを終了してください。その際、次の案内が表示されます。

「はい」をクリックすると、プログラムが終了します。

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(9)成績一覧表の作成・印刷

画面右にある「成績一覧表を作成」の「Excelを使わずに作成します!」をクリックします。


画面は成績一覧表作成モードになります。クラス単位の採点である場合は、学年・クラスを指定(選択)します。

重要 予めsNameフォルダに生徒氏名データを用意しておきます。

重要 講座単位の処理の場合も、講座名等で氏名データを準備しておきます。

重要 氏名データの並び順は、答案の並び順と一致させてください。

クラスを指定する場合は、直接入力してください。


講座を指定する場合は、学年・組は「空欄」のまま、「観点区分入力」に進んでください。

設問毎に「知識・技能」は1、「思考・判断・表現」は2を入力します。


観点別評価の区分を入力後、「保存」をクリックしてください。

保存後、「採点結果表示」をクリックして、採点結果の一覧を表示します。

氏名データは架空のもので、得点はダミーデータです。


学年・組を「空欄」で処理していた場合は、ここで「講座等」の名票を選択します。

氏名データは架空のもので、得点はダミーデータです。


次に、合計点が0の生徒について、欠席者であるか(平均点の計算から除きます)・真に0点であるのかを指定する処理を行います。「欠席者を除外」をチェックしてください。


合計点が0の生徒がいる場合は、次のメッセージが表示されます。

試験を欠席していた場合は「はい」を、0点であった場合は「いいえ」をクリックします。
(ここでは「はい」で処理します)


「再計算」ボタンをクリックして、平均点他の再計算を実行します。


プレビューをチェックして、印刷プレビューを表示します。


プレビューをチェックすると、印刷プレビューとともに、次のメッセージが表示されます。

印刷プレビュー画面(氏名データは架空のもので、得点はダミーデータです)


表示されるメッセージ。


プレビューのチェックを外すと、次のバルーンヒントが印刷ボタンを案内します。


「印刷」ボタンをクリックすると、印刷設定のダイアログが表示されます(ダイアログはプリンタにより異なります)。成績一覧表はデフォルトで「A4・縦置き」印刷に設定されます(この設定を変更することはできません)。


OKをクリックすると、印刷データがプリンタへ送信されます。送信が完了すると、次のメッセージが表示されます。


なお、これとは別に、このプログラム用に作成したExcel Book(添付したマクロ有効テンプレートのコピー)へ採点結果を出力し、成績一覧表及び個人成績票を作成する機能もこのプログラムにはありますが、これに関する説明はまた後日、このblogに掲載できたら・・・とも、考えています。が、ほとんど!!どなたにもお読みいただけないであろうMy blogですので、もしかしたらそれは、はるか未来の話になるかもしれません。

ただ、PCの操作及びExcel Bookの扱いに慣れた方なら、このプログラムに添付したマニュアル(以前のバージョンのものなので画面や内容が現行バージョンと若干異なります)と、マクロ有効のExcel Bookの式とマクロをご覧いただければ、操作方法並びに機能の概要はおわかりいただけるのではないかと考えます。

このExcel Bookに対する出力機能は、(ここに掲載した)成績一覧表を独自に作成する機能をこのプログラムに追加する以前に作成し、実際の試験の採点で何回も活用済みのものですが、こちらも動作保証等は一切ありません。もし、お使いになる場合は自己責任でお願いいたします。

以上で、成績一覧表の印刷は終了です。

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2.まとめ

今回、掲載した手書き答案採点補助プログラム(新教育課程観点別評価「知識・技能」及び「思考・判断・表現」の評価に対応)の概要は以下の通りです。

【出来ること】

(1)スキャナーで読み取った答案画像から設問ごとに解答欄を抽出して一括採点。
   ※ 答案画像からの解答欄座標の取得は矩形認識プログラムで(半)自動実行。
(2)解答欄画像の隣に受験者氏名等を表示(予め氏名欄等の読み取り設定が必要です)。
(3)記述式の解答に対する定型文コメントの入力。
(4)採点結果を出力した返却用答案画像の作成と印刷(A4版限定・縦横指定は可能)。
   ※ 得点合計を自動計算、返却用答案の指定位置に印刷可。
   ※ B4やA3の答案画像は、A4サイズに縮小して印刷します。
(5)表計算ソフトを使わずに、成績一覧表(教科担任用)を作成。
(6)成績一覧表データをCSVファイルに出力(観点別評価のうち、2観点の評価に対応)。
(7)拙作マークシートリーダーを利用した試験との併用も可。
   ※ マークシートの読み取りプログラム一式も同梱しています。
(8)PDF化した答案画像をJpeg画像化して採点(添付のPdf2Jpg.exeを使用)。

【出来ないこと】

機械学習による手書き文字の認識にも過去にチャレンジ(〇・× 及びカタカナのアイウエオを判定)したことがあるのですが、どう頑張っても認識率が100%にならない(控えめな表現で9割程度は正しく認識するのですが、解答欄からはみ出した文字や、それは「ア」でなく「つ」と「ノ」でしょ!みたいな文字を構成する部品が極端に離れている字?や、大きく傾いた文字は正しく認識できない)ので、残念ですが、この機能は搭載を見送りました。

〇×記号やカタカナ一文字の認識結果を目視でイチイチ確認するのはどう考えても二度手間です。現時点では、ヒトが行った採点結果を機械にチェックさせる方向で活用した方がいいかもしれません。学習モデルの作成については、Pythonを利用した事例がWeb上に読み切れないほど存在しますが、(僕が実験した範囲では)それらよりMicrosoftのLobeで作成した学習モデルの方が高い認識率を示しました。このことについては当blogの過去記事でその例を幾つか紹介しています。ここで紹介した採点補助プログラムには搭載を見送った自動採点機能ですが、僕の実験結果が何かの参考になれば幸いです。

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3.お願いとお断り

このサイトの内容を利用される場合は、自己責任でお願いします。記載した内容及びダウンロードしたプログラムを利用した結果、利用者および第三者に損害が発生したとしても、このサイトの管理者は一切責任を負えません。予め、ご了承ください。

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マークシートの採点結果通知(個票)及び成績一覧表の作成

ただし、表計算ソフトは使わずに。

マークシートを利用する際、マークをミスなく読み取れたら、次に読み取り結果を適切に処理する作業が待っています。読み取り結果をCSVファイルに出力し、表計算ソフトで作業するのが一般的な処理の流れだと思いますが、表計算ソフトに苦手意識を持つ方が多いのも事実です。

そこでアンケート集計用途ではなく、試験の成績処理用途専用という但し書き付きで、『表計算ソフトを使わない』・『入力作業は必要最小限度に留める』・『作業はほぼクリックするだけでOK!』というコンセプトを決めて、(拙作)マークシート方式で実施した試験の採点結果通知シート(個票)と成績一覧表(教科担任用)の作成にチャレンジ。

完成までにほぼひと月を要しましたが(現場で)動作検証済みの、ここでご紹介する拙作マークシートリーダーへの「後付け」成績処理プログラムが出来ました。

1問1答の採点用途のみに対応(複数マークを抱き合わせて採点する等、複雑な採点方法には対応しておりません)。

【もくじ】

1.採点結果通知シート作成プログラムのダウンロード
2.マークシート画像に採点結果を出力
3.成績一覧表も作成
4.使い方
5.まとめ
6.お願いとお断り

1.採点結果通知シート作成プログラムのダウンロード

今回紹介する採点結果通知シート作成用のプログラム『ReportCard.exe』は単体では動作しません。動作には、下記リンク先に掲載したマークシート読み取り用のプログラム(拙作MS_Reader.exe)が作成したCSVファイル等が必要です。また、動作に必要なフォルダ配置その他の動作環境も、マークシート読み取り用のプログラム用に作成したものをそのまま利用していますので、拙作MS_Reader.exe が動作する環境で実行していただく必要があります。

ここでは採点結果通知シート作成用のプログラム『ReportCard.exe』の動作検証が手軽に行えるよう、Python環境を除いたマークシート読み取りプログラム(最新版Version 1.1.4)に『ReportCard.exe』を同梱する形でダウンロード用zipファイルを作成し、掲載しています。もちろん、過去記事で紹介しているPython環境を組み込めば(・・・と言っても、ダウンロードして解凍したPython39-32フォルダをMS_Reader.exeがあるフォルダにコピペするだけですが)、マーク読み取り部分は、より一層高速に動作します。

Python環境:Python4Delphiを利用して Object Pascal に埋め込んだ Python Script を実行し、Python用の OpenCV でマークシートのマークの有無、マークした番号を読み取ります。(PCによっては)Python Engine の初期化になぜか?すごく時間がかかることもありますが、1回初期化すれば、どのPCでも大変高速に動作します。拙作マークシートリーダーの動作に必要なライブラリをすべてインストールしたプログラム埋め込み用の Embeddable Python 一式が下記リンク先からダウンロード可能です。

この「採点結果通知シート作成」プログラムも、Python環境があれば自動的にそれを利用して動作するように設計してありますが、テストしてみた結果で率直な感想を言うと、やはり初回起動時の(必須)Python Engine の初期化に(PCによりますが)かなり時間がかかる(数分!)ことがあり、僕のPC:Panasonic製Let’s Note CF-QV ではそのようなことはまったく起きませんが、職場で使っているPCではそれが必ず起こります。とにかく Python Engine の初期化に「それなりに時間がかかる」PCでこのプログラムを使う場合は、例えPython環境があっても、起動直後に画面左上の「✅P4D」のチェックを外し、Python環境を利用せずにプログラムを実行していただいた方が良いかもしれません。

【過去記事へのリンクです】

【採点結果通知シート及び成績一覧表作成プログラムのダウンロード】

2.マークシート画像に採点結果を出力

採点結果通知シートのイメージは、こんな感じ(確認画面として表示する手続きは作成しましたが、画像データとして保存する手続きは「その必要なし」と考え、作成しなかったので、これは確認用画面のハードコピーです)。

シートの左上部分を切り取り
シートの右下部分(得点合計等はここに表示)


・・・ですので処理は、採点結果を画面に表示 → そのまま印刷という流れになります。採点の計算は一瞬で終わり、採点画面はすぐに作成できるから、データは保存しません(そもそも保存しておいて、何回も利用するようなモノではないと思いますから)。

まず最初に考えたのは(当たり前ですが)、マーク読み取り結果と配点をマークシート画像に出力(〇の場合は配点=得点となります)し、得点を観点別評価とともにシートの余白(設問番号付近)に表示することです。

正答ならば採点マークと配点(=得点)を表示
不正解の場合、採点マークと配点を表示


採点マークのサイズと水平方向の表示位置は微調整が可能です(ただし、調整結果を保存する機能はありません)。

採点結果の表示位置は、負の数で左・正の数で右に微調整可能

ここで、配点に加え、不正解の場合は正解も表示したくなりました。ただ、記号フォントに縦長の楕円はなかった?・・・と思うので、フォントは好みに応じて選択できるよう、思いつくままにいろいろ設定。

カタチ的には「θ」が最もマークの形状に近い気がします。


ふと、思い立って数字も選べるように設定。

「Num」を選択すると正解のマークの上に数字を表示します


あと、新教育課程では、観点別評価が導入されているので、観点別評価の「知識・技能」は K1、「思考・判断・表現」は K2 として評価の分類も出力できるように設定。正解マークと合わせて表示すると、こんな感じです・・・。

自分的には、コレがいちばん気に入りました!

正解マークの番号を、マークすべき場所に数字で表示する


得点合計と観点別評価ごとの得点合計は(デフォルト設定)シート右下に表示します。もちろん、フォントの大きさは任意の値を設定でき、表示位置は水平・垂直両方向に微調整が可能ですが、こちらも調整後の座標を保存することはできません。


フォントの大きさや表示位置の微調整は、凝り始めたらキリがなくなりそうで、それが表計算ソフトに代わる高い敷居となる可能性(=危険性)を感じ、デフォルト設定で(この程度でまぁいいか?)とユーザーに判断してもらえるよう設定値を調整しました。

すべて控えめな数値を設定しました!
足りない場合は、ちょっと増やせばOKかな?

3.成績一覧表も作成

これがないと採点結果を記録簿に転記し(ここで間違いが発生する可能性があります)、電卓をパチパチ叩いて平均点等を計算するか、一歩進んで、プログラムが出力したCSVファイルを表計算ソフトで処理して、成績一覧表を作成しなければなりません。

転記したり、電卓を使うのは昭和のスタイルだし、働き方改革の流れにも逆行します。CSVファイルを自由自在に操れる方なら、拙作マークシートリーダーには、マーク読み取り結果をCSVファイルに出力する機能を付けてありますから、そちらをご利用ください・・・ってことでOKかな?・・・なんだけれど、「表計算はちょっと苦手で」という方も少なくありません。

PCを使って何かの処理を行うこと自体が、手作業で行ってきた作業を効率よく自動化することに他なりませんから、・・・ほんとうのことを言えば、マークシートリーダーに付属の一機能として最初から成績一覧表の作成機能を付けたかったのですが・・・マークシートリーダー開発当初は、何よりもまず、確実にマークを読み取れることが最重要課題で、それが可能になった時点で実はもう僕自身が(精神的に)ヘトヘトになっていて、(読み取り結果をCSVファイルに出力できれば、あとは表計算ソフトで・・・)みたいな思い(と強い思い込み)があり・・・

新教育課程で導入された観点別評価も、プログラミングして処理するより、表計算ソフトで処理した方がずっと簡単そうに思えたし・・・

同僚からの要望に応え、マークシートリーダーとは別に作成した「手書き答案の採点プログラム」と、マークシートによる解答を併用した採点に対応する場合でも、表計算ソフトは便利だったし・・・

このような諸々の理由から先延ばしになっていた成績一覧表の作成でしたが、2024年、冬、ここで一念発起して、マーク読み取り後の処理に表計算ソフトを一切使わず、ソフトウェアの機能として必要な帳票を出力できるプログラムを書くことに決め、ダミーデータを使って動作確認をくり返し、不具合箇所を発見するたびに少しずつ手直しして、実際に使ってみてどうかという段階にたどり着いたのが、まさに今です。

ただし、どちらかと言えば「採点結果通知シートの方が主」で、成績一覧表は「読めればイイ」程度の、言わばメモみたいなもの・・・表計算ソフトが苦手な方でも、CSVファイルに出力された採点結果を表計算ソフトで開き、得点データを他のワークシートへコピペする作業は可能で、それさえ出来ればあとは協働作業で現場はなんとか動く・・・という勝手な理由で作りは大いに簡素化。

様々な理由から、氏名は「最初の3文字のみ表示」することにしました。
罫線も、横一線のみ。

(氏名と成績はダミーデータです)

ほんとにナイよりマシ・・・というレベルで完成。T_T

プログラムは技術的な知識不足から(だと思うのですが)、罫線が上手く描画されたり、(同じプログラムなのに)PCによっては罫線が予定位置に描画されなかったり・・・。この罫線が上手く描ける場合と、描けない場合の違いがいまだによくわからないのですが、次のようにして無理やり解決?(しましたが、最終的に問題のあるコードは全面的に書き直しました)

【罫線描画問題解決用GUI の勇姿】

CheckBoxとButtonを一つずつ用意


(1)設定 → システム → ディスプレイ設定変更画面の表示を1クリックで行えるボタンを作成。非常の場合は、これで画面の拡大率を100%に戻してもらう。拡大率100%なら確実に予定の位置に描画されるハズ。

・・・と、思ったのですが、結論から言うとこれはダメでした!!

その後、奮闘努力して問題を解決 → (3)へ

ディスプレイ設定を呼び出すコードは1行でOK!

procedure TForm1.btnDispSettingClick(Sender: TObject);
begin
  //usesにWinapi.ShellAPIが必要
  ShellExecute(0, 'open', 'ms-settings:display', nil, nil, SW_SHOWNORMAL);
end;

(2)CheckBoxを利用して「罫線を描画しない」設定を用意する。チェックOFFだと・・・

ある意味では、究極ともいえる罫線問題解決方法。
(これは、ほとんどムチャですな・・・)


(3)罫線の描画に使っていたコードそのものを新たに書き直し、TImage の Canvas と TPrinter のCanvas それぞれに罫線を描画するようにしたところ、罫線が予期しない位置に描画されてしまう問題は解決できました。最初に書いたコードで、(PCにより)罫線が正しく描画される場合とされない場合がある、その本当の理由は未だにわかりませんが・・・

4.使い方

使ってくださる方がいるとも思えませんが、使い方のマニュアルは以下の通りです。

(1)プログラムを起動

「MS_Reader.exe」と同じフォルダにある「ReportCard.exe」をダブルクリックしてプログラムを起動します。

次のメッセージが表示された場合は、「詳細情報」(画像中、赤い枠で囲んで示した部分)をクリックします(プログラムの発行元が不明である場合に、Windows のDefender機能である SmartScreen がこの表示を出すそうです。自分の責任で実行すれば、次回からこのメッセージは表示されなくなります)。

「詳細情報」をクリックします。


すると、次の画面が表示されます。「実行」(画像中、赤い枠で囲んで示した部分)をクリックしてプログラムを起動してください。

「実行」をクリックします。

アメリカでは、採点結果を通知する個票のことを、高校段階までは “Report Card” と呼ぶそうです。Python4Delphiを使用していることを考えると、プログラムの名称に漢字を使用することは、極力、避けたいところです(これは、Pathに含まれる全角文字に関連するエラーに、Pythonスクリプトを書いていて、これまでさんざん悩まされた経験から)。

また、当初、アイコンは濃い目にデザインしたのですが、100 が赤だと目に痛い。そう、痛切に感じた経緯があって、通常アリエナイ色の 100点 をモチーフにしたアイコンにしました。Report Card の文字は、ほぼ読めませんが!「枯れ木も山の賑わい」とお考えいただけたら幸いです。

100 という数字さえ読み取れれば、何をするプログラムなのか?
お使いいただけた方には、わかってもらえるんじゃないかと・・・。

(2)「開く」ボタンをクリックして、ProcDataフォルダ内にある採点結果通知シートを作成したいクラス(or 講座)のマークシート画像を保存したフォルダを選択。

Python環境が利用できる場合は、P4Dに自動的にチェックが入ります。
※ Python Engine の初期化に時間がかかるPCでは、起動時にチェックをOFFにしてください。


選択するのは「ファイル」ではなく「フォルダ」です。


(3)採点結果通知シートを新規に作成する(既存の採点作業の設定ファイルがない)場合は、次の表示が出るのでOKをクリックし、設問数を入力して、画面左に表示されるGridコントロールに必要事項を入力します。


設問数を最初に入力します。


次に、作業の「入力」を選択(オプションボタンをクリック)します。


配点は最も多く設定する値をデフォルト配点として指定(入力)します。


正解とするマークの番号を入力します。

最初だけフォーカスを与えるために入力するGridをクリックしてください。


配点を変更する箇所があれば、正解に続けて入力します。
最後に観点別評価の区分を入力します。「知識・技能」は半角数字で 1 を、「思考・判断・表現」は半角数字で 2 を、それぞれ間違えないように入力してください。

m(__)m:「主体的に学習に取り組む態度」の評価は、この採点システムでは行えません。

観点別評価の入力を行っているところ。


全項目の入力が完了したら、入力に間違いがないことを必ず確認してください。もし、誤りがあれば、ここで確実に発見し、訂正しておかないと・・・、後から大変なコトに・・・。

必要事項をすべて入力し、内容を確認したら採点設定を保存します。

「MySettei.csv」が(上で指定した)マークシート画像のあるフォルダに保存されます。


保存が完了すると、次の確認メッセージが表示されます。

(4)採点ボタンをクリックして、採点を実行します。


表示されている画像の座標情報を記録したテンプレートを選択します。
(テンプレートの作成は、マークシートリーダーで実行)

テンプレート名をクリックして、決定ボタンをクリック。


適切な採点オプションを選択します。


「観点含全部」を選択した場合は・・・

採点記号と配点(正解の場合は得点)、観点別評価の区分を設問番号付近に表示
得点合計と観点ごとの得点合計を右下に表示
空欄と不正解の場合は、正解を表示


前述した通り、正解記号は選択肢から選択して指定できます。

Numを指定した場合は、正解マークの番号が表示されます

(5)画像の切り替え

表示している画像の切り替えはボタンクリックで実行できます。

ボタンは左から順に「先頭へ」・「一つ前へ」・「一つ次へ」・「最後へ」

(6)印刷

「印刷」ボタンをクリックして、採点結果通知シートを印刷します。


クリックすると表示されるメッセージに答えて、全員分 or 個別 印刷のいずれかを選択してください。


用紙の縦横指定を間違えないように注意してください。

(7)成績一覧表の作成

最初に「学年」と「クラス」を選択してください。


選択制の授業等、特別な編成(=「講座」と表現)の名票は出席番号順・氏名のみのデータを予めsNameフォルダ内に分かりやすい名前を付けて、CSVファイルで準備してください。

学年・組は空欄のままにして、「講座名票」ボタンをクリック


ファイルの選択ダイアログが表示されるので、予め作成・保存しておいた講座の名票を選んでOKをクリックしてください。採点結果一覧がGridコントロールに表示されます。

得点等はダミーデータです。


続けて、平均点を正しく計算するため、未受験者の処理を行います。「編集」チェックボックスをチェックしてください。


未受験と思われるデータがある場合、次のメッセージが表示されます。

テストを受験しており、採点結果が0点の場合は「いいえ」をクリックしてください。


得点「0」はすべて未受験として処理した場合、採点結果の一覧は次のようになります。

未受験者のデータを空欄に変更。


「再計算」ボタンをクリックして、平均点等を更新します。


続けてプレビューをクリックするよう案内が出ます。
プレビューをクリックして成績一覧表を表示します(設定はA4・縦、50名/枚で、この設定を変更することはできません)。

なお、受験者数が51名以上の場合でも、プレビュー画面には最初の1枚目の成績一覧表が表示されます。また、任意のページをプレビュー画面に表示する機能は、このバージョンにはありません。

印刷されるデータをプレビュー画面で確認してください。


プレビューに問題がなければ、プレビューのチェックをOFFにして(外して)ください。
印刷ボタンがクリックできるようになります。

印刷ボタンをクリックすると、プリンターへデータが送信されます。受験者数が50名を超える場合は、プリンターへのデータ送信後、印刷最終ページが画面に表示されます。

5.まとめ

今回、拙作マークシート・リーダーのCSV出力を利用するかたちで作成したプログラム(新教育課程観点別評価「知識・技能」及び「思考・判断・表現」の評価に対応)の概要は以下の通りです。

(1)表計算ソフトを使わずに、マークシート方式試験の採点結果通知(個票)を作成。
(2)表計算ソフトを使わずに、マークシート方式試験の成績一覧表(教科担任用)を作成。
(3)マークシート方式試験の成績一覧表をCSVファイルに出力。

6.お願いとお断り

このサイトの内容を利用される場合は、自己責任でお願いします。記載した内容及びダウンロードしたプログラムを利用した結果、利用者および第三者に損害が発生したとしても、このサイトの管理者は一切責任を負えません。予め、ご了承ください。

マークシートリーダー

自分的に必要と思った機能は全部搭載しました・・・が、
プロが作った有償販売できるレベルのソフトウェアではありません。
見た目も、使い勝手も、よくないと思います。
もちろん、無料でお使いただけますが、サポートも、動作保証もありません。
ダウンロードから設定まで、ALL自己責任でお願いします。

快適と感じる速度で動作させるには、かなり高性能なCPU搭載のマシンが必要です。
私のプログラミング技術が足りない部分を、CPUパワーでカバーしてもらってます。
マシンによっては、読み取り結果のチェック等がかなりトロいかもですが・・・

それでも、もし、よかったら使ってください。
Delphiで作ったマークシートリーダーです。


参考 後日、別途ご案内するPython環境を用意していただくと、より高速に動作します!
参考 Python環境で動かす場合、Python Engineの初期化に4~5分かかることがあります・・・

ここで紹介しているマークシートリーダーを用いて読み取った結果をCSVファイルに出力し、これをもとに「採点結果を試験の受験者に通知するシート」及び「試験の成績一覧表」を(表計算ソフトを使わずに)作成できるプログラムです。次のリンク先からダウンロードできます。

リンク先からダウンロードできるマークシートリーダーは、消音機能を追加したバージョンアップ版です。

【使い方のご案内】

1.デスクトップにMS_Reader.zipを展開(解凍)
2.高解像度ディスプレイへの対応
3.マークシート画像の読み取り準備
4.テンプレートを作成
5.マークの読み取りを実行
6.読み取り結果のチェック
7.CSVファイルへの書き出し
8.Excel Book の準備作業
9.Excel Book への書き出し
10.マークシート印刷用紙について
11.まとめ
12.お願いとお断り

どんな環境でも、100%動作する保証はできません・・・が、
私と同じ環境・条件を揃えていただければ、きっと動くと思います。

使用したPC及びOS、開発環境は、次の通りです。

・プロセッサ 11th Gen Intel(R) Core(TM) i7-1185G7 3.00 GHz
・実装 RAM 32.0 GB

・Windows 11 Pro 64ビット版
・バージョン 23H2
・OS ビルド 22631.2861

・Embarcadero® Delphi 12 バージョン 29.0.50491.5718

・設計時の画面解像度は「1366 × 768」です。これ以上の解像度でお使いください。

使い方をなるべく丁寧に説明しますので(マニュアルも同梱してありますが)、まず、ここに書かれている順番で、一通り操作してみていただけたら幸いです。

1.デスクトップにMS_Reader.zipを展開(解凍)

ダウンロードした MS_Reader.zip をお使いのPCのデスクトップにコピペして右クリックするとサブメニューが表示されます。この中の「すべて展開」をクリックしてください。

デスクトップに MS_Reader.zip を展開します。


無事、展開に成功したら、MS_Readerフォルダをダブルクリックして開きます。

フォルダ内に展開されたファイルの中に MS_Reader.exe があります。これをダブルクリックしてマークシートリーダーを起動します。


次のメッセージが表示された場合は、「詳細情報」(画像中、赤い枠で囲んで示した部分)をクリックします(プログラムの発行元が不明である場合に、Windows のDefender機能である SmartScreen がこの表示を出すそうです。自分の責任で実行すれば、次回からこのメッセージは表示されなくなります)。

「詳細情報」をクリックします。


すると、次の画面が表示されます。「実行」(画像中、赤い枠で囲んで示した部分)をクリックしてMS_Readerを起動してください。

「実行」をクリックします。

2.高解像度ディスプレイへの対応

高解像度ディスプレイをお使いの場合の対応方法です。高解像度ディスプレイをお使いの場合、設定から「システム」⇨「ディスプレイ」と順にクリックすると、次のように表示されると思います。

拡大縮小に「150~200」という値が設定されていれば、高解像度ディスプレイです。


この場合、起動したマークシートリーダーの画面が小さくて見えにくいと感じることがあるかもしれません。その場合は、次のように操作してください。

MS_Reader.exe を右クリックして、表示されるサブメニューのプロパティをクリックします。

MS_Reader.exe のプロパティを表示します。


「互換性」タブをクリックします。


高DPI設定の変更をクリックします。


「高いDPIスケールの動作を上書きします。」にチェックを入れて、「拡大縮小の実行元:」は「システム」をComboBoxの選択肢から選択して指定。OKボタンをクリックします。


続けて「適用」⇨「OK」とクリックして設定は終了です。これで画面が見やすい大きさで表示されるようになります。

3.マークシート画像の読み取り準備

デスクトップに展開した MS_Reader フォルダ内に「ScanData」フォルダがあります。この中に練習用のサンプル画像が2種類(解像度150dpiと200dpi)入っています。この画像を用いて説明します。

重要 マークシートは、解像度150~200dpiでスキャンしてください。

重要 1回の操作で読み取り可能な枚数は最大99枚です。

MS_Reader.exe をダブルクリックしてマークシートリーダーを起動したら、画面左上の「画像変換」をクリックし、表示されるメニューの「専用画像を作成」をクリックします。


画像変換用のWindowが表示されたら、画面右上の「選択」ボタンをクリックします。


「フォルダの選択」ダイアログが表示されます。ここでは「Scanner_A」フォルダを選択します。フォルダ名をクリックして、下のFolder欄に「Scanner_A」と表示されたことを確認し、「OK」をクリックします。

スキャンしたマークシート画像は「ScanData」内に適切な名前を付けたフォルダを作成し、必ずその中に保存してください!

重要 フォルダ名にハイフン(-)を使わないでください。

参考 フォルダ名には、文字の他、アンダースコア(_)が使用できます。

注意してください。選択するのは「フォルダ」で、「ファイル」ではありません。
(Scanner_Aをダブルクリックして開いても何も表示されません)


画面は、次のようになります。赤い枠で囲んだ部分にマークシート画像のサムネイルが表示されます。回転の必要性の有無と回転方向を確認してください。


この場合は、回転の必要性「有り」で、回転方向は左90°です。これを「画像の回転」のオプションボタンをクリックして指定します。

左90°のオプションボタンをクリックします。


必要であれば、次に画像のリサイズ指定を行います。リサイズを指定「する・しない」の判定基準は、スキャナーでマークシート画像をスキャンした際の解像度の数値で判断してください。

「Scanner_A」フォルダ内のマークシート画像は、ScanSnap iX1500 のノーマルモードでスキャンした画像で、その解像度は 150dpi です。この場合は、ちょうどよい大きさでマークシート画像が表示されますので、画像をリサイズする必要はありません。

重要 解像度150dpi ・A4横置きの場合、リサイズは必要ありません!

重要 解像度200dpi ・A4横置き・解答マーク欄4列の場合、80%の大きさにリサイズしてください。読み取り後のチェックまで含めて、作業しやすくなります。

マークシート画像の読み取り解像度が 200dpi でも、マークシートがA4横置き、解答マーク欄の列数が3列の場合、リサイズは必要ありません

また、A4以外の大きさのマークシートは使ったことがありません!
(用紙の左上にマーカー画像■■■を入れ、その他はここでダウンロードできるサンプルと同様に作成していただければ、用紙サイズに関係なく動作すると思いますが、試行したことがありませんので確かなことは言えません。ただ、画像のサイズが大きくなればなるほど、動作速度は間違いなく低下します。また、複合機のスキャナーを用いて、マークシートを画像化する際も、B4やA3の大きさだと私が使用している機材ではメモリがいっぱいになるのでしょうか? 30枚程度読み込んだあたりで一旦動作が停止します。数百枚単位での読み取りにはそれなりに時間がかかります。そのような理由から、マークシートに使う紙の大きさはA4サイズ以下が適切だと思います。)

参考:プログラムを書いた本人が言うのもナンですが、自動でのリサイズはおまけ程度にお考えください。
ScanDataフォルダのScanner_Bフォルダに保存されたサンプル画像の大きさは、2338 × 1653
これを自動リサイズオプションボタンを指定して、変換してみます。
ProcDataフォルダのScanner_Bフォルダに保存されたサンプル画像の大きさは、1760 × 1248
いちおう、これでマークシート画像が横方向のはみ出し「なし」で表示されました。

重要 画像のリサイズの有無を必ずメモ(記録)してください!

⇨ 複数クラスのマークシート読み取り時に、同じ設定を適用する必要があります。

重要 大きな解像度の画像を扱う場合、動作速度が大幅に低下します!

回転の有無と方向、リサイズの有無を指定したら、画面中央右にある「参照」ボタンをクリックして、保存先のフォルダを選択します。


「フォルダの選択」ダイアログが開きます。Pathを見ると「ProcData」フォルダが指定されていることがわかると思います。なお、Procは「Processed(加工済み)」という意味です。

プログラムは「ScanData」フォルダで指定したフォルダと同名のフォルダを「ProcData」フォルダに自動作成します。この自動作成されたフォルダをクリックして選択します(しつこいようですが、選択するのは「フォルダ」で、「ファイル」ではありません)。下のFolder欄に「Scanner_A」と表示されたことを確認し、「OK」をクリックします。

読み取り用のマークシート画像は、必ず「ProcData」内の自動作成されたフォルダに保存してください!

重要 ProcData以外のフォルダには画像を保存しないでください。

読み取り用画像を保存するフォルダは自動で作成されます!
(自動作成されたフォルダをクリックして選択してください)


「変換実行」をクリックします。

回転とリサイズの有無を指定して「変換実行」をクリック!


次に表示される案内メッセージには「いいえ」を選択してください。


このマークシートリーダーとは別に、手書き答案の採点プログラムを作成しました(準備が整い次第、公開する予定です)。このマークシートリーダーは、そちらと連動しての動作も可能な設計にしてあるため、このメッセージが表示されます。

画像の変換が完了すると、メッセージが表示されますので、OKをクリックします。


変換された読み取り専用画像のサムネイルが表示されます。作成された読み取り用の画像ファイルには連番の名前が自動的に付きます(自動生成されたファイル名は変更しないでください)。

重要 Python環境を利用する場合はファイル名は必ず連番にしてください。

画像処理のアルゴリズムは、GDI+を利用しています。画像の回転とリサイズが伴う場合は、変換に時間がかかります。処理が完了するまでお待ちください。

(後日、別途ご案内する予定の)手書き答案の採点プログラムと併用する場合は、採点やり直しのために必要な画像もここで作成します(Loopが二重にまわり、時間も2倍かかります)。

クラス別に処理する場合は、「画面の初期化」ボタンをクリックします。
変換元フォルダの選択から、画像の変換処理を再実行できます。

画像の変換処理が完了したら、「終了」ボタンをクリックして、この画面を閉じます。

参考:画像を変換する理由は以下の3つです!
(1)Jpeg画像のサイズを最適化するため(全体が画面内に収まるようリサイズしてください)。
(2)画像の名前が連番になるよう、自動的にリネームするため。
(3)証拠画像としてのオリジナルを残したまま、読み取りに最適な大きさの画像を生成するため。

4.テンプレートを作成

次に、マークシートの情報を記録した読み取り用のテンプレートを作成します。これを作成することにより、同じ採点を複数クラスに対して実行したり、設定(縮小処理の有無を含む)が同じマークシートを異なる考査での使いまわしが可能となる・・・

・・・ように設計したのですが、実際には使いまわしがなんとなく不安なので、考査毎にテンプレートを再生成して運用しています。ですので、同じ設定(大きさ)のマークシート画像の情報を記録したテンプレートの使いまわしが可能か・どうか、これについては未確認です。

「確実なマークシート読み取りを実行する」ためには、お手数をおかけしますが、試験ごとに使用したマークシートのテンプレートを作成していただくのが最良の方法であると思います。

メニューの「2 テンプレート」をクリックして表示されるサブメニューの「テンプレートの新規登録」をクリックしてください。別のWindowが開きます。


画面右上の「取得」ボタンをクリックします。


今度は「ファイルを選択」するダイアログが表示されます。任意のマークシート画像を選んでください(1番のファイルを選ぶ方が多いのではないでしょうか?)。ファイルをクリックしてファイル名を取得し、「開く」をクリックします。

マークシート画像のサムネイルをクリックするとファイル名が取得できます。


画面は次のようになります。

このプログラムでは、マーカー(特徴点)画像を利用してマークシートのマーク位置を計算しています。ですので、このプログラムで処理するマークシートには必ずマーカー(特徴点)画像が必要です。

重要 マークシート左上にマーカー画像(■■■)を必ず用意します。

重要 マーカー画像は、マークシート1枚に1つだけ用意します。

画面右の操作パネル上段にある「マーカー」オプションボタンをクリックして選択状態にします。

「選択対象」の「マーカー」オプションボタンをクリックしてください。


マークシートの画像が拡大表示され、マウスのカーソルが大きな「+」になります。

マーカー画像の「左上」をクリックし、ボタンを押したまま「右下」へドラッグしてください。画像上には点線のラバーバンドが表示されます。

マーカー画像の左上を左クリックして、マウスの左ボタンを押したまま、マーカー画像の右下へドラッグ。
点線のラバーバンドでマーカー画像が囲まれます。


ドラッグ中の画像です(わかりやすさのため、マーカー画像より大きめにドラッグしています)。

黒点線がラバーバンドを示します。


マーカー画像の座標を正しく取得できる例です。

マーカー画像とラバーバンドがぴったり重なるようドラッグしてください。


マウスの左ボタンから指を離すと、取得できたマーカー画像が画面右側に表示されます。

数値は、画像左上からの距離です。

マークの読み取り時、プログラムは、コンピュータの眼である「OpenCV」のテンプレートマッチングの機能を利用して、まず、最初にマークシート画像中にあるこのマーカー(特徴点)画像を探し出します(これはマークシート画像1枚1枚について必ず行います)。

次に、マーカー(特徴点)画像左上隅を原点(0,0)として、テンプレートに記録されたマーク欄の座標からマーク一つ一つの位置を割り出して、これを切り抜いて画像化(正確に言うと、マークの切り抜き処理前に、ボカシ・二値化・白黒反転の各処理を行い、マークの切り抜き後に白面積計算処理を行って)、マークの有無を判定しています。

この方式の利点は、印刷そのものが左右にズレでも、マーカー画像と解答欄の相対的な位置関係は一定で変わりませんから、印刷がズレすぎて解答欄が印刷されなかった場合以外は、必ずマークの位置を探し出せる(=マークの有無を判定できる)ことです。

事実、輪転機で印刷(非推奨ですが!)して、チェックから漏れた(チェックしなかった?)、正しい位置から印刷が5cmくらいズレたマークシートも、このプログラムでなんの問題もなく読み取れました・・・。印刷のズレを申告せず、そのまま解答して提出する受験者も受験者ですが・・・。A4横・4列のシートで、解答には3列めまでしか使わなかったから「4列めはなくてもOK! 大丈夫」と思ったのでしょうか? それともただ単にめんどくさかったのでしょうか? たぶん、後者だと思いますが・・・

次は、そのテンプレートマッチングの機能をテストします。画面右にある「マーカー画像の読み取りテスト」ボタンをクリックしてください。テンプレートマッチングが正しく実行されると、マーカー(特徴点)画像が太い赤枠で囲まれます。


表示されるメッセージをお読みいただき、「OK」をクリックしてメッセージを閉じてください。


結果が良好であれば「選択対象」グループの「解答欄」をクリックします。


次に、マークシートのマーク(解答)欄の「行数」と「列数」及び「選択肢の数」を指定します。


マークシートの列数・行数・選択肢数の数え方は次の通りです(Scanner_Aフォルダにあるマークシート画像は、A4横置き・3列・25行・8選択肢の形式です)。


ですので、これを次のように設定します。


ComboBox に正しく設定を入力したら、その下の「採点方法の設定」の座標「1列」のオプションボタンをクリックして選択状態にします。マウスのカーソルが大きな「+」になります。


第1列目のマーク(解答)欄の座標を取得します。マーカー(特徴点)画像の時と同様、第1列の枠のうち、設問番号欄の矩形を除いた選択肢のマークが印刷されている欄の矩形の左上隅を(左)クリックして、そのままボタンを離さずに、枠の右下隅へドラッグします。この作業は正確に、慎重に行ってください。この作業の良し悪しでマークの読み取りの可否が決まります。

極めて重要 設問番号欄を含めて指定してはいけません!

極めて重要 指定するのはマーク欄のみ!

プログラムは、ここで取得した座標値(矩形の高さ)を行数で割り算して列を設問毎1行ずつに切り出し、さらに切り出した1行を選択肢数で割って1つ1つのマークを切り出し、その塗りつぶし面積を計算して、マークの有無を判定しています。

マーク(解答)欄の枠線と、表示されるラバーバンドがぴったり重なるようにドラッグしてください。

※ 下図は2つともドラッグ直後の結果を示しています(〇はドラッグ開始点と終了点です)。

マーク欄第1列めの左上隅を(左)クリックしてそのまま指を離さずに右下隅へドラッグ


ドラッグ中は、黒点線のラバーバンドが表示されます。これを目安に位置決めを行ってください、

画像中の〇印の位置までドラッグします。


指を離すと、ドラッグした範囲が赤い矩形で囲まれます。画面右側に取得できた座標が表示されます。


「再範囲選択」ボタンをクリックして、座標の取得をやり直すこともできます。


1列目が済んだら、同様にして2列目の座標を取得します。この作業を「マークシートの列数」分だけ繰り返します。

すべての列の座標を取得できたら、「保存」ボタンをクリックして取得した座標を保存します。


「保存」処理が完了すると、次のメッセージが表示されます。

参考:テンプレートの名前について
例 N_R25C03S08
N:ノーマル(通常の大きさ:解像度150~200dpi)
R:Row(行数)は25行
C:Col(列数)は3列
S:Selection(選択)は8個


「二値化テストの実行」ボタンをクリックすると、第1列めを「平滑化(ぼかし)処理&白黒反転して二値化」した画像の状態が確認できます。「マークあり」の部分が白く表示されていればOKです!
(プログラムは、この白部分の面積を計算して、マークの有無を判定しています)

「終了」ボタンをクリックして画面を閉じ、マーク(解答)欄座標の取得作業を終了します。

二値化テストを実行した場合は、終了ボタンをクリックする前に、保存ボタンをクリックすることを忘れないでください!

二値化の閾値と平滑化(ぼかし処理)のパラメータは、まずデフォルト設定でお試しください。

5.マークの読み取りを実行

これでマークを読む準備ができました。メニューの「テンプレート」をクリックし、表示されるサブメニューの「テンプレートの選択」をクリックします。


次のように、テンプレートを選択するWindowが表示されます。マークシートの形式に合ったテンプレートをクリックして選択し、決定をクリックします。

シングル/ダブルとあるのは、数学や教科「情報」のテストで、マークシート2枚1セットの採点を行うための設定です。選択肢数が16のマークシートを選ぶと、この設定も選択できるようになります(選択肢数が16未満のマークシートでは、この設定は利用できません)。

数学及び教科「情報」用の設定は、後日別記事として掲載する予定です。


次のメッセージが表示されます。「はい」をクリックしてください。


マークの読み取りを実行したいマークシート画像のあるフォルダを選択し、「Ok」ボタンをクリックしてください。


保存してあるマーカー(特徴点)画像をもとに、自動的にテンプレートマッチングが行われ、見つかったマーカー(特徴点)画像から、マークシートのマーク(解答)欄第1列第1行目の座標が計算され、それぞれが赤い矩形で囲まれて表示されることを確認してください。

Python環境を利用する場合(ここでワンクッション置くような感じで)テンプレートマッチングにしばらく時間がかかることがあります。同じプログラムを走らせているのですが、PCにより、このフリーズしたような時間の長さが極端に違うようです・・・、その辺の理由が私にはさっぱりわかりませんが・・・。

Python環境利用時に、この画面が表示されるまで、フリーズしたようになることがあります!


ここまでの設定操作が順調に進行していれば(抜け・落ち・欠けがなければ)、間違いなくテンプレートマッチングが成功し、マーカーと1列1行目が赤い矩形で囲まれるはずです。次のメッセージが表示されますので、お読みになったら「OK」ボタンをクリックしてください。


「読む」ボタンをクリックすると、マークシートの読み取りがスタートします。


画面下部の StringGrid に読み取り結果がリアルタイムで表示されます。また、読み取り完了後、処理にかかった時間が画面左下に表示されます。


8選択肢・25行・3列だから、合計600マーク ×3枚=1800マークの読み取りで、早ければ2013ミリ秒、遅くて2467ミリ秒で読んでます(PCの性能により、この値は変わります)。


遅かった方で1マークあたりの読み取り時間を計算すると、

2.467秒 ÷3≒ 0.82秒/枚
0.82 ÷ 600 ≒ 1.4ミリ秒/1マーク

そう書くと、すごく早いような気がしますが・・・

600マーク3枚で2.5秒だから、30枚ならその10倍で25秒かかります。平均的な高校の1学年分の生徒数を1学年8クラス320名とすると、さらに10倍で280秒程度、約5分処理時間が必要です。

300名分、5分だと慣れてくるとちょっと遅く感じてしまうかな? みたいな気が・・・

このプログラムには、内部的にPython環境を組み込んで高速動作させるモードがあります。数学用途の16選択肢・25行・3列で1200マーク/枚のマークシートで処理速度を計算・比較してみます。
(組み込みPythonの利用方法は後日ご案内します)

まず、Python環境を利用しない場合、1200マーク×40枚=1クラス分の48000マークを読むのにかかった時間が・・・


約78秒です。2枚1セットのダブルモードならその倍になります。
1枚(1200マーク)読むのに1.95秒かかってます。

次に、Python環境を利用した場合です。同じ読み取り条件で実験すると・・・


約11.5秒。8クラスあっても2分かかりません。ダブルモードでも4分未満。
1枚0.3秒未満で読み取ってます。

何やってもダメな自分にしては、よく頑張ったって正直、思います・・・。
よほど、びみょーなマークでない限り、期待した通り、ほぼ正しく読み取ってるし・・・。
かあさん、オレ、がんばったよ☆☆☆

まぁ このプログラム作成そのものに50万枚くらい採点できる時間をかけてますから・・・

それと合算すれば、
たぶん、プラマイ0ですー!!

6.読み取り結果のチェック

マークシートリーダーで最も重要な部分は、マーク読み取りの正確さであることは言うまでもありませんが、読み取り結果のチェック機能も非常に重要であると考えます。

人によってマークの濃さや大きさは少しずつ異なり、また、マークを訂正した箇所に残る消し跡も判定に少なからぬ影響を及ぼします。常に100%正しい読み取り結果が保証されないのが現実ですから、如何に効率よく、読み取り結果をチェックできるかで、プログラムの使用感はずいぶん変わってくると思います(CPUパワーにかなり依存したプログラムを書いておいて、そう言うのもナンですが・・・)。

自分自身の書いたものがベストだなんて、到底、思えませんが、このプログラムを書くにあたり、マークの読み取り部分と同等か、それ以上に頑張って書いたのが、この読み取り結果のチェック部分です。

機械との協働。機械との融和。これをテーマに、ヒトと機械とが一体化しての「快適なチェック作業」の実現を目指しました。

・・・が、プログラミング技術の未熟。自分自身の勉強不足。見い出した妥協点。等々の理由により、視覚による機械と協働してのチェックも、聴覚(音声出力)による機械と協働してのチェックも、いずれも全面的にマシンのCPUパワーに依存した、もっさりした感のある処理となってしまいました・・・。

処理性能の高いマシンなら、それなりに快適に作業できると思うのですが。以下、チェック機能の使い方です。

マーク読み取り結果のチェックを実行。


上の図の左のGUIから説明します。

白紙にチェックすると、マークがひとつもないシートのチェックは行わない(飛ばす)設定で動作します。この機能はデフォルトでON(チェックあり)です。

マーク(解答)がなかった場合の読み取り結果の表示が「999」です(デフォルトOFFです。このプログラムでは、「空欄」のフラグを「999」としています。マークの番号にも、得点にも「999」は通常ないことがその理由です。ちなみに複数マークは「99」と表示しています。色は「999」が「青」、「99」が「赤」です。少しでも視覚に訴えた方がチェックしやすいと考えました)。

ごく薄い色でマークされた答案が混じっていないことが大前提ですが、答案全体(1クラス分!)のマークの濃さが十分「濃い」と保証されていれば、チェック開始時のみ「999」のチェックを外してチェック(機械がきちんと空欄を識別していることをヒトが目視して確認)、で、確実に空欄を見分けていることが確認できたら、「999」にチェックして続行。こうすれば大変スムーズな確認作業を実現することができます。あくまでもごく薄くマークされたシートがないことが大前提ですが・・・

いずれにしても「Check!」ボタンをクリックすると、プログラムは次の「空欄(999)」もしくは「複数マーク(99)」を探し、それが見つかった場合は該当箇所を赤い矩形で囲んで表示します。処理性能の高い(CPUパワーのある)マシンであれば、それなりに快適に動作しますが、そうでない場合は、かなり「もっさり」した動作になりますので、イライラするかも知れません。ごめんなさい。

【空欄と判定した場合】

マークがない場合の表示例(設問番号25が空欄であった場合)

【複数マークありと判定した場合】

複数マークと判定した場合の表示例(設問番号43が複数マークであると判定)


複数マークの判定はパラメータ設定を厳し目にしてあります(上の図はそれがわかるよう、大きめに表示しました)。ごく小さなシミは「平滑化(ぼかし)」処理である程度消えますが、ある程度の面積があるシミや汚れは上のように複数マークと判定されます。

いずれの場合も、ヒトの眼で確認して、訂正の必要がなければ「Check!」ボタンをクリックしてチェックを続行。読み取り結果の訂正が必要な場合は、正しい値を直接入力します(上の場合であれば「2」と入力してください)。


【処理をスキップして次のシートへ】

「Skip」ボタンをクリックすると、現在チェックしているシートの残りの部分のチェックを省略し、次のシートのチェックへ移動します。チェック対象シートの残りの行が全部空欄であった場合などに利用してください。


【チェックの再実行】

「ReDo」をチェックすると、初めからチェックを再実行できます。

ReDoにチェックすると表示されるメッセージ①
ReDoにチェックすると表示されるメッセージ②


【音声読み上げ】

読み取り結果が表示されているStringGridの任意の行をクリックして、「▶」ボタンを押すとWindowsに標準搭載されている日本語の音声合成エンジン(Microsoft Haruka Desktop)の音声で読み取り結果をアナウンスしてくれます。

マークの読み取りが正しく行われているか・どうか、少しでもラクに確認できないかと考え、この機能を搭載しました。処理性能の高いマシンでないと快適な動作は期待できませんが、CPUパワーのあるマシンであればそれなりに使えると思います。

「▶」ボタンの下にある「×」ボタンをクリックすると、音声読み上げを途中で中止することができます。


【列を指定して、任意の行からその列の最後の行までのチェックをスキップ】

数学用のマークシート等で、第1問の解答をシート第1列にマーク、第2問の解答をシート第2列にマーク、第3問の解答を・・・というような設定にしたい場合、「指定列の任意の行から最後の行までをチェックの対象から外す」ことができます。以下、その方法です。

任意の行を指定して、その行以降のチェックをスキップできます。


図のいちばん左にある「Skip」にチェックすると、この機能が有効になり、続けて「Check!」ボタンをクリックすると、ここでの設定に基づいたチェックを実行できます。

上の例であれば、1列目25設問あるうちの20設問目以降25設問目までのチェックをスキップ(チェックは19設問まで実行)、2列目は設問番号26から始まるので34設問目以降50設問目までを、3列目は設問番号51から始まるので70設問目以降75設問目までのチェックをそれぞれスキップします。スキップの設定はComboBoxへ入力した指定値「以降」であることにご注意ください。

また、シートの型式により、列の指定の可否をプログラムが自動的に判断し、ComboBoxのEnabled プロパティが設定されます(上の例では4列目は指定不可)。

「覚」ボタンをクリックすると、現在の設定を ini ファイルに書き込んで記憶します。「消」ボタンをクリックすると「設定なし」の状態に初期化できます。

数学用途等で2枚1セットの処理を実行する場合は、1枚目と2枚目を分けてスキップ処理の設定を行うことができます(数学用途の処理方法は後日掲載します)。

7.CSVファイルへの書き出し

マークの有無の読み取り結果は、CSVファイルとExcel Book への書き出しが可能です。

【CSVファイルへの書き出し】


「ファイルへの出力」にある「CSV」をクリックして選択し、「書き出し」ボタンをクリックしてください。


上記の場所にCSV形式で、読み取り結果が出力されます。

フィールド名として1行目に「設問番号」、レコード名としてA列に「マークシート番号」が書き込まれます。

8.Excel Book の準備作業

【Excel Bookへの書き出し準備】

Excel Book への読み取り結果の書き出しは、自分用に(あれば便利かなー☆)と思って作成したものです。ですので、式の入ったセルを保護する等、第三者が使うことへの配慮は何一つ行っていません。セルに入力された式やVBAの内容をご自身でメンテナンスできる方なら、お使いいだけるかな? という程度のシロモノです。

添付した Excel Book はこれまでに何度も「実際に使用して動作に誤りがないことを確認済み」ですが、誤って式を削除したりした場合は(当然ですが)意図した通りに動作しません。ですので、こちらも動作保証は一切ありません。ご使用はあくまでも自己責任でお願いします。この Excel Book に対しても、このプログラムの使用要件にあります免責事項がそのまま適用されますことを申し添えます。

以下、試験実施前に行っておくとよい採点準備作業です。

eFile フォルダに「一般用マークと手書き併用採点シート.xltm」というマクロ有効テンプレートがあります。これをダブルクリックすると「一般用マークと手書き併用採点シート1.xlsx」という名前で新しい Excel Book が作られます。拡張子に注意してください。「.xlsx」です。このままでは期待通りに動作しませんので、適切な名前を付け、拡張子を「.xlsm」(マクロが有効な Excel Book )に変更して eFile フォルダ(必ずこのフォルダに保存してください!)に保存します。

ここでは test.xlsm という名前で保存したことにして説明を続けます。

「コンテンツの有効化」をクリックしてマクロが実行できるようにしてください。


【インターネットからダウンロードしたマクロ有効 Excel Book の取り扱い】

いつからこうなったのか、わかりませんが、インターネットからダウンロードした拡張子 xlsm の Excel Book をダブルクリックして開くと、次のメッセージが表示されるようになりました。

「編集を有効にする」をクリックすると・・・
マクロを動かすことができません!


こうなった時は、いったん Book を閉じて、その Excel ファイルを右クリックして表示されるサブメニューのプロパティをクリックして、全般タブのいちばん下にある「セキュリティ:」の「許可する」にチェックします(チェックする=マクロの実行をご自身の責任で行うことになります。どうか、ご注意ください)。

全般タブの下の方にあるセキュリティの設定。
マクロの実行をご自身の責任で行う場合は、「許可する」にチェックしてください。


「許可する」にチェックした状態で、「適用」をクリックすると「セキュリティ」の表示そのものが消えます。「あなたの責任でマクロの実行が可能になりました」ということなのでしょう。「OK」をクリックしてプロパティの設定画面を閉じます。


これでマクロが実行できるようになります。


【欠席者がいた場合】

Excel Book を利用して採点する場合、大変重要な注意事項があります。それは欠席者がいた場合の処理です。該当試験に欠席者がいる場合は、その欠席者の出席番号位置に未使用のマークシートを挿入し、シートが確実に出席番号順に並んでいることを確認してから、スキャナーでスキャンしてください。
※ 可能であれば、この用途専用に未使用のマークシートを複数枚、最初から手元に準備しておくとよいと思います。

重要 未使用のマークシートを欠席者の出席番号位置に挿入しておく!

これを忘れると、あとから「すーぱーめんどくさい」コトになります(もし、忘れたらマークシートのスキャンからもう一度、採点をやり直した方が効率がいいかもしれません)。


【受験者の氏名データを準備する】

test.xlsm をダブルクリックして開き、「コンテンツの有効化」を行ったら、いちばん最初に「名票への貼付元名票」シートをクリックして開き、ここに「採点対象者全員分の氏名」を準備してください。

もっとわかりやすく言うと、採点したいテストを受験した生徒全員の「クラス・出席番号・氏名・ふりがな・性別」データを「クラスごと」に「出席番号順」で、「名票への貼付元名票」シートに用意します。なんで「ふりがな」まで必要なのか? 疑問に思う方もいらっしゃるかもしれませんが、最近の若い方々のお名前は難読である場合が多く、採点結果を個票でお知らせする際に、個票の氏名欄のところに「ふりがな」も印刷しておくとスムーズに答案返却が行えます。そのための「ふりがな」準備です。

また、テストの受験者全員分の氏名データを1シートに準備する理由は、次のような使い方を想定しているからです。

(1)同じテストを受験 ⇨ クラス毎に採点用 Excel Book を用意するのは非効率的。
(2)採点用 Excel Book は1個だけ作成し、これをコピーして全クラス分を作る。

具体的には、eFile フォルダの Excel Book(test.xlsm)をコピーして、クラス別(AHR.xlsm)に名前を変えて MS_Reader.exe がある場所に保存。採点結果もコピーした Excel Book(AHR.xlsm) に書き込みます。さらに、この作業はすべてプログラムから自動実行します。

採点者は、採点結果が書き込まれた Excel Book(AHR.xlsm)を開いて、「名票への貼付元名票」シートに用意した氏名データから「A組の受験者の氏名データ(クラス・出席番号・氏名・ふりがな・性別)を範囲選択してコピーし、「名票」シートに値のみ貼り付けます。

こうすることで同じ内容のファイルを複数個準備することなく、言わば「採点原本」として利用する Excel Book を1つ作成するだけで、試験を実施した全クラス分の採点が可能となります。

ここでは「クラス」と表現しましたが、用意する氏名データを適宜変更すれば「講座」等の採点もまったく同じように行えます。※ プログラムの仕様としては、1回の採点作業で採点する人数を100名以下と想定していますが、実際の採点作業は1採点40名程度で行っています。ですので、40名程度を1つのまとまりとして採点していただく方向でお考えください。


【正解を入力】

氏名データの準備が完了したら、「正解」シートをクリックして表示し、設問毎に「正解」の選択肢の番号を入力します。設問がない場合(無解答でよい設問番号の欄)は空欄のままにしておきます。入力したら、入力内容に間違いがないか、よく確認し、上書き保存してください。

正解の入力を間違えるとたいへんなコトになります!
慎重に入力し、最低2回は間違いがないことを確認してください。


【配点を入力】

次に、「マークシート配点」シートをクリックして「配点」を入力します。入力と同時に合計が自動的に計算されます。入力が完了したら上書き保存してください。なお、この配点表の下には観点別評価の表もありますが、この表には一切入力しないでください(観点別評価の表は入力禁止です)。

配点を入力すると「合計」が自動計算されます。
確認作業にお役立てください。


【観点別評価の区分を入力】

次に、「マーク&手書き観点別評価」シートをクリックして「観点別評価の区分」を入力します。
「知識・技能 ⇨ 1」、「思考・判断・表現 ⇨ 2」として設問毎に、半角数字で入力してください。デフォルト設定では、すべての設問に「1」が入っています。解答を要しない設問は「空欄」にしてください。入力したら上書き保存します。


以上で、試験実施前の準備は終了です!

9.Excel Book への書き出し

重要 すべての Excel Book を閉じてから実行してください!

危険 Excelが起動した状態で実行すると重大なエラーが発生します!

Excel へデータを書き込む際は、上記注意事項を必ずお守りください。この注意を忘れて Excel が起動したまま、Excel Book への書き込みを実行すると最悪の場合、Excel のプロセスが幽霊のように残り、これを終了することが出来なくなって、復旧するには、システムの再起動しかない状態になります。未保存の重要なデータがあるような場合、当然そのデータは失われます。Excel Book へのデータ書き込み時は、Excel が起動していないことを(タスクバーに眠っている Excel Book がないことも含めて)十分確認した上で、書き込み作業を行ってください。


【書き出し処理】

マークシートを読み取り後、読み取り結果のチェックまで完了したら、Excel Book への読み取り結果の書き出しが可能となります。次のようにマークシートリーダーを操作してください。

最初に、ファイルへ出力の Excel のオプションボタンをクリックして選択します。すると、その右側にある「選択」ボタンがクリックできるようになりますから、このボタンをクリックしてください。


ファイル選択のダイアログが表示されますので、読み取り結果を書き込む Excel Book をクリックして選択し、その後、下にある「開く」ボタンをクリックします。Pathの指定は、デフォルトで eFile フォルダになっています。準備作業で作成した test.xlsm を eFile フォルダに保存したのは、この読み取り結果を書き込む Excel Book を選択する作業を円滑に実行するためです。


次のメッセージが表示されます。

重要 ここで Excel が起動していないことを必ず確認してください!

選択した Excel Book が書き込み先として表示されていることを確認し、「書き出し」ボタンをクリックします。


書き込みには、しばらく時間がかかります。次のメッセージが表示されるまでお待ちください。


すぐに書き込み結果を確認する場合は、「はい」をクリックします(ここでは「はい」をクリックしたものとして説明を続けます)。

「はい」をクリックした場合は、エクスプローラーが自動的に開きます。先ほど選択した「test.xlsm」のコピーが「Scanner_A.xlsm」として、eFile フォルダではなく、MS_Reader.exe のあるフォルダに生成されています。


ファイル名がなぜ「Scanner_A.xlsm」になったかというと、マークシートの読み取り元フォルダとして選択したのが、ProcData\Scanner_A であったためです。プログラムは、マークシートの読み取り元フォルダの名称をそのまま、原本「test.xlsm」をコピーして生成する読み取り結果書き込み先 Excel Book の名称として利用します。

マークシートの読み取り元フォルダの名称が、Excel Book の名称になります!


マークシートの読み取り元フォルダの名称が「R05_情報Ⅰ_1A」であれば、MS_Reader.exe のあるフォルダに「R05_情報Ⅰ_1A.xlsm」が生成されます。

ここは、この仕様に慣れるまで混乱が生じやすいところと思われます。しかし、この仕様(仕組み)を十分に理解して、マークシートリーダーを使いこなしている職場の同僚からは「よく考えられた採点システムだと思います」と言ってもらえました。うれしかったなー!!


【成績一覧表の印刷】

生成された Excel Book をダブルクリックして起動します。起動したら「名票への貼付元名票」タブをクリックして開き、採点対象クラス(等)の氏名データを範囲選択してコピーし、「名票」タブをクリックして B3 セルに値のみ貼り付けます。次に「採点」タブをクリックしてください。次のような画面が表示されます。「氏名がある場合のみチェックする」ボタンをクリックしてください。画面上方に表示されている平均点が正しく再計算されます。なお、欠席者の得点は「0」と表示されていますので、この場合は手動で「受験確認」のチェックを外し、平均点の計算対象から除外してください。

「氏名がある場合のみチェックする」をクリックしてください。


このシートは通常の印刷操作で印刷できます。ただし、デフォルト設定で100名分を2枚に分けて印刷する仕様となっているため、成績一覧表が1枚でよい場合は、次のように指定して1ページ分のみ印刷を実行してください。

成績一覧表を1枚だけ印刷したい場合の設定


【観点別評価を行う場合】

観点別評価を行う場合は、「正答率」タブをクリックして、上と同様の操作を行ってください。欠席者がいた場合の処理も同じです(このシートは印刷しません)。


【個票の印刷】

最後に、試験の採点結果を受験者に知らせる成績個票を印刷します。よー書いた。さすがに私も疲れました。あと、もぉちょっとです!

「個人表」タブをクリックします。次のような画面が表示されます(表示倍率は異なります)。まず、考査名と科目名を入力してください(忘れやすい部分です! ご注意願います)。印刷はVBAでマクロを組んであります。設問数に合った「印刷(QXX)」ボタンをクリックしてください。

重要 セルを保護していません。誤って式を消さないでください!


次の印刷フォームが表示されます。開始番号と終了番号を入力し、「印刷実行」をクリックします。

重要 印刷は途中で中止できません!

VBAではプログラム書いてない!のに、Engterキー押し下げでフォーカスが移動します・・・

この印刷は Excel の仕様上、印刷データをためてからイッキにプリンタへ送信という方法が取れません。1枚ずつ送信しますので、ちょっとギクシャクした感じで印刷が実行されます。プリンタが壊れているわけではありません。


【個票を個別に確認したい場合は?】

受験者個々の個票を確認したい場合は、A2 セルに「採点」シートの通番を入力します。いろいろなクラスの生徒が混在した講座の処理に対応するため、入力値は「出席番号とは異なる」ことにご注意願います。

採点シートの通番を入力します!


個票を確認したい受験者の通番は「採点」シートを表示して確認してください。

受験者の通番を確認します。


【壊しちゃったときは?】

個人表シートを壊してしまった時は、次のようにすれば直せます。「個人票_Back」タブをクリックします(このシートは絶対に非表示にしないでください)。A 列の左、1行めの上(図の〇印を付けた部分)を右クリックしてシート全体を選択し、表示されるサブメニューのコピーをクリックします。

A 列の左・1行めの上を右クリック!
シート全部をコピーします。


個人表シートに戻って、先ほどと同じ A 列の左・1行目の上を右クリックして表示されるサブメニューの「数式fx」をクリックします(罫線データ等を壊してしまった場合は、すべてを貼り付けます)。

数式が壊れた場合は数式を貼り付けます。
面倒な場合は、いちばん左の全部「貼り付け」でもOK!

10.マークシート印刷用紙について

紙の「白さ」の度合いを「白色度」というそうです。このマークシートリーダーで読み取りに使用したマークシートはすべて「再生紙 or 再生コピー用紙」と呼ばれる紙に印刷したものです。

ですから、ここで紹介したマークシートの読み取り結果は、すべて「白色度70%」前後の「再生紙」に印刷してのもので、ホームセンターで一般的に販売されているような「白色度」が「再生紙」よりはるかに高い「真っ白に見える」用紙を用いての読み取り結果ではないことに、十分ご注意願います。

マークシートの印刷に使用する紙の「白色度」によっては、読み取りパラメータ設定の見直しが必要になるかもしれません(私自身は、実験・試行していませんので正確なことはわかりませんが)。入手可能なすべての紙について、実験することは現実的に無理でありますので、マークシートを印刷する用紙については、本ソフトウェア使用者の責任で十分な試行を行い、確実に動作するパラメータ設定を行った上で、このプログラムをお使いいただけますよう、お願いいたします。

印刷はインクジェットプリンタで行うことを推奨しましたが、長期にわたって使用していない(メンテナンスもしていない)インクジェットプリンタ(複合機)では、インクの吸い込みに問題が生じ、「いくら調整しても・何度クリーニングを行っても」期待した濃度での印刷ができないということも経験しました。サービスマンの方に伺ったところ、「こういう状態になると通常のクリーニングではなかなか復旧しない」と教えていただき、あらためて日常的に使用してインクを動かすことと、不具合が見えたらすぐにメンテナンスをお願いすることの大切さに気づいたこともあります。

そのサービスマンの方からは、マークシートに付着していた消しゴムの「屑」がスキャナーのローラー等可動部の動きを悪くして、マークシートがやや斜めにスキャンされたりする原因となり得ることも教えていただきました。実際に大量のマークシートを読み取ってきた複合機のスキャナー部分からは、かなりの量の消しゴム屑が・・・。受験者には消しゴム屑をよーく落としてから答案(マークシート)を提出するよう注意しておく必要があります。まさに塵も積もればなんとやら・・・です。

また、ご使用のスキャナーの読み取り設定によっては(デフォルトの読み取り設定が)0~255段階のグレースケールでなく、カラーであったり、ある閾値で白黒二値化しての読み取りであったりという、私の想定外の設定であることも、当然のようにあり得ると思います。それがカラー画像であった場合の影響はほとんどないと思われますが、ある閾値での白黒二値化画像であった場合は、判定に重大な影響を及ぼす可能性があります。ですので、マークシートの読み取りに、使用されるスキャナーの読み取り設定に関して、予め、使用者様の責任で十分ご確認いただけますよう、併せてお願い申し上げます。

11.まとめ

このマークシートリーダーで出来ること、出来ないことをまとめました。

【出来ること】

・マークシートのJpeg画像を回転&適切なサイズに縮小
・マークシート画像のマーク読み取り(1設問当たり最大16選択肢まで対応)
・読み取り結果の確認(GUI & 音声出力)
・読み取り結果のCSVファイル出力
・読み取り結果を採点結果通知用Excel Bookへ出力(新教育課程に対応)
・共通テスト形式の数学試験に対応(選択肢:-、±、0-9、記号:a~d)※ 後日掲載します。
・共通テスト形式の情報Ⅰ試験に対応(選択肢:0始まりの設定も可能)※ 後日掲載します。
・使用環境に合わせて各種パラメータ設定を変更可能
 ⇨ ScanSnap iX1500のノーマルモード(解像度150dpi相当?)、もしくはEPSON PX-M7110F(解像度200dpi)でスキャンしたJpeg画像のマーク読み取りに最適化した値をデフォルト値に設定済み。

【出来ないこと】

・1設問について、複数の解答が設定された採点
・前問の解答内容に応じて、次の問いの解答が変わる採点
・その他、答案1枚のみの採点等、このプログラムで想定外の採点全て
・1回の読み取り操作で処理できるJpeg画像は99枚までで、100枚を超える枚数は処理できません。

【その他の使用方法】

MS_Reader.exe の「ヘルプ」にある「PDFを表示」をクリックすると利用方法の手引きがお使いのPDFリーダーで表示されます。マークシートの作り方等、このブログの記事にないことも書いてありますので、必要に応じてこちらも併せてご参照いただけますよう、お願いいたします。

12.お願いとお断り

このサイトの内容を利用される場合は、自己責任でお願いします。ここに記載した内容及びダウンロードしたプログラムを利用した結果、利用者および第三者に損害が発生したとしても、このサイトの管理者は一切責任を負えません。予め、ご了承ください。

RAD Studio 12.0にPython4Delphiをインストールする!

追記(20231208)

さらにカンタンな方法がありました!

https://coding-tips-memoranda.com/rad-studio-12-0%e3%81%abpython4delphi%e3%82%92%e3%82%a4%e3%83%b3%e3%82%b9%e3%83%88%e3%83%bc%e3%83%ab%e3%81%99%e3%82%8b%ef%bc%81%ef%bc%88%e3%81%9d%e3%81%ae%ef%bc%92%ef%bc%89/

以下、苦労を伴うインストール方法の記録です(お読みいただく価値のない情報です)。 T_T

2023年11月8日、RAD Studio 12.0(僕にとってはDelphi 12.0)がリリースされた(ようです)。
アップデート・サブスクリプションの支払いを終え(個人で購入しているのは僕くらいだろうが・・・)、届いたメールの製品アップデートリンクをクリックして、最新の更新をチェックしたら、12.0が!

(誰も教えてくれないから、リリースされたこと自体、まったく知りませんでした! T_T )

そういえば・・・RAD Studioのメジャーアップデートは毎年この時期だったような。

あわわわわわわわわわわ ひー!ひー!(驚愕的感動を表現)

早速、Web Installを実行。

Delphi 12.0 のインストールは何の問題もなく、15分くらいで終了(XEの頃は時間がかかったけど)。

11.2 が入っている環境にインストールしたためか(?)、シリアルナンバーの入力なども一切ありませんでした! カンタン。気持ちいい。

続けて、Python4Delphiも最新版(RAD Studio 12.0対応版)をインストール。

以下、その時のメモです!

【もくじ】

1.Python4Delphiの最新版をダウンロードして展開する
2.フォルダ構成を整える
3.Python4Delphiの最新版(RAD Studio 12.0対応版)をインストール
4.ライブラリパスを確認
5.まとめ
6.お願いとお断り

1.Python4Delphiの最新版をダウンロードして展開する

まず最初に、Python for Delphi(P4D)をGitHubから入手してDelphiにインストール。

P4Dの入手先URL https://github.com/pyscripter/python4delphi

Codeをクリックすると表示されるサブメニューのいちばん下にDownLoad ZIPがあるので、これをクリックしてZIPファイルをダウンロードし、任意の場所(フォルダ)に解凍する(ここではダウンロードするフォルダの名前を「P4D」として説明)。

Download ZIPをクリックして最新版を入手する

ダウンロードが完了したら、ダウンロード先フォルダにはコレがあるはず。

python4delphi-master.zipを任意の場所に「P4D」フォルダを作成して、そこへコピペする

P4D」フォルダを作成するのは、できればあまり階層の深くない、絶対に忘れない場所がよいと思います。理由は、後からそこにライブラリパスを通すから。バックアップなど取る時にも、忘れないような場所に作成してください。

zipファイルを右クリックして、表示されるサブメニューの「すべて展開」をクリック。

zipファイルを展開(解凍)

そのまま P4D フォルダの直下に展開(解凍)する。

Pathは敢えていじらずに、そのまま「展開」をクリック

展開(解凍)が完了すると、P4D フォルダの下に「python4delphi-master」フォルダができ、その下に同じ名前でもうひとつ「python4delphi-master」フォルダができる

この中に7匹のヘビがいる。はやく会いたい。

2.フォルダ構成を整える

この時点でフォルダ構成は・・・ちょっとややこしいが、次のようになっている(はず)。

¥任意の場所¥P4Dpython4delphi-masterpython4delphi-master

とりあえず、いちばん下の python4delphi-master フォルダをダブルクリックして開き、中にあるものすべてを CTRL+A で全選択して、CTRL+X で切り取り、ひとつ上の階層の python4delphi-master フォルダ内に CTRL+V(貼り付け)する。

で、いちばん下の階層の python4delphi-master フォルダは不要なので消去(削除)する。

さらに、上の階層の python4delphi-master フォルダの名前を手動で「P4D」に変更(リネーム)する。

これでフォルダ構成は、次のようになる。

¥任意の場所¥P4DP4D

いちばん下の P4D フォルダをダブルクリックして開くと・・・

Install フォルダ内にある「README.md」に、実は重要な情報が書かれている

【README.md】※ 原文のまま

## P4D Installation using [MultiInstaller](https://github.com/pyscripter/MultiInstaller)

Use for Delphi Seattle (10.4) or later to install all packages in one step. 

1. Clone or copy the Python4Delphi git repository to a folder of your choice.  **The setup.ini file assumes that the folder is called "P4D"**.  If you chose to name your folder differently then modify the "Folder" option in setup.ini.
2. Close all Delphi IDEs running.
3. Run MultiInstaller.exe
4. Select the packages you want and press Next
5. In the dialog box specify the _**parent folder**_ of "P4D" (i.e. the folder containing the directory to which you have copied Python4Delphi) and the Delphi target version.  Then press Next to install the components

Google先生、曰く・・・(文字に色付けしたのは僕です)

## [MultiInstaller]を使用したP4Dのインストール(https://github.com/pyscripter/MultiInstaller)

Delphi Seattle (10.4) 以降の場合は、すべてのパッケージを 1 ステップでインストールするために使用します。

1. Python4Delphi git リポジトリを選択したフォルダーにクローンまたはコピーします。 **setup.ini ファイルでは、フォルダーの名前が「P4D」であると想定しています**。フォルダーに別の名前を付けることを選択した場合は、setup.ini の「フォルダー」オプションを変更します。
2. 実行中のすべての Delphi IDE を閉じます。※ コレも重要!な注意点のひとつかと・・・
3. MultiInstaller.exe を実行します。
4. 必要なパッケージを選択し、「次へ」を押します
5. ダイアログ ボックスで、「P4D」の _**親フォルダー**_ (つまり、Python4Delphi をコピーしたディレクトリを含むフォルダー) と Delphi ターゲット バージョンを指定します。次に、「次へ」を押してコンポーネントをインストールします

僕なりの解釈は(間違ってるカモだけど)・・・

Python4Delphi をコピーしたフォルダ名は「P4D」であり(であることを想定しており)、
さらに、インストール時に表示されるダイアログボックスでは・・・

P4D」の _**親フォルダー**_ を指定

つまり、「その親フォルダ(階層がいちばん上の P4D )を指定せよ」

と言っている・・・。

フォルダ構成を README.md の指示通りに整えたところで、

¥任意の場所¥P4DP4D¥Install フォルダを開き、

そこにある MultiInstaller.exe をダブルクリックして実行する。

Install フォルダにある MultiInstaller.exe をダブルクリック

ちなみに、拡張子md は、「Web 用のドキュメントの作成によく使用される、読み書きしやすいように設計されたプレーンテキスト」に使う拡張子だそう。

ちなみに「プレーンテキスト」は、「文字だけで構成され、レイアウト情報や装飾情報などを持たないデータのこと」だそうで。

勉強になりますー。

3.Python4Delphiの最新版(RAD Studio 12.0対応版)をインストール

こうしてインストール前の最大の難関?を乗り越え、早速、Python4Delphi をインストール。

Install フォルダにある MultiInstaller.exe をダブルクリック(再掲)

次の画面が表示される。

フォルダの選択ダイアログ

Select Destination directory to install all the component packages. ・・・

こちらもGoogle先生曰く、

「すべてのコンポーネント パッケージをインストールするには、宛先ディレクトリを選択します。」

どうも、この、「宛先」という訳がピンとこないけど・・・。

まぁ、「宛先」は「参照元」に読み替えて・・・。

それが、先ほどの「README.md」に書かれていた「Python4Delphi をコピーしたディレクトリを含むフォルダー」・・・つまり、「P4D」フォルダなんだろうな・・・ みたいな・・・

ってか、もっと正直に言うと・・・、RAD Studio 12.0 をインストールしたから、唯一、僕が必要とするサードパーティー製コンポーネント Python4Delphi も入れなきゃって思って、前回の(11.2 への)インストール作業後、大切に保存しておいた P4D¥Installフォルダ内の MultiInstaller.exe を起動したら・・・

RAD Studio 12 Athens がインストール先の候補として出てこない!

つまり、この MultiInstaller.exe は RAD Studio 12 Athens のインストールパスを拾って・・・「ない」。

このダイアログを見たとき、一瞬、(もうダメだ・・・)と思ったのですが、その直後、このインストーラー自体が1年前のものだったことを思い出し、・・・だとすれば、RAD Studio 12 Athens が表示されなくて、むしろ当然・・・。ここで初めて Python4Delphi も最新版が必要だと気づき・・・

さらに、オプションボタンがこのダイアログに「1つしかない」意味まで見えた気が・・・

(オプションボタンだから、インストール対象としてパスを通すのは、1バージョンに限定ってことなんだろうけれど・・・)

(それよりも・・・、ダイアログのCompile packages ~の余白が有り余ってるのは、RAD Studio のメジャーバージョンアップを見越して、後からボタンを追加できるよう、予め余裕を持って設計したから?)

(・・・もし、そうなら12.0対応版があるに違いない。いや、きっとある!)

あわてて GitHub へ行って12.0 対応版の有無を確かめたというのが事の真相。

思った通り、GitHub の Python4Delphi は、12.0のリリースに合わせて最新版にアップデートされてました・・・。作者の方に心から感謝!

Go To 「3.Python4Delphiの最新版(RAD Studio 12.0対応版)をインストール

これで無限Loop に。Blogまでスパゲッティ化しちゃった・・・。

↑ コレは古い時代のプログラマーにしか、通じない言葉かな?

取り敢えず、無限Loopはなんとかして乗り越えたコトにして・・・

宇宙のはじまりだって、トンネル効果が起きた時、虚数時間が流れていて、上り坂が下り坂になった・・・みたいな話を、聴いたような・・・。聴かなかったような。で、宇宙って、通れないはずの壁から果たして沁み出すものなんだろーか。

ハイゼンベルクさんは、連合軍の科学者たちのことを、どう思っていたんだろう・・・

RAD Studio 12.0 対応版のP4D付属 MultiInstaller.exe を起動して表示されるフォルダの選択ダイアログは、前掲の通り。

Browseボタンをクリックして・・・

Compile packages ~の欄には RAD Studio 12 Athens が増えましたが、欄の上下に「まだまだ余裕」があります。これを見て、先ほどの予感は大きく自信を得て・・・「これはつまり、今後数十年以上先までDelphiのメジャーバージョンアップが続々と行われることを見通して、必要十分と思われる余白を予め用意した先見の明溢れる非常に大胆な先進的設計である」という確信に変わりました。

是非、そうであって欲しい・・・と、心から願っています!

ダイアログがこのままの大きさでも、

1、2、3・・・と、近未来、確実にそこに入るであろうオプションボタン位置を予想してみると、Delphi のメジャーバージョンアップにあと10回は余裕で対応できそうです*(^_^)*♪

いいぞ。さすが、P4D!

こういう応援の仕方もあったのか・・・

こんどから、

僕も真似しよー!!

解凍先フォルダの階層Topにある P4D フォルダを指定
Compile packages and install on IDEにチェックして、RAD Studio 12 Athensを選択

あとは Next ボタンをクリックしてインストーラーにすべておまかせで、P4Dをインストールするだけ。
無事完了すれば、次のようなダイアログが表示される(画像は前バージョンのもの)。

作業の記録をとり忘れたので、これは 11.2 に P4D をインストールしたときの画像

最後に Finish をクリックしてインストール作業終了。

Delphi 12.0 のIDEを起動して、パレットを確認。

7匹のヘビを無事発見。

4.ライブラリパスを確認

Delphi のIDEを起動し、「ツール」→「オプション」→「言語」→「Delphi」→「ライブラリ」の順にクリックして下の画面を表示。

プラットフォームを選択して、ライブラリパスの「…」ボタンをクリックする

ライブラリパスの一覧が表示されるので、そのいちばん下に P4D へのパスの設定があることを確認する(パスはインストール時に自動で設定されるようだ)。

Library パスの一覧の下から3つが P4D へのパス(自動で設定される)

上の画面では 「Windows 32ビット」 のプラットフォームに対する設定を確認している。念のため、「Windows 64ビット」 のプラットフォームに対しての設定も確認する。

プログラムのコンパイルを実行すると、Delphiはいちばん最初にプロジェクトファイル(.dproj)のあるフォルダ(ここはパスが通っているから登録は不要)を検索し、必要なユニットファイル等の有無を確認。もし、そこに必要なファイルがなければ、この画面に登録したライブラリパスを検索するようだ。

5.まとめ

(1)RAD Studio 12.0 のリリースに合わせ、Python4Delphi もアップデートされていた。
(2)Python4Delphi のインストールは専用の「MultiInstaller.exe」で実行する。
(3)Python4Delphi のデータは「¥任意のフォルダ¥P4D¥P4D」フォルダ内に置く。
(4)インストール後、念のため、ライブラリへのパスが設定されていることを確認する。

6.お願いとお断り

このサイトの内容を利用される場合は、自己責任でお願いします。ここに記載した内容を利用した結果、利用者および第三者に損害が発生したとしても、このサイトの管理者は一切責任を負えません。予め、ご了承ください。

Recognize handwritten katakana characters No,4

手書きカタカナ文字をPCに認識させる(その④)

前回の記事で作成した手書きカタカナ文字「アイウエオ」の学習モデルを、My手書き答案採点プログラムで利用できるようにした。自動採点用のGUIを作成して、実際の手書き文字をどの程度正しく認識できるか検証。ついでに、ふと思い立って、「〇」記号と「×」記号の学習モデルも作成。こちらについても、正しく認識できるかどうか、実験してみた。結果は「アイウエオ」、「〇×」とも100%正しく認識することはできなかったが、よく考えれば、リアルな文字認識にチャレンジするのは今回が初めて。ここまでが長かったので、自分的には終了感満載だったけど、ここからが本当のチャレンジの始まりなんだ・・・と気づく。これまでにやってきたことは、言わば準備作業。現段階で、僕の「自動採点」は、採点作業の「補助」くらいには、使えるんじゃないか・・・と。

1.それは「イ」じゃないんですけど・・・問題への対応を考える
2.プログラムに自動採点のGUIを追加
3.自動採点を実行!(その1)
4.自動採点を実行!(その2)
5.〇×記号の学習モデルを作成
6.〇×記号の解答も自動採点
7.FormCreateでPythonEngineを初期化
8.まとめ
9.お願いとお断り

1.それは「イ」じゃないんですけど・・・問題への対応を考える

まずは、前回の記事で最後に紹介した「問題」への対応から。

前回は、学習モデルの性能を確認するため、PCの画面にマウスで描いたカタカナ文字をLobeで作成したMy学習モデルが「どの程度正しく認識できるか」を試すプログラムをDelphiで作成して検証(文字認識部分は内部に埋め込んだPythonスクリプトで実行)。

My学習モデルは、上の文字すべてを正しく認識してみせた

あまりにもGoooooooooooooooooooooooooooooooooood!な結果に、この結果にたどり着くまでの長かった道のりを思い出し、本人涙ぐむシーンもあったが・・・、スキャナーでスキャンした画像にみられるシミや汚れへの反応をみるため、試しに画面をワンクリックして「点」を入力し、それを認識させてみたところ・・・

信頼度は99.9%・・・でもLobeさん、それ、「イ」じゃないと思うんですけど・・・。

このあまりにも楽しい結果に、今度は涙ぐむほど大笑い。さすがMy学習モデル。夏休みの自由研究レベルをしっかりと維持しています・・・。

で、どう対策したか?

さすがにこのままでは実戦に投入できないので、文字画像に「大津の二値化」を適用した後、OpenCVのcountNonZero()関数を利用して、全ピクセルのうち、値が0(=黒)でないピクセルの合計を求め、画像中の白黒の面積を計算。イロイロ、テストした結果、上記の画像で白面積(=文字面積)が1.5%より大きい画像を「文字情報あり」と判断して、輪郭検出するようスクリプトを修正。これで、この問題は無事クリア☆

# 読み込んだイメージにOpenCVのcountNonZero関数を適用、白面積を計算。
wPixels = cv2.countNonZero(img)

※ 上の画像では、文字が「白」なので白面積を計算している。

2.プログラムに自動採点のGUIを追加

My手書き答案採点プログラムに自動採点のGUIを付け加えるにあたり、プログラムの64ビット化(プログラムに同梱したembeddable PythonにインストールしたTensorFlowは64ビット版しか存在しないため)と、解答欄矩形の自動検出機能の実装で不要になったGUIの整理を行った。で、空いたスペースに自動採点のGUIを作成。

TensorFlowに合わせ、プログラムは64ビット化☆
My手書き答案採点プログラムを実行中の画面

操作パネルのGUIを32ビットバージョンから、次のように変更。準備段階でしか使わなかった部品があらかた消えて、(自分的には)画面がかなり「すっきり」した気が。

解答欄矩形の手動設定関連のGUIを削除して、空いたスペースに自動採点のGUIを作成

3.自動採点を実行!(その1)

(1)学習モデルを指定

学習モデル「ア行」を選択する

選択肢だけは、たくさん用意してあるけど、現在利用できるのは「○×」と「ア行」のみ。(「カ行」以降は、もしかしたら永遠に利用できないカモ・・・)

自前で機械学習の訓練用データを作成するのは、本当に、本当に、本当に、すーぱーたいへん! 答案をスキャンした画像から、文字画像の切り抜き&クリーニング作業を、またン千枚もやるかと思うと・・・。

ポキッ あっ! 心の折れた音が。

(2)正解ラベルを指定

正解ラベルを選択

設問ごとに、正解ラベルを選択。学習モデルの識別結果と、ここで選択指定した正解ラベルを比較して、〇・× を判定。で、得点欄に入力(選択)した値を採点記号とともに解答欄の指定位置に表示する。プログラム起動後、初回の実行時にはPython Engineの初期化に数秒かかるが、2回目以降、採点自体は35枚を1秒程度で処理できた☆ だから処理時間に起因するストレスはまったく感じない。Python Engineの初期化だけ、あとで何とかしよう・・・。

(3)自動採点を実行

解答用紙のサンプル(これを35枚書いた☆)

「アイウエオ」の文字データは、集めたサンプルに似せて全部自分で手書きしたもの。文字の大小、濃淡、線の太さ等なるべく不揃いになるようにした(つもり)。解答用紙は新品はもったいないので、職場にあった反故紙の裏面に解答欄を印刷して利用。ホントは、もっとたくさん作成するつもりだったんだけど、35枚書いたところでなんか用事が入り、もうその後は作業を再開する気が失せて、作業を放棄。そのような理由から、とりあえず35枚で実験することに。

ウソ偽りのない採点結果の一例は、次の通り(「ア」を正解とした場合)。

サンプルを真似たアイウエオを書いて、My手書き答案採点プログラムで自動採点した結果

自動採点へのチャレンジを始めたのは2022年の12月下旬だから、ここにたどり着くまでに2ヵ月かかっている・・・。途中、(もはや、これまで)みたいなシーンも何度かあったけど、そのたびに『誰も待ってないけど、オレはやるぞ』と自分自身を叱咤激励。

「オレはやるぞ」と言えば・・・

高校生だった頃、芸術選択はめったにない「工芸」で、すごく楽しくて・・・。焼き物の時間に、みんなは指示された通り、湯飲みとか作ってたけど、僕は「オレはやるぞ!」って文字を刻んだ粘土板(看板)を岩石風の土台に張り付けた、何の役にも立たないモニュメントを製作して、大満足。先生は笑いながらも、僕の作品(?)を炉のすみっこに入れて焼いてくださった。高校生活、最高だったなー☆

解答欄画像の切り抜きとは別に、プログラム内部では(罫線の影響を排除して)、個々の解答欄画像中の文字をOpenCVの輪郭検出で探し出し、幅64×高さ63で切り抜いて、次に示すような画像データを作成している。

解答欄画像から輪郭検出で切り抜いた文字画像

なんで「イ」だけ「字の一部分だけが取得」されてるのか、そこは???なんだけど、その他の文字は、比較的よく検出できているのではないか・・・と思うのですが、いかがでしょう?

輪郭検出のスクリプトは、次のサイトに紹介されていたものを参考に、罫線が入らないようにするなど、様々に工夫を加えて作成。(このスクリプトの作者の方に、心から厚く御礼申し上げます)

[AIOCR]手書き日本語OCRデータセットを自動生成する[etlcdb]

https://www.12-technology.com/2021/11/aiocrocretlcdb.html

実際にキカイがどんな画像を見ているのか、気になったので調べてみると・・・

切り出し処理の途中の画像を保存してみた

そのうちの1枚を拡大してみたところ。

けっこう汚れている・・・

この二値化の処理には、また別のWebサイトにあった次のコードを当てたんだけど・・・

thresh = 
cv2.adaptiveThreshold(blur,255,cv2.ADAPTIVE_THRESH_MEAN_C,cv2.THRESH_BINARY,11,2)

これは「濃淡の大きな画像に対しては大変有効な処理」のようだけれど、僕の用意した文字画像の処理には向かなかったようで、そこで、ここは思い切って次のように変更。

threshold = 220
ret, thresh = cv2.threshold(blur, threshold, 255, cv2.THRESH_BINARY)

上記のように変更した結果、キカイが処理の途中で見ている画像は・・・

かなりキレイになった☆

さっき拡大した画像は・・・

おー!キレイになった。実にイイ感じ!

左の方に、小さなシミがまだ残っているけど、これは次のようにして輪郭として検出しないように設定。

contours = cv2.findContours(thresh, cv2.RETR_LIST, cv2.CHAIN_APPROX_SIMPLE)[0]
num = len(contours)
mylist = np.zeros((num, 4))
i = 0
# red = (0, 0, 255)
for cnt in contours:
    x, y, w, h = cv2.boundingRect(cnt)
    # 高さが小さい場合は無視(ここを調整すれば設問番号を無視できる)
    #if h < '+cmbStrHeight.Text+': <- Delphi埋め込み用
    if h < 30:
        mylist[i][0] = 0
        mylist[i][1] = 0
        mylist[i][2] = 0
        mylist[i][3] = 0
    else:
        mylist[i][0] = x
        mylist[i][1] = y
        mylist[i][2] = x + w
        mylist[i][3] = y + h
        #cv2.rectangle(img, (x, y), (x+w, y+h), red, 2)

    i += 1

まとめとしては(自分的には)、「ア」のみについて見れば、この設問20問のうち、15問正解で正解率は75%と決して高くはないけれど、「ア」以外のデータはちゃんと見分けているから、ほんとに満足。悔しい気持ちとか、全然、湧いてこない。2022年末のチャレンジで正解率91%だった時は、もう口惜しさの塊みたいになってたのに。なんで全然悔しくないんだろー? 人間ってほんと不思議。

まぁ、これに「自動採点」と銘打って、誰かに販売してお金もらったら完全な詐欺だと思うけど、『発展途上の自動採点モード付き手書き答案採点補助プログラムです。こんなんでも、もし、よかったら、使ってくださいねー! 』・・・というスタンスで仲間にタダでプレゼントする分には(合計点自動計算機能や返却用答案印刷機能等、採点プログラムとしての必須機能が完全に動作すれば)何の問題もないかと・・・。

さらに自動採点と言いながらも、採点の最後にヒトのチェックが必ず必要なのは言うまでもないので、その時、キカイが間違えた5問については、ヒトが「違うよー☆」ってやさしく訂正してあげれば、それこそヒトとキカイの美しい協働・・・じゃないのかなー☆☆☆

いいえ。
そういうのを世間一般には
「言い訳」と言います。

ってか、ここまでは全部、自動採点の準備作業で、ここからが本質的には「始まり」・・・なんだけど、自分的には、かなりヘトヘトになって終了感満載・・・

もしかして、ぼくは、とほーもないことにチャレンジしているのではないか? と、コトここに至って初めて気づく・・・

だって、「アイウエオ」と「〇×」のたった7つPCに教えるのに2ヵ月かかったんだよ。「点くのが遅い蛍光灯のようなお子さんですね」と担任の先生に評された(母親談)という、小学校低学年の児童生徒だったぼくでも、アイウエオくらいは半日で覚えたぞ・・・。

あぁ カー カー キクケコ
サシスセソー

まだ いっぱい あるー☆

4.自動採点を実行!(その2)

文字や記号が印刷された解答欄への対応も、実際問題としては必須。
例えば、次のような画像。

上に示したスクリプトがうまく動作してくれるとイイのだけれど。そう思いながら祈るような気持ちで、上の画像の設問に対して自動採点を実行・・・(正解ラベルは「エ」)。

一部、ヘンなところもあるけど、だいたいうまく切り出せた☆

で、結果は?
なんと100%正解。もしかして、夏休みの自由研究レベルじゃなかった?
予想外の成果に、僕はもう、大満足☆

設問番号「(4)」が解答欄にあっても自動採点可能でした!

スキャナーで読み込む際の縮小率とかの問題は未検証だけど、9ポイント程度の大きさで設問番号等は印刷してもらえば、だいたいOKのようだ。手書き文字が小さすぎる場合はどうしようもないけれど、それは事前に「ちいさな文字で解答してはいけません!」と案内しておけば、ある程度は防げるハズ。それでも、ちいさな文字で書くヒトは「チャレンジャー」と見なして・・・

5.〇×記号の学習モデルを作成

2月末、自動採点のGUIを作成しようと、いつもの通り、午前2時に起きて(ジジィは朝が好き / でも出勤はいちばん遅い)「さぁ、やるか」と思った時、なぜか前の晩、眠るときにふと、〇×記号の自動採点用の学習モデルならすぐ作れるんじゃないか・・・と思ったことを思い出し、GUI作りは後回しにして、朝までの4時間で〇×記号の学習モデルを作成することに、当日第1部の予定を変更。

「〇」記号は、ETLデータベースにあったような気がしたので、まずはこちらから。

ETL1の「48」フォルダに1423枚のお宝画像が入っていた!

解凍? してあったETL文字データベースの文字・記号が入ったフォルダを一つずつ開けて内容を確認。「48」のフォルダ内に目的の画像を発見。これが1423枚もあれば、訓練用データとしては十分だろうと思い、このデータを機械学習用に加工。

まず、すべてのファイルが連番になるよう、リネーム。

import os
import glob

path = r".\(Pathを指定)\maru"
files = glob.glob(path + '/*')

files = glob.glob(path + '/*')

for i, f in enumerate(files):
    # すべてのファイルを連番でリネームする
    os.rename(f, os.path.join(path, "maru"+'{0:04d}'.format(i) + '.png'))
ファイル名が連番になるようリネーム

次に「輝度反転」。

# 輝度反転
from PIL import Image
import numpy as np
from matplotlib import pylab as plt

for i in range(1423):

    # 画像の読み込み
    im = np.array(Image.open(r".\(Pathを指定)\maru"+r"\maru"+"{0:04d}".format(i) + ".png").convert("L"))

    # 読み込んだ画像は、uint8型なので 0~255 の値をとる
    # 輝度反転するためには、入力画像の画素値を 255 から引く
    im = 255 - im[:,:]

    print(im.shape, im.dtype)

    #保存
    Image.fromarray(im).save(r".\(Pathを指定)\maru"+r"\r_maru"+"{0:04d}".format(i) + ".png")
輝度を反転

さらに、二値化する。
もしかしたら、上の輝度を反転させた画像のまま、機械学習を実行してもいいのかも? とチラっと思ったが、一度、最も極端な方向(=二値化で白黒にする)に振ってみて実験し、その結果を見てから判断することに決めて、二値化を実行。

import cv2
import os
import glob

path = r".\(Pathを指定)\maru_nichika"
files = glob.glob(path + '/*')

for f in files:
    # 読み込み
    im = cv2.imread(f)

    # グレースケールに変換
    im_gray = cv2.cvtColor(im, cv2.COLOR_BGR2GRAY)

    # 大津の二値化
    th, im_gray_th_otsu = cv2.threshold(im_gray, 0, 255, cv2.THRESH_OTSU)

    # 書き込み
    cv2.imwrite(f, im_gray_th_otsu)
二値化

二値化した画像中に訓練用データとして不適切な画像がないか、念のため、チェックしたところ、いくつかの不適切なデータを発見したため、それらは削除した。

訓練用データとして、不適切と思われる画像その①(いちばん左の画像は複数枚存在する)
訓練用データとして、不適切と思われる画像その②

これで「〇」記号の訓練用データは完成。次は「×」記号。

残念ながら、「×」記号のデータはETL文字データベースにはないようだ・・・。しかし、代替できそうなデータを「43」のフォルダに発見。それは「+」記号。これを45度ほど右か左へ回転させてあげれば、「×」に見えるんじゃないか? と・・・。

「+」記号を1444枚発見!

画像の回転スクリプトは・・・

from PIL import Image
import os
import glob

path = r".\(Pathを指定)\batsu"
files = glob.glob(path + '/*')

for f in files:
    # ファイルを開く
    im = Image.open(f)

    # 回転
    im_rotate = im.rotate(45)

    # グレースケールへ変換
    img_gray = im_rotate.convert("L")

    # 画像のファイル保存
    img_gray.save(f)
「×」記号ではあるけど、倒れかかった十字架のようで、なんとなく違和感がある・・・。

普通の「×」記号は、「\」が短くて、「/」が長い。上の画像は、ことごとくそれが逆だから違和感を覚えるんだと気づき、さらに90度回転させる。

イイ感じ!

で、「〇」記号と同様に、リネーム & 輝度反転させて、二値化。

八角形になっちゃったデータが複数あるので、これは全部削除した。

次は、Lobeで機械学習を実行。「〇:maru」と「×:batsu」だから「mb」という名前のフォルダを作成。「〇」記号はフォルダ名を半角数字の「0:ゼロ」、「×」記号はフォルダ名を半角数字の「1」に設定(認識結果の正解ラベルが 0 or 1 で返るようにするため)。

正解ラベル名のフォルダを作成して、訓練データをその中へコピー。

データが準備できたので、Lobeを起動。機械学習を実行。最終的に用意できた訓練データは「〇」記号が「1406」、「×」記号が「1323」。ここまで、なんだ・かんだで3時間半。さらに待つこと30分。東の空が明るくなる頃、ついに「〇×」記号の学習モデルが完成した。シャワーを浴びて出勤。さぁ 今日も第2部の始まりだー☆

6.〇×記号の解答も自動採点

プログラムの中では、次のようにして、採点対象を切り替えている。

  strScrList.Add('    if 黒の面積 > 1.5:');  # 白->黒へ訂正(20230306)
                          ・・・画像ファイルへのPathを設定等・・・
  strScrList.Add('        if os.path.isfile(img):');
                              ・・・画像ファイルを開く・・・
  if cmbAS.Text='○×' then
  begin
    strScrList.Add('            if outputs["label"] == "0":');
    strScrList.Add('                var1.Value = str("○") + "," + ・・・ 
    strScrList.Add('            elif outputs["label"] == "1":');
    strScrList.Add('                var1.Value = str("×") + "," + ・・・ 
    strScrList.Add('            else:');
    strScrList.Add('                var1.Value = str("Unrecognizable")');
    strScrList.Add('        else:');
    strScrList.Add('            var1.Value = str("Could not find image file")');
    strScrList.Add('    else:');
    strScrList.Add('        var1.Value = str("XXX")');
  end;

  if cmbAS.Text='ア行' then
  begin
    strScrList.Add('            if outputs["label"] == "0":');
    strScrList.Add('                var1.Value = str("ア") + "," + ・・・
    strScrList.Add('            elif outputs["label"] == "1":');
    strScrList.Add('                var1.Value = str("イ") + "," + ・・・
    strScrList.Add('            elif outputs["label"] == "2":');
    strScrList.Add('                var1.Value = str("ウ") + "," + ・・・
    strScrList.Add('            elif outputs["label"] == "3":');
    strScrList.Add('                var1.Value = str("エ") + "," + ・・・
    strScrList.Add('            elif outputs["label"] == "4":');
    strScrList.Add('                var1.Value = str("オ") + "," + ・・・
    strScrList.Add('            else:');
    strScrList.Add('                var1.Value = str("Unrecognizable")');
    strScrList.Add('        else:');
    strScrList.Add('            var1.Value = str("Could not find image file")');
    strScrList.Add('    else:');
    strScrList.Add('        var1.Value = str("XXX")');
  end;

正解を「〇」記号として、自動採点してみた結果は・・・

何とも理解に苦しむ摩訶不思議な採点結果が2個あるが、その他は良好と言っていい結果になった。

空欄であるにもかかわらず、正解となっている画像をよく調べてみると・・・

画像の中に小さなL字型のシミを発見

高さが30未満である場合は、輪郭検出しない設定のはずなんだが・・・。他には何にも見つけられないので、原因はコレしか考えられない。いったいナニがどうなっているんだろう??? 結局、コレは謎のままに。

同じデータに対して、正解を「×」記号として自動採点すると・・・

10個めのデータが呪われている気が・・・

10個目のデータの切り抜き画像を調べてみると・・・

微妙なトコロで、画像が欠けている・・・

どうやら元画像の「色が薄い」 or 「画像の線が太い」と問題が発生する傾向が強い気がしてきた。僕はこの実験に「えんぴつ」を使ったが、普通、試験時解答に使うのはシャーペンだから線が太くなることはあまり考えられない、むしろ、なるべく濃く書くことを注意事項に入れるべきかもしれない。なお、幅が狭くなっているように見えるのは、画像を強制的に幅64×高さ63にリサイズしているためだ。

「アイウエオ」同様、「〇×」記号の自動採点も残念ながらヒトの最終チェックがどうしても必要だという結果になった。が、こちらも「採点補助」程度には使えるぞ。

7.FormCreateでPythonEngineを初期化

何度も実験していると、プログラム起動後、初回の自動採点実行時、Python Engineの初期化に数秒を要するところを何とかしたくなってきた。これは起動後、毎回必ず発生する現象なので、マウスカーソルを待機状態にするとか、そういうレベルで誤魔化せる話ではない。なるべくユーザーの気づかないところで(ソッと)初期化してしまわなくてはならない。

いちばんイイのはプログラム起動時だ。マークシートリーダーを作った時にもこのことが気になったため、スプラッシュ画面を表示して(画像は自前で準備した画像ではなく、Webで販売している画像を購入して使用するという暴挙に出た)、その裏側で初期化作業を行うよう設定。今回も、このやり方を踏襲。

(1)初期化に使う画像をリソースに準備

Python Engineを初期化するには画像が必要なので、専用画像をリソースに準備。

心をこめて製作したmaru.png
マークシートリーダー用のPython Engine初期化用画像もまだ残ってた!

(2)初期化処理を実行

プログラム起動時、FormCreate手続きの中で、次のように初期化処理を実行。

まず、リソースに埋め込んだ初期化用画像ファイルを再生。

    //リソースに読み込んだ初期化用ファイルを再生

    //ファイルの位置を指定
    strFileName:=ExtractFilePath(Application.ExeName)+'imgAuto\tmp\maru.png';

    //ファイルの存在を確認
    if not FileExists(strFilename) then
    begin
      //リソースを再生
      with TResourceStream.Create(hInstance, 'pngImage_1', RT_RCDATA) do
      begin
        try
          SaveToFile(strFileName);
        finally
          Free;
        end;
      end;
    end;

次に、Python Engineそのものを初期化。

    //embPythonの存在の有無を調査
    AppDataDir:=ExtractFilePath(Application.ExeName)+'Python39-64';

    if DirectoryExists(AppDataDir) then
    begin
      //フォルダが存在したときの処理
      PythonEngine1.AutoLoad := True;
      PythonEngine1.IO := PythonGUIInputOutput1;
      PythonEngine1.DllPath := AppDataDir;
      PythonEngine1.SetPythonHome(PythonEngine1.DllPath);
      PythonEngine1.LoadDll;
      //PythonDelphiVar1のOnSeDataイベントを利用する
      PythonDelphiVar1.Engine := PythonEngine1;
      PythonDelphiVar1.VarName := AnsiString('var1');
      //初期化
      PythonEngine1.Py_Initialize;
    end else begin
      //MessageDlg('Python実行環境が見つかりません!',mtInformation,[mbOk], 0);
      PythonEngine1.AutoLoad := False;
    end;

最後に初期化用画像を読み込んで、1回だけ自動採点を実行する。

    //スプラッシュ画面を表示してPython Engineを初期化
    try
      theSplashForm.Show;
      theSplashForm.Refresh

      //Scriptを入れるStringList
      strScrList := TStringList.Create;
      //結果を保存するStringList
      strAnsList := TStringList.Create;

      try
        strScrList.Add('import json');
        ・・・略(自動採点用のPythonスクリプトをStringListに作成)・・・

        //0による浮動小数除算の例外をマスクする
        MaskFPUExceptions(True);
        //Execute
        PythonEngine1.ExecStrings(strScrList);
        
        //先頭に認識した文字が入っている
        if GetTokenIndex(strAnsList[0],',',0)='○' then
        begin
          //ShowMessage('The Python engine is now on standby!');
          theSplashForm.StandbyLabel.Font.Color:=clBlue;
          theSplashForm.StandbyLabel.Caption:='The P_Engine is now on standby!';
          theSplashForm.StandbyLabel.Visible:=True;
          Application.ProcessMessages;
          //カウントダウン
          for j:= 2 downto 1 do
          begin
            theSplashForm.TimeLabel.Caption:=Format('起動まであと%d秒', [j]);
            Application.ProcessMessages;
            Sleep(1000);
          end;
        end else begin
          ShowMessage('Unable to initialize python engine!');
          MessageDlg('Auto-scoring is not available!'+#13#10+
          'Please contact your system administrator.',mtInformation,[mbOk],0);
        end;

      finally
        //StringListの解放
        strAnsList.Free;
        strScrList.Free;
      end;

    finally
      theSplashForm.Close;
      theSplashForm.Destroy;
    end;

これで「自動採点GroupBox」内の「実行」ボタンをクリックした際の処理が、ほぼ待ち時間なしで行われるようになった。これをやっておくのと、おかないのとでは、プログラムの使用感がまったく異なってくる・・・。上記のプログラムの for j := 2 downto 1 do 部分を「ムダ」だと思う方もいらっしゃるかもしれませんが、「画像の使用権を購入」してまで表示したスプラッシュ画面なので、せめて2秒間だけ!必要以上に長く表示させてください・・・。

8.まとめ

準備に2ヵ月を要したが、なんとか手書きカタカナ文字の自動採点まで到達。結果は自分的には概ね満足できるものであったが、「実用に適するか」という点では、まだまだブラッシュアップが必要。今回の実験で得たことは、学習モデルを適用する「文字画像の切り抜き精度」の重要性。Lobeで作成した学習モデルは間違いなく優秀。その性能を遺憾なく発揮させる「場」を、僕は準備・提供しなければならない。これこそが今後の課題。

あいん つばい どらい
唯 歩めば至る・・・

コトここに至ってようやく・・・
これは、とほーもないチャレンジだと気づいたけれど。

もう行くしか ない 。
僕も、プログラムも、きっともっとよくなれる。

よくなるんだ!

9.お願いとお断り

このサイトの内容を利用される場合は、自己責任でお願いします。ここに記載した内容を利用した結果、利用者および第三者に損害が発生したとしても、このサイトの管理者は一切責任を負えません。予め、ご了承ください。

本記事内で紹介させていただいた実験結果は、あくまでも私自身が用意した文字データに対してのものであり、別データで実験した場合、同様の結果が得られることを保証するものではありません。

Mark Sheet Reader (Basic version)

「マークシートリーダーをつくる(基礎編)」

DelphiでGUIを作成、マークシート画像はPythonにインストールしたOpenCVとNumpyで読み取り&計算処理して、結果をMemoに表示するマークシートリーダーの練習プログラム。

0.準備
1.使用するプログラムとマークシート画像について
2.マークシート画像を読み込む
3.マークシート読み取り処理のアルゴリズム
4.マークシート読み取り処理の実際(Object Pascalのコード)
5.さらに進化
6.著作権表示の記載方法
7.お願いとお断り

ここで紹介している練習用プログラムを、実際の採点業務で使用できるようにした拙作マークシートリーダーです。

0.準備

マークシートリーダー作成にあたって、以下の事前準備が必要です。

・PythonForDelphiのインストール
・Embeddable Pythonのダウンロードと必要なライブラリのインストール
(作業後、このプログラムへの埋め込み用にフォルダ名を「Python39-32」に変えて、このプログラム(マークシートリーダー)のexeがある場所へコピーする)
・アプリケーションの表示画面のリサイズ対応(縦編)

(いずれも、当Blogの記事で過去に紹介)

重要 上の記事の手順で、OpenCVとNumpyをインストールしたEmbeddable Pythonが入ったフォルダを「Python39-32」という名前で、以下のフォルダ内にコピーする。

C:\Users\ xxx \ Project1.dprojファイルのあるフォルダ \Win32\Debug\

1.使用するプログラムとマークシート画像について

当Blogの過去記事『~主として「高さ」の変更に関する覚書~』で作成したDelphiのGUIをそのまま使用します。

必要なVCLとその構造(親子関係)

画面サイズの変更に対応できるよう、以下のコードを記述。

unit Unit1;

interface

uses
  Winapi.Windows, Winapi.Messages, System.SysUtils, System.Variants,
  System.Classes, Vcl.Graphics, Vcl.Controls, Vcl.Forms, Vcl.Dialogs,
  Vcl.ExtCtrls, Vcl.Grids, Vcl.StdCtrls;

type
  TForm1 = class(TForm)
    Panel1: TPanel;
    Panel2: TPanel;
    Panel3: TPanel;
    Splitter1: TSplitter;
    ScrollBox1: TScrollBox;
    Image1: TImage;
    Memo1: TMemo;
    procedure FormCreate(Sender: TObject);
    procedure FormResize(Sender: TObject);
    procedure Splitter1Moved(Sender: TObject);
  private
    { Private 宣言 }
    //Panel1の幅とFormの高さを記憶する変数
    intPH, intFH:integer;
    //Formの表示終了イベントを取得
    procedure CMShowingChanged(var Msg:TMessage); message CM_SHOWINGCHANGED;
  public
    { Public 宣言 }
  end;

var
  Form1: TForm1;

implementation

{$R *.dfm}

{ TForm1 }

procedure TForm1.CMShowingChanged(var Msg: TMessage);
begin
  inherited; {通常の CMShowingChagenedをまず実行}
  if Visible then
  begin
    Update; {完全に描画}
    //Formの表示終了時に以下を実行
    Panel1.Height:=intPH;
    intPH:=Panel1.Height;
    intFH:=Form1.Height;
  end;
end;

procedure TForm1.FormCreate(Sender: TObject);
begin
  //Panel1とFormの高さを記憶する変数を初期化
  intPH:=200;
  intFH:=480;
end;

procedure TForm1.FormResize(Sender: TObject);
begin
  //比率を維持してPanel1の高さを変更
  Panel1.Height:=Trunc(Form1.Height * intPH/intFH);
end;

procedure TForm1.Splitter1Moved(Sender: TObject);
begin
  //Panel1とFormの高さを取得
  intPH:=Panel1.Height;
  intFH:=Form1.Height;
end;

end.

マークシート画像は、以下の画像を使用。

「ms01.Jpg」

マークシート画像は、以下の場所に「MarkSheet」という名前のフォルダを作成して、その中に保存。

C:\Users\ xxx \ Project1.dprojファイルのあるフォルダ \Win32\Debug\Marksheet

2.マークシート画像を読み込む

Delphiを起動して、Project1.dproj(マークシート読み取り用GUIの保存してあるフォルダ内のDelphiのプロジェクトファイル)を開き、Panel3をクリックして選択しておいて、Panel3上にButton1を作成。Button1のNameプロパティはButton1のまま、Captionプロパティを「画像を表示」に変更。Button1の位置は下図を参照。

Captionプロパティを「画像を表示」に変更
Button1の位置は画面下・Panel3の左に寄せる

OpenDialog1をForm上に置く。

OpenDialogをダブルクリック
Form上のOpenDialog1

次に、Form上のButton1をダブルクリックして、procedure TForm1.Button1Click(Sender: TObject);を作成。

procedure TForm1.Button1Click(Sender: TObject);
begin

end;

作成した手続きではJpeg画像を扱うので、画面を上にスクロールして、implementation部の下に Vcl.Imaging.Jpeg を uses する。

implementation

uses
  Vcl.Imaging.Jpeg; //Jpeg画像を読み込む

{$R *.dfm}

Button1Clickプロシージャにvar宣言を追加して、Jpeg画像読み込み用の変数jpgを宣言。

procedure TForm1.Button1Click(Sender: TObject);
var
  jpg: TJPEGImage;
begin

end;

beginとend;の間に、以下のコードを記述。

  //OpenDialogのプロパティはExecuteする前に設定
  With OpenDialog1 do begin
    //表示するファイルの種類を設定
    Filter:='JPEG Files (*.jpg, *.jpeg)|*.jpg;*.jpeg';
    //データの読込先フォルダを指定
    InitialDir:=ExtractFilePath(Application.ExeName)+'MarkSheet';
  end;

  if not OpenDialog1.Execute then Exit;  //キャンセルに対応
  //オブジェクトを生成
  jpg := TJPEGImage.Create;
  try
    //読み込み
    jpg.LoadFromFile(OpenDialog1.FileName);
    //Image1に表示
    Image1.Picture.Assign(jpg);
  finally
    //オブジェクトを破棄
    jpg.Free;
  end;

上書き保存(Ctrl+S)して、実行(F9)。データの読み込み先を指定しておくと、目的のフォルダが一発で開くので便利。

マークシート画像が表示される。が、ごく一部しか見えない。

これはImage1のAutoSizeプロパティがデフォルトFalseに設定されているため。 Image1 のAutoSizeプロパティをTrueにするコードを追加(オブジェクトインスペクタで Image1 のAutoSizeプロパティを 直接指定してもOK)。

  try

    //読み込み
    jpg.LoadFromFile(OpenDialog1.FileName);
    //Image1に表示
    Image1.Picture.Assign(jpg);

    //追加
    Image1.AutoSize:=True;

  finally

上書き保存(Ctrl+S)して、実行(F9) 。画像の表示を確認する。

うまくいったように見える。Formを最大化してSplitterを下げて、さらに確認。
画像の表示位置を修正する必要がありそうだ

画像が表示される位置を、画面の左側へ移動するコードを手続きの先頭に追加する。

begin

  //Imageの表示位置を指定
  Image1.Top := 25;
  Image1.Left := 40;

  //OpenDialogのプロパティはExecuteする前に設定しておくこと
  With OpenDialog1 do begin

上書き保存(Ctrl+S)して、実行(F9) 。画像の表示を再度確認する。

ほぼイメージに近い出来栄え?

参考:画像読み込みのコード(全体)

implementation

uses
  Vcl.Imaging.Jpeg; //Jpeg画像を読み込む

{$R *.dfm}

{ TForm1 }

procedure TForm1.Button1Click(Sender: TObject);
var
  jpg: TJPEGImage;
begin

  //Imageの表示位置を指定
  Image1.Top := 25;
  Image1.Left := 40;

  //OpenDialogのプロパティはExecuteする前に設定しておく
  With OpenDialog1 do begin
    //表示するファイルの種類を設定
    Filter:='JPEG Files (*.jpg, *.jpeg)|*.jpg;*.jpeg';
    //データの読込先フォルダを指定
    InitialDir:=ExtractFilePath(Application.ExeName)+'MarkSheet';
  end;

  if not OpenDialog1.Execute then Exit;  //キャンセルに対応
  //オブジェクトを生成
  jpg := TJPEGImage.Create;
  try

    //読み込み
    jpg.LoadFromFile(OpenDialog1.FileName);
    //Image1に表示
    Image1.Picture.Assign(jpg);

    //追加
    Image1.AutoSize:=True;

  finally
    //オブジェクトを破棄
    jpg.Free;
  end;

end;

3.マークシート読み取り処理のアルゴリズム

まず最初にマークシートの左上にある特徴点(マーカー)画像: ■■■(トリプルドット)をOpenCVのテンプレートマッチングで探す。

特徴点(マーカー)画像が見つかったら、 特徴点(マーカー)画像左上位置を基準にして、「マークシートの周囲の枠部分のみ」を矩形選択して切り出し。

参考①:あらかじめ測定しておいた特徴点(マーカー)画像の位置(単位はピクセル)
左上のX座標=65
左上のY座標=28
右下のX座標=121(マークシート矩形の座標計算には使用しない)
右下のY座標=43(マークシート矩形の座標計算には使用しない)

参考②:あらかじめ測定しておいたマークシート矩形の座標 (単位はピクセル)
左上の X座標=65
左上の Y座標=61
右下の X 座標=419
右下の Y 座標=497

参考 上記の各座標をマークシート画像から計測し、テンプレートとして用意したマークシートごとに登録(座標値を保存)するプログラムを別途作成した。なお、座標原点(0,0)は画像の左上である(使い慣れた数学の座標系とちょっと違うことに注意!)。

赤が左上、青が右下の座標で、緑がマークシート枠の矩形

この座標を元にして、 特徴点(マーカー)画像からの距離で、マークシート矩形を切り出す。

マークシート矩形において、(W1、H1)が左上位置を、(W2、H2)が右下位置を示す座標となる。

上の例では、マークシートの列数は「1」、行数は「10」と数えることにする。列数が「1」の場合、W1は「ほぼ0(ゼロ)」になり、値としての意味がないように思われるが、このプログラムを実用化した場合は、下の例のように、複数の列があるマークシートを用いることになるので、2列めのマークシート矩形の座標は、左上が(W3,H3)、右下が(W4,H4)、3列めのマークシート矩形の座標は左上が (W5,H5)、右下が(W6,H6)のように指定でき、W値が0ではない場合が生じる。

マークシート用紙の作成に、私はWordを用いたが、Wordのバージョンによっては、あろうことか、上書き保存時に、マーカー画像(■■■)の位置が数ミリ程度、勝手に左へ移動するという予期しないトラブル(Wordの仕様?)が発生。このような点も考慮して、W1の座標は敢えて(0として)定数化していない。

マークシートの作成例(実験用に使用)
列数3、1列あたりの行数25、1行あたりの選択肢の数は16
この用紙の場合、総マーク数は3×25×16=1200個/枚となる
つまり用紙1枚につき、1200回マークの有無の判定が必要

実際の作業では、マークシート画像をスキャナーで読み取って、グレースケールのJpeg画像としてデータ化するので、マークシート(用紙)に「しわ」があったり、状況によっては「折られ」ていたりする関係上、読み取り画像を1枚ずつ比較すると、その上下・左右にどうしても微妙なブレ・ズレが生じてしまう。しかし、同じ印刷機で、同時に印刷したマークシートであれば、特徴点(マーカー)画像とマークシートの行列位置の関係は絶対であり、これが1枚ごとに変化することはありえない。つまり、スキャンした画像が余程大きく傾きでもしていない限り、テンプレートマッチングで、特徴点(マーカー)画像さえ発見できれば、予め測定・記録しておいた座標の相対的位置関係からマークシート矩形は容易に切り出せる。

次の画像は、別データとして保存してある特徴点(マーカー)画像を元に、OpenCVのテンプレートマッチングをマークシート画像に対して行ったもの。類似度の高い部分を赤枠で囲んで示すようプログラミングしている。

マーカー
テンプレートマッチングを行った画像

次に、上に述べた方法で計算したマークシート矩形を列単位で切り出す。切り出した画像は、マークの(=列)数・行数の整数倍のサイズになるようリサイズする(これは、このあと画像を細かく分割して処理するので、切り出す行や列の計算を簡単にするための工夫 → 整数倍にリサイズすれば、列数分&行数分廻すLoop処理の中で処理しやすい)。

列単位で切り出したマークシート矩形

マークシート用紙は、一般的なマークシート用紙のような厚みのある(高級感あふれる)専用紙でなく、ホームセンターでも「売ってない!」ような見た目が灰色の再生紙を用いている。このためか、あちらこちらにゴミのような黒い点や、細いすじが入っていることがある。これらの黒点やすじを判定プログラムが「マークあり」と誤認しないようにするため、次に「平滑化(ボカシ)処理」を行う。

平滑化(ボカシ)処理には「ガウシアンフィルタ」を用いた。これは、正規(ガウス)分布を利用して「注目画素からの距離に応じて近傍の画素値に重みをかける」という処理を行うもので、自然な平滑化が実現できるとのこと。次の画像は、上の切り出したマークシート矩形に対して、この平滑化処理を行ったもの。

img = cv2.GaussianBlur(img,(35,35),0) ※引数は奇数を指定する必要がある

引数の値が大きいほど正規分布のピークが低く、広がりは広くなる(=より均一に、より全体にボカシがかかる)。ここでは引数をかなり大きめにとり「35」としている。こうすることで、ゴミやシミを画像からほぼ完全に除去できる。

ガウシアンフィルタ処理を行い、ゴミやシミを除去する

さらに、この画像を「ある閾値」を元に白と黒に二値化処理する。この処理で枠線やマークされていないマーク部分が「すべて白」になり、鉛筆で濃くマークされている部分だけが「黒」になった白黒画像が得られる。当初は、以下のように引数を指定して二値化画像を作成した。

ret, img = cv2.threshold(img, 140, 255, cv2.THRESH_BINARY)

現在は、次のように閾値の設定を自動で行う「大津の二値化」を利用している。

ret, img = cv2.threshold(img, 0, 255, cv2.THRESH_BINARY + cv2.THRESH_OTSU)

式中の第2引数は閾値だが、大津の二値化では自動計算させるので0(ゼロ)を指定。第3引数は0-255の256段階でグレースケール化しているから、最大値の255を指定する。これによって、次の画像が得られる。

大津の二値化で作成した白黒画像

さらに、これを白黒反転させた画像を作成する。式は以下の通り。

img = 255 - img

これにより、次の画像が得られる。

マーク部分を「白」に変換した画像

次に、この画像を「行」単位に分割して切り出す。

1行目を切り出した画像

次に、選択肢の数で、均等に分割する。ここでは選択肢の数が「8」なので、上の画像を等幅で8個に分割する。下は、その1個目の切り出し画像である。

このように細かく分割して切り出した画像1つ1つについて、画素が白なら値を255・黒なら0として面積あたりの合計値を計算し、マークされている部分の面積の中央値を算出、これを閾値として、下の式では、マークされている(白い部分の)面積が他より3倍以上あるものを「マークあり!」と判定している。この数値が大きいほど、判定はきびしくなる。

result.append(area_sum > np.median(area_sum) * 3)

このマークシート読み取り処理のアルゴリズムの主要部分は全て、GitHubの次の記事に紹介されていたものです。素晴らしい記事を投稿してくださった作成者の方に、心から感謝申し上げます。

PythonとOpenCVで簡易OMR(マークシートリーダ)を作る

URL:https://qiita.com/sbtseiji/items/6438ec2bf970d63817b8

参考 列が複数あるマークシートの読み取り処理について

上記記事では、特徴点(マーカー)画像をマークシートの上下に複数個用意し、テンプレートマッチングを行っています。確かに、マークシートの左上と右下に特徴点(マーカー)画像を用意すれば、より簡単にマークシート矩形の切り出しが可能でした。これは素晴らしいアイデアです。

私も当初は特徴点(マーカー)画像を複数個用意してマークシートを作成していたのですが、列数を2列、3列と増やすと、さまざまな問題が生じることに気が付きました。

第一に、特徴点(マーカー)画像を変えないと、列ごとの切り出しが困難だということです。つまり、3列あるマークシートでは、最も左の列用の特徴点を■■■、真ん中の列用の特徴点を■□■、最も右側の列用の特徴点を■□□として、Loop処理の中でテンプレートマッチングに使用する特徴点(マーカー)画像を切り替えて、目的とするマークシート矩形を切り出せるようにしてみた(□□■や□□□も含めればさらに多くの列が作成可能)のですが、この方法では、うまく特徴点(マーカー)画像を認識してくれないことがあり、安定感に欠ける気がしました。

第二に、万一、回答者が特徴点(マーカー)画像に意図的に変更を加える(例: ■□□ → ■■□)等の暴挙に出た場合、対応が難しいこと。

第三に、マーカー画像が多いと、マークシートの見た目もなんだか騒がしくて、個人的にはマーカー画像を複数個用意する方法はなるべく避けたいと考えたこと。

これらの理由から、「なんとか特徴点(マーカー)画像が1個で済まないか」と、私なりに工夫して、当ブログで紹介した方法を考えました。

創意工夫の過程で一時は、回答者が意図的に変更できるようなマーカー(例: □ )がなければOKかとも思い、別の特徴点(マーカー)画像も使ってみたのですが、それはそれでまた別の問題を起こすことがわかりました。

例えば、下のように、ヒトなら簡単に両者の違いを判別できる画像を用意します。

用意した特徴点(マーカー)画像

これに対して、左側の画像でテンプレートマッチングを行うと・・・

機械はヒトと違うモノの見方をしていることが、大変良くわかりました。

4.マークシート読み取り処理の実際(Object Pascalのコード)

Form上に、Buttonを1つ、PythonForDelphi関連のVCLコンポーネントを3つ配置する。Button2は、Panel3の中央付近に置き、Nameプロパティはそのまま、Captionプロパティを「読み取り」に変更する。PythonForDelphi関連のVCLコンポーネントは、すべて非ビジュアルコンポーネントなので、位置はどこでもよく、Nameプロパティもデフォルトのままとする。 PythonForDelphi関連で配置するコンポーネントは以下の通り。

以下のように、PythonForDelphi関連のコンポーネントのプロパティとイベントを設定

・PythonEngine1のAutoLoadプロパティはFalseに設定。

・PythonEngine1のDllNameプロパティはpython39.dllを指定(埋め込みPythonのバージョンに合わせて設定する)。ここでは3.9.9以下のバージョンのPythonでないとNumpyが非対応(2021年12月現在)であり、用意した埋め込みPythonのバージョンは3.9.9なのでpython39.dllに変更する。

・PythonEngine1のIOにはPythonGUIInputOutput1を指定。

・PythonGUIInputOutput1は他で利用するならプロパティのOutPutに「Memo1」などとするところだけれど、ここでは何も設定しない。

・PythonDelphiVar1のVarNameはプログラムコードの記述に合わせて「var1」とする。var1と入力後、Enterで確定すること!(青く反転表示されるのを確認する)

Formが生成される時、PythonEngine1を初期化する。Formのタイトルバーの上をクリックして選択し、オブジェクトインスペクタのイベントタブをクリックしてOnCreateイベントの右に表示されている「FormCreate」をダブルクリックして、コードの入力に切り替える。

参考:エラー対応方法(20220724追加)

P4D使用時にImageコントロールの bsClear を使うとエラーが発生します。

[dcc32 エラー] Unit02_MSReader.pas(1199): E2010 'TBrushStyle' と 'Enumeration' には互換性がありません

これはPythonEngine.pasの中で bsClear が定義(使用)されているためです。次に示す例のように、Image1の方のbsClearを明示的に Vcl.Graphics.bsClear として対応します。

  //矩形を描画
  with Image1 do
  begin
    //Canvas.Brush.Style:=bsClear;
    Canvas.Brush.Style:=Vcl.Graphics.bsClear;
  end;

以上、エラー対応でした。解説を続けます。

表示は次のようになっている(はず)。ここにコードを追加する。

procedure TForm1.FormCreate(Sender: TObject);
begin

  //Panel1とFormの高さを記憶する変数を初期化
  intPH:=200;
  intFH:=480;

end;

追加するコード

procedure TForm1.FormCreate(Sender: TObject);
var
  //Python39-32へのPath(追加)
  AppDataDir:string;
begin

  //Panel1とFormの高さを記憶する変数を初期化
  intPH:=200;
  intFH:=480;

  //以下のコードを追加
  //embPythonの存在の有無を調査
  AppDataDir:=ExtractFilePath(Application.ExeName)+'Python39-32';

  if DirectoryExists(AppDataDir) then
  begin
    //フォルダが存在したときの処理
    MessageDlg('Embeddable Pythonが利用可能です。',
      mtInformation, [mbOk] , 0);
    PythonEngine1.AutoLoad:=True;
    PythonEngine1.IO:=PythonGUIInputOutput1;
    PythonEngine1.DllPath:=AppDataDir;
    PythonEngine1.SetPythonHome(PythonEngine1.DllPath);
    PythonEngine1.LoadDll;
    //PythonDelphiVar1のOnSeDataイベントを利用する
    PythonDelphiVar1.Engine:=PythonEngine1;
    PythonDelphiVar1.VarName:=AnsiString('var1');  //プロパティで直接指定済み
    //初期化
    PythonEngine1.Py_Initialize;
  end else begin
    MessageDlg('Embeddable Pythonが見つかりません!',
      mtInformation, [mbOk] , 0);
    PythonEngine1.AutoLoad:=False;
  end;

end;

ここでMessageDlgを使用しているので、以下のように System.UITypes を uses に追加する。

implementation

uses
  Vcl.Imaging.Jpeg, System.UITypes;  // <-追加

  //Jpeg:Jpeg画像を読み込む
  //System.UITypesはMessageDlgの表示に必要

{$R *.dfm}

プライベートメンバー変数 intCnt(カウンタとして利用する)と strAnsList(Pythonから返された計算結果を保存する) を2つ、Private宣言で新しく宣言する。

  private
    { Private 宣言 }

    //for Python(追加)
    //Counter
    intCnt:integer;
    //Pythonから送られたデータを保存
    strAnsList:TStringList;

    //Panel1の幅とFormの高さを記憶する変数
    intPH, intFH:integer;
    //Formの表示終了イベントを取得
    procedure CMShowingChanged(var Msg:TMessage); message CM_SHOWINGCHANGED;

  public
    { Public 宣言 }
  end;

Form上のButton2(読み取りボタン)をダブルクリックして、手続きを作成し、以下の内容を入力する。

procedure TForm1.Button2Click(Sender: TObject);
var
  StrList:TStringList;
  strJCnt,strColCnt,strRowCnt,strSelCnt:String;
  TopLX, TopLY, TLX1, TLY1, BRX1, BRY1:integer;
  strPicName:string;
begin

  //初期化
  Memo1.Clear;
  intCnt:=1;

  //座標
  TopLX:=65;
  TopLY:=28;
  //BtmRX:=121;
  //BtmRY:=43;
  TLX1:=65;
  TLY1:=61;
  BRX1:=419;
  BRY1:=497;

  //マークシート数Check(+1することを忘れない)
  strJCnt:=IntToStr(2);

  //列数Check(+1することを忘れない)
  strColCnt:=IntToStr(2);

  //1列あたりの行数Check
  strRowCnt:=IntToStr(10);

  //選択肢数Check
  strSelCnt:=IntToStr(8);

  //マークシート名
  strPicName:='ms';

  //結果を保存するStringList
  strAnsList := TStringList.Create;

  //Scriptを入れるStringList
  StrList := TStringList.Create;

  try

    //Python Script
    StrList.Add('import cv2');
    StrList.Add('import numpy as np');

    //for JPN(日本語に対応)
    StrList.Add('def imread(filename, flags=cv2.IMREAD_GRAYSCALE, dtype=np.uint8):');
    StrList.Add('    try:');
    StrList.Add('        n = np.fromfile(filename, dtype)');
    StrList.Add('        img = cv2.imdecode(n, flags)');
    StrList.Add('        return img');
    StrList.Add('    except Exception as e:');
    StrList.Add('        return None');

    //マーカー画像を読み込む
    StrList.Add('template = imread("marker.png", cv2.IMREAD_GRAYSCALE)');

    //マークシートの枚数
    StrList.Add('for j in range(1,'+strJCnt+'):');

    //列数
    StrList.Add('    for i in range(1,'+strColCnt+'):');

    //マークシートへのパスを取得
    StrList.Add('        if j < 10:');
    StrList.Add('            MS_Name = r".\Marksheet\'+ strPicName +'0"+ str(j) +".jpg"');
    StrList.Add('        else:');
    StrList.Add('            MS_Name = r".\Marksheet\'+ strPicName +'"+ str(j) +".jpg"');

    //画像を読み込む
    StrList.Add('        img = imread(MS_Name)');
    //画像をグレースケールで読み込む
    StrList.Add('        img_gray = imread(MS_Name, 0)');

    //テンプレートマッチングの実行(比較方法cv2.TM_CCORR_NORMED)
    StrList.Add('        result = cv2.matchTemplate(img, template, cv2.TM_CCORR_NORMED)');

    //類似度が最小,最大となる画素の類似度、位置を調べ代入する
    StrList.Add('        min_val, max_val, min_loc, max_loc = cv2.minMaxLoc(result)');
    //最も似ている領域の左上の座標を取得
    StrList.Add('        top_left = max_loc');
    StrList.Add('        if i == 1:');

    //補正値を取得(高さ)
    StrList.Add('            h1 = ' + IntToStr(TLY1 - TopLY));
    StrList.Add('            h2 = ' + IntToStr(BRY1 - TopLY));
    //補正値を取得(幅)
    StrList.Add('            w1 = ' + IntToStr(TLX1 - TopLX));
    StrList.Add('            w2 = ' + IntToStr(BRX1 - TopLX));

    //矩形の左上の座標を計算 [0]-> X, [1]-> Y
    StrList.Add('        TL = (top_left[0] + w1, top_left[1] + h1)');
    //矩形の右下の座標を計算
    StrList.Add('        BR = (top_left[0] + w2, top_left[1] + h2)');
    //画像を切り出し img[top_Y : bottom_Y, left_X : right_X]
    StrList.Add('        img = img_gray[TL[1] : BR[1], TL[0] : BR[0]]');

    //選択肢数
    StrList.Add('        n_col = '+ strSelCnt);

    //解答欄1列あたりの行数
    StrList.Add('        n_row = '+ strRowCnt);
    StrList.Add('        margin_top = 0');
    StrList.Add('        margin_bottom = 0');
    StrList.Add('        n_row = n_row + margin_top + margin_bottom');

    //マークの列数・行数の整数倍のサイズになるようリサイズ
    StrList.Add('        img = cv2.resize(img, (n_col*100, n_row*100))');

    //保存して確認
    //StrList.Add('        cv2.imwrite("01_ReSize.png", img)');

    //平滑化の度合い
    StrList.Add('        img = cv2.GaussianBlur(img,(35,35),0)');

    //保存して確認
    //StrList.Add('        cv2.imwrite("02_GaussianBlur.png", img)');

    //二値化の閾値
    //50を閾値として2値化
    //imgはグレースケール画像でなければならない
    //第2引数はしきい値で,
    //画素値を識別するために使用(指定)
    //第3引数は最大値でしきい値以上
    //(指定するフラグ次第では以下)の値を持つ
    //画素に対して割り当てられる値
    //StrList.Add('        ret, img = cv2.threshold(img, 140, 255, cv2.THRESH_BINARY)');

    //大津の二値化で閾値の設定を自動化
    //第1引数には画像データを設定
    //(グレースケール画像でなければならない)
    //第2引数はしきいだが自動計算させるので0(ゼロ)を指定
    //第3引数は0-255の256段階でグレースケール化しているから
    //最大値の255を指定
    StrList.Add('        ret, img = cv2.threshold(img, 0, 255, cv2.THRESH_BINARY + cv2.THRESH_OTSU)');

    //保存して確認
    //StrList.Add('        cv2.imwrite("03_threshold.png", img)');

    //白黒を反転
    StrList.Add('        img = 255 - img');

    //保存して確認(追加)
    StrList.Add('        cv2.imwrite("04_threshold.png", img)');

    //全マークを判定
    StrList.Add('        result = []');
    StrList.Add('        for row in range(margin_top, n_row - margin_bottom):');
    StrList.Add('            tmp_img = img [row*100:(row+1)*100,]');
    StrList.Add('            area_sum = []');
    StrList.Add('            for col in range(n_col):');
    StrList.Add('                area_sum.append(np.sum(tmp_img[:,col*100:(col+1)*100]))');
    StrList.Add('            result.append(area_sum > np.median(area_sum) * 3)');

    //判定結果を出力
    StrList.Add('        for x in range(len(result)):');
    StrList.Add('            res = np.where(result[x]==True)[0]+1');
    StrList.Add('            if len(res)>1:');
    StrList.Add('                var1.Value = "99"');
    StrList.Add('            elif len(res)==1:');
    StrList.Add('                s = str(res)');
    StrList.Add('                var1.Value = s[1]');
    StrList.Add('            else:');
    StrList.Add('                var1.Value = "999"');

    //Execute
    PythonEngine1.ExecStrings(StrList);

    //結果を表示
    Memo1.Lines.Assign(strAnsList);

    //Userへ案内
    MessageDlg('読み取り完了!', mtInformation, [mbOk] , 0);

  finally
    //解放
    StrList.Free;
    strAnsList.Free;
  end;

end;

Pythonから返された計算結果を受け取るため、PythonDelphiVar1のOnSetDataイベントの手続きを作成する。Form上のPythonDelphiVar1をクリックして選択し、オブジェクトインスペクタのOnSetDataイベントの右側をダブルクリックして、コード入力画面で以下の内容を入力する。

procedure TForm1.PythonDelphiVar1SetData(Sender: TObject; Data: Variant);
begin
  //値がセットされたら動的配列に値を追加
  strAnsList.Add(Data);
  intCnt:=intCnt+1;
  Application.ProcessMessages;
end;
表示の「999」は空欄、「99」は複数マークであることを意味する。

上書き保存(Ctrl+S)して、実行(F9)。次の画像のように、マークシートが正しく読み取り処理されることを確認する。

複数マークを許可する場合には、判定結果を出力する部分のコードを次のように変更する。マークシートの読み取り結果をCSVファイルに出力したり、Excelに書き出したりして利用する場合には、複数回答は99、未回答は999のように処理した方が、後々の処理がラクになる(・・・と思う)。

    //判定結果を出力(複数回答は99、未回答は999で表示)
    {コメント化ここから
    StrList.Add('        for x in range(len(result)):');
    StrList.Add('            res = np.where(result[x]==True)[0]+1');
    StrList.Add('            if len(res)>1:');
    StrList.Add('                var1.Value = "99"');
    StrList.Add('            elif len(res)==1:');
    StrList.Add('                s = str(res)');
    StrList.Add('                var1.Value = s[1]');
    StrList.Add('            else:');
    StrList.Add('                var1.Value = "999"');
    ここまで}

    //判定結果を出力(複数回答の詳細を表示)
    StrList.Add('        for x in range(len(result)):');
    StrList.Add('            res = np.where(result[x]==True)[0]+1');
    StrList.Add('            if len(res)>1:');
    StrList.Add('                var1.Value = str(res)+ '+'"!複数回答!"');
    StrList.Add('            elif len(res)==1:');
    StrList.Add('                s = str(res)');
    StrList.Add('                var1.Value = s[1]');
    StrList.Add('            else:');
    StrList.Add('                var1.Value = " *未回答*"');

PythonEngineが正しく初期化され、Embeddable Pythonが利用できることが確認できたら、このメッセージは必要ないのでコメント化しておく。

procedure TForm1.FormCreate(Sender: TObject);
var
  //Python39-32へのPath
  AppDataDir:string;
begin
  ・・・
  if DirectoryExists(AppDataDir) then
  begin
    //フォルダが存在したときの処理(コメント化)
    //MessageDlg('Embeddable Pythonが利用可能です。',
    //  mtInformation, [mbOk] , 0);
    PythonEngine1.AutoLoad:=True;

5.さらに進化

さまざまな機能を追加したマークシートリーダー
(ファイルの名称を連番で変更/画像の回転/グリッド指示位置と画像の連動/グリッド指示位置を画像上で矩形選択/閾値等各種パラメータの調整と保存機能/音声読み上げ関連機能の搭載/回答チェック機能(空欄&複数回答対応)/CSV形式でのデータ出力/ExcelBookへのデータ出力/様式の異なるマークシートをテンプレートとして登録して利用可能/抱き合わせ採点の実施機能/共通テスト(数学の様式)に対応等、考えつく限りの機能を搭載/さらに進化します!)

このプログラムでは、「マークシート画像の表示」と、「読み取り処理」の間に何も関連がないが、このプログラムをさらに発展させて、複数枚数の処理を可能にし、読み取り結果を画面上で確認するような機能を追加する際には、マークシート画像の表示はどうしても必要な機能になる。

さらに、画面の左側などに読み込んだマークシートがリスト形式で表示されるようにして、ここから任意のマークシート画像を選んで表示できるような機能も追加するとよいと思う。

読み取り結果も、ここではMemoに表示しているが、CSVやExcelへ出力して利用することを考えると、ここはGridコントロールに変更したい。

Gridコントロール上で選択したデータの該当回答欄に相当する画像が自動的に画面上に表示され、かつ、表示されたマークシート画像上の該当回答欄が矩形で選択され、ユーザーがチェックしやすいGUIにするとなお良いだろう。

また、チェック時にはユーザーがマークシート画像を見ながら確認作業が行えるよう、Gridコントロールの数字をアナウンスしてくれる音声読み上げ機能があると大変便利だ。それから、回答の必要がない、全マークシートが空欄となっている部分は、予め指定することで、チェックから除外できる機能も欲しい。

さらに、スキャナーから読み込んだ画像データを回転させたり、連番で扱いやすい名前に変更したり、様式の異なるマークシートをテンプレートとして登録できるような機能も搭載したい。

より一層ユーザーに優しい、夢に見たようなマークシートリーダーを開発したい。この希望の実現に向けて、日々努力する私でありたい。

Web上に貴重な資料を公開してくださった多くの皆さまに心より深く御礼申し上げます。ほんとうにありがとうございました。

6.著作権表示の記載方法

参考:Python4DelphiのLicenseについて

GitHubのPython4Delphiのダウンロードページには「The project is licensed under the MIT License.」とある。これは「改変・再配布・商用利用・有料販売すべてが自由かつ無料」であること、及び使用するにあたっての必須条件はPython4Delphiの「著作権を表示すること」と「MITライセンスの全文」or 「 MITライセンス全文へのLink」をソフトウェアに記載する、もしくは、別ファイルとして同梱しなさい・・・ということを意味する。

したがってPython4Delphiを利用したプログラムの配布にあたっては、ソフトウェアの中で、次のような著作権表示を行うか、もしくは P4DフォルダのルートにあるLicenseフォルダをプログラムに同梱して配布すればよいことになる。

Python4Delphiを利用した場合の著作権表示の記載例:

Copyright (c) 2018 Dietmar Budelsky, Morgan Martinet, Kiriakos Vlahos
Released under the MIT license
https://opensource.org/licenses/mit-license.php

7.お願いとお断り

このサイトの内容を利用される場合は、自己責任でお願いします。記載した内容を利用した結果、利用者および第三者に損害が発生したとしても、このサイトの管理者は一切責任を負えません。予め、ご了承ください。

【関連記事】

How to use Python4Delphi

「PythonForDelphiの使い方(Delphiのプログラム内でPythonを動かす)」

1.Delphiで埋め込みPythonを使う
2.準備
3.ノートPCの電池残量を表示するプログラムを作成
4.PythonEngineのメモリリーク
5.Delphi11のIDEが真っ白になってしまう問題への対応方法
6.著作権表示の記載方法
7.お願いとお断り

こちらで紹介した方法の応用版として、自作のマークシートリーダーの読み取り速度をPython4Delphiで高速化。プログラムのダウンロード(無料)も可能です。もし、よかったら次のリンク先記事もご参照ください。

1.Delphiで埋め込みPythonを使う

ノートPCの電池残量を表示する練習プログラムを、埋め込みPythonを使ってDelphiで書いてみる。
埋め込み用途のembeddable pythonをDelphiで使うには? というテーマで悩んでいらっしゃる方の参考になれば、望外の喜びです。なお、以下の内容はDelphiで開発経験のある方を対象としています。IDEの基本的な操作方法等は省略していますので、予めご了承ください。

2.準備

(1)DelphiにPython4Delphi(P4D)のパッケージを予めインストールしておく。

(2)埋め込み用のEmbeddable Pythonをダウンロードし、各種ライブラリをインストール(下記リンク先ではNumpyとOpenCVライブラリをインストール)。

(3)Embeddable PythonにノートPCの電池残量を表示するため、psutilライブラリをインストール( Embeddable Python のダウンロードと設定方法は上の(2)を参照してください)。

「python -m pip install psutil」と入力してEnterキーを押す

(4)Delphiを起動して「ファイル」→「新規作成」→「Windows VCL アプリケーション」の順にクリックして新しいプロジェクトを準備する。

VCLアプリケーションの新規作成(Delphi11の場合)

3.ノートPCの電池残量を表示するプログラムを作成

(1)プロジェクトに名前を付けて保存する
(2)GUIを作成
(3)コンパイル & Python環境をコピー
(4)Python関連のVCLコンポーネントを配置
(5)Python関連のVCLコンポーネントのプロパティを設定
(6)エラー対応(ライブラリパスの確認)
(7)閉じるボタンのコードを書く
(8)FormのCreateでPython39-32の有無を確認する
(9)Messageダイアログを使う
(10)埋め込みPythonと接続する
(11)OnSetDataイベントを利用する
(12)プログラムの完成と動作確認

(1)プロジェクトに名前を付けて保存する

新しいフォルダを作成(名称は任意:ここではBTRC_byP4Dとしている)し、Unit1.pasを保存(Unit1を別名にしてもよいが、名称をメモしておく)。

参考 BTR:Battery(電池) / C:Charging(充電)/ P4D:PythonForDelphi

つづけて、プロジェクトファイル(Project1.dproj)を同じフォルダに保存。
Project1は別名にしてもよいが、上のpasファイルと同じ名称にしないこと。
また、別名にした場合は、名称を忘れないようにメモしておく。

(2)GUIを作成

画面にVCLコンポーネントを配置してGUIを作る。
Memoを2つ(Memo1とMemo2)、
Buttonを2つ(Button1とButton2)が最低限必要。

パレットのTMemoとTButtonをそれぞれ2つずつ、FormへD&Dする。

DelphiのIDEの基本的な操作方法や、VCLコンポーネントの配置方法は、次のリンク先の解説がわかりやすい。

はじめてのDelphiアプリケーション (VCL Form編) (Delphi プログラミング)

URL:https://www.ipentec.com/document/delphi-first-application-vcl-form-application



※ Formの大きさの変更にMemoの大きさやButtonの表示位置を追随させる方法は、別途解説する予定。

各VCLコンポーネントの名称はデフォルト設定のまま

Button1のCaptionプロパティを「実行」に変更。
Button2のCaptionプロパティを「終了」に変更。

Button1のCaptionプロパティを「実行」に変更。 Button2も同様にして「終了」に変更する。
ボタンのCaptionプロパティを変更

(3)コンパイル & Python環境をコピー

ビルド構成(Debug)のまま、ここで1回コンパイルしてexeを生成。

Ctrl+F9(Ctrlキーを押しながらF9キーを押す)でもOK!
コンパイル成功を確認→OKをクリック

※ ツールバーの実行(F9)をクリックして実行した場合は、生成されたexeが実行されてFormが表示されるので、表示されたFormを右上の閉じるボタンをクリックして閉じる。

ツールバーの実行(F9)から実行する場合
右上の「閉じる」ボタンでFormを閉じる

コンパイルに成功すると、BTRC_byP4Dフォルダの中にWin32フォルダが、さらにその下にDebugフォルダがそれぞれ自動的に作成される。このDebugフォルダを開き、別途作成しておいたEnbeddable Pythonの入ったフォルダをコピーして、貼り付ける(下の例では Enbeddable Pythonの入ったフォルダ名をpython39-32としている)。

Enbeddable Pythonの入ったフォルダを
ここへ貼り付ける。
フォルダとファイルの構造はこうなる。

Embeddable Pythonのダウンロードと各種ライブラリのインストール方法は以下のリンク先を参照してください。

(4)Python関連のVCLコンポーネントを配置

DelphiにPythonのスクリプトを埋め込んで実行するには、PythonForDelphiが必要。
PythonForDelphi(またはPython4Delphi さらに略すと P4D)をDelphiにセットアップする方法は以下のリンク先で解説。

(Python4Delphiのパッケージがインストールされた)Delphiのパレットのいちばん下にPython4Delphiの非ビジュアルコンポーネントがあるので、この中から次の3つのコンポーネント

「PythonEngine、PythonGUIInputOutput、PythonDelphiVar」

をForm上にドラッグ&ドロップ(各非ビジュアルコンポーネントをダブルクリックしてもよい)。

※ 非ビジュアルとは、「実行時に見えなくなる」コンポーネントを意味する。

Python4Delphiの非ビジュアルコンポーネント
非ビジュアルコンポーネントなので画面の任意の位置へD&DすればOK!
非ビジュアルコンポーネントは表示しない設定にすることも出来る(忘れっぽい私は常に表示している)。

(5) Python関連のVCLコンポーネントのプロパティを設定

・PythonEngine1のAutoLoadプロパティをFalseに設定

Form上にパレットからPythonEngineコンポーネントをドラッグ&ドロップすると、名称は自動的に PythonEngine1になる。上の図のようにこれをクリックして選択すると、オブジェクトインスペクタにPythonEngine1のプロパティが表示されるので、その中のAutoLoadプロパティをFalseに変更する(デフォルトTrueに設定されているので、チェックボックスのチェックを外す)。

AutoLoadプロパティをFalseに変更

練習ではなく、本格的にプログラミングする際、私はビジュアルコンポーネントについては、その名称を必ず変更するようにしている。理由はButtonコントールなどは使用数が多く、わかりやすい名前を付けておいた方がプログラミングしやすいからだ。

 例:OKボタンなら、そのNameプロパティを button1→btnOK へ変更

しかし、非ビジュアルコンポーネントの場合は、同じコンポーネントを複数配置することは稀なので、Delphiが自動的に割り振った名前をそのまま利用している。ここでもその例にならって、非ビジュアルコンポーネントの名称は Delphiが自動的に割り振った名前をそのまま利用することにする。

・PythonEngine1のDllNameプロパティは、python39.dllを予め指定(組み込み用のPythonのバージョンに合わせて設定する)。

最新版のPython4Delphiでは「python310.dll」がデフォルト値になっていた。

python39.dllは、上でDebugフォルダ内に張り付けたPython39-32フォルダ内にある。

・PythonEngine1のIOプロパティにはPythonGUIInputOutput1を指定する。

IOプロパティのデフォルト設定は「空欄」になっていた。

・PythonGUIInputOutput1のOutPutプロパティに「Memo2」のように出力先を指定したくなるが、ここでは敢えて何も設定しない。

・PythonDelphiVar1のVarNameプロパティは、プログラムコードの記述に合わせるため「var1」とする。※var1と入力後、Enterで確定すること!(青く反転表示されるのを確認する)

「var1」と入力後、Enterキーを押さないと変更が反映されない。

・この状態で実行(F9)した際に「Python Engineが見つかりません」というようなエラーメッセージが表示される場合は、P4Dのパッケージをインストールした際のライブラリパス設定に誤りがないか、確認する

画面下のメッセージ欄の表示:[dcc32 致命的エラー] Unit1.pas(7): F2613 ユニット ‘PythonEngine’ が見つかりません。
コンパイルエラー発生時のUnit1画面

(6)エラー対応(ライブラリパスの確認)

GitHubから入手したPython4DelphiのフォルダのSourceフォルダ以下にある、このプログラムの動作に必要なファイルへのライブラリパスが正しく設定されていることを確認する。設定されていない場合は、(灰色で表示されている誤ったパスを削除して)ライブラリパスを再設定する。

「ツール」→「オプション」の順にクリックして、次の画面を表示する。

「言語」→「Delphi」→「ライブラリ」とクリックして、赤枠囲みの中をクリック。

ライブラリパスを正しく設定する。

PCを新しくした場合等、再設定する必要があるかもしれないので、
設定内容をメモしておく。

ライブラリパスの設定が完了したら、再度コンパイル(実行:F9)してエラーが発生しないことを確認する。

(右上の閉じるボタンで終了)

参考:コンパイルとビルドの違い

・メニューの「プロジェクト」 →「Project1をコンパイル」
 (ショートカットは「Ctrl+F9」)

前回のビルド以降に変更されたファイルと、それに依存するファイルのみをコンパイルして EXE を生成するが、アプリケーションは起動しない。

・メニューの「プロジェクト」 →「Project1をビルド」
 (ショートカットは「Shift+F9」)

変更の有無に関わらず、全てのユニットを再コンパイルして EXE を生成するが、アプリケーションは起動しない。ユニット数が多ければ当然それだけ遅くなる。

・実行(ショートカットはF9)

変更されたソースコードをすべてコンパイルする。コンパイルが成功した場合は、アプリケーションを実行するので、そのアプリケーションを IDE でテストできるようになる。

・デバッガを使わずに実行。(ショートカットは「Shift+Ctrl+F9」)

変更があったユニットだけをコンパイルしてexeを生成し、 アプリケーションを起動する(exe単体での起動と同じ)。

(7)閉じるボタンのコードを書く

Formの「終了」ボタンをダブルクリックすると画面は次のようになる。ここに終了ボタン(Button2)がクリックされた時のProcedure(手続き)を記述する。

procedure TForm1.Button2Click(Sender: TObject);
begin

end;

beginとend;の間に次のように記入する。

procedure TForm1.Button2Click(Sender: TObject);
begin
  //プログラムの終了
  Close;
end;

//は1行をコメント化(コンパイラはコメント部分を無視する)

Closeは、Formを閉じる命令(正確にはメソッドだから方法?)。アプリケーションのメインフォームを閉じると、そのアプリケーションは終了する。
(ここはApplication.TerminateでもOKだが、 Windowsでは、Application.Terminate でアプリケーションを強制終了させた場合には、OnCloseQueryイベントが実行されない仕様になっているとのこと)。← これは不具合ではなく、Windowsの仕様。

もし、アプリケーション終了時(Windowsの終了やログアウト時も含む)に、何らかの終了処理(中止を含む)を行いたい場合は、OnCloseQueryイベントが実行されるCloseを使用する。(今回は行わないがForm生成時に、例えばTStringListをCreateしてプログラム内で利用するような場合には、CreateしてTry文で使用(~Finally ここで解放 End;)の一般的流れが使えないので、 OnCloseQueryイベントもしくはOnDestroyイベントで、TStringList.Freeのようにして確実に解放しなければならない。)

実行(F9)してFormが表示されたら、「終了」ボタンでアプリケーションを終了できることを確認する。

(8)FormのCreateでPython39-32の有無を確認する

FormがCreateされる時に、Embeddable Python(Python39-32 フォルダ)があることを確認し、必要な諸設定を行う。F12を押すとFormとUnitの表示を交互に切り替えることができる。画面をFormに切り替え、アクティブ(Formのどこかをシングルクリック)にし、オブジェクトインスペクタのイベントタブをクリックして、下にスクロールさせ、OnCreateイベントの右の空白部分をダブルクリックする。自動的にUnit画面に表示が切り替わり、下のようにForm.Create手続き部が生成される。

procedure TForm1.FormCreate(Sender: TObject);
begin

end;

Python39-32フォルダのパスを入れる変数を宣言する。procedureとbeginの間にvar(宣言)を入力して、改行&字下げを行い、文字列型変数AppDataDirを宣言する。必要であればコメントで変数の用途を書いておく。

procedure TForm1.FormCreate(Sender: TObject);
var
  //Python39-32へのPath
  AppDataDir:string;
begin

end;

次に、beginとend;の間にForm.Create手続きで行いたい内容を記述する。

begin

  //Embeddable Pythonの存在の有無を調査
  AppDataDir:=ExtractFilePath(Application.ExeName)+'Python39-32';

  if DirectoryExists(AppDataDir) then
  begin
    //フォルダが存在したときの処理
    MessageDlg('Embeddable Pythonが利用可能です。',
      mtInformation, [mbOk] , 0);
    PythonEngine1.AutoLoad:=True;
    PythonEngine1.IO:=PythonGUIInputOutput1;
    PythonEngine1.DllPath:=AppDataDir;
    PythonEngine1.SetPythonHome(PythonEngine1.DllPath);
    PythonEngine1.LoadDll;
    //PythonDelphiVar1のOnSeDataイベントを利用する
    PythonDelphiVar1.Engine:=PythonEngine1;
    PythonDelphiVar1.VarName:=AnsiString('var1');  //プロパティで直接指定済み
    //初期化
    PythonEngine1.Py_Initialize;
  end else begin
    MessageDlg('Embeddable Pythonが見つかりません!',
      mtInformation, [mbOk] , 0);
    PythonEngine1.AutoLoad:=False;
  end;

end;

Ctrl+Sでコードを上書き保存。保存したら実行(F9)。
ここまでの操作にミスがなければ次のメッセージが表示される。

「OK」をクリックして閉じる

続けてFormが表示されるので、終了ボタンをクリックして閉じる。
画面下のメッセージ欄に次のヒントが表示されることを確認する。

(9) Messageダイアログを使う

[dcc32 ヒント] Unit1.pas(118): H2443 インライン関数 ‘MessageDlg’ はユニット ‘System.UITypes’ が USES リストで指定されていないため展開されません

ヒントの言う通り、 ‘System.UITypes’ を USES リストで指定する。以下のように、30行目付近の implementation (実装・実現部)宣言と、その下の コンパイラ指令 {$R *.dfm}の間が空白行になっているので、ここに「uses」と「 System.UITypes ;」を記述。なお、System.UITypes の後ろには行末を意味するセミコロン;を半角で入力する。

implementation

{$R *.dfm}

implementation の下に「uses」と入力してEnter & 字下げ(TABキー)、
で、次の行に「System.UITypes;」を記述。

implementation

uses
  System.UITypes;  // <-入力する

{$R *.dfm}

{$R *.dfm} はコメントではなく、dfmファイルを見つけて 実行ファイルにリンクさせるコンパイラ指令(命令)。「不要なコメントである」と勘違いして、消してはいけない。

以上が入力した状態。上書き保存(Ctrl+S)して、実行(F9)。メッセージにヒントが表示されないことを確認。 表示されたらメッセージ欄を確認。確認後、Formを閉じる。

警告もヒントも表示されない

(10) 埋め込みPythonと接続する

次に、いよいよ埋め込みPythonと接続する。Unitが表示されている場合はF12キーを押してFormの画面に切り替え、左下の「実行」ボタンをダブルクリックする。表示は自動的に以下のように、Button1Click手続きに切り替わる。

procedure TForm1.Button1Click(Sender: TObject);
begin

end;

初めにPythonのスクリプトを入れる文字列型リストと、Pythonから送られたデータを保存する文字列型リストをローカル変数として、以下のように宣言する。

procedure TForm1.Button1Click(Sender: TObject);
var
  //PythonのScriptを入れる
  strScrList:TStringList;
  //Pythonから送られたデータを保存する
  strAnsList:TStringList;
begin

end;

最初に、Memo1を初期化し、データの入れ物をそれぞれ準備する。

begin

  //初期化
  Memo1.Clear;

  //Scriptを入れるStringList
  strScrList:=TStringList.Create;
  //結果を保存するStringList
  strAnsList:=TStringList.Create;

end;

準備したStringListが処理の最後にきちんと解放されるよう、try文を用いて処理する。
tryと入力してEnterキーを押すと、次の画面のようにfinallyとend;が自動入力される。

begin

  //初期化
  Memo1.Clear;

  //Scriptを入れるStringList
  strScrList:=TStringList.Create;
  //結果を保存するStringList
  strAnsList:=TStringList.Create;

  try

  finally

  end;

end;

StringListの解放処理を先に書いてしまう。これで万一、トラブルが発生しても必ずStringListは処理の最後に解放(メモリが空く)される。

  //Scriptを入れるStringList
  strScrList:=TStringList.Create;
  //結果を保存するStringList
  strAnsList:=TStringList.Create;

  try

  finally
    //StringListの解放
    strAnsList.Free;
    strScrList.Free;
  end;

最後に、バッテリー残量を取得するPython Scriptを文字列型リストへ、1行ずつ書き込んで、Memo1に表示、Python側でMemo1に表示されたスクリプトを実行し、返ってきた結果を文字列型リストに読み込んで、Memo2に表示するコードを記述する。

  try
    //バッテリー残量を取得するPython Script
    strScrList.Add('import psutil');
    //バッテリー残量
    strScrList.Add('btr = psutil.sensors_battery()');
    //バッテリー残量を表示
    strScrList.Add('var1.Value = str("残量:") 
      + str(btr.percent) + str("%")');
    //Scriptを表示
    Memo1.Lines.Assign(strScrList);
    //Execute
    PythonEngine1.ExecStrings(Memo1.Lines);
    //結果を表示
    Memo2.Lines.Assign(strAnsList);
  finally
    //StringListの解放
    strAnsList.Free;
    strScrList.Free;
  end;

入力したら上書き保存(Ctrl+S)して、実行(F9)する。Formが表示されたら、Form上の「実行」ボタンをクリックする。結果は次のようになる。

Memo1には、意図した通り、StringListに入れたPythonのScritが表示されているが、
Memo2は空欄のままである。

Object Pascalのコードをよく読むとPythonEngineをExecuteしてPythonに電池残量を計算させるところまではOKだが、Pythonが計算した結果を「Delphi側が受け取れていない」ことがわかる。

    //Execute
    PythonEngine1.ExecStrings(Memo1.Lines);

    { ここでPythonからの結果通知を受け取る必要がある }

    //結果を表示
    Memo2.Lines.Assign(strAnsList);

(11) OnSetDataイベントを利用する

では、Pythonからの結果通知を受け取るにはどうしたらいいかというと、残念ながらその処理はこのprocedure内には書けない。

結論から言うと、Pythonの返した結果は、Formに配置したPythonDelphiVar1コンポーネントのOnSetDataイベントで受け取ることができる。その処理を実現するため、プログラムに必要な変更を加える。

まず、実行ボタンがクリックされた時の手続きの冒頭で、「結果を保存するStringList」として「strAnsList」というローカル変数を宣言したが、今、結果は「PythonDelphiVar1のOnSetDataイベントで受け取る」ことにした=つまり「別の手続きの中で受け取る」ことになるから、この変数をプログラムのあちこちから使える(見える)プライベートメンバー変数(クラス内部でのみ利用可能な変数) に変更することにする。以下、その処理を示す。

まず、 Button1Click手続きでローカル変数として宣言したstrAnsList変数をコメント化する。

procedure TForm1.Button1Click(Sender: TObject);
var
  //PythonのScriptを入れる
  strScrList:TStringList;
  //Pythonから送られたデータを保存する
  //strAnsList:TStringList;  //コメント化してしまう
begin

22行目付近のprivate部に、このクラス内部でのみ利用可能な プライベートメンバー変数として、strAnsList変数を再宣言する。

  private
    { Private 宣言 }
    //Pythonから送られたデータを保存する
    strAnsList:TStringList;
  public
    { Public 宣言 }
  end;

これでstrAnsList変数は、プライベートメンバー(クラス内部でのみ利用)化され、異なる手続きの中でアクセスできるようになった。

続けて、PythonDelphiVar1のOnSetDataイベントの処理を実装する。F12を押して画面をFormの方に切り替えて、PythonDelphiVar1をクリックして選択する。

選択する

画面左下のオブジェクトインスペクタにPythonDelphiVar1が表示されていることを確認して、イベントタブをクリックし、下にスクロールしてOnSetDataイベント部分の右の空白をダブルクリックする。

OnSetDataの右の空白をダブルクリック

PythonDelphiVar1SetData手続きが自動的に生成されるので、次のコードを記述する。

procedure TForm1.PythonDelphiVar1SetData(Sender: TObject; Data: Variant);
begin
  //値がセットされたら文字列リストに値を追加
  strAnsList.Add(Data);
  Application.ProcessMessages;
end;

これでPython側からDelphi側へ、計算結果を渡せるようになった。ここでは単純な処理しかしていないので実質不要であるが、例えばループ処理を行って何度も結果が返るなど、より複雑な計算処理をPython側で行わせる場合に、確実に結果を受け取れるよう、 Application.ProcessMessagesを「おまじない」として入れてある。

Application.ProcessMessages メソッドは、「Windows がイベントに応答できるようアプリケーションの実行を一時的に停止」する命令であるとのこと。このメソッドについては下記リンク先の説明が詳しい。

Article: 待ち関数の必要性

URL:http://gumina.sakura.ne.jp/CREATION/OLD/COLUMN/CD1MATI.htm

(12)プログラムの完成と動作確認

これで、最低限の機能だけは組み込んだノートPCの電池の残容量を表示するプログラムの完成である。上書き保存(Ctrl+S)して、実行(F9)し、結果を確認する。

電池の残量が表示された

4. PythonEngineのメモリリーク

参考 PythonEngineのメモリリークが起きた時は・・・

別のプログラムでPythonEngineがメモリリークを起こしたことがある。この問題について、次のようにFormのOnDestroyイベントでFinalize処理を行うよう対応したところ、メモリリークは解消された。備忘録として記しておく。

procedure TFormZZZ.FormDestroy(Sender: TObject);
begin
  //これでメモリーリークは発生しなくなった
  //PythonDLLによって割り当てられたすべてのメモリが解放される
  //旧バージョンのPythonEngineの場合
  //PythonEngine1.Finalize;
  //最新バージョン(2021年12月現在)のPythonEngineの場合
  PythonEngine1.Py_Finalize;
  PythonDelphiVar1.Finalize;
end;

5. Delphi11のIDEが真っ白になってしまう問題への対応方法

参考リンク Delphi11のIDEが真っ白になってしまう問題への対応方法

RAD Studio 11のプロジェクトファイル(.dproj、.cbproj)をダブルクリックしてIDEを起動し、デバッグ実行すると、IDEの各ウィンドウが白く表示される

URL:上のLinkをクリックしてください。

6.著作権表示の記載方法

参考:Python4DelphiのLicenseについて

GitHubのPython4Delphiのダウンロードページには「The project is licensed under the MIT License.」とある。これは「改変・再配布・商用利用・有料販売すべてが自由かつ無料」であること、及び使用するにあたっての必須条件はPython4Delphiの「著作権を表示すること」と「MITライセンスの全文」or 「 MITライセンス全文へのLink」をソフトウェアに記載する、もしくは、別ファイルとして同梱しなさい・・・ということを意味する。

したがってPython4Delphiを利用したプログラムの配布にあたっては、ソフトウェアの中で、次のような著作権表示を行うか、もしくは P4DフォルダのルートにあるLicenseフォルダをプログラムに同梱して配布すればよいことになる。

Python4Delphiを利用した場合の著作権表示の記載例:

Copyright (c) 2018 Dietmar Budelsky, Morgan Martinet, Kiriakos Vlahos
Released under the MIT license
https://opensource.org/licenses/mit-license.php

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このサイトの内容を利用される場合は、自己責任でお願いします。記載した内容を利用した結果、利用者および第三者に損害が発生したとしても、このサイトの管理者は一切責任を負えません。予め、ご了承ください。

【関連記事】

Setup Old Python4Delphi

「Delphiで古いPythonForDelphiを使う(おすすめしません)」

OpenCVとNumpyをインストールしたembeddable pythonをDelphiから利用できるようにした。これはその覚書その2。タイトルにあるように古いPython4Delphiをセットアップした時の記録。

1.どなたにもおすすめしません(最新版が便利です)
2.旧バージョンのインストール方法
3.まとめ
4.著作権表示の記載方法
5.お願いとお断り

1.どなたにもおすすめしません(最新版が便利です)

今はどこを探しても、この古いPython4Delphiはダウンロードできないが、もし、それが入手できて、使わなければならなくなった時には参考になる(カモ)。

ちなみに、ずっと愛用していた(10年以上前のバージョン?の)Python4Delphiは最新のDelphi11に、ここに記載した方法でほぼ問題なくインストールでき、かつ、期待通りに(VCLコンポーネントとして)動作した。←が、どなたにもおすすめしません。

最新のPython4DelphiをDelphi10.3以降のバージョンにインストールする方法は・・・

2.旧バージョンのインストール方法

以下の内容を利用される場合は、自己責任でお願いします。以下に記載した内容を利用した結果、利用者および第三者に損害が発生したとしても、このサイトの管理者は一切責任を負えません。予め、ご了承ください。

まず、困ったことに、ここで取り上げているPython4Delphiのバージョンがいくつなのか、どれくらい前にリリースされたものなのか、いつ、どこから入手したものなのか、いずれもわからない。

気が付いた時には、My PCの中にいた・・・。そんな存在である。

python4delphi-master\PythonForDelphiにあるDeployment.txtには、See document “Deploying P4D.PDF” first.・・・とあるので、これを読むとドキュメントの日付は「5/1/2005」となっている。もしかしたら、それくらい前のものかもしれない。

fmxには非対応のようで、vcl関連のファイルのみで構成されている。Readme.txtで紹介されているファイルとフォルダの構成は以下の通り。

FILES:
Readme.txt This file.
Python.txt Infos about Python, and further references.
Changes.txt List of all changes since the first release.
Tutorial.txt A simple tutorial to use the PythonEngine
To do.txt A to do list.
Deploying P4D.pdf Notes on the Deployment of your applications using Python for Delphi.
C++ Builder Notes.txt Notes on using C++Builder with the Python for Delphi components.
PythonAtom.hlp A help file explaining the use of TPythonAtom
Demos A folder containing several demos of Python for Delphi.
Components\Python.* The “Python for Delphi” packages.
Components\Sources\Core The source folder of the core “Python for Delphi”.
Lib Library of Python modules.
PythonIDE A Python developpment environment written in Delphi.
See PythonIDE\Readme.txt for the required components.
Modules Contains the Delphi\Delphi.dpr project that creates the Modules\Delphi.pyd Python module
that allows you to interact with Delphi VCL objects from Python.

同じく Readme.txt にあるインストール方法は、次の通り。この手順でDelphi10.4にインストール。

INSTALLATION:
install the Python for Windows distribution (http://www.python.org/).

1) Install the core components
For recent versions of Delphi, install the “Python_d” package located in the
Components folder and add the folder “…\Components\Sources\Core” to the library path.

1) コアコンポーネントのインストール

Components フォルダにある “Python_d” パッケージをインストールし、ライブラリパスに “…\Components\Sources\Core” フォルダを追加してください。

注意:異なるバージョンのDelphiがインストールされている環境では、Python_D.dpkをダブルクリックすると拡張子dpkに関連付けされたバージョンのDelphiが起動してしまう(あたりまえ)。このような場合は、P4D環境をインストールしたいDelphiを起動し、ファイルメニューの「開く」からPython_D.dpkを指定してパッケージをインストールする。

また、「開く」のは「Python_D.dpk」で、「Python_D.dproj」ではないことにも注意する。で、「Python_D.dpk」を開いたら・・・

プロジェクトマネージャーに表示されたPython_D.bplを右クリックして、表示されたサブメニューの「インストール」をクリック。

【Delphi10.4の場合】

この方法でエラーなくインストールできた。(・・・気がするだけかもしれない)

【Delphi11の場合】

次のエラーが発生!

[dcc32 エラー] PythonEngine.pas(63): E2029 ‘INTERFACE’ が必要な場所に 識別子 ‘Error’ があります。

エラーが起きている場所を確認すると・・・

unit PythonEngine;

{ TODO -oMMM : implement tp_as_buffer slot }
{ TODO -oMMM : implement Attribute descriptor and subclassing stuff }

{$IFNDEF FPC}
{$IFNDEF DELPHI2010_OR_HIGHER}
  Error! Delphi 2010 or higher is required! ←ここでエラーが発生!
{$ENDIF}
{$ENDIF}

とりあえず、この1行をコメント化して再実行。

{$IFNDEF FPC}
{$IFNDEF DELPHI2010_OR_HIGHER}
  //Error! Delphi 2010 or higher is required!
{$ENDIF}
{$ENDIF}

エラーは発生せず。表示されたメッセージを読み、インストールの成功を確認。

もう一度Python_D.bplを右クリックして、表示されたサブメニューの「上書き保存」をクリック。これでパッケージのインストールは完了。

「ライブラリパスに “…\Components\Sources\Core” フォルダを追加・・・」とあるが、パスを追加しなくてもプログラムの動作に必要な.pasファイルをプロジェクトファイルのあるフォルダにコピーすれば動くから、ここでは「追加しない」ことを選択。

重要 特別な理由のない限り、最新版のPython4Delphiを選択することをお勧めします。
(最新版のP4Dパッケージを登録する場合は、ライブラリパスをきちんと設定しましょう)

2) Install the VCL components (this is optional)

For recent versions of Delphi, install the “PythonVCL_d” package located in the Components folder and add the folder “…\Components\Sources\Core” to the library path.

2) this is optional ・・・とあるので、オプションならやらなくてもいいか!ということで実行しない。

3) Build Modules\Delphi\Delphi.dpr (This is optional and unsupported)

Once the project is build you can either extend the Python path with ..\Modules or copy ..Modules\Delphi.pyd to C:\Python24\DLLs, to be able to import the Delphi module from Python.

Note that you can try this module by invoking the ..\Modules\TestApp.py script.

3) This is optional and unsupported ・・・とあり、オプションである上にサポートなしとあるので、これも実行しない。

3.まとめ

(1) Readme.txt の INSTALLATION の手順1)のみ実行すればOKだった。

(2)DelphiのXXX.dprojファイルのあるフォルダへコピーするPython関係のファイルは以下の通り。他のプロジェクトでも利用する場合は、ライブラリパスへ登録した方が使いやすくなるが、このP4Dは最新版ではないので、このようにして利用した(←過去形であることに注意)。

動作に必要なファイル

4. 著作権表示の記載例

参考:Python4DelphiのLicenseについて

GitHubのPython4Delphiのダウンロードページには「The project is licensed under the MIT License.」とある。これは「改変・再配布・商用利用・有料販売すべてが自由かつ無料」であること、及び使用するにあたっての必須条件はPython4Delphiの「著作権を表示すること」と「MITライセンスの全文」or 「 MITライセンス全文へのLink」をソフトウェアに記載する、もしくは、別ファイルとして同梱しなさい・・・ということを意味する。

したがってPython4Delphiを利用したプログラムの配布にあたっては、ソフトウェアの中で、次のような著作権表示を行うか、もしくは P4DフォルダのルートにあるLicenseフォルダをプログラムに同梱して配布すればよいことになる。

Python4Delphiを利用した場合の著作権表示の記載例:

Copyright (c) 2018 Dietmar Budelsky, Morgan Martinet, Kiriakos Vlahos
Released under the MIT license
https://opensource.org/licenses/mit-license.php

5.お願いとお断り

このサイトの内容を利用される場合は、自己責任でお願いします。ここに記載した内容を利用した結果、利用者および第三者に損害が発生したとしても、このサイトの管理者は一切責任を負えません。予め、ご了承ください。

【関連記事】

Setup Python4Delphi

「DelphiからPythonを使えるようにする」

追々記(20231208)

さらにカンタンな方法がありました!

https://coding-tips-memoranda.com/rad-studio-12-0%e3%81%abpython4delphi%e3%82%92%e3%82%a4%e3%83%b3%e3%82%b9%e3%83%88%e3%83%bc%e3%83%ab%e3%81%99%e3%82%8b%ef%bc%81%ef%bc%88%e3%81%9d%e3%81%ae%ef%bc%92%ef%bc%89/

以下、上記の方法にたどり着くまでの、長い長い歩みの記録です。

追記(20231126)

RAD Studio 12.0(Delphi 12.0 Athens)のリリースに合わせ、Python4Delphi も更新されました。
RAD Studio 12.0(Delphi 12.0 Athens)へのインストールに対応した Python4Delphi (20231109版)のインストール記事は、以下のリンク先にあります。

RAD Studio 12.0(Delphi 12.0 Athens)に Python4Delphi をインストールされる場合は、こちらをご参照ください。

以下、2021年12月31日に掲載した記事です(内容は当時のままです)。

OpenCVとNumpyをインストールしたembeddable pythonをDelphiから利用できるようにした。これはその覚書。

1.Python4Delphiのダウンロード
2.P4DパッケージをDelphiにインストール
3.ライブラリパスの設定
4.P4Dの著作権表示の記載例
5.お願いとお断り

1.Python4Delphiのダウンロード

まず最初に、Python for Delphi(P4D)をGitHubから入手してDelphiにインストール。

P4Dの入手先URL https://github.com/pyscripter/python4delphi

Git Bashがない場合は、Codeをクリックすると表示されるサブメニューのいちばん下にDownLoad ZIPがあるので、これをクリックしてZIPファイルをダウンロードし、任意の場所(フォルダ)に解凍する(ここではダウンロードするフォルダの名前を「P4D」として説明)。

Download ZIPをクリック

Git Bashがある場合は・・・

Codeをクリック → 表示されるサブメニューからURLをコピー

で、Git Bashがあれば開く。

Git Bashは公式サイト https://gitforwindows.org/ から入手可能。

Git Bashでは、ls(エルエス)コマンドで今いる場所が表示され、cdコマンドでディレクトリの移動ができる。今、いる場所の直下のフォルダに移動するのであれば、Git Bashの画面に直接「cd フォルダ名」と入力してEnterキーを押す。

今、いる場所の直下に新しくフォルダを作成する場合は「mkdir フォルダ名」と入力してEnterキーを押す。

1階層上に移動したい場合は、「cd ../」と入力してEnterキーを押す。

階層の深いフォルダへ移動したい場合は、「cd」+半角スペースを入力後、そのフォルダをGit Bashの画面上へドラッグ&ドロップすればOK!

ここでは、Git Hubのリポジトリをクローンする「中が空の任意のフォルダ」を選ぶ(上の図ではあらかじめ作成しておいたP4Dフォルダを選んでいる)。

フォルダの内容が空であれば、フォルダの名前は何でもOKだが、後のPython4Delphiのインストール時に、「インストール元フォルダとして選択するフォルダとなる」ことに十分注意(フォルダ名を忘れないように)する(ここではフォルダ名を「P4D」としている)。

Git cloneと入力し、半角スペースを入れ、画面を右クリックして表示されるサブメニューのPasteをクリック。Enterキーを押すとダウンロードが始まる。

Enterキーを押してダウンロード開始。
ダウンロード終了時の画面

※ Git Bashがない場合は、Codeをクリックすると表示されるサブメニューのいちばん下にDownLoad ZIPがあるので、これをクリックしてZIPファイルをダウンロードし、任意の場所(フォルダ)に解凍する。(再掲)

2.P4DパッケージをDelphiにインストール

ここで超重要ポイントがひとつ

ダウンロードが無事完了すると、P4Dフォルダの中には「python4delphi」フォルダが出来ている。

(ZIPファイルを解凍した場合は「python4delphi-master」フォルダが出来る)

このフォルダの名前を手動で「P4D」に変更(リネーム)する。

「P4D」フォルダの中(1階層下)に「P4D」フォルダがあることになるが、これでOK! 理由は以下の通り。

C:\XXX\P4D\P4D\Install\Readme.mdには、以下の記述が・・・

P4D Installation using MultiInstaller

Use for Delphi Seattle (10.4) or later to install all packages in one step.

  1. Clone or copy the Python4Delphi git repository to a folder of your choice. The setup.ini file assumes that the folder is called “P4D”. If you chose to name your folder differently then modify the “Folder” option in setup.ini.
  2. Close all Delphi IDEs running.
  3. Run MultiInstaller.exe
  4. Select the packages you want and press Next
  5. In the dialog box specify the parent folder of “P4D” (i.e. the folder containing the directory to which you have copied Python4Delphi) and the Delphi target version. Then press Next to install the components

Google先生曰く・・・

MultiInstallerを使用したP4Dインストール

Delphi Seattle(10.4)以降で使用して、すべてのパッケージを1つのステップでインストールします。

  1. Python4Delphigitリポジトリのクローンを作成するか選択したフォルダーにコピーします。 setup.iniファイルは、フォルダが「P4D」と呼ばれることを前提としています。フォルダに別の名前を付けることを選択した場合は、setup.iniの[フォルダ]オプションを変更します。
  2. 実行中のすべてのDelphiIDEを閉じます。
  3. MultiInstaller.exeを実行します。
  4. 必要なパッケージを選択して、[次へ]を押します。
  5. ダイアログボックスで、「P4D」の親フォルダ(つまり、Python4Delphiをコピーしたディレクトリを含むフォルダ)とDelphiのターゲットバージョンを指定します。次に、[次へ]を押してコンポーネントをインストールします。

Python4Delphiをコピーしたディレクトリを「P4D」にリネームして、さらに、インストール時に表示されるダイアログボックスでは・・・

「その親フォルダを指定せよ」

と言っている・・・。

C:\XXX\P4D\P4D\Installにある「MultiInstaller.exe」を起動
デフォルトですべてにチェックが入っている。そのままNextをクリック。
親の方のP4Dフォルダを選択し、OKをクリック
Compile packages and install on IDE にチェック(My環境ではDelphi11しかないので、チェックを入れると自動的にRAD Studio 11 Alexandriaのオプションが選択された)。

複数バージョンのDelphiがインストールされている環境であれば、インストールしたいバージョンを選択することになるはず。

Nextをクリックして続行。無事終了すれば下のような画面が表示される。

Delphi11にも無事インストールできた(あらかじめInstallフォルダ内にあったSetup.iniを確認したところ、Pathの設定に10.4+とあるから大丈夫と思ったが)。Finishをクリックしてインストール終了。

DelphiのIDEを起動して確認。

パレットに7匹のヘビを無事発見。

3.ライブラリパスの設定(確認)

追加したP4Dのパッケージを使用する場合、パッケージをインストールした後で、
「ツール」→「オプション」→「言語」→「Delphiオプション」→「ライブラリ」の順にクリックして下の画面を表示する(Delphi11の場合)。

「ツール」→「オプション」で上の画面が表示されるので、左ペインでさらに「言語」→「Delphi」→「ライブラリ」と進み、次に右ペインのライブラリパス(B)の赤枠囲みの…をクリックする。

表示される画面で、ライブラリのSourceファイルがあるフォルダのパスを登録する。ライブラリのパスの設定はターゲットにするそれらのプラットフォームごとに設定する必要がある。上の画面では 「Windows 32ビット」 のプラットフォームに対して設定している。 必要であれば、「Windows 64ビット」 のプラットフォームに対しても設定する。

ライブラリのSourceファイルは、PCを変更した場合でも容易に参照できるよう、
絶対に忘れない場所に置くようにしている。
また、上の例では最新版のP4DのSourceが階層構造を持っているため、共通利用するものとそうでないもの(vcl/fmx)を、それぞれ分けて登録している。

コンパイルを実行すると、Delphiはいちばん最初にプロジェクトファイル(.dproj)のあるフォルダ(ここはパスが通っているから登録は不要)を検索し、必要なユニットファイル等の有無を確認。もし、そこに必要なファイルがなければ、この画面に登録したライブラリパスを検索するようだ。

まとめ

(1)Python4Delphiをダウンロードするフォルダの名称は任意だが、そこに作られるフォルダ「 python4delphi 」は「P4D」にリネームする。

(2)MultiInstaller.exeを実行してインストール先フォルダを指定する際には、上でリネームした「P4D」フォルダの1階層上のフォルダを指定する。

(3)パッケージのインストール後、コンパイル時に必要なSourceファイルのある場所をライブラリパスに登録する。

4.P4Dの 著作権表示の記載例

参考:Python4DelphiのLicenseについて

GitHubのPython4Delphiのダウンロードページには「The project is licensed under the MIT License.」とある。これは「改変・再配布・商用利用・有料販売すべてが自由かつ無料」であること、及び使用するにあたっての必須条件はPython4Delphiの「著作権を表示すること」と「MITライセンスの全文」or 「 MITライセンス全文へのLink」をソフトウェアに記載する、もしくは、別ファイルとして同梱しなさい・・・ということを意味する。

したがってPython4Delphiを利用したプログラムの配布にあたっては、ソフトウェアの中で、次のような著作権表示を行うか、もしくは P4DフォルダのルートにあるLicenseファイルをプログラムに同梱して配布すればよいことになる。

Python4Delphiを利用した場合の著作権表示の記載例:

Copyright (c) 2018 Dietmar Budelsky, Morgan Martinet, Kiriakos Vlahos
Released under the MIT license
https://opensource.org/licenses/mit-license.php

5.お願いとお断り

このサイトの内容を利用される場合は、自己責任でお願いします。ここに記載した内容を利用した結果、利用者および第三者に損害が発生したとしても、このサイトの管理者は一切責任を負えません。予め、ご了承ください。

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