Begin

今日は、出張だった。

遅れてはならない大切な打ち合わせだったから、時間には十分余裕を持って出た。
昼を食べていなかったので、途中、コンビニでパンを買って・・・
僕は、なつかしい公園の駐車場にクルマを止めた。

最初から、そうしようと決めていたんだ。
数分間でもいい。思い切り、思い出に浸りたかった・・・。
新しい風景を見る、その前に。

(街路樹が・・・なくなってる?)

たしか、あそこには、ポプラ並木があった・・・はずだ。
僕だけじゃなくて、公園もいつしか年齢を重ねてた。

今の職場に6年・・・
その前の職場には4年・・・
この公園によく立ち寄ったのは、さらにその前の職場にいた頃だから、もう10年以上前のことだ。

あの頃、言葉にできないことがあると・・・
帰り道、ここでよく空を見上げた。
空は青かったこともあるし、茜色だったことも、星が瞬いていたこともあった。

樹があった場所に、10年の歳月と、今がある気がする・・・

(空港を出発したばかりの飛行機だ・・・)

そうだ・・・みんなを乗せて・・・ 遠い、とおい、ところへ・・・

優しかった微笑み
あの日の拍手
それから・・・ それから・・・

思い出せることすべてが泣きたくなるほどに、美しいのはなぜ・・・

思えば、胸いっぱいに広がるさみしさと、別れのかなしみを感じながら
大切に思えてならない多くのひとのしあわせを祈り続けてきた・・・たくさんの三月。

これが・・・ 僕の仕事なんだ。

今は、まだ、どうしても、うつむきたくなるけれど・・・
きっと思い出せるはずだ。

Begin

そう、Begin

美しい思い出とともに、また、きっと・・・歩き出せる。

Object Pascalと、僕と。