MarkSheetReader」カテゴリーアーカイブ

マークシートを読み取るプログラムの解説

マークシートの採点結果通知(個票)及び成績一覧表の作成

ただし、表計算ソフトは使わずに。

マークシートを利用する際、マークをミスなく読み取れたら、次に読み取り結果を適切に処理する作業が待っています。読み取り結果をCSVファイルに出力し、表計算ソフトで作業するのが一般的な処理の流れだと思いますが、表計算ソフトに苦手意識を持つ方が多いのも事実です。

そこでアンケート集計用途ではなく、試験の成績処理用途専用という但し書き付きで、『表計算ソフトを使わない』・『入力作業は必要最小限度に留める』・『作業はほぼクリックするだけでOK!』というコンセプトを決めて、(拙作)マークシート方式で実施した試験の採点結果通知シート(個票)と成績一覧表(教科担任用)の作成にチャレンジ。

完成までにほぼひと月を要しましたが(現場で)動作検証済みの、ここでご紹介する拙作マークシートリーダーへの「後付け」成績処理プログラムが出来ました。

1問1答の採点用途のみに対応(複数マークを抱き合わせて採点する等、複雑な採点方法には対応しておりません)。

【もくじ】

1.採点結果通知シート作成プログラムのダウンロード
2.マークシート画像に採点結果を出力
3.成績一覧表も作成
4.使い方
5.まとめ
6.お願いとお断り

1.採点結果通知シート作成プログラムのダウンロード

今回紹介する採点結果通知シート作成用のプログラム『ReportCard.exe』は単体では動作しません。動作には、下記リンク先に掲載したマークシート読み取り用のプログラム(拙作MS_Reader.exe)が作成したCSVファイル等が必要です。また、動作に必要なフォルダ配置その他の動作環境も、マークシート読み取り用のプログラム用に作成したものをそのまま利用していますので、拙作MS_Reader.exe が動作する環境で実行していただく必要があります。

ここでは採点結果通知シート作成用のプログラム『ReportCard.exe』の動作検証が手軽に行えるよう、Python環境を除いたマークシート読み取りプログラム(最新版Version 1.1.4)に『ReportCard.exe』を同梱する形でダウンロード用zipファイルを作成し、掲載しています。もちろん、過去記事で紹介しているPython環境を組み込めば(・・・と言っても、ダウンロードして解凍したPython39-32フォルダをMS_Reader.exeがあるフォルダにコピペするだけですが)、マーク読み取り部分は、より一層高速に動作します。

Python環境:Python4Delphiを利用して Object Pascal に埋め込んだ Python Script を実行し、Python用の OpenCV でマークシートのマークの有無、マークした番号を読み取ります。(PCによっては)Python Engine の初期化になぜか?すごく時間がかかることもありますが、1回初期化すれば、どのPCでも大変高速に動作します。拙作マークシートリーダーの動作に必要なライブラリをすべてインストールしたプログラム埋め込み用の Embeddable Python 一式が下記リンク先からダウンロード可能です。

この「採点結果通知シート作成」プログラムも、Python環境があれば自動的にそれを利用して動作するように設計してありますが、テストしてみた結果で率直な感想を言うと、やはり初回起動時の(必須)Python Engine の初期化に(PCによりますが)かなり時間がかかる(数分!)ことがあり、僕のPC:Panasonic製Let’s Note CF-QV ではそのようなことはまったく起きませんが、職場で使っているPCではそれが必ず起こります。とにかく Python Engine の初期化に「それなりに時間がかかる」PCでこのプログラムを使う場合は、例えPython環境があっても、起動直後に画面左上の「✅P4D」のチェックを外し、Python環境を利用せずにプログラムを実行していただいた方が良いかもしれません。

【過去記事へのリンクです】

【採点結果通知シート及び成績一覧表作成プログラムのダウンロード】

2.マークシート画像に採点結果を出力

採点結果通知シートのイメージは、こんな感じ(確認画面として表示する手続きは作成しましたが、画像データとして保存する手続きは「その必要なし」と考え、作成しなかったので、これは確認用画面のハードコピーです)。

シートの左上部分を切り取り
シートの右下部分(得点合計等はここに表示)


・・・ですので処理は、採点結果を画面に表示 → そのまま印刷という流れになります。採点の計算は一瞬で終わり、採点画面はすぐに作成できるから、データは保存しません(そもそも保存しておいて、何回も利用するようなモノではないと思いますから)。

まず最初に考えたのは(当たり前ですが)、マーク読み取り結果と配点をマークシート画像に出力(〇の場合は配点=得点となります)し、得点を観点別評価とともにシートの余白(設問番号付近)に表示することです。

正答ならば採点マークと配点(=得点)を表示
不正解の場合、採点マークと配点を表示


採点マークのサイズと水平方向の表示位置は微調整が可能です(ただし、調整結果を保存する機能はありません)。

採点結果の表示位置は、負の数で左・正の数で右に微調整可能

ここで、配点に加え、不正解の場合は正解も表示したくなりました。ただ、記号フォントに縦長の楕円はなかった?・・・と思うので、フォントは好みに応じて選択できるよう、思いつくままにいろいろ設定。

カタチ的には「θ」が最もマークの形状に近い気がします。


ふと、思い立って数字も選べるように設定。

「Num」を選択すると正解のマークの上に数字を表示します


あと、新教育課程では、観点別評価が導入されているので、観点別評価の「知識・技能」は K1、「思考・判断・表現」は K2 として評価の分類も出力できるように設定。正解マークと合わせて表示すると、こんな感じです・・・。

自分的には、コレがいちばん気に入りました!

正解マークの番号を、マークすべき場所に数字で表示する


得点合計と観点別評価ごとの得点合計は(デフォルト設定)シート右下に表示します。もちろん、フォントの大きさは任意の値を設定でき、表示位置は水平・垂直両方向に微調整が可能ですが、こちらも調整後の座標を保存することはできません。


フォントの大きさや表示位置の微調整は、凝り始めたらキリがなくなりそうで、それが表計算ソフトに代わる高い敷居となる可能性(=危険性)を感じ、デフォルト設定で(この程度でまぁいいか?)とユーザーに判断してもらえるよう設定値を調整しました。

すべて控えめな数値を設定しました!
足りない場合は、ちょっと増やせばOKかな?

3.成績一覧表も作成

これがないと採点結果を記録簿に転記し(ここで間違いが発生する可能性があります)、電卓をパチパチ叩いて平均点等を計算するか、一歩進んで、プログラムが出力したCSVファイルを表計算ソフトで処理して、成績一覧表を作成しなければなりません。

転記したり、電卓を使うのは昭和のスタイルだし、働き方改革の流れにも逆行します。CSVファイルを自由自在に操れる方なら、拙作マークシートリーダーには、マーク読み取り結果をCSVファイルに出力する機能を付けてありますから、そちらをご利用ください・・・ってことでOKかな?・・・なんだけれど、「表計算はちょっと苦手で」という方も少なくありません。

PCを使って何かの処理を行うこと自体が、手作業で行ってきた作業を効率よく自動化することに他なりませんから、・・・ほんとうのことを言えば、マークシートリーダーに付属の一機能として最初から成績一覧表の作成機能を付けたかったのですが・・・マークシートリーダー開発当初は、何よりもまず、確実にマークを読み取れることが最重要課題で、それが可能になった時点で実はもう僕自身が(精神的に)ヘトヘトになっていて、(読み取り結果をCSVファイルに出力できれば、あとは表計算ソフトで・・・)みたいな思い(と強い思い込み)があり・・・

新教育課程で導入された観点別評価も、プログラミングして処理するより、表計算ソフトで処理した方がずっと簡単そうに思えたし・・・

同僚からの要望に応え、マークシートリーダーとは別に作成した「手書き答案の採点プログラム」と、マークシートによる解答を併用した採点に対応する場合でも、表計算ソフトは便利だったし・・・

このような諸々の理由から先延ばしになっていた成績一覧表の作成でしたが、2024年、冬、ここで一念発起して、マーク読み取り後の処理に表計算ソフトを一切使わず、ソフトウェアの機能として必要な帳票を出力できるプログラムを書くことに決め、ダミーデータを使って動作確認をくり返し、不具合箇所を発見するたびに少しずつ手直しして、実際に使ってみてどうかという段階にたどり着いたのが、まさに今です。

ただし、どちらかと言えば「採点結果通知シートの方が主」で、成績一覧表は「読めればイイ」程度の、言わばメモみたいなもの・・・表計算ソフトが苦手な方でも、CSVファイルに出力された採点結果を表計算ソフトで開き、得点データを他のワークシートへコピペする作業は可能で、それさえ出来ればあとは協働作業で現場はなんとか動く・・・という勝手な理由で作りは大いに簡素化。

様々な理由から、氏名は「最初の3文字のみ表示」することにしました。
罫線も、横一線のみ。

(氏名と成績はダミーデータです)

ほんとにナイよりマシ・・・というレベルで完成。T_T

プログラムは技術的な知識不足から(だと思うのですが)、罫線が上手く描画されたり、(同じプログラムなのに)PCによっては罫線が予定位置に描画されなかったり・・・。この罫線が上手く描ける場合と、描けない場合の違いがいまだによくわからないのですが、次のようにして無理やり解決?(しましたが、最終的に問題のあるコードは全面的に書き直しました)

【罫線描画問題解決用GUI の勇姿】

CheckBoxとButtonを一つずつ用意


(1)設定 → システム → ディスプレイ設定変更画面の表示を1クリックで行えるボタンを作成。非常の場合は、これで画面の拡大率を100%に戻してもらう。拡大率100%なら確実に予定の位置に描画されるハズ。

・・・と、思ったのですが、結論から言うとこれはダメでした!!

その後、奮闘努力して問題を解決 → (3)へ

ディスプレイ設定を呼び出すコードは1行でOK!

procedure TForm1.btnDispSettingClick(Sender: TObject);
begin
  //usesにWinapi.ShellAPIが必要
  ShellExecute(0, 'open', 'ms-settings:display', nil, nil, SW_SHOWNORMAL);
end;

(2)CheckBoxを利用して「罫線を描画しない」設定を用意する。チェックOFFだと・・・

ある意味では、究極ともいえる罫線問題解決方法。
(これは、ほとんどムチャですな・・・)


(3)罫線の描画に使っていたコードそのものを新たに書き直し、TImage の Canvas と TPrinter のCanvas それぞれに罫線を描画するようにしたところ、罫線が予期しない位置に描画されてしまう問題は解決できました。最初に書いたコードで、(PCにより)罫線が正しく描画される場合とされない場合がある、その本当の理由は未だにわかりませんが・・・

4.使い方

使ってくださる方がいるとも思えませんが、使い方のマニュアルは以下の通りです。

(1)プログラムを起動

「MS_Reader.exe」と同じフォルダにある「ReportCard.exe」をダブルクリックしてプログラムを起動します。

次のメッセージが表示された場合は、「詳細情報」(画像中、赤い枠で囲んで示した部分)をクリックします(プログラムの発行元が不明である場合に、Windows のDefender機能である SmartScreen がこの表示を出すそうです。自分の責任で実行すれば、次回からこのメッセージは表示されなくなります)。

「詳細情報」をクリックします。


すると、次の画面が表示されます。「実行」(画像中、赤い枠で囲んで示した部分)をクリックしてプログラムを起動してください。

「実行」をクリックします。

アメリカでは、採点結果を通知する個票のことを、高校段階までは “Report Card” と呼ぶそうです。Python4Delphiを使用していることを考えると、プログラムの名称に漢字を使用することは、極力、避けたいところです(これは、Pathに含まれる全角文字に関連するエラーに、Pythonスクリプトを書いていて、これまでさんざん悩まされた経験から)。

また、当初、アイコンは濃い目にデザインしたのですが、100 が赤だと目に痛い。そう、痛切に感じた経緯があって、通常アリエナイ色の 100点 をモチーフにしたアイコンにしました。Report Card の文字は、ほぼ読めませんが!「枯れ木も山の賑わい」とお考えいただけたら幸いです。

100 という数字さえ読み取れれば、何をするプログラムなのか?
お使いいただけた方には、わかってもらえるんじゃないかと・・・。

(2)「開く」ボタンをクリックして、ProcDataフォルダ内にある採点結果通知シートを作成したいクラス(or 講座)のマークシート画像を保存したフォルダを選択。

Python環境が利用できる場合は、P4Dに自動的にチェックが入ります。
※ Python Engine の初期化に時間がかかるPCでは、起動時にチェックをOFFにしてください。


選択するのは「ファイル」ではなく「フォルダ」です。


(3)採点結果通知シートを新規に作成する(既存の採点作業の設定ファイルがない)場合は、次の表示が出るのでOKをクリックし、設問数を入力して、画面左に表示されるGridコントロールに必要事項を入力します。


設問数を最初に入力します。


次に、作業の「入力」を選択(オプションボタンをクリック)します。


配点は最も多く設定する値をデフォルト配点として指定(入力)します。


正解とするマークの番号を入力します。

最初だけフォーカスを与えるために入力するGridをクリックしてください。


配点を変更する箇所があれば、正解に続けて入力します。
最後に観点別評価の区分を入力します。「知識・技能」は半角数字で 1 を、「思考・判断・表現」は半角数字で 2 を、それぞれ間違えないように入力してください。

m(__)m:「主体的に学習に取り組む態度」の評価は、この採点システムでは行えません。

観点別評価の入力を行っているところ。


全項目の入力が完了したら、入力に間違いがないことを必ず確認してください。もし、誤りがあれば、ここで確実に発見し、訂正しておかないと・・・、後から大変なコトに・・・。

必要事項をすべて入力し、内容を確認したら採点設定を保存します。

「MySettei.csv」が(上で指定した)マークシート画像のあるフォルダに保存されます。


保存が完了すると、次の確認メッセージが表示されます。

(4)採点ボタンをクリックして、採点を実行します。


表示されている画像の座標情報を記録したテンプレートを選択します。
(テンプレートの作成は、マークシートリーダーで実行)

テンプレート名をクリックして、決定ボタンをクリック。


適切な採点オプションを選択します。


「観点含全部」を選択した場合は・・・

採点記号と配点(正解の場合は得点)、観点別評価の区分を設問番号付近に表示
得点合計と観点ごとの得点合計を右下に表示
空欄と不正解の場合は、正解を表示


前述した通り、正解記号は選択肢から選択して指定できます。

Numを指定した場合は、正解マークの番号が表示されます

(5)画像の切り替え

表示している画像の切り替えはボタンクリックで実行できます。

ボタンは左から順に「先頭へ」・「一つ前へ」・「一つ次へ」・「最後へ」

(6)印刷

「印刷」ボタンをクリックして、採点結果通知シートを印刷します。


クリックすると表示されるメッセージに答えて、全員分 or 個別 印刷のいずれかを選択してください。


用紙の縦横指定を間違えないように注意してください。

(7)成績一覧表の作成

最初に「学年」と「クラス」を選択してください。


選択制の授業等、特別な編成(=「講座」と表現)の名票は出席番号順・氏名のみのデータを予めsNameフォルダ内に分かりやすい名前を付けて、CSVファイルで準備してください。

学年・組は空欄のままにして、「講座名票」ボタンをクリック


ファイルの選択ダイアログが表示されるので、予め作成・保存しておいた講座の名票を選んでOKをクリックしてください。採点結果一覧がGridコントロールに表示されます。

得点等はダミーデータです。


続けて、平均点を正しく計算するため、未受験者の処理を行います。「編集」チェックボックスをチェックしてください。


未受験と思われるデータがある場合、次のメッセージが表示されます。

テストを受験しており、採点結果が0点の場合は「いいえ」をクリックしてください。


得点「0」はすべて未受験として処理した場合、採点結果の一覧は次のようになります。

未受験者のデータを空欄に変更。


「再計算」ボタンをクリックして、平均点等を更新します。


続けてプレビューをクリックするよう案内が出ます。
プレビューをクリックして成績一覧表を表示します(設定はA4・縦、50名/枚で、この設定を変更することはできません)。

なお、受験者数が51名以上の場合でも、プレビュー画面には最初の1枚目の成績一覧表が表示されます。また、任意のページをプレビュー画面に表示する機能は、このバージョンにはありません。

印刷されるデータをプレビュー画面で確認してください。


プレビューに問題がなければ、プレビューのチェックをOFFにして(外して)ください。
印刷ボタンがクリックできるようになります。

印刷ボタンをクリックすると、プリンターへデータが送信されます。受験者数が50名を超える場合は、プリンターへのデータ送信後、印刷最終ページが画面に表示されます。

5.まとめ

今回、拙作マークシート・リーダーのCSV出力を利用するかたちで作成したプログラム(新教育課程観点別評価「知識・技能」及び「思考・判断・表現」の評価に対応)の概要は以下の通りです。

(1)表計算ソフトを使わずに、マークシート方式試験の採点結果通知(個票)を作成。
(2)表計算ソフトを使わずに、マークシート方式試験の成績一覧表(教科担任用)を作成。
(3)マークシート方式試験の成績一覧表をCSVファイルに出力。

6.お願いとお断り

このサイトの内容を利用される場合は、自己責任でお願いします。記載した内容及びダウンロードしたプログラムを利用した結果、利用者および第三者に損害が発生したとしても、このサイトの管理者は一切責任を負えません。予め、ご了承ください。

マークシートリーダーを教科「情報」用に設定

マークシートリーダー関連の第4回は、ゼロ始まりの選択肢への対応 です。

マークシートの選択肢には「1」始まりと「0」始まりが存在します。教科「情報」の試験で使用されるマークシートは「0」始まりが標準?のようです。そこで自作のマークシートリーダー及びマークシートを、それぞれ選択肢「ゼロ(0)」始まりにも対応できるよう改良しました。

選択肢「ゼロ(0)」始まりに対応したマークシートリーダーはこちらからダウンロードできます。

Version 1.1.1は、選択肢のゼロ始まりに対応していますが、マークシートの種類の表示に誤りがあります。
Version 1.1.2で、マークシートの種類の表示の誤りを修正しました(数学->数学/情報)
上の記事内に、無料で使えるマークシートリーダー(MS_Reader.zip)のダウンロードリンクがあります。
重要 MS_Reader の使用はあくまでも自己責任でお願いします。動作保証は一切ありません!


マークシートの読み取り速度をPython環境を組み込んで高速化します。

Python環境を組み込むとマークシートリーダーをさらに高速化できます。
重要 組み込みPython環境のご使用もあくまでも自己責任でお願いします。動作保証は一切ありません!

【もくじ】

1.教科「情報」用マークシートのダウンロード
2.選択肢ゼロ始まりの設定方法
3.重要!テンプレート作成時の注意事項
4.お願いとお断り

1.教科「情報」用マークシートのダウンロード

教科「情報」用マークシートはこちらからダウンロードできます。


選択肢はゼロ始まりで、1設問あたり16個まで設定可能です。

ゼロ始まりで15まで、選択肢数16の教科「情報」用マークシート(Version 1)。
ダウンロードできるのは、これを改良した Version 2 です。

2.選択肢ゼロ始まりの設定方法

MS_Readerを起動すると、画面上部のパラメータ設定入力用コントロールの左側に、選択肢の開始番号を指定するComboBoxがあります。教科「情報」用のマークシートを読み取る場合は、ここに「0」を指定(∨マークをクリックして選択)してください。

教科「情報」用である場合、選択肢は「0」始まりを指定

3.重要!テンプレート作成時の注意事項

マークシート情報を記録するテンプレートを作成する際には、選択肢の枠幅を間違って設定しないよう、十分注意してください。指定は、次の図のように行ってください。

列枠そのものではなく、設問番号部分は含めずに、選択肢部分のみを指定してください。
指定する際は、左上の「⊥」マークから、右下の「T」マークまでの範囲をドラッグします。


この枠の指定が何を意味するかと言うと、マーク読み取りの際、プログラムはまず、上で指定された範囲の「高さ」を行数で割って1行分を切り出し、次に「幅」を選択肢数で割ってマークを1つずつ切り出します。次の図のようなイメージです。


ですので、マークシートを作成する際は、このことを考慮して、各マークの幅と余白が均等になるように作成します。逆に言えば、各マークを上手く切り出せるように選択肢の枠幅を指定する必要があるわけです。

Wordで作成したマークシートの設問01欄の選択肢番号部分を範囲選択すると、
各マークの幅と余白が均等になっているか、どうか、確認することができます。


プログラムは、この切り出したマークの塗りつぶし面積を計算して、それが最大であるものを「マークあり」と判定しています。

各マーク間の余白も重要です。広すぎても、狭すぎても、判定に影響します。広すぎると計算が遅くなり、塗りつぶし面積の閾値の設定が難しくなります。逆に、狭すぎると大きめにマークされた場合、隣までマークしたことになり、複数マークの判定が出やすくなります。選択肢数が多くなると、どうしても各マーク間の余白は狭くなります。大きめにマークされた場合のことを考え、故意にマーク位置を変えて、どれくらいズレに強いか、試行してみました。

ちゃんと読めています!


上の図にある程度のズレであれば、プログラムは正しくマークを読み取れるようです。

もう少し、ズレ幅を大きくしてみました。

「99」は「複数マークあり」を意味します。


さすがに、ここまでズレると判定に影響します。しかし、完全な誤判定でなく、「複数マークあり」という判定なので、読み取り後のチェックで採点者の目視による判断が求められることになります(私はこの結果を見て、安心して使えると判断しました)。

マークシートの作り方については、MS_Readerの操作・設定マニュアルにも詳しい解説があります。オリジナルのマークシートを作られる際は、どうかそちらもご参照いただけますようお願い致します。

マニュアルはPDFです!

4.お願いとお断り

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マークシートリーダーを数学用に設定

マークシートリーダー第3弾!
今回は MS_Readerを数学の試験の採点用途に使用するための設定セット を紹介します。
数学用途での採点は、その解答方法から複数選択肢を抱き合わせて採点する設定が必須となります。
MS_Reader.exe単体では、その実現が困難であるため、マークシートの読み取り結果を出力するエクセル・ブックをこの用途向きに専用プログラムで最適化して利用します。
なお、専用エクセル・ブックは大問6個までの数学採点用途に対応しています。

マークシートリーダー第1回の記事はこちらからどうぞ

上の記事内に、無料で使えるマークシートリーダー(MS_Reader.zip)のダウンロードリンクがあります。
重要 MS_Reader の使用はあくまでも自己責任でお願いします。動作保証は一切ありません!

マークシートリーダー第2回の記事はこちらからどうぞ

Python環境を組み込むとマークシートリーダーをさらに高速化できます。
重要 組み込みPython環境のご使用もあくまでも自己責任でお願いします。動作保証は一切ありません!

【もくじ】

1.数学用設定セットのダウンロード
2.数学用設定セットの使い方
3.お願いとお断り

1.数学用設定セットのダウンロード

数学用設定セットは、数学採点用のExcel Bookのマクロ有効テンプレート、このテンプレートから生成したExcel Bookに対して採点設定を書き込む専用プログラム、数学用マークシートのテンプレート3種類(1枚につき大問3個、各問について25設問ア行~カ行~サ行~タ行~ナ行まで設定可能、選択肢は-、±、0~9、a~dの16選択肢 ⇨ これを2枚、大問6まで使用可能)、A3サイズのマークシート画像をA4横サイズの画像2枚に分割・指定フォルダに保存する専用プログラム、練習用フォルダ(2つ)と練習用画像、各プログラムの使い方のPDFファイル等から出来ています。

【数学用設定セットの内容】

数学用設定セットの内容


数学用設定セットは、こちからからダウンロードしてください。なお、ご使用にあたっては同梱の「必ずお読みください_Math.txt」にあります免責事項への同意が必須となります。

2.数学用設定セットの使い方

プログラムの使用順序は、次の通りです。

  1. MS_Reader.exeのバージョンを確認。必要であれば同梱のVersion 1.1.2を古いMS_Reader.exeに上書きします。
  2. ImageCutter.exe、MathFunctionCreator_2024.exeをMS_Reader.exeがあるフォルダにコピーします。
  3. 同梱の数学用採点シート_2024.xltm(マクロ有効テンプレートファイル)をダブルクリックして生成されるマクロが無効な「.xlsx」ファイルに適切な名前を付け、その拡張子を「.xlsm(マクロ有効Book)」に変えて、MS_Reader.exeがあるフォルダ内のeFileフォルダ内に保存してください。同様に「マークシートのテンプレート」フォルダ内のファイルも全てWordのテンプレートです。ダブルクリックすると新しいWord文書が生成されますので、適切な場所に適切な名前を付けて保存し、ご活用ください。
  4. 保存したExcel Bookに試験の受験者のクラス、番号、氏名、ふりがな、性別、試験の正解となる選択肢の番号、配点、観点別評価を入力し、上書き保存します。
  5. MathFunctionCreator_2024.exeを起動し、4.のExcel Bookに対して、抱き合わせ採点の設定を追加します。⇨ 抱き合わせ採点の設定方法は、同梱の「MathFunctionCreator_2024の使い方.pdf」を参照してください。
  6. 同梱のマークシートのテンプレートから作成したマークシートを印刷、試験(試行)を実施(欠席者がいる場合は未使用のマークシートを適切な位置に挿入する等の事後処理を行い)、スキャナーでスキャンして画像化、MS_Reader.exeがあるフォルダ内のScanDataフォルダ内に適切な名前を付けたフォルダを作成し、そこに保存します。
  7. 使用したマークシートがA3サイズである場合は、ImageCutter.exeを起動してマークシート画像をMS_Readerで読み取り可能なA4横サイズの画像2枚に分割します。分割した画像は、MS_Reader.exeがあるフォルダ内のProcDataフォルダ内に自動的に作成されるフォルダに保存します。⇨ A3判画像の分割方法は、同梱の「ImageCutterの使い方.pdf」を参照してください。
  8. MS_Readerでマークシートを読み取り、読み取り結果のチェックを実行後、結果をCSVファイル、及び5.で抱き合わせ採点を設定済みのExcel Bookに書き込みます。
  9. 読み取り結果を書き込んだExcel Bookを開き、成績一覧表及び採点結果通知用の成績個票を印刷します。
  10. 試験の受験者にマークシート及び成績個票を返却し、マークの読み取り結果と成績を本人が確認(マークシートの画像があるので不正は絶対に不可能であることを受験者に周知した上で、マークシートは返却してもOKですが、必要であれば確認作業後、回収して保管。完全に不要となった時点でシュレッダーにかけて処分してください)。採点結果の訂正が必要な場合は、MS_Readerを再起動・マークシート情報を記録したテンプレートを選択・採点対象のマークシートがあるフォルダを選択すると8.で保存したCSVのデータのデータが表示されるので、必要な個所を訂正し、Excel Bookへ再出力、必要な成績個票を印刷して返却し、再確認作業を行ってください。

3.お願いとお断り

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マークシートリーダーをP4Dで高速化

マークシートリーダー第2弾!
今回は Python環境を組み込んで、マークの読み取り速度を高速化 します。
出来る限り丁寧に組み込み方法を説明しますので、どうか最後までお付き合いください。

前回の記事はこちらからどうぞ

前回の記事に、無料で使えるマークシートリーダー(MS_Reader.zip)のダウンロードリンクがあります。
重要 MS_Reader の使用はあくまでも自己責任でお願いします。動作保証は一切ありません!

【追記_P4D環境で読み取り実行時、エラーが発生するときは?】

Python環境を組み込んで、これを利用してマークシートの読み取りを実行する場合、次のエラーが発生することがあります。エラーの内容からは推測すると、エラーはテンプレートマッチングの際に利用するテンプレート画像のサイズに起因して起きているように見えますが、ほんとうの原因は違います。

このマークシートリーダーは、Python環境を利用して動作する際は、マークの有無を読み取るJpeg画像の名称(及びフォルダの階層)が次の規則に従っていることを前提としています。

ProcData\XXX\Sample-01.jpg
ProcData\XXX\Sample-02.jpg
ProcData\XXX\Sample-03.jpg
・・・
ProcData\XXX\Sample-40.jpg
ProcData\XXX\Sample-41.jpg

この命名規則にJpeg画像のファイル名(及びフォルダの階層)が従っていない場合、読み取りエラーが発生します。例えば、次のような場合です。

ProcData\XXX\Sample-01a.jpg
ProcData\XXX\Sample-01b.jpg
ProcData\XXX\Sample-02a.jpg
ProcData\XXX\Sample-02b.jpg
・・・
ProcData\XXX\Sample-40a.jpg
ProcData\XXX\Sample-40b.jpg
ProcData\XXX\Sample-41a.jpg
ProcData\XXX\Sample-41b.jpg

特に数学(や情報)用途で2枚1セットのJpeg画像を処理する際は、注意してください。このエラーを防止するには、ファイルメニューの「1 画像変換」⇨「専用画像を作成」を利用してファイル名が必ず連番になるように読み取り専用Jpeg画像を生成して、この画像に対して、マークの読み取りを実行してください。

以下、発生するエラーメッセージの一覧です。

このメッセージは2回表示されます


なお、Python環境を利用しないモード(P4Dを使用のチェックボックスをOFF:下図右上)であれば、読み取り対象Jpeg画像ファイルの名称は動作に関係しないので(読み取り速度は低下しますが)、読み取り可能です。

画面右上の □ P4Dを使用のチェックを外して、Delphi用のOpenCVで読み取りを実行。
読み取り速度は低下しますが、マークを正しく読み取っています。


【読み取り実行前に、選択肢の始まり番号も指定してください】

選択肢の番号は、デフォルト1始まりに設定してあります。教科「情報」用途で読み取りを実行する場合は、読み取り実行前に、選択肢が「1」始まりであるのか、「0」始まりであるのか、その指定を画面上の設定欄で必ず指定してください。

【もくじ】

1.Python環境を準備する組み込み用Pythonのダウンロードリンクがあります
2.Python環境のドッキング
3.高速化の確認
4.システムにC++ランタイムライブラリがない場合は?
5.Python Engine の初期化の問題?他
6.まとめ
7.お願いとお断り

1.Python環境を準備する

Qiita の記事で「 Embeddable Python 」なるものの存在を知り、ほぼ同時に Delphi に Python のスクリプトを埋め込んで、VCL で GUI を作成、内部的に Python のスクリプトを実行する方法を学びました。

この辺の詳しい経緯は、かなり前に記事として書いた通りです。

2022/01/01
2022/01/02


こうして出来上がった、マークシート読み取りに必要なライブラリだけをインストールした、組み込み用のPython環境の内容は、こんな感じです(組み込み用途に作成した Embeddable Python があるフォルダをコマンドプロンプトで開き、「 Python -m pip list 」コマンドを実行した結果です)

ライブラリの主役は Numpy と OpenCV-Python。
Pillow は、日本語を含む Path を読むためにインストール。


最初に用意した Embeddable Python が14MBくらいで(おー!ちいさい☆)と喜んだけど、上記のライブラリを三つ入れたら 158MB に・・・。

ライブラリを構成しているファイルの依存関係がわかれば、必要ないファイルを消しまくって、もっと小さく出来ると思うのですが・・・、その具体的な方法がわかりません!!

仕方がないので、そのまま組み込み用の「Python39-32」フォルダを作成。

フォルダ名の Python は、「Python関連のフォルダだよ!」ってコトが一目でわかるように工夫(?)しました。その次の 39 はVersion番号、ハイフンで繋いだ 32 は 32bit 用って意味です。

これを前回紹介したマークシートリーダーにドッキングさせます。

展開に少々時間がかかりますが、もし、よかったら使ってください。
MS_Reader 組み込み用 Embeddable Python です。

2.Python環境のドッキング

ダウンロードした「Python39-32.zip」を MS_Reader.exe のあるフォルダにコピー・貼り付け、展開してください。※ 動作確認が完了したら「Python39-32.zip」は削除しても OK です!

【展開前】

MS_Reader.exe とダウンロードした Python39-32.zip を同じ階層に置き、
zipファイルを展開(右クリックして「すべて展開」を選択)してください。
展開にはしばらく(1~2分)時間がかかります。

展開時のPC環境?によっては「ものすごく(20~30分)」時間がかかることが実際にありました!!(原因はわかりませんが、時間がかかるだけで、展開そのものは正しく行われました)

【展開後】

重要 MS_Reader.exe と Python39-32 フォルダは同じ階層に置いてください。

MS_Reader.exe と Python39-32 フォルダは必ず同じ階層に置いてください。


ここで念のため「Python39-32」フォルダの構造を必ず確認してください。

〇:Pathに注目してください。これならOK!

MS_Reader\Python39-32\Lib であり、また、
MS_Reader\Python39-32\Scripts であります。

これはダメです。Pathが二重になってます。

MS_Reader\Python39-32\Python39-32\Lib
MS_Reader\Python39-32\Python39-32\Scripts

上の「ダメな例のようにならない」ようにPython39-32.zipを作成しましたから、大丈夫だと思いますが・・・念のため、必ずご確認いただけますようお願いいたします。

以上が『 ドッキング作業 』です!!

MS_Reader.exe と同じフォルダに、Python39-32.zip をコピペして、展開すれば Python環境のドッキングは完了です。

これを夢見て、ンか月。マジ、挫けそうな時もあった・・・ けど。

MS_Reader.exe をダブルクリックして、マークシートリーダーを起動してみてください。

僕のマークシートリーダーは、自動的に、高速動作モードで、起動します。

3.高速化の確認

Python環境がないと(MS_Reader.exe がある場所に Python39-32 フォルダがない場合)・・・

MS_Reader 起動時、マークシートの読み取りを高速化するP4D(PythonForDelphi)モードは利用できませんが、

Python環境があれば(MS_Reader.exe がある場所に Python39-32 フォルダがある場合)・・・

マークシートの読み取りを高速化するP4D(PythonForDelphi)モードを利用する状態で、MS_Reader は起動します。

当たり前ですが、ダミー(中が空っぽ)の「Python39-32」フォルダを作成し、設定を偽ってMS_Readerを起動しても、メリットは何一つありません!

エラーが2つ出るだけです。

実際に、空の「 Python39-32 」フォルダを作成して実験してみました!


もう一つ。


こんなコトする方は皆無と思いますが。あくまでも、プログラムの動作検証として、ご参考まで。

【動作確認】

前回、設定したテンプレートを利用して動作確認します。

いったん、「P4Dを使用」のチェックを外して読み取りを実行します。前回試行した3列25行8選択肢の1枚あたり600マークあるシート3枚の読み取りにかかる時間は・・・


1枚0.805秒で読んでます(PC環境により、数値は当然異なります)が・・・

「P4Dを使用」のチェックを ON にして再び読み取りを実行します。私の PC での結果は・・・


1枚0.245秒強で読みました。

これが速度的に「はやい」か・どうか、このソフトウェアをお使いいただく方により、その判断基準は異なりますから、その思い(感じ方)は違って当然ですが、Python環境を利用しない場合に比較して、Python環境を組み込み、これを利用した場合は(PC環境により、その数値は悉く異なると思われますが)マークの読み取り速度は間違いなく高速化されるはずです(僕の環境では、「それがない」場合に比較して、「それがある」場合は3.3倍速で動作しました)。

ただ、Python環境を組み込んだ場合、プログラム全体の大きさは、12倍以上に巨大化します・・・

プログラムサイズを選ぶか、動作速度を優先するか、
ご使用目的、お使いのPC環境に合わせて選択していただけたら幸いです。

僕は・・・

今日の空みたいな・・・

プログラムを書きたかった・・・だけです *(^_^)*♪

僕が、この世から消えたあとも、動く。

いつか、夢みたとおりの・・・ プログラムを。

だいすきな・・・

大好きな Delphi と・・・

僕の Object Pascal で。

4.システムに Visual C++ランタイムライブラリがない場合は?

お使いのシステムに Visual C++ランタイムライブラリがインストールされていない場合は、MS_Reader 起動時に次のエラーが発生します。

『アプリケーションを正しく初期化できませんでした(0xc0150002)。「OK」をクリックしてアプリケーションを終了してください。』

英文の場合もあるようです。

PCの解像度の関係だと思うのですが、画像がボケていてごめんなさい!


このエラーが発生する原因を調べてみたところ、組み込みPython環境内にある「Python39.dll」が Visual C++ランタイムライブラリを必要とするようで、これがシステムにない場合は、プログラム起動時にバックグラウンドで行っているPython Engine の初期化に失敗して、上記のエラーメッセージが表示されることがわかりました。

お使いのPCで、Visual C++ ランタイム ライブラリのインストール状況を確認するには、[スタート] ボタンを右クリックし、「ファイル名を指定して実行」をクリックして、appwiz.cpl と入力して[Enter]を押します。Python環境を組み込んだ MS_Reader が動作する環境であれば、システムにインストールされている Microsoft Visual C++ ランタイム ライブラリが以下のように表示されるはずです。

現在、私のシステム(Windows 11 Pro 23H2)にインストールされているC++ランタイムライブラリの一覧。
もちろん、このシステムでPython環境を組み込んだマークシートリーダーが正常に動作しています。


システム内で起きていた別のエラーを解決するために、2023年12月上旬に工場出荷状態に戻すリカバリ作業を行いました。同時にOSを最新のバージョンに更新しました。それ以前のシステムの状態は次の通りです(OS のバージョンは 22H2)。※ 私のPCでの話です。

現在の状況とは異なっています。
この状態でもPython環境を組み込んだマークシートリーダーは正常に動作していました。


エラーを解決するには、Visual C++ランタイムライブラリをインストールすればいいわけですが、上の例のように Visual C++ ランタイムはたくさんあるので、手動でひとつひとつダウンロードしてインストールするより、Visual C++ ランタイムインストーラーを使って全ての Visual C++ ランタイムを一括インストールする方が簡単です。

システムをリカバリする前は、次のようにして Visual C++ ランタイムをインストールしていました。

【ご注意願います!】
ここで紹介する方法で Visual C++ ランタイムをインストールする場合、他のプログラムの実行環境との整合性は、一切保証できません。また、最悪の場合、Windowsが起動しなくなるトラブルが発生することも十分に考えられます。インストール作業の全てが自己責任であることを十分ご理解の上、重大な問題が発生した場合は元の環境に戻せるよう、システムのバックアップを取る・現在の設定をメモに記録する等、不具合の発生に備え、必要かつ十分な準備を整えた上で、Visual C++ ランタイムのインストールを行ってください。

以下のサイトから「Visual C++ v56.exe」をダウンロードしてインストール(私の環境にインストールする分には、なんの問題も起きませんでした。もちろん、マークシートリーダーも問題なく起動し、安定動作しました)。

Visual C++ Runtime Installer (All-In-One) v56

https://www.majorgeeks.com/files/details/visual_c_runtime_installer.html

こちらのWebサイトでも(次のリンク先Webページの下の方で)、このインストーラが紹介されています。

Microsoft Visual C ++ 再頒布可能ファイルを削除して再インストールする方法

https://www.autodesk.co.jp/support/technical/article/caas/sfdcarticles/sfdcarticles/JPN/How-to-remove-and-reinstall-Microsoft-Visual-C-Runtime-Libraries.html

インストーラーを立ち上げると、本当にインストールするかどうかを「YES」か「No」かで尋ねられるので、インストールする場合は「Y」をタイプします。その後はPCの画面に表示される英文の指示にしたがって操作してください。

ここから先は、上記のインストーラーを用いて Visual C++ ランタイムをインストールした際、私が実際に経験したトラブル?です(最終的にインストールは成功しました)。

お決まりのUAC起動後(PCの設定によっては)管理者ID 及びパスワードの入力が求められますが、これを入力すると、そのままPCがフリーズしたような状態になり、数分待機しても進展が見られないので、いったん作業を Ctrl+Alt+Delete でキャンセルし、再度、「Visual C++ v56.exe」を起動して Visual C++ ランタイムのインストール作業を実行、今度はトラブルなくインストールに成功する事例です。これは「ある特定のAD環境下にあるPCのすべてに共通して見られた」現象です。現在もその原因はわかりませんが、ご参考まで。

また、システムの状態によっては(現在システムにあるランタイムをアンインストールしているのか?)複数回(と言っても最高2回ですが)、再起動を求められることも(何度も)経験しました。

C++ランタイムライブラリのインストールについて、経験を加味して私がわかるのはここまでです(実は、何もわかってないのとイコールなのですが)。これ以外のエラーメッセージが表示されてインストーラーが起動しない場合も、もしかしたらあり得るかもしれません。大変恐縮ですが、そのような場合は原因の究明を含めて、自己責任でご対応ください。

5.Python Engine の初期化の問題?他

MS_Reader では、マーク読み取り時の体感速度を上げるため、FormCreate時にバックグラウンドで Python Engine の初期化を行っています。MS_Reader.exe のあるフォルダに小さなマークシートの画像とマーカー画像があるのにお気づきになった方がいらっしゃるかもしれません。これは Python Engine 初期化用に用意した画像です。

Python Engine 初期化用の画像をリソースに埋め込み、もし、それがない場合は再生して、
プログラム起動時に Python Engine の初期化が必ず行われるようにしています。


この初期化を「するか・しないか」で、MS_Reader 起動後、初めてマークを「読む」ボタンをクリックした際のプログラムの挙動がまるで違ったものになります。初期化を行った場合は、ごくスムーズにマーク読み取りが始まるのに対し、行わなかった場合は PC が一瞬フリーズしたような状態になり、その後、息を吹き返すかのようにマークの読み取りが始まります。

Python Engine の初期化コードです。

  AppDataDir:=ExtractFilePath(Application.ExeName)+'Python39-32';

  if DirectoryExists(AppDataDir) then
  begin
    //フォルダが存在したときの処理
    CheckPython.Enabled:=True;
    CheckPython.Checked:=True;
    PythonEngine1.AutoLoad:=True;
    PythonEngine1.IO:=PythonGUIInputOutput1;
    PythonEngine1.DllPath:=AppDataDir;
    PythonEngine1.SetPythonHome(PythonEngine1.DllPath);
    PythonEngine1.LoadDll;
    PythonDelphiVar1.Engine:=PythonEngine1;
    PythonDelphiVar1.VarName:=AnsiString('var1');
    PythonEngine1.Py_Initialize;
    //イニシャライズされたことを記憶
    P4D_ini:=True;
  end else begin
    CheckPython.Checked:=False;
    CheckPython.Enabled:=False;
    PythonEngine1.AutoLoad:=False;
    P4D_ini:=False;
  end;

(どこに問題があるのでしょうか?)

PC によっては、この Python Engine の初期化に非常に長い時間を要することがあるようです(エラーメッセージは出ません。この沈黙の時間が終わった後、プログラムは問題なく動作します)。偶然、ある PC でこの現象に巡り合い、あわてて時間を計ってみたところ、その PC では初期化に4分必要でした! なぜ、このような現象が発生するのか、その理由がわからないのですが、「そのようなことがある」ことだけは経験的に明らかですので、ここに書いておくことにしました。

また、マーク読み取り開始時に、マーカー画像の位置をテンプレートマッチングで確認して、それが「本当に見えている」ことをユーザーに明示的に知らせていますが、ここでもその処理に少し時間が必要なことがあります。私のPCでも、この現象は「起きたり・起きなかったり」するような気が・・・。エラーが出るわけでもなく、ただ・・・「ん?」みたいな時間があるだけなのですが・・・。こちらもその原因がよくわかりません。

以上が、現象としてはわかっているのですが、原因が解明できていないPython環境を使う上での問題点です。

それから、私の想定外の操作が行われた場合、メモリーリークが起きる可能性があります。Python環境をドッキングさせた当初は、このメモリーリークにかなり悩まされました。どう頑張っても小さなメモリーリークが発生するのを取り切れず、( Python環境はそういうもの? )と割り切ってしまおうかと思ったこともあったくらいです。

そのたびに思い直し、メモリーリークが発生する原因を突き止めて対応することを繰り返しました。なので、私が想定した操作範囲内でのメモリーリークは全て取り切れたと思います。が、もし、それが発生した場合は、その発生を知らせるメッセージがプログラム終了直後に表示されます( FormCreate時に実行されるコードの中にメモリーリークがあれば検出するコードを残してあります)。

  //メモリーリークがあれば検出
  ReportMemoryLeaksOnShutdown:=True;
メモリーリークが起きたことを伝えるメッセージ
(上の例のメモリーリークは故意に発生させたものです)

6.まとめ

(1)Python環境を利用するとマークシートリーダーは高速化できる。
(2)高速化できるかわりに、プログラム全体のサイズは大きくなる。
(3)原因不明のフリーズのような現象が発生することがある。

7.お願いとお断り

このサイトの内容を利用される場合は、自己責任でお願いします。ここに記載した内容及びダウンロードしたプログラムを利用した結果、利用者および第三者に損害が発生したとしても、このサイトの管理者は一切責任を負えません。予め、ご了承ください。

マークシートリーダー

自分的に必要と思った機能は全部搭載しました・・・が、
プロが作った有償販売できるレベルのソフトウェアではありません。
見た目も、使い勝手も、よくないと思います。
もちろん、無料でお使いただけますが、サポートも、動作保証もありません。
ダウンロードから設定まで、ALL自己責任でお願いします。

快適と感じる速度で動作させるには、かなり高性能なCPU搭載のマシンが必要です。
私のプログラミング技術が足りない部分を、CPUパワーでカバーしてもらってます。
マシンによっては、読み取り結果のチェック等がかなりトロいかもですが・・・

それでも、もし、よかったら使ってください。
Delphiで作ったマークシートリーダーです。


参考 後日、別途ご案内するPython環境を用意していただくと、より高速に動作します!
参考 Python環境で動かす場合、Python Engineの初期化に4~5分かかることがあります・・・

ここで紹介しているマークシートリーダーを用いて読み取った結果をCSVファイルに出力し、これをもとに「採点結果を試験の受験者に通知するシート」及び「試験の成績一覧表」を(表計算ソフトを使わずに)作成できるプログラムです。次のリンク先からダウンロードできます。

リンク先からダウンロードできるマークシートリーダーは、消音機能を追加したバージョンアップ版です。

【使い方のご案内】

1.デスクトップにMS_Reader.zipを展開(解凍)
2.高解像度ディスプレイへの対応
3.マークシート画像の読み取り準備
4.テンプレートを作成
5.マークの読み取りを実行
6.読み取り結果のチェック
7.CSVファイルへの書き出し
8.Excel Book の準備作業
9.Excel Book への書き出し
10.マークシート印刷用紙について
11.まとめ
12.お願いとお断り

どんな環境でも、100%動作する保証はできません・・・が、
私と同じ環境・条件を揃えていただければ、きっと動くと思います。

使用したPC及びOS、開発環境は、次の通りです。

・プロセッサ 11th Gen Intel(R) Core(TM) i7-1185G7 3.00 GHz
・実装 RAM 32.0 GB

・Windows 11 Pro 64ビット版
・バージョン 23H2
・OS ビルド 22631.2861

・Embarcadero® Delphi 12 バージョン 29.0.50491.5718

・設計時の画面解像度は「1366 × 768」です。これ以上の解像度でお使いください。

使い方をなるべく丁寧に説明しますので(マニュアルも同梱してありますが)、まず、ここに書かれている順番で、一通り操作してみていただけたら幸いです。

1.デスクトップにMS_Reader.zipを展開(解凍)

ダウンロードした MS_Reader.zip をお使いのPCのデスクトップにコピペして右クリックするとサブメニューが表示されます。この中の「すべて展開」をクリックしてください。

デスクトップに MS_Reader.zip を展開します。


無事、展開に成功したら、MS_Readerフォルダをダブルクリックして開きます。

フォルダ内に展開されたファイルの中に MS_Reader.exe があります。これをダブルクリックしてマークシートリーダーを起動します。


次のメッセージが表示された場合は、「詳細情報」(画像中、赤い枠で囲んで示した部分)をクリックします(プログラムの発行元が不明である場合に、Windows のDefender機能である SmartScreen がこの表示を出すそうです。自分の責任で実行すれば、次回からこのメッセージは表示されなくなります)。

「詳細情報」をクリックします。


すると、次の画面が表示されます。「実行」(画像中、赤い枠で囲んで示した部分)をクリックしてMS_Readerを起動してください。

「実行」をクリックします。

2.高解像度ディスプレイへの対応

高解像度ディスプレイをお使いの場合の対応方法です。高解像度ディスプレイをお使いの場合、設定から「システム」⇨「ディスプレイ」と順にクリックすると、次のように表示されると思います。

拡大縮小に「150~200」という値が設定されていれば、高解像度ディスプレイです。


この場合、起動したマークシートリーダーの画面が小さくて見えにくいと感じることがあるかもしれません。その場合は、次のように操作してください。

MS_Reader.exe を右クリックして、表示されるサブメニューのプロパティをクリックします。

MS_Reader.exe のプロパティを表示します。


「互換性」タブをクリックします。


高DPI設定の変更をクリックします。


「高いDPIスケールの動作を上書きします。」にチェックを入れて、「拡大縮小の実行元:」は「システム」をComboBoxの選択肢から選択して指定。OKボタンをクリックします。


続けて「適用」⇨「OK」とクリックして設定は終了です。これで画面が見やすい大きさで表示されるようになります。

3.マークシート画像の読み取り準備

デスクトップに展開した MS_Reader フォルダ内に「ScanData」フォルダがあります。この中に練習用のサンプル画像が2種類(解像度150dpiと200dpi)入っています。この画像を用いて説明します。

重要 マークシートは、解像度150~200dpiでスキャンしてください。

重要 1回の操作で読み取り可能な枚数は最大99枚です。

MS_Reader.exe をダブルクリックしてマークシートリーダーを起動したら、画面左上の「画像変換」をクリックし、表示されるメニューの「専用画像を作成」をクリックします。


画像変換用のWindowが表示されたら、画面右上の「選択」ボタンをクリックします。


「フォルダの選択」ダイアログが表示されます。ここでは「Scanner_A」フォルダを選択します。フォルダ名をクリックして、下のFolder欄に「Scanner_A」と表示されたことを確認し、「OK」をクリックします。

スキャンしたマークシート画像は「ScanData」内に適切な名前を付けたフォルダを作成し、必ずその中に保存してください!

重要 フォルダ名にハイフン(-)を使わないでください。

参考 フォルダ名には、文字の他、アンダースコア(_)が使用できます。

注意してください。選択するのは「フォルダ」で、「ファイル」ではありません。
(Scanner_Aをダブルクリックして開いても何も表示されません)


画面は、次のようになります。赤い枠で囲んだ部分にマークシート画像のサムネイルが表示されます。回転の必要性の有無と回転方向を確認してください。


この場合は、回転の必要性「有り」で、回転方向は左90°です。これを「画像の回転」のオプションボタンをクリックして指定します。

左90°のオプションボタンをクリックします。


必要であれば、次に画像のリサイズ指定を行います。リサイズを指定「する・しない」の判定基準は、スキャナーでマークシート画像をスキャンした際の解像度の数値で判断してください。

「Scanner_A」フォルダ内のマークシート画像は、ScanSnap iX1500 のノーマルモードでスキャンした画像で、その解像度は 150dpi です。この場合は、ちょうどよい大きさでマークシート画像が表示されますので、画像をリサイズする必要はありません。

重要 解像度150dpi ・A4横置きの場合、リサイズは必要ありません!

重要 解像度200dpi ・A4横置き・解答マーク欄4列の場合、80%の大きさにリサイズしてください。読み取り後のチェックまで含めて、作業しやすくなります。

マークシート画像の読み取り解像度が 200dpi でも、マークシートがA4横置き、解答マーク欄の列数が3列の場合、リサイズは必要ありません

また、A4以外の大きさのマークシートは使ったことがありません!
(用紙の左上にマーカー画像■■■を入れ、その他はここでダウンロードできるサンプルと同様に作成していただければ、用紙サイズに関係なく動作すると思いますが、試行したことがありませんので確かなことは言えません。ただ、画像のサイズが大きくなればなるほど、動作速度は間違いなく低下します。また、複合機のスキャナーを用いて、マークシートを画像化する際も、B4やA3の大きさだと私が使用している機材ではメモリがいっぱいになるのでしょうか? 30枚程度読み込んだあたりで一旦動作が停止します。数百枚単位での読み取りにはそれなりに時間がかかります。そのような理由から、マークシートに使う紙の大きさはA4サイズ以下が適切だと思います。)

参考:プログラムを書いた本人が言うのもナンですが、自動でのリサイズはおまけ程度にお考えください。
ScanDataフォルダのScanner_Bフォルダに保存されたサンプル画像の大きさは、2338 × 1653
これを自動リサイズオプションボタンを指定して、変換してみます。
ProcDataフォルダのScanner_Bフォルダに保存されたサンプル画像の大きさは、1760 × 1248
いちおう、これでマークシート画像が横方向のはみ出し「なし」で表示されました。

重要 画像のリサイズの有無を必ずメモ(記録)してください!

⇨ 複数クラスのマークシート読み取り時に、同じ設定を適用する必要があります。

重要 大きな解像度の画像を扱う場合、動作速度が大幅に低下します!

回転の有無と方向、リサイズの有無を指定したら、画面中央右にある「参照」ボタンをクリックして、保存先のフォルダを選択します。


「フォルダの選択」ダイアログが開きます。Pathを見ると「ProcData」フォルダが指定されていることがわかると思います。なお、Procは「Processed(加工済み)」という意味です。

プログラムは「ScanData」フォルダで指定したフォルダと同名のフォルダを「ProcData」フォルダに自動作成します。この自動作成されたフォルダをクリックして選択します(しつこいようですが、選択するのは「フォルダ」で、「ファイル」ではありません)。下のFolder欄に「Scanner_A」と表示されたことを確認し、「OK」をクリックします。

読み取り用のマークシート画像は、必ず「ProcData」内の自動作成されたフォルダに保存してください!

重要 ProcData以外のフォルダには画像を保存しないでください。

読み取り用画像を保存するフォルダは自動で作成されます!
(自動作成されたフォルダをクリックして選択してください)


「変換実行」をクリックします。

回転とリサイズの有無を指定して「変換実行」をクリック!


次に表示される案内メッセージには「いいえ」を選択してください。


このマークシートリーダーとは別に、手書き答案の採点プログラムを作成しました(準備が整い次第、公開する予定です)。このマークシートリーダーは、そちらと連動しての動作も可能な設計にしてあるため、このメッセージが表示されます。

画像の変換が完了すると、メッセージが表示されますので、OKをクリックします。


変換された読み取り専用画像のサムネイルが表示されます。作成された読み取り用の画像ファイルには連番の名前が自動的に付きます(自動生成されたファイル名は変更しないでください)。

重要 Python環境を利用する場合はファイル名は必ず連番にしてください。

画像処理のアルゴリズムは、GDI+を利用しています。画像の回転とリサイズが伴う場合は、変換に時間がかかります。処理が完了するまでお待ちください。

(後日、別途ご案内する予定の)手書き答案の採点プログラムと併用する場合は、採点やり直しのために必要な画像もここで作成します(Loopが二重にまわり、時間も2倍かかります)。

クラス別に処理する場合は、「画面の初期化」ボタンをクリックします。
変換元フォルダの選択から、画像の変換処理を再実行できます。

画像の変換処理が完了したら、「終了」ボタンをクリックして、この画面を閉じます。

参考:画像を変換する理由は以下の3つです!
(1)Jpeg画像のサイズを最適化するため(全体が画面内に収まるようリサイズしてください)。
(2)画像の名前が連番になるよう、自動的にリネームするため。
(3)証拠画像としてのオリジナルを残したまま、読み取りに最適な大きさの画像を生成するため。

4.テンプレートを作成

次に、マークシートの情報を記録した読み取り用のテンプレートを作成します。これを作成することにより、同じ採点を複数クラスに対して実行したり、設定(縮小処理の有無を含む)が同じマークシートを異なる考査での使いまわしが可能となる・・・

・・・ように設計したのですが、実際には使いまわしがなんとなく不安なので、考査毎にテンプレートを再生成して運用しています。ですので、同じ設定(大きさ)のマークシート画像の情報を記録したテンプレートの使いまわしが可能か・どうか、これについては未確認です。

「確実なマークシート読み取りを実行する」ためには、お手数をおかけしますが、試験ごとに使用したマークシートのテンプレートを作成していただくのが最良の方法であると思います。

メニューの「2 テンプレート」をクリックして表示されるサブメニューの「テンプレートの新規登録」をクリックしてください。別のWindowが開きます。


画面右上の「取得」ボタンをクリックします。


今度は「ファイルを選択」するダイアログが表示されます。任意のマークシート画像を選んでください(1番のファイルを選ぶ方が多いのではないでしょうか?)。ファイルをクリックしてファイル名を取得し、「開く」をクリックします。

マークシート画像のサムネイルをクリックするとファイル名が取得できます。


画面は次のようになります。

このプログラムでは、マーカー(特徴点)画像を利用してマークシートのマーク位置を計算しています。ですので、このプログラムで処理するマークシートには必ずマーカー(特徴点)画像が必要です。

重要 マークシート左上にマーカー画像(■■■)を必ず用意します。

重要 マーカー画像は、マークシート1枚に1つだけ用意します。

画面右の操作パネル上段にある「マーカー」オプションボタンをクリックして選択状態にします。

「選択対象」の「マーカー」オプションボタンをクリックしてください。


マークシートの画像が拡大表示され、マウスのカーソルが大きな「+」になります。

マーカー画像の「左上」をクリックし、ボタンを押したまま「右下」へドラッグしてください。画像上には点線のラバーバンドが表示されます。

マーカー画像の左上を左クリックして、マウスの左ボタンを押したまま、マーカー画像の右下へドラッグ。
点線のラバーバンドでマーカー画像が囲まれます。


ドラッグ中の画像です(わかりやすさのため、マーカー画像より大きめにドラッグしています)。

黒点線がラバーバンドを示します。


マーカー画像の座標を正しく取得できる例です。

マーカー画像とラバーバンドがぴったり重なるようドラッグしてください。


マウスの左ボタンから指を離すと、取得できたマーカー画像が画面右側に表示されます。

数値は、画像左上からの距離です。

マークの読み取り時、プログラムは、コンピュータの眼である「OpenCV」のテンプレートマッチングの機能を利用して、まず、最初にマークシート画像中にあるこのマーカー(特徴点)画像を探し出します(これはマークシート画像1枚1枚について必ず行います)。

次に、マーカー(特徴点)画像左上隅を原点(0,0)として、テンプレートに記録されたマーク欄の座標からマーク一つ一つの位置を割り出して、これを切り抜いて画像化(正確に言うと、マークの切り抜き処理前に、ボカシ・二値化・白黒反転の各処理を行い、マークの切り抜き後に白面積計算処理を行って)、マークの有無を判定しています。

この方式の利点は、印刷そのものが左右にズレでも、マーカー画像と解答欄の相対的な位置関係は一定で変わりませんから、印刷がズレすぎて解答欄が印刷されなかった場合以外は、必ずマークの位置を探し出せる(=マークの有無を判定できる)ことです。

事実、輪転機で印刷(非推奨ですが!)して、チェックから漏れた(チェックしなかった?)、正しい位置から印刷が5cmくらいズレたマークシートも、このプログラムでなんの問題もなく読み取れました・・・。印刷のズレを申告せず、そのまま解答して提出する受験者も受験者ですが・・・。A4横・4列のシートで、解答には3列めまでしか使わなかったから「4列めはなくてもOK! 大丈夫」と思ったのでしょうか? それともただ単にめんどくさかったのでしょうか? たぶん、後者だと思いますが・・・

次は、そのテンプレートマッチングの機能をテストします。画面右にある「マーカー画像の読み取りテスト」ボタンをクリックしてください。テンプレートマッチングが正しく実行されると、マーカー(特徴点)画像が太い赤枠で囲まれます。


表示されるメッセージをお読みいただき、「OK」をクリックしてメッセージを閉じてください。


結果が良好であれば「選択対象」グループの「解答欄」をクリックします。


次に、マークシートのマーク(解答)欄の「行数」と「列数」及び「選択肢の数」を指定します。


マークシートの列数・行数・選択肢数の数え方は次の通りです(Scanner_Aフォルダにあるマークシート画像は、A4横置き・3列・25行・8選択肢の形式です)。


ですので、これを次のように設定します。


ComboBox に正しく設定を入力したら、その下の「採点方法の設定」の座標「1列」のオプションボタンをクリックして選択状態にします。マウスのカーソルが大きな「+」になります。


第1列目のマーク(解答)欄の座標を取得します。マーカー(特徴点)画像の時と同様、第1列の枠のうち、設問番号欄の矩形を除いた選択肢のマークが印刷されている欄の矩形の左上隅を(左)クリックして、そのままボタンを離さずに、枠の右下隅へドラッグします。この作業は正確に、慎重に行ってください。この作業の良し悪しでマークの読み取りの可否が決まります。

極めて重要 設問番号欄を含めて指定してはいけません!

極めて重要 指定するのはマーク欄のみ!

プログラムは、ここで取得した座標値(矩形の高さ)を行数で割り算して列を設問毎1行ずつに切り出し、さらに切り出した1行を選択肢数で割って1つ1つのマークを切り出し、その塗りつぶし面積を計算して、マークの有無を判定しています。

マーク(解答)欄の枠線と、表示されるラバーバンドがぴったり重なるようにドラッグしてください。

※ 下図は2つともドラッグ直後の結果を示しています(〇はドラッグ開始点と終了点です)。

マーク欄第1列めの左上隅を(左)クリックしてそのまま指を離さずに右下隅へドラッグ


ドラッグ中は、黒点線のラバーバンドが表示されます。これを目安に位置決めを行ってください、

画像中の〇印の位置までドラッグします。


指を離すと、ドラッグした範囲が赤い矩形で囲まれます。画面右側に取得できた座標が表示されます。


「再範囲選択」ボタンをクリックして、座標の取得をやり直すこともできます。


1列目が済んだら、同様にして2列目の座標を取得します。この作業を「マークシートの列数」分だけ繰り返します。

すべての列の座標を取得できたら、「保存」ボタンをクリックして取得した座標を保存します。


「保存」処理が完了すると、次のメッセージが表示されます。

参考:テンプレートの名前について
例 N_R25C03S08
N:ノーマル(通常の大きさ:解像度150~200dpi)
R:Row(行数)は25行
C:Col(列数)は3列
S:Selection(選択)は8個


「二値化テストの実行」ボタンをクリックすると、第1列めを「平滑化(ぼかし)処理&白黒反転して二値化」した画像の状態が確認できます。「マークあり」の部分が白く表示されていればOKです!
(プログラムは、この白部分の面積を計算して、マークの有無を判定しています)

「終了」ボタンをクリックして画面を閉じ、マーク(解答)欄座標の取得作業を終了します。

二値化テストを実行した場合は、終了ボタンをクリックする前に、保存ボタンをクリックすることを忘れないでください!

二値化の閾値と平滑化(ぼかし処理)のパラメータは、まずデフォルト設定でお試しください。

5.マークの読み取りを実行

これでマークを読む準備ができました。メニューの「テンプレート」をクリックし、表示されるサブメニューの「テンプレートの選択」をクリックします。


次のように、テンプレートを選択するWindowが表示されます。マークシートの形式に合ったテンプレートをクリックして選択し、決定をクリックします。

シングル/ダブルとあるのは、数学や教科「情報」のテストで、マークシート2枚1セットの採点を行うための設定です。選択肢数が16のマークシートを選ぶと、この設定も選択できるようになります(選択肢数が16未満のマークシートでは、この設定は利用できません)。

数学及び教科「情報」用の設定は、後日別記事として掲載する予定です。


次のメッセージが表示されます。「はい」をクリックしてください。


マークの読み取りを実行したいマークシート画像のあるフォルダを選択し、「Ok」ボタンをクリックしてください。


保存してあるマーカー(特徴点)画像をもとに、自動的にテンプレートマッチングが行われ、見つかったマーカー(特徴点)画像から、マークシートのマーク(解答)欄第1列第1行目の座標が計算され、それぞれが赤い矩形で囲まれて表示されることを確認してください。

Python環境を利用する場合(ここでワンクッション置くような感じで)テンプレートマッチングにしばらく時間がかかることがあります。同じプログラムを走らせているのですが、PCにより、このフリーズしたような時間の長さが極端に違うようです・・・、その辺の理由が私にはさっぱりわかりませんが・・・。

Python環境利用時に、この画面が表示されるまで、フリーズしたようになることがあります!


ここまでの設定操作が順調に進行していれば(抜け・落ち・欠けがなければ)、間違いなくテンプレートマッチングが成功し、マーカーと1列1行目が赤い矩形で囲まれるはずです。次のメッセージが表示されますので、お読みになったら「OK」ボタンをクリックしてください。


「読む」ボタンをクリックすると、マークシートの読み取りがスタートします。


画面下部の StringGrid に読み取り結果がリアルタイムで表示されます。また、読み取り完了後、処理にかかった時間が画面左下に表示されます。


8選択肢・25行・3列だから、合計600マーク ×3枚=1800マークの読み取りで、早ければ2013ミリ秒、遅くて2467ミリ秒で読んでます(PCの性能により、この値は変わります)。


遅かった方で1マークあたりの読み取り時間を計算すると、

2.467秒 ÷3≒ 0.82秒/枚
0.82 ÷ 600 ≒ 1.4ミリ秒/1マーク

そう書くと、すごく早いような気がしますが・・・

600マーク3枚で2.5秒だから、30枚ならその10倍で25秒かかります。平均的な高校の1学年分の生徒数を1学年8クラス320名とすると、さらに10倍で280秒程度、約5分処理時間が必要です。

300名分、5分だと慣れてくるとちょっと遅く感じてしまうかな? みたいな気が・・・

このプログラムには、内部的にPython環境を組み込んで高速動作させるモードがあります。数学用途の16選択肢・25行・3列で1200マーク/枚のマークシートで処理速度を計算・比較してみます。
(組み込みPythonの利用方法は後日ご案内します)

まず、Python環境を利用しない場合、1200マーク×40枚=1クラス分の48000マークを読むのにかかった時間が・・・


約78秒です。2枚1セットのダブルモードならその倍になります。
1枚(1200マーク)読むのに1.95秒かかってます。

次に、Python環境を利用した場合です。同じ読み取り条件で実験すると・・・


約11.5秒。8クラスあっても2分かかりません。ダブルモードでも4分未満。
1枚0.3秒未満で読み取ってます。

何やってもダメな自分にしては、よく頑張ったって正直、思います・・・。
よほど、びみょーなマークでない限り、期待した通り、ほぼ正しく読み取ってるし・・・。
かあさん、オレ、がんばったよ☆☆☆

まぁ このプログラム作成そのものに50万枚くらい採点できる時間をかけてますから・・・

それと合算すれば、
たぶん、プラマイ0ですー!!

6.読み取り結果のチェック

マークシートリーダーで最も重要な部分は、マーク読み取りの正確さであることは言うまでもありませんが、読み取り結果のチェック機能も非常に重要であると考えます。

人によってマークの濃さや大きさは少しずつ異なり、また、マークを訂正した箇所に残る消し跡も判定に少なからぬ影響を及ぼします。常に100%正しい読み取り結果が保証されないのが現実ですから、如何に効率よく、読み取り結果をチェックできるかで、プログラムの使用感はずいぶん変わってくると思います(CPUパワーにかなり依存したプログラムを書いておいて、そう言うのもナンですが・・・)。

自分自身の書いたものがベストだなんて、到底、思えませんが、このプログラムを書くにあたり、マークの読み取り部分と同等か、それ以上に頑張って書いたのが、この読み取り結果のチェック部分です。

機械との協働。機械との融和。これをテーマに、ヒトと機械とが一体化しての「快適なチェック作業」の実現を目指しました。

・・・が、プログラミング技術の未熟。自分自身の勉強不足。見い出した妥協点。等々の理由により、視覚による機械と協働してのチェックも、聴覚(音声出力)による機械と協働してのチェックも、いずれも全面的にマシンのCPUパワーに依存した、もっさりした感のある処理となってしまいました・・・。

処理性能の高いマシンなら、それなりに快適に作業できると思うのですが。以下、チェック機能の使い方です。

マーク読み取り結果のチェックを実行。


上の図の左のGUIから説明します。

白紙にチェックすると、マークがひとつもないシートのチェックは行わない(飛ばす)設定で動作します。この機能はデフォルトでON(チェックあり)です。

マーク(解答)がなかった場合の読み取り結果の表示が「999」です(デフォルトOFFです。このプログラムでは、「空欄」のフラグを「999」としています。マークの番号にも、得点にも「999」は通常ないことがその理由です。ちなみに複数マークは「99」と表示しています。色は「999」が「青」、「99」が「赤」です。少しでも視覚に訴えた方がチェックしやすいと考えました)。

ごく薄い色でマークされた答案が混じっていないことが大前提ですが、答案全体(1クラス分!)のマークの濃さが十分「濃い」と保証されていれば、チェック開始時のみ「999」のチェックを外してチェック(機械がきちんと空欄を識別していることをヒトが目視して確認)、で、確実に空欄を見分けていることが確認できたら、「999」にチェックして続行。こうすれば大変スムーズな確認作業を実現することができます。あくまでもごく薄くマークされたシートがないことが大前提ですが・・・

いずれにしても「Check!」ボタンをクリックすると、プログラムは次の「空欄(999)」もしくは「複数マーク(99)」を探し、それが見つかった場合は該当箇所を赤い矩形で囲んで表示します。処理性能の高い(CPUパワーのある)マシンであれば、それなりに快適に動作しますが、そうでない場合は、かなり「もっさり」した動作になりますので、イライラするかも知れません。ごめんなさい。

【空欄と判定した場合】

マークがない場合の表示例(設問番号25が空欄であった場合)

【複数マークありと判定した場合】

複数マークと判定した場合の表示例(設問番号43が複数マークであると判定)


複数マークの判定はパラメータ設定を厳し目にしてあります(上の図はそれがわかるよう、大きめに表示しました)。ごく小さなシミは「平滑化(ぼかし)」処理である程度消えますが、ある程度の面積があるシミや汚れは上のように複数マークと判定されます。

いずれの場合も、ヒトの眼で確認して、訂正の必要がなければ「Check!」ボタンをクリックしてチェックを続行。読み取り結果の訂正が必要な場合は、正しい値を直接入力します(上の場合であれば「2」と入力してください)。


【処理をスキップして次のシートへ】

「Skip」ボタンをクリックすると、現在チェックしているシートの残りの部分のチェックを省略し、次のシートのチェックへ移動します。チェック対象シートの残りの行が全部空欄であった場合などに利用してください。


【チェックの再実行】

「ReDo」をチェックすると、初めからチェックを再実行できます。

ReDoにチェックすると表示されるメッセージ①
ReDoにチェックすると表示されるメッセージ②


【音声読み上げ】

読み取り結果が表示されているStringGridの任意の行をクリックして、「▶」ボタンを押すとWindowsに標準搭載されている日本語の音声合成エンジン(Microsoft Haruka Desktop)の音声で読み取り結果をアナウンスしてくれます。

マークの読み取りが正しく行われているか・どうか、少しでもラクに確認できないかと考え、この機能を搭載しました。処理性能の高いマシンでないと快適な動作は期待できませんが、CPUパワーのあるマシンであればそれなりに使えると思います。

「▶」ボタンの下にある「×」ボタンをクリックすると、音声読み上げを途中で中止することができます。


【列を指定して、任意の行からその列の最後の行までのチェックをスキップ】

数学用のマークシート等で、第1問の解答をシート第1列にマーク、第2問の解答をシート第2列にマーク、第3問の解答を・・・というような設定にしたい場合、「指定列の任意の行から最後の行までをチェックの対象から外す」ことができます。以下、その方法です。

任意の行を指定して、その行以降のチェックをスキップできます。


図のいちばん左にある「Skip」にチェックすると、この機能が有効になり、続けて「Check!」ボタンをクリックすると、ここでの設定に基づいたチェックを実行できます。

上の例であれば、1列目25設問あるうちの20設問目以降25設問目までのチェックをスキップ(チェックは19設問まで実行)、2列目は設問番号26から始まるので34設問目以降50設問目までを、3列目は設問番号51から始まるので70設問目以降75設問目までのチェックをそれぞれスキップします。スキップの設定はComboBoxへ入力した指定値「以降」であることにご注意ください。

また、シートの型式により、列の指定の可否をプログラムが自動的に判断し、ComboBoxのEnabled プロパティが設定されます(上の例では4列目は指定不可)。

「覚」ボタンをクリックすると、現在の設定を ini ファイルに書き込んで記憶します。「消」ボタンをクリックすると「設定なし」の状態に初期化できます。

数学用途等で2枚1セットの処理を実行する場合は、1枚目と2枚目を分けてスキップ処理の設定を行うことができます(数学用途の処理方法は後日掲載します)。

7.CSVファイルへの書き出し

マークの有無の読み取り結果は、CSVファイルとExcel Book への書き出しが可能です。

【CSVファイルへの書き出し】


「ファイルへの出力」にある「CSV」をクリックして選択し、「書き出し」ボタンをクリックしてください。


上記の場所にCSV形式で、読み取り結果が出力されます。

フィールド名として1行目に「設問番号」、レコード名としてA列に「マークシート番号」が書き込まれます。

8.Excel Book の準備作業

【Excel Bookへの書き出し準備】

Excel Book への読み取り結果の書き出しは、自分用に(あれば便利かなー☆)と思って作成したものです。ですので、式の入ったセルを保護する等、第三者が使うことへの配慮は何一つ行っていません。セルに入力された式やVBAの内容をご自身でメンテナンスできる方なら、お使いいだけるかな? という程度のシロモノです。

添付した Excel Book はこれまでに何度も「実際に使用して動作に誤りがないことを確認済み」ですが、誤って式を削除したりした場合は(当然ですが)意図した通りに動作しません。ですので、こちらも動作保証は一切ありません。ご使用はあくまでも自己責任でお願いします。この Excel Book に対しても、このプログラムの使用要件にあります免責事項がそのまま適用されますことを申し添えます。

以下、試験実施前に行っておくとよい採点準備作業です。

eFile フォルダに「一般用マークと手書き併用採点シート.xltm」というマクロ有効テンプレートがあります。これをダブルクリックすると「一般用マークと手書き併用採点シート1.xlsx」という名前で新しい Excel Book が作られます。拡張子に注意してください。「.xlsx」です。このままでは期待通りに動作しませんので、適切な名前を付け、拡張子を「.xlsm」(マクロが有効な Excel Book )に変更して eFile フォルダ(必ずこのフォルダに保存してください!)に保存します。

ここでは test.xlsm という名前で保存したことにして説明を続けます。

「コンテンツの有効化」をクリックしてマクロが実行できるようにしてください。


【インターネットからダウンロードしたマクロ有効 Excel Book の取り扱い】

いつからこうなったのか、わかりませんが、インターネットからダウンロードした拡張子 xlsm の Excel Book をダブルクリックして開くと、次のメッセージが表示されるようになりました。

「編集を有効にする」をクリックすると・・・
マクロを動かすことができません!


こうなった時は、いったん Book を閉じて、その Excel ファイルを右クリックして表示されるサブメニューのプロパティをクリックして、全般タブのいちばん下にある「セキュリティ:」の「許可する」にチェックします(チェックする=マクロの実行をご自身の責任で行うことになります。どうか、ご注意ください)。

全般タブの下の方にあるセキュリティの設定。
マクロの実行をご自身の責任で行う場合は、「許可する」にチェックしてください。


「許可する」にチェックした状態で、「適用」をクリックすると「セキュリティ」の表示そのものが消えます。「あなたの責任でマクロの実行が可能になりました」ということなのでしょう。「OK」をクリックしてプロパティの設定画面を閉じます。


これでマクロが実行できるようになります。


【欠席者がいた場合】

Excel Book を利用して採点する場合、大変重要な注意事項があります。それは欠席者がいた場合の処理です。該当試験に欠席者がいる場合は、その欠席者の出席番号位置に未使用のマークシートを挿入し、シートが確実に出席番号順に並んでいることを確認してから、スキャナーでスキャンしてください。
※ 可能であれば、この用途専用に未使用のマークシートを複数枚、最初から手元に準備しておくとよいと思います。

重要 未使用のマークシートを欠席者の出席番号位置に挿入しておく!

これを忘れると、あとから「すーぱーめんどくさい」コトになります(もし、忘れたらマークシートのスキャンからもう一度、採点をやり直した方が効率がいいかもしれません)。


【受験者の氏名データを準備する】

test.xlsm をダブルクリックして開き、「コンテンツの有効化」を行ったら、いちばん最初に「名票への貼付元名票」シートをクリックして開き、ここに「採点対象者全員分の氏名」を準備してください。

もっとわかりやすく言うと、採点したいテストを受験した生徒全員の「クラス・出席番号・氏名・ふりがな・性別」データを「クラスごと」に「出席番号順」で、「名票への貼付元名票」シートに用意します。なんで「ふりがな」まで必要なのか? 疑問に思う方もいらっしゃるかもしれませんが、最近の若い方々のお名前は難読である場合が多く、採点結果を個票でお知らせする際に、個票の氏名欄のところに「ふりがな」も印刷しておくとスムーズに答案返却が行えます。そのための「ふりがな」準備です。

また、テストの受験者全員分の氏名データを1シートに準備する理由は、次のような使い方を想定しているからです。

(1)同じテストを受験 ⇨ クラス毎に採点用 Excel Book を用意するのは非効率的。
(2)採点用 Excel Book は1個だけ作成し、これをコピーして全クラス分を作る。

具体的には、eFile フォルダの Excel Book(test.xlsm)をコピーして、クラス別(AHR.xlsm)に名前を変えて MS_Reader.exe がある場所に保存。採点結果もコピーした Excel Book(AHR.xlsm) に書き込みます。さらに、この作業はすべてプログラムから自動実行します。

採点者は、採点結果が書き込まれた Excel Book(AHR.xlsm)を開いて、「名票への貼付元名票」シートに用意した氏名データから「A組の受験者の氏名データ(クラス・出席番号・氏名・ふりがな・性別)を範囲選択してコピーし、「名票」シートに値のみ貼り付けます。

こうすることで同じ内容のファイルを複数個準備することなく、言わば「採点原本」として利用する Excel Book を1つ作成するだけで、試験を実施した全クラス分の採点が可能となります。

ここでは「クラス」と表現しましたが、用意する氏名データを適宜変更すれば「講座」等の採点もまったく同じように行えます。※ プログラムの仕様としては、1回の採点作業で採点する人数を100名以下と想定していますが、実際の採点作業は1採点40名程度で行っています。ですので、40名程度を1つのまとまりとして採点していただく方向でお考えください。


【正解を入力】

氏名データの準備が完了したら、「正解」シートをクリックして表示し、設問毎に「正解」の選択肢の番号を入力します。設問がない場合(無解答でよい設問番号の欄)は空欄のままにしておきます。入力したら、入力内容に間違いがないか、よく確認し、上書き保存してください。

正解の入力を間違えるとたいへんなコトになります!
慎重に入力し、最低2回は間違いがないことを確認してください。


【配点を入力】

次に、「マークシート配点」シートをクリックして「配点」を入力します。入力と同時に合計が自動的に計算されます。入力が完了したら上書き保存してください。なお、この配点表の下には観点別評価の表もありますが、この表には一切入力しないでください(観点別評価の表は入力禁止です)。

配点を入力すると「合計」が自動計算されます。
確認作業にお役立てください。


【観点別評価の区分を入力】

次に、「マーク&手書き観点別評価」シートをクリックして「観点別評価の区分」を入力します。
「知識・技能 ⇨ 1」、「思考・判断・表現 ⇨ 2」として設問毎に、半角数字で入力してください。デフォルト設定では、すべての設問に「1」が入っています。解答を要しない設問は「空欄」にしてください。入力したら上書き保存します。


以上で、試験実施前の準備は終了です!

9.Excel Book への書き出し

重要 すべての Excel Book を閉じてから実行してください!

危険 Excelが起動した状態で実行すると重大なエラーが発生します!

Excel へデータを書き込む際は、上記注意事項を必ずお守りください。この注意を忘れて Excel が起動したまま、Excel Book への書き込みを実行すると最悪の場合、Excel のプロセスが幽霊のように残り、これを終了することが出来なくなって、復旧するには、システムの再起動しかない状態になります。未保存の重要なデータがあるような場合、当然そのデータは失われます。Excel Book へのデータ書き込み時は、Excel が起動していないことを(タスクバーに眠っている Excel Book がないことも含めて)十分確認した上で、書き込み作業を行ってください。


【書き出し処理】

マークシートを読み取り後、読み取り結果のチェックまで完了したら、Excel Book への読み取り結果の書き出しが可能となります。次のようにマークシートリーダーを操作してください。

最初に、ファイルへ出力の Excel のオプションボタンをクリックして選択します。すると、その右側にある「選択」ボタンがクリックできるようになりますから、このボタンをクリックしてください。


ファイル選択のダイアログが表示されますので、読み取り結果を書き込む Excel Book をクリックして選択し、その後、下にある「開く」ボタンをクリックします。Pathの指定は、デフォルトで eFile フォルダになっています。準備作業で作成した test.xlsm を eFile フォルダに保存したのは、この読み取り結果を書き込む Excel Book を選択する作業を円滑に実行するためです。


次のメッセージが表示されます。

重要 ここで Excel が起動していないことを必ず確認してください!

選択した Excel Book が書き込み先として表示されていることを確認し、「書き出し」ボタンをクリックします。


書き込みには、しばらく時間がかかります。次のメッセージが表示されるまでお待ちください。


すぐに書き込み結果を確認する場合は、「はい」をクリックします(ここでは「はい」をクリックしたものとして説明を続けます)。

「はい」をクリックした場合は、エクスプローラーが自動的に開きます。先ほど選択した「test.xlsm」のコピーが「Scanner_A.xlsm」として、eFile フォルダではなく、MS_Reader.exe のあるフォルダに生成されています。


ファイル名がなぜ「Scanner_A.xlsm」になったかというと、マークシートの読み取り元フォルダとして選択したのが、ProcData\Scanner_A であったためです。プログラムは、マークシートの読み取り元フォルダの名称をそのまま、原本「test.xlsm」をコピーして生成する読み取り結果書き込み先 Excel Book の名称として利用します。

マークシートの読み取り元フォルダの名称が、Excel Book の名称になります!


マークシートの読み取り元フォルダの名称が「R05_情報Ⅰ_1A」であれば、MS_Reader.exe のあるフォルダに「R05_情報Ⅰ_1A.xlsm」が生成されます。

ここは、この仕様に慣れるまで混乱が生じやすいところと思われます。しかし、この仕様(仕組み)を十分に理解して、マークシートリーダーを使いこなしている職場の同僚からは「よく考えられた採点システムだと思います」と言ってもらえました。うれしかったなー!!


【成績一覧表の印刷】

生成された Excel Book をダブルクリックして起動します。起動したら「名票への貼付元名票」タブをクリックして開き、採点対象クラス(等)の氏名データを範囲選択してコピーし、「名票」タブをクリックして B3 セルに値のみ貼り付けます。次に「採点」タブをクリックしてください。次のような画面が表示されます。「氏名がある場合のみチェックする」ボタンをクリックしてください。画面上方に表示されている平均点が正しく再計算されます。なお、欠席者の得点は「0」と表示されていますので、この場合は手動で「受験確認」のチェックを外し、平均点の計算対象から除外してください。

「氏名がある場合のみチェックする」をクリックしてください。


このシートは通常の印刷操作で印刷できます。ただし、デフォルト設定で100名分を2枚に分けて印刷する仕様となっているため、成績一覧表が1枚でよい場合は、次のように指定して1ページ分のみ印刷を実行してください。

成績一覧表を1枚だけ印刷したい場合の設定


【観点別評価を行う場合】

観点別評価を行う場合は、「正答率」タブをクリックして、上と同様の操作を行ってください。欠席者がいた場合の処理も同じです(このシートは印刷しません)。


【個票の印刷】

最後に、試験の採点結果を受験者に知らせる成績個票を印刷します。よー書いた。さすがに私も疲れました。あと、もぉちょっとです!

「個人表」タブをクリックします。次のような画面が表示されます(表示倍率は異なります)。まず、考査名と科目名を入力してください(忘れやすい部分です! ご注意願います)。印刷はVBAでマクロを組んであります。設問数に合った「印刷(QXX)」ボタンをクリックしてください。

重要 セルを保護していません。誤って式を消さないでください!


次の印刷フォームが表示されます。開始番号と終了番号を入力し、「印刷実行」をクリックします。

重要 印刷は途中で中止できません!

VBAではプログラム書いてない!のに、Engterキー押し下げでフォーカスが移動します・・・

この印刷は Excel の仕様上、印刷データをためてからイッキにプリンタへ送信という方法が取れません。1枚ずつ送信しますので、ちょっとギクシャクした感じで印刷が実行されます。プリンタが壊れているわけではありません。


【個票を個別に確認したい場合は?】

受験者個々の個票を確認したい場合は、A2 セルに「採点」シートの通番を入力します。いろいろなクラスの生徒が混在した講座の処理に対応するため、入力値は「出席番号とは異なる」ことにご注意願います。

採点シートの通番を入力します!


個票を確認したい受験者の通番は「採点」シートを表示して確認してください。

受験者の通番を確認します。


【壊しちゃったときは?】

個人表シートを壊してしまった時は、次のようにすれば直せます。「個人票_Back」タブをクリックします(このシートは絶対に非表示にしないでください)。A 列の左、1行めの上(図の〇印を付けた部分)を右クリックしてシート全体を選択し、表示されるサブメニューのコピーをクリックします。

A 列の左・1行めの上を右クリック!
シート全部をコピーします。


個人表シートに戻って、先ほどと同じ A 列の左・1行目の上を右クリックして表示されるサブメニューの「数式fx」をクリックします(罫線データ等を壊してしまった場合は、すべてを貼り付けます)。

数式が壊れた場合は数式を貼り付けます。
面倒な場合は、いちばん左の全部「貼り付け」でもOK!

10.マークシート印刷用紙について

紙の「白さ」の度合いを「白色度」というそうです。このマークシートリーダーで読み取りに使用したマークシートはすべて「再生紙 or 再生コピー用紙」と呼ばれる紙に印刷したものです。

ですから、ここで紹介したマークシートの読み取り結果は、すべて「白色度70%」前後の「再生紙」に印刷してのもので、ホームセンターで一般的に販売されているような「白色度」が「再生紙」よりはるかに高い「真っ白に見える」用紙を用いての読み取り結果ではないことに、十分ご注意願います。

マークシートの印刷に使用する紙の「白色度」によっては、読み取りパラメータ設定の見直しが必要になるかもしれません(私自身は、実験・試行していませんので正確なことはわかりませんが)。入手可能なすべての紙について、実験することは現実的に無理でありますので、マークシートを印刷する用紙については、本ソフトウェア使用者の責任で十分な試行を行い、確実に動作するパラメータ設定を行った上で、このプログラムをお使いいただけますよう、お願いいたします。

印刷はインクジェットプリンタで行うことを推奨しましたが、長期にわたって使用していない(メンテナンスもしていない)インクジェットプリンタ(複合機)では、インクの吸い込みに問題が生じ、「いくら調整しても・何度クリーニングを行っても」期待した濃度での印刷ができないということも経験しました。サービスマンの方に伺ったところ、「こういう状態になると通常のクリーニングではなかなか復旧しない」と教えていただき、あらためて日常的に使用してインクを動かすことと、不具合が見えたらすぐにメンテナンスをお願いすることの大切さに気づいたこともあります。

そのサービスマンの方からは、マークシートに付着していた消しゴムの「屑」がスキャナーのローラー等可動部の動きを悪くして、マークシートがやや斜めにスキャンされたりする原因となり得ることも教えていただきました。実際に大量のマークシートを読み取ってきた複合機のスキャナー部分からは、かなりの量の消しゴム屑が・・・。受験者には消しゴム屑をよーく落としてから答案(マークシート)を提出するよう注意しておく必要があります。まさに塵も積もればなんとやら・・・です。

また、ご使用のスキャナーの読み取り設定によっては(デフォルトの読み取り設定が)0~255段階のグレースケールでなく、カラーであったり、ある閾値で白黒二値化しての読み取りであったりという、私の想定外の設定であることも、当然のようにあり得ると思います。それがカラー画像であった場合の影響はほとんどないと思われますが、ある閾値での白黒二値化画像であった場合は、判定に重大な影響を及ぼす可能性があります。ですので、マークシートの読み取りに、使用されるスキャナーの読み取り設定に関して、予め、使用者様の責任で十分ご確認いただけますよう、併せてお願い申し上げます。

11.まとめ

このマークシートリーダーで出来ること、出来ないことをまとめました。

【出来ること】

・マークシートのJpeg画像を回転&適切なサイズに縮小
・マークシート画像のマーク読み取り(1設問当たり最大16選択肢まで対応)
・読み取り結果の確認(GUI & 音声出力)
・読み取り結果のCSVファイル出力
・読み取り結果を採点結果通知用Excel Bookへ出力(新教育課程に対応)
・共通テスト形式の数学試験に対応(選択肢:-、±、0-9、記号:a~d)※ 後日掲載します。
・共通テスト形式の情報Ⅰ試験に対応(選択肢:0始まりの設定も可能)※ 後日掲載します。
・使用環境に合わせて各種パラメータ設定を変更可能
 ⇨ ScanSnap iX1500のノーマルモード(解像度150dpi相当?)、もしくはEPSON PX-M7110F(解像度200dpi)でスキャンしたJpeg画像のマーク読み取りに最適化した値をデフォルト値に設定済み。

【出来ないこと】

・1設問について、複数の解答が設定された採点
・前問の解答内容に応じて、次の問いの解答が変わる採点
・その他、答案1枚のみの採点等、このプログラムで想定外の採点全て
・1回の読み取り操作で処理できるJpeg画像は99枚までで、100枚を超える枚数は処理できません。

【その他の使用方法】

MS_Reader.exe の「ヘルプ」にある「PDFを表示」をクリックすると利用方法の手引きがお使いのPDFリーダーで表示されます。マークシートの作り方等、このブログの記事にないことも書いてありますので、必要に応じてこちらも併せてご参照いただけますよう、お願いいたします。

12.お願いとお断り

このサイトの内容を利用される場合は、自己責任でお願いします。ここに記載した内容及びダウンロードしたプログラムを利用した結果、利用者および第三者に損害が発生したとしても、このサイトの管理者は一切責任を負えません。予め、ご了承ください。

Mark Sheet Reader (Basic version)

「マークシートリーダーをつくる(基礎編)」

DelphiでGUIを作成、マークシート画像はPythonにインストールしたOpenCVとNumpyで読み取り&計算処理して、結果をMemoに表示するマークシートリーダーの練習プログラム。

0.準備
1.使用するプログラムとマークシート画像について
2.マークシート画像を読み込む
3.マークシート読み取り処理のアルゴリズム
4.マークシート読み取り処理の実際(Object Pascalのコード)
5.さらに進化
6.著作権表示の記載方法
7.お願いとお断り

ここで紹介している練習用プログラムを、実際の採点業務で使用できるようにした拙作マークシートリーダーです。

0.準備

マークシートリーダー作成にあたって、以下の事前準備が必要です。

・PythonForDelphiのインストール
・Embeddable Pythonのダウンロードと必要なライブラリのインストール
(作業後、このプログラムへの埋め込み用にフォルダ名を「Python39-32」に変えて、このプログラム(マークシートリーダー)のexeがある場所へコピーする)
・アプリケーションの表示画面のリサイズ対応(縦編)

(いずれも、当Blogの記事で過去に紹介)

重要 上の記事の手順で、OpenCVとNumpyをインストールしたEmbeddable Pythonが入ったフォルダを「Python39-32」という名前で、以下のフォルダ内にコピーする。

C:\Users\ xxx \ Project1.dprojファイルのあるフォルダ \Win32\Debug\

1.使用するプログラムとマークシート画像について

当Blogの過去記事『~主として「高さ」の変更に関する覚書~』で作成したDelphiのGUIをそのまま使用します。

必要なVCLとその構造(親子関係)

画面サイズの変更に対応できるよう、以下のコードを記述。

unit Unit1;

interface

uses
  Winapi.Windows, Winapi.Messages, System.SysUtils, System.Variants,
  System.Classes, Vcl.Graphics, Vcl.Controls, Vcl.Forms, Vcl.Dialogs,
  Vcl.ExtCtrls, Vcl.Grids, Vcl.StdCtrls;

type
  TForm1 = class(TForm)
    Panel1: TPanel;
    Panel2: TPanel;
    Panel3: TPanel;
    Splitter1: TSplitter;
    ScrollBox1: TScrollBox;
    Image1: TImage;
    Memo1: TMemo;
    procedure FormCreate(Sender: TObject);
    procedure FormResize(Sender: TObject);
    procedure Splitter1Moved(Sender: TObject);
  private
    { Private 宣言 }
    //Panel1の幅とFormの高さを記憶する変数
    intPH, intFH:integer;
    //Formの表示終了イベントを取得
    procedure CMShowingChanged(var Msg:TMessage); message CM_SHOWINGCHANGED;
  public
    { Public 宣言 }
  end;

var
  Form1: TForm1;

implementation

{$R *.dfm}

{ TForm1 }

procedure TForm1.CMShowingChanged(var Msg: TMessage);
begin
  inherited; {通常の CMShowingChagenedをまず実行}
  if Visible then
  begin
    Update; {完全に描画}
    //Formの表示終了時に以下を実行
    Panel1.Height:=intPH;
    intPH:=Panel1.Height;
    intFH:=Form1.Height;
  end;
end;

procedure TForm1.FormCreate(Sender: TObject);
begin
  //Panel1とFormの高さを記憶する変数を初期化
  intPH:=200;
  intFH:=480;
end;

procedure TForm1.FormResize(Sender: TObject);
begin
  //比率を維持してPanel1の高さを変更
  Panel1.Height:=Trunc(Form1.Height * intPH/intFH);
end;

procedure TForm1.Splitter1Moved(Sender: TObject);
begin
  //Panel1とFormの高さを取得
  intPH:=Panel1.Height;
  intFH:=Form1.Height;
end;

end.

マークシート画像は、以下の画像を使用。

「ms01.Jpg」

マークシート画像は、以下の場所に「MarkSheet」という名前のフォルダを作成して、その中に保存。

C:\Users\ xxx \ Project1.dprojファイルのあるフォルダ \Win32\Debug\Marksheet

2.マークシート画像を読み込む

Delphiを起動して、Project1.dproj(マークシート読み取り用GUIの保存してあるフォルダ内のDelphiのプロジェクトファイル)を開き、Panel3をクリックして選択しておいて、Panel3上にButton1を作成。Button1のNameプロパティはButton1のまま、Captionプロパティを「画像を表示」に変更。Button1の位置は下図を参照。

Captionプロパティを「画像を表示」に変更
Button1の位置は画面下・Panel3の左に寄せる

OpenDialog1をForm上に置く。

OpenDialogをダブルクリック
Form上のOpenDialog1

次に、Form上のButton1をダブルクリックして、procedure TForm1.Button1Click(Sender: TObject);を作成。

procedure TForm1.Button1Click(Sender: TObject);
begin

end;

作成した手続きではJpeg画像を扱うので、画面を上にスクロールして、implementation部の下に Vcl.Imaging.Jpeg を uses する。

implementation

uses
  Vcl.Imaging.Jpeg; //Jpeg画像を読み込む

{$R *.dfm}

Button1Clickプロシージャにvar宣言を追加して、Jpeg画像読み込み用の変数jpgを宣言。

procedure TForm1.Button1Click(Sender: TObject);
var
  jpg: TJPEGImage;
begin

end;

beginとend;の間に、以下のコードを記述。

  //OpenDialogのプロパティはExecuteする前に設定
  With OpenDialog1 do begin
    //表示するファイルの種類を設定
    Filter:='JPEG Files (*.jpg, *.jpeg)|*.jpg;*.jpeg';
    //データの読込先フォルダを指定
    InitialDir:=ExtractFilePath(Application.ExeName)+'MarkSheet';
  end;

  if not OpenDialog1.Execute then Exit;  //キャンセルに対応
  //オブジェクトを生成
  jpg := TJPEGImage.Create;
  try
    //読み込み
    jpg.LoadFromFile(OpenDialog1.FileName);
    //Image1に表示
    Image1.Picture.Assign(jpg);
  finally
    //オブジェクトを破棄
    jpg.Free;
  end;

上書き保存(Ctrl+S)して、実行(F9)。データの読み込み先を指定しておくと、目的のフォルダが一発で開くので便利。

マークシート画像が表示される。が、ごく一部しか見えない。

これはImage1のAutoSizeプロパティがデフォルトFalseに設定されているため。 Image1 のAutoSizeプロパティをTrueにするコードを追加(オブジェクトインスペクタで Image1 のAutoSizeプロパティを 直接指定してもOK)。

  try

    //読み込み
    jpg.LoadFromFile(OpenDialog1.FileName);
    //Image1に表示
    Image1.Picture.Assign(jpg);

    //追加
    Image1.AutoSize:=True;

  finally

上書き保存(Ctrl+S)して、実行(F9) 。画像の表示を確認する。

うまくいったように見える。Formを最大化してSplitterを下げて、さらに確認。
画像の表示位置を修正する必要がありそうだ

画像が表示される位置を、画面の左側へ移動するコードを手続きの先頭に追加する。

begin

  //Imageの表示位置を指定
  Image1.Top := 25;
  Image1.Left := 40;

  //OpenDialogのプロパティはExecuteする前に設定しておくこと
  With OpenDialog1 do begin

上書き保存(Ctrl+S)して、実行(F9) 。画像の表示を再度確認する。

ほぼイメージに近い出来栄え?

参考:画像読み込みのコード(全体)

implementation

uses
  Vcl.Imaging.Jpeg; //Jpeg画像を読み込む

{$R *.dfm}

{ TForm1 }

procedure TForm1.Button1Click(Sender: TObject);
var
  jpg: TJPEGImage;
begin

  //Imageの表示位置を指定
  Image1.Top := 25;
  Image1.Left := 40;

  //OpenDialogのプロパティはExecuteする前に設定しておく
  With OpenDialog1 do begin
    //表示するファイルの種類を設定
    Filter:='JPEG Files (*.jpg, *.jpeg)|*.jpg;*.jpeg';
    //データの読込先フォルダを指定
    InitialDir:=ExtractFilePath(Application.ExeName)+'MarkSheet';
  end;

  if not OpenDialog1.Execute then Exit;  //キャンセルに対応
  //オブジェクトを生成
  jpg := TJPEGImage.Create;
  try

    //読み込み
    jpg.LoadFromFile(OpenDialog1.FileName);
    //Image1に表示
    Image1.Picture.Assign(jpg);

    //追加
    Image1.AutoSize:=True;

  finally
    //オブジェクトを破棄
    jpg.Free;
  end;

end;

3.マークシート読み取り処理のアルゴリズム

まず最初にマークシートの左上にある特徴点(マーカー)画像: ■■■(トリプルドット)をOpenCVのテンプレートマッチングで探す。

特徴点(マーカー)画像が見つかったら、 特徴点(マーカー)画像左上位置を基準にして、「マークシートの周囲の枠部分のみ」を矩形選択して切り出し。

参考①:あらかじめ測定しておいた特徴点(マーカー)画像の位置(単位はピクセル)
左上のX座標=65
左上のY座標=28
右下のX座標=121(マークシート矩形の座標計算には使用しない)
右下のY座標=43(マークシート矩形の座標計算には使用しない)

参考②:あらかじめ測定しておいたマークシート矩形の座標 (単位はピクセル)
左上の X座標=65
左上の Y座標=61
右下の X 座標=419
右下の Y 座標=497

参考 上記の各座標をマークシート画像から計測し、テンプレートとして用意したマークシートごとに登録(座標値を保存)するプログラムを別途作成した。なお、座標原点(0,0)は画像の左上である(使い慣れた数学の座標系とちょっと違うことに注意!)。

赤が左上、青が右下の座標で、緑がマークシート枠の矩形

この座標を元にして、 特徴点(マーカー)画像からの距離で、マークシート矩形を切り出す。

マークシート矩形において、(W1、H1)が左上位置を、(W2、H2)が右下位置を示す座標となる。

上の例では、マークシートの列数は「1」、行数は「10」と数えることにする。列数が「1」の場合、W1は「ほぼ0(ゼロ)」になり、値としての意味がないように思われるが、このプログラムを実用化した場合は、下の例のように、複数の列があるマークシートを用いることになるので、2列めのマークシート矩形の座標は、左上が(W3,H3)、右下が(W4,H4)、3列めのマークシート矩形の座標は左上が (W5,H5)、右下が(W6,H6)のように指定でき、W値が0ではない場合が生じる。

マークシート用紙の作成に、私はWordを用いたが、Wordのバージョンによっては、あろうことか、上書き保存時に、マーカー画像(■■■)の位置が数ミリ程度、勝手に左へ移動するという予期しないトラブル(Wordの仕様?)が発生。このような点も考慮して、W1の座標は敢えて(0として)定数化していない。

マークシートの作成例(実験用に使用)
列数3、1列あたりの行数25、1行あたりの選択肢の数は16
この用紙の場合、総マーク数は3×25×16=1200個/枚となる
つまり用紙1枚につき、1200回マークの有無の判定が必要

実際の作業では、マークシート画像をスキャナーで読み取って、グレースケールのJpeg画像としてデータ化するので、マークシート(用紙)に「しわ」があったり、状況によっては「折られ」ていたりする関係上、読み取り画像を1枚ずつ比較すると、その上下・左右にどうしても微妙なブレ・ズレが生じてしまう。しかし、同じ印刷機で、同時に印刷したマークシートであれば、特徴点(マーカー)画像とマークシートの行列位置の関係は絶対であり、これが1枚ごとに変化することはありえない。つまり、スキャンした画像が余程大きく傾きでもしていない限り、テンプレートマッチングで、特徴点(マーカー)画像さえ発見できれば、予め測定・記録しておいた座標の相対的位置関係からマークシート矩形は容易に切り出せる。

次の画像は、別データとして保存してある特徴点(マーカー)画像を元に、OpenCVのテンプレートマッチングをマークシート画像に対して行ったもの。類似度の高い部分を赤枠で囲んで示すようプログラミングしている。

マーカー
テンプレートマッチングを行った画像

次に、上に述べた方法で計算したマークシート矩形を列単位で切り出す。切り出した画像は、マークの(=列)数・行数の整数倍のサイズになるようリサイズする(これは、このあと画像を細かく分割して処理するので、切り出す行や列の計算を簡単にするための工夫 → 整数倍にリサイズすれば、列数分&行数分廻すLoop処理の中で処理しやすい)。

列単位で切り出したマークシート矩形

マークシート用紙は、一般的なマークシート用紙のような厚みのある(高級感あふれる)専用紙でなく、ホームセンターでも「売ってない!」ような見た目が灰色の再生紙を用いている。このためか、あちらこちらにゴミのような黒い点や、細いすじが入っていることがある。これらの黒点やすじを判定プログラムが「マークあり」と誤認しないようにするため、次に「平滑化(ボカシ)処理」を行う。

平滑化(ボカシ)処理には「ガウシアンフィルタ」を用いた。これは、正規(ガウス)分布を利用して「注目画素からの距離に応じて近傍の画素値に重みをかける」という処理を行うもので、自然な平滑化が実現できるとのこと。次の画像は、上の切り出したマークシート矩形に対して、この平滑化処理を行ったもの。

img = cv2.GaussianBlur(img,(35,35),0) ※引数は奇数を指定する必要がある

引数の値が大きいほど正規分布のピークが低く、広がりは広くなる(=より均一に、より全体にボカシがかかる)。ここでは引数をかなり大きめにとり「35」としている。こうすることで、ゴミやシミを画像からほぼ完全に除去できる。

ガウシアンフィルタ処理を行い、ゴミやシミを除去する

さらに、この画像を「ある閾値」を元に白と黒に二値化処理する。この処理で枠線やマークされていないマーク部分が「すべて白」になり、鉛筆で濃くマークされている部分だけが「黒」になった白黒画像が得られる。当初は、以下のように引数を指定して二値化画像を作成した。

ret, img = cv2.threshold(img, 140, 255, cv2.THRESH_BINARY)

現在は、次のように閾値の設定を自動で行う「大津の二値化」を利用している。

ret, img = cv2.threshold(img, 0, 255, cv2.THRESH_BINARY + cv2.THRESH_OTSU)

式中の第2引数は閾値だが、大津の二値化では自動計算させるので0(ゼロ)を指定。第3引数は0-255の256段階でグレースケール化しているから、最大値の255を指定する。これによって、次の画像が得られる。

大津の二値化で作成した白黒画像

さらに、これを白黒反転させた画像を作成する。式は以下の通り。

img = 255 - img

これにより、次の画像が得られる。

マーク部分を「白」に変換した画像

次に、この画像を「行」単位に分割して切り出す。

1行目を切り出した画像

次に、選択肢の数で、均等に分割する。ここでは選択肢の数が「8」なので、上の画像を等幅で8個に分割する。下は、その1個目の切り出し画像である。

このように細かく分割して切り出した画像1つ1つについて、画素が白なら値を255・黒なら0として面積あたりの合計値を計算し、マークされている部分の面積の中央値を算出、これを閾値として、下の式では、マークされている(白い部分の)面積が他より3倍以上あるものを「マークあり!」と判定している。この数値が大きいほど、判定はきびしくなる。

result.append(area_sum > np.median(area_sum) * 3)

このマークシート読み取り処理のアルゴリズムの主要部分は全て、GitHubの次の記事に紹介されていたものです。素晴らしい記事を投稿してくださった作成者の方に、心から感謝申し上げます。

PythonとOpenCVで簡易OMR(マークシートリーダ)を作る

URL:https://qiita.com/sbtseiji/items/6438ec2bf970d63817b8

参考 列が複数あるマークシートの読み取り処理について

上記記事では、特徴点(マーカー)画像をマークシートの上下に複数個用意し、テンプレートマッチングを行っています。確かに、マークシートの左上と右下に特徴点(マーカー)画像を用意すれば、より簡単にマークシート矩形の切り出しが可能でした。これは素晴らしいアイデアです。

私も当初は特徴点(マーカー)画像を複数個用意してマークシートを作成していたのですが、列数を2列、3列と増やすと、さまざまな問題が生じることに気が付きました。

第一に、特徴点(マーカー)画像を変えないと、列ごとの切り出しが困難だということです。つまり、3列あるマークシートでは、最も左の列用の特徴点を■■■、真ん中の列用の特徴点を■□■、最も右側の列用の特徴点を■□□として、Loop処理の中でテンプレートマッチングに使用する特徴点(マーカー)画像を切り替えて、目的とするマークシート矩形を切り出せるようにしてみた(□□■や□□□も含めればさらに多くの列が作成可能)のですが、この方法では、うまく特徴点(マーカー)画像を認識してくれないことがあり、安定感に欠ける気がしました。

第二に、万一、回答者が特徴点(マーカー)画像に意図的に変更を加える(例: ■□□ → ■■□)等の暴挙に出た場合、対応が難しいこと。

第三に、マーカー画像が多いと、マークシートの見た目もなんだか騒がしくて、個人的にはマーカー画像を複数個用意する方法はなるべく避けたいと考えたこと。

これらの理由から、「なんとか特徴点(マーカー)画像が1個で済まないか」と、私なりに工夫して、当ブログで紹介した方法を考えました。

創意工夫の過程で一時は、回答者が意図的に変更できるようなマーカー(例: □ )がなければOKかとも思い、別の特徴点(マーカー)画像も使ってみたのですが、それはそれでまた別の問題を起こすことがわかりました。

例えば、下のように、ヒトなら簡単に両者の違いを判別できる画像を用意します。

用意した特徴点(マーカー)画像

これに対して、左側の画像でテンプレートマッチングを行うと・・・

機械はヒトと違うモノの見方をしていることが、大変良くわかりました。

4.マークシート読み取り処理の実際(Object Pascalのコード)

Form上に、Buttonを1つ、PythonForDelphi関連のVCLコンポーネントを3つ配置する。Button2は、Panel3の中央付近に置き、Nameプロパティはそのまま、Captionプロパティを「読み取り」に変更する。PythonForDelphi関連のVCLコンポーネントは、すべて非ビジュアルコンポーネントなので、位置はどこでもよく、Nameプロパティもデフォルトのままとする。 PythonForDelphi関連で配置するコンポーネントは以下の通り。

以下のように、PythonForDelphi関連のコンポーネントのプロパティとイベントを設定

・PythonEngine1のAutoLoadプロパティはFalseに設定。

・PythonEngine1のDllNameプロパティはpython39.dllを指定(埋め込みPythonのバージョンに合わせて設定する)。ここでは3.9.9以下のバージョンのPythonでないとNumpyが非対応(2021年12月現在)であり、用意した埋め込みPythonのバージョンは3.9.9なのでpython39.dllに変更する。

・PythonEngine1のIOにはPythonGUIInputOutput1を指定。

・PythonGUIInputOutput1は他で利用するならプロパティのOutPutに「Memo1」などとするところだけれど、ここでは何も設定しない。

・PythonDelphiVar1のVarNameはプログラムコードの記述に合わせて「var1」とする。var1と入力後、Enterで確定すること!(青く反転表示されるのを確認する)

Formが生成される時、PythonEngine1を初期化する。Formのタイトルバーの上をクリックして選択し、オブジェクトインスペクタのイベントタブをクリックしてOnCreateイベントの右に表示されている「FormCreate」をダブルクリックして、コードの入力に切り替える。

参考:エラー対応方法(20220724追加)

P4D使用時にImageコントロールの bsClear を使うとエラーが発生します。

[dcc32 エラー] Unit02_MSReader.pas(1199): E2010 'TBrushStyle' と 'Enumeration' には互換性がありません

これはPythonEngine.pasの中で bsClear が定義(使用)されているためです。次に示す例のように、Image1の方のbsClearを明示的に Vcl.Graphics.bsClear として対応します。

  //矩形を描画
  with Image1 do
  begin
    //Canvas.Brush.Style:=bsClear;
    Canvas.Brush.Style:=Vcl.Graphics.bsClear;
  end;

以上、エラー対応でした。解説を続けます。

表示は次のようになっている(はず)。ここにコードを追加する。

procedure TForm1.FormCreate(Sender: TObject);
begin

  //Panel1とFormの高さを記憶する変数を初期化
  intPH:=200;
  intFH:=480;

end;

追加するコード

procedure TForm1.FormCreate(Sender: TObject);
var
  //Python39-32へのPath(追加)
  AppDataDir:string;
begin

  //Panel1とFormの高さを記憶する変数を初期化
  intPH:=200;
  intFH:=480;

  //以下のコードを追加
  //embPythonの存在の有無を調査
  AppDataDir:=ExtractFilePath(Application.ExeName)+'Python39-32';

  if DirectoryExists(AppDataDir) then
  begin
    //フォルダが存在したときの処理
    MessageDlg('Embeddable Pythonが利用可能です。',
      mtInformation, [mbOk] , 0);
    PythonEngine1.AutoLoad:=True;
    PythonEngine1.IO:=PythonGUIInputOutput1;
    PythonEngine1.DllPath:=AppDataDir;
    PythonEngine1.SetPythonHome(PythonEngine1.DllPath);
    PythonEngine1.LoadDll;
    //PythonDelphiVar1のOnSeDataイベントを利用する
    PythonDelphiVar1.Engine:=PythonEngine1;
    PythonDelphiVar1.VarName:=AnsiString('var1');  //プロパティで直接指定済み
    //初期化
    PythonEngine1.Py_Initialize;
  end else begin
    MessageDlg('Embeddable Pythonが見つかりません!',
      mtInformation, [mbOk] , 0);
    PythonEngine1.AutoLoad:=False;
  end;

end;

ここでMessageDlgを使用しているので、以下のように System.UITypes を uses に追加する。

implementation

uses
  Vcl.Imaging.Jpeg, System.UITypes;  // <-追加

  //Jpeg:Jpeg画像を読み込む
  //System.UITypesはMessageDlgの表示に必要

{$R *.dfm}

プライベートメンバー変数 intCnt(カウンタとして利用する)と strAnsList(Pythonから返された計算結果を保存する) を2つ、Private宣言で新しく宣言する。

  private
    { Private 宣言 }

    //for Python(追加)
    //Counter
    intCnt:integer;
    //Pythonから送られたデータを保存
    strAnsList:TStringList;

    //Panel1の幅とFormの高さを記憶する変数
    intPH, intFH:integer;
    //Formの表示終了イベントを取得
    procedure CMShowingChanged(var Msg:TMessage); message CM_SHOWINGCHANGED;

  public
    { Public 宣言 }
  end;

Form上のButton2(読み取りボタン)をダブルクリックして、手続きを作成し、以下の内容を入力する。

procedure TForm1.Button2Click(Sender: TObject);
var
  StrList:TStringList;
  strJCnt,strColCnt,strRowCnt,strSelCnt:String;
  TopLX, TopLY, TLX1, TLY1, BRX1, BRY1:integer;
  strPicName:string;
begin

  //初期化
  Memo1.Clear;
  intCnt:=1;

  //座標
  TopLX:=65;
  TopLY:=28;
  //BtmRX:=121;
  //BtmRY:=43;
  TLX1:=65;
  TLY1:=61;
  BRX1:=419;
  BRY1:=497;

  //マークシート数Check(+1することを忘れない)
  strJCnt:=IntToStr(2);

  //列数Check(+1することを忘れない)
  strColCnt:=IntToStr(2);

  //1列あたりの行数Check
  strRowCnt:=IntToStr(10);

  //選択肢数Check
  strSelCnt:=IntToStr(8);

  //マークシート名
  strPicName:='ms';

  //結果を保存するStringList
  strAnsList := TStringList.Create;

  //Scriptを入れるStringList
  StrList := TStringList.Create;

  try

    //Python Script
    StrList.Add('import cv2');
    StrList.Add('import numpy as np');

    //for JPN(日本語に対応)
    StrList.Add('def imread(filename, flags=cv2.IMREAD_GRAYSCALE, dtype=np.uint8):');
    StrList.Add('    try:');
    StrList.Add('        n = np.fromfile(filename, dtype)');
    StrList.Add('        img = cv2.imdecode(n, flags)');
    StrList.Add('        return img');
    StrList.Add('    except Exception as e:');
    StrList.Add('        return None');

    //マーカー画像を読み込む
    StrList.Add('template = imread("marker.png", cv2.IMREAD_GRAYSCALE)');

    //マークシートの枚数
    StrList.Add('for j in range(1,'+strJCnt+'):');

    //列数
    StrList.Add('    for i in range(1,'+strColCnt+'):');

    //マークシートへのパスを取得
    StrList.Add('        if j < 10:');
    StrList.Add('            MS_Name = r".\Marksheet\'+ strPicName +'0"+ str(j) +".jpg"');
    StrList.Add('        else:');
    StrList.Add('            MS_Name = r".\Marksheet\'+ strPicName +'"+ str(j) +".jpg"');

    //画像を読み込む
    StrList.Add('        img = imread(MS_Name)');
    //画像をグレースケールで読み込む
    StrList.Add('        img_gray = imread(MS_Name, 0)');

    //テンプレートマッチングの実行(比較方法cv2.TM_CCORR_NORMED)
    StrList.Add('        result = cv2.matchTemplate(img, template, cv2.TM_CCORR_NORMED)');

    //類似度が最小,最大となる画素の類似度、位置を調べ代入する
    StrList.Add('        min_val, max_val, min_loc, max_loc = cv2.minMaxLoc(result)');
    //最も似ている領域の左上の座標を取得
    StrList.Add('        top_left = max_loc');
    StrList.Add('        if i == 1:');

    //補正値を取得(高さ)
    StrList.Add('            h1 = ' + IntToStr(TLY1 - TopLY));
    StrList.Add('            h2 = ' + IntToStr(BRY1 - TopLY));
    //補正値を取得(幅)
    StrList.Add('            w1 = ' + IntToStr(TLX1 - TopLX));
    StrList.Add('            w2 = ' + IntToStr(BRX1 - TopLX));

    //矩形の左上の座標を計算 [0]-> X, [1]-> Y
    StrList.Add('        TL = (top_left[0] + w1, top_left[1] + h1)');
    //矩形の右下の座標を計算
    StrList.Add('        BR = (top_left[0] + w2, top_left[1] + h2)');
    //画像を切り出し img[top_Y : bottom_Y, left_X : right_X]
    StrList.Add('        img = img_gray[TL[1] : BR[1], TL[0] : BR[0]]');

    //選択肢数
    StrList.Add('        n_col = '+ strSelCnt);

    //解答欄1列あたりの行数
    StrList.Add('        n_row = '+ strRowCnt);
    StrList.Add('        margin_top = 0');
    StrList.Add('        margin_bottom = 0');
    StrList.Add('        n_row = n_row + margin_top + margin_bottom');

    //マークの列数・行数の整数倍のサイズになるようリサイズ
    StrList.Add('        img = cv2.resize(img, (n_col*100, n_row*100))');

    //保存して確認
    //StrList.Add('        cv2.imwrite("01_ReSize.png", img)');

    //平滑化の度合い
    StrList.Add('        img = cv2.GaussianBlur(img,(35,35),0)');

    //保存して確認
    //StrList.Add('        cv2.imwrite("02_GaussianBlur.png", img)');

    //二値化の閾値
    //50を閾値として2値化
    //imgはグレースケール画像でなければならない
    //第2引数はしきい値で,
    //画素値を識別するために使用(指定)
    //第3引数は最大値でしきい値以上
    //(指定するフラグ次第では以下)の値を持つ
    //画素に対して割り当てられる値
    //StrList.Add('        ret, img = cv2.threshold(img, 140, 255, cv2.THRESH_BINARY)');

    //大津の二値化で閾値の設定を自動化
    //第1引数には画像データを設定
    //(グレースケール画像でなければならない)
    //第2引数はしきいだが自動計算させるので0(ゼロ)を指定
    //第3引数は0-255の256段階でグレースケール化しているから
    //最大値の255を指定
    StrList.Add('        ret, img = cv2.threshold(img, 0, 255, cv2.THRESH_BINARY + cv2.THRESH_OTSU)');

    //保存して確認
    //StrList.Add('        cv2.imwrite("03_threshold.png", img)');

    //白黒を反転
    StrList.Add('        img = 255 - img');

    //保存して確認(追加)
    StrList.Add('        cv2.imwrite("04_threshold.png", img)');

    //全マークを判定
    StrList.Add('        result = []');
    StrList.Add('        for row in range(margin_top, n_row - margin_bottom):');
    StrList.Add('            tmp_img = img [row*100:(row+1)*100,]');
    StrList.Add('            area_sum = []');
    StrList.Add('            for col in range(n_col):');
    StrList.Add('                area_sum.append(np.sum(tmp_img[:,col*100:(col+1)*100]))');
    StrList.Add('            result.append(area_sum > np.median(area_sum) * 3)');

    //判定結果を出力
    StrList.Add('        for x in range(len(result)):');
    StrList.Add('            res = np.where(result[x]==True)[0]+1');
    StrList.Add('            if len(res)>1:');
    StrList.Add('                var1.Value = "99"');
    StrList.Add('            elif len(res)==1:');
    StrList.Add('                s = str(res)');
    StrList.Add('                var1.Value = s[1]');
    StrList.Add('            else:');
    StrList.Add('                var1.Value = "999"');

    //Execute
    PythonEngine1.ExecStrings(StrList);

    //結果を表示
    Memo1.Lines.Assign(strAnsList);

    //Userへ案内
    MessageDlg('読み取り完了!', mtInformation, [mbOk] , 0);

  finally
    //解放
    StrList.Free;
    strAnsList.Free;
  end;

end;

Pythonから返された計算結果を受け取るため、PythonDelphiVar1のOnSetDataイベントの手続きを作成する。Form上のPythonDelphiVar1をクリックして選択し、オブジェクトインスペクタのOnSetDataイベントの右側をダブルクリックして、コード入力画面で以下の内容を入力する。

procedure TForm1.PythonDelphiVar1SetData(Sender: TObject; Data: Variant);
begin
  //値がセットされたら動的配列に値を追加
  strAnsList.Add(Data);
  intCnt:=intCnt+1;
  Application.ProcessMessages;
end;
表示の「999」は空欄、「99」は複数マークであることを意味する。

上書き保存(Ctrl+S)して、実行(F9)。次の画像のように、マークシートが正しく読み取り処理されることを確認する。

複数マークを許可する場合には、判定結果を出力する部分のコードを次のように変更する。マークシートの読み取り結果をCSVファイルに出力したり、Excelに書き出したりして利用する場合には、複数回答は99、未回答は999のように処理した方が、後々の処理がラクになる(・・・と思う)。

    //判定結果を出力(複数回答は99、未回答は999で表示)
    {コメント化ここから
    StrList.Add('        for x in range(len(result)):');
    StrList.Add('            res = np.where(result[x]==True)[0]+1');
    StrList.Add('            if len(res)>1:');
    StrList.Add('                var1.Value = "99"');
    StrList.Add('            elif len(res)==1:');
    StrList.Add('                s = str(res)');
    StrList.Add('                var1.Value = s[1]');
    StrList.Add('            else:');
    StrList.Add('                var1.Value = "999"');
    ここまで}

    //判定結果を出力(複数回答の詳細を表示)
    StrList.Add('        for x in range(len(result)):');
    StrList.Add('            res = np.where(result[x]==True)[0]+1');
    StrList.Add('            if len(res)>1:');
    StrList.Add('                var1.Value = str(res)+ '+'"!複数回答!"');
    StrList.Add('            elif len(res)==1:');
    StrList.Add('                s = str(res)');
    StrList.Add('                var1.Value = s[1]');
    StrList.Add('            else:');
    StrList.Add('                var1.Value = " *未回答*"');

PythonEngineが正しく初期化され、Embeddable Pythonが利用できることが確認できたら、このメッセージは必要ないのでコメント化しておく。

procedure TForm1.FormCreate(Sender: TObject);
var
  //Python39-32へのPath
  AppDataDir:string;
begin
  ・・・
  if DirectoryExists(AppDataDir) then
  begin
    //フォルダが存在したときの処理(コメント化)
    //MessageDlg('Embeddable Pythonが利用可能です。',
    //  mtInformation, [mbOk] , 0);
    PythonEngine1.AutoLoad:=True;

5.さらに進化

さまざまな機能を追加したマークシートリーダー
(ファイルの名称を連番で変更/画像の回転/グリッド指示位置と画像の連動/グリッド指示位置を画像上で矩形選択/閾値等各種パラメータの調整と保存機能/音声読み上げ関連機能の搭載/回答チェック機能(空欄&複数回答対応)/CSV形式でのデータ出力/ExcelBookへのデータ出力/様式の異なるマークシートをテンプレートとして登録して利用可能/抱き合わせ採点の実施機能/共通テスト(数学の様式)に対応等、考えつく限りの機能を搭載/さらに進化します!)

このプログラムでは、「マークシート画像の表示」と、「読み取り処理」の間に何も関連がないが、このプログラムをさらに発展させて、複数枚数の処理を可能にし、読み取り結果を画面上で確認するような機能を追加する際には、マークシート画像の表示はどうしても必要な機能になる。

さらに、画面の左側などに読み込んだマークシートがリスト形式で表示されるようにして、ここから任意のマークシート画像を選んで表示できるような機能も追加するとよいと思う。

読み取り結果も、ここではMemoに表示しているが、CSVやExcelへ出力して利用することを考えると、ここはGridコントロールに変更したい。

Gridコントロール上で選択したデータの該当回答欄に相当する画像が自動的に画面上に表示され、かつ、表示されたマークシート画像上の該当回答欄が矩形で選択され、ユーザーがチェックしやすいGUIにするとなお良いだろう。

また、チェック時にはユーザーがマークシート画像を見ながら確認作業が行えるよう、Gridコントロールの数字をアナウンスしてくれる音声読み上げ機能があると大変便利だ。それから、回答の必要がない、全マークシートが空欄となっている部分は、予め指定することで、チェックから除外できる機能も欲しい。

さらに、スキャナーから読み込んだ画像データを回転させたり、連番で扱いやすい名前に変更したり、様式の異なるマークシートをテンプレートとして登録できるような機能も搭載したい。

より一層ユーザーに優しい、夢に見たようなマークシートリーダーを開発したい。この希望の実現に向けて、日々努力する私でありたい。

Web上に貴重な資料を公開してくださった多くの皆さまに心より深く御礼申し上げます。ほんとうにありがとうございました。

6.著作権表示の記載方法

参考:Python4DelphiのLicenseについて

GitHubのPython4Delphiのダウンロードページには「The project is licensed under the MIT License.」とある。これは「改変・再配布・商用利用・有料販売すべてが自由かつ無料」であること、及び使用するにあたっての必須条件はPython4Delphiの「著作権を表示すること」と「MITライセンスの全文」or 「 MITライセンス全文へのLink」をソフトウェアに記載する、もしくは、別ファイルとして同梱しなさい・・・ということを意味する。

したがってPython4Delphiを利用したプログラムの配布にあたっては、ソフトウェアの中で、次のような著作権表示を行うか、もしくは P4DフォルダのルートにあるLicenseフォルダをプログラムに同梱して配布すればよいことになる。

Python4Delphiを利用した場合の著作権表示の記載例:

Copyright (c) 2018 Dietmar Budelsky, Morgan Martinet, Kiriakos Vlahos
Released under the MIT license
https://opensource.org/licenses/mit-license.php

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